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「キャディがいないと回らない」── CXチームが挑む“三方良し”の構造改革

お客様とパートナー企業、どちらにとってもWIN-WINな状態を作り、業界構造をより良くするためにプロジェクト全体を統括するのがCX(カスタマー・エクスペリエンス)の最大のミッション。

製造業が抱える課題に徹底的に向き合い、データとテクノロジーを駆使して原因を突き止め、健全な業界構造へと導いていくその姿勢は、スマートでありつつも人間味にあふれています。今回は、非製造業の領域からキャリアチェンジをし、現在CXマネージャーとして活躍している中原 雄一さんに、CXの仕事内容や役割、やりがいについてインタビューしました。

メーカーにとって命である、部品を預けてもらうため、まずは信頼から

ーーあらためて宜しくお願いします。中原さんはキャディに入社される前は、どこでどのようなことをされていたのですか?

前職はネットプロテクションズというベンチャー企業に新卒で入社し、6年間B2Bの決済事業を担当していました。セールスやマーケティング、オペレーション企画などを経て、最終的には事業責任者として事業全体を統括していました。

そこから2019年の4月、キャディにジョイン。入社からもうすぐ2年ですが本当に色々なことを経験させていただきましたね。

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ーーでは現在、キャディで所属している部署についておしえてください。

現在はCXチームのマネージャーとして、チームを率いています。装置メーカーさんが我々の主な取引先なのですが、そういったお客様に向けて「調達改革」の支援を行なっているのがCXという部署です。

ーー「調達改革」とは?

まず、調達改革の前提として、「加工品調達の支援」があります。何をもって支援できている状態と見なすかですが、キャディに部品を任せてもらったことで、加工品のクオリティ(Q)、コスト(C)、デリバリー(D)という、QCD全体が改善されている状態を提供することです。

その上で、調達業務に伴う工数の削減や製造プロセス全体、ひいては営業利益にインパクトを与えられる状況を生み出せるかが大切です。QCDの担保は当たり前として、そこに留まらずに、工数削減やそれ以上の経営インパクトを同時にどう実現するか。キャディが価値を提供していく上で重要なポイントです。

ーーでは、CXチームの役割について教えていただけますか?

プロジェクト体制の構築やマネジメントなど、「プロジェクト全体」を統括すること、そしてそこから経営インパクトを生み出すためにあらゆることにコミットすることがCXの役割です。

キャディの価値を提供していくためには、まずは「任せてもらえる状態を作る」ことが重要。歴史ある製造業界において、設立3年目のIT企業が突然現れて「私たちが部品を全部手配します!」と言ったところで任せてもらえるわけがありません(笑)。

製造業は「モノ」ありきの世界です。装置メーカーさんにとって部品は、ラーメン屋さんに取っての”麺”のようなもの。いわば命です。そんな大切なモノを、「キャディに任せる」と言ってもらうために、どれだけ信頼してもらえるかが重要ですよね?前述QCDの改善から、まずは信頼を形成していかなければなりません。

お客様の要望や、案件の状況を把握し、部品のコストダウンや納期遵守を達成するためにパートナーさんを巻き込みながらプロジェクトを滞りなく推進していくことが当たり前に求められます。

そして、信頼を形成した上で、経営インパクトを出していくために、調達担当の方や経営の方と一緒になって、課題の特定・分析、実行まで、ほとんどお客様の社員かのように入り込み、成果を生み出していく。いわばコンサルティングのようなところまでがチームの役割です。

時にはエクセルを教えるといったこともあれば、中長期戦略をベースに調達戦略を議論しながら、調達部門の方針設定を一緒に構築することもあります。

ーーそんなCXチームの仕事における難しさはどんなところにありますか?

業界全体で統一された"規格”がないことでしょうか。いただく図面は個社ごとに特徴があり、「図面に描かれていない情報」が多いです。

実は多品種少量生産の産業装置業界においては、図面にすべての情報が書かれておらず、図面だけを正に製造すると”不良品”となってしまうリスクがあります。お客様の意図を正確に把握し、正確な仕様に落とし込んでいきます。コストダウンのためには、どううまく加工工程を構築していくのかが肝になるので、パートナーも含めて綿密にすり合わせを行なっていきます。

また、装置全体の加工部品は、装置にもよりますが3000図面や1万図面といったボリュームになってくるので、生産全体のプロジェクトマネジメントも重要です。複数のパートナーやお客様の製造部門など、多様なステークホルダーを巻き込みながらプロジェクトマネジメントを行い、いつ・何を・どう納品していくのか、を適切にマネジメントしていくことが日々求められています。

その上で、プロジェクト全体をよりよく推進していくために、お客様のビジネスプロセスやバリューチェーン全体に対してのDX化にまで踏み込んでいき、経営インパクトをいかに発揮するかを考え、経調達変革の実行まで併走していますね。

ーー右から左に情報を伝えるメッセンジャーではダメなんですね。

はい。図面に描かれていないことを翻訳してどうわかりやすく伝えるか。コストを下げながらもいかに良いモノを届けるか

表面だけがいくら良くても長期的なスケールはありません。バリューチェーン全体が最適な構造であってこそ、長期に渡ってキャディの価値を提供することができるのだと思います。考えなければならない観点や繋がりの広さを常に意識しておく必要があります。

「三方良し」を叶える密な連携

ーーGTM役割や連携についても教えていただけますか?

GTM(技術営業)は、お客様にキャディが提供するサービスの価値を伝え、信頼を形成していくための役割を担っています。

時にはCXもGTMと一緒に取引先に伺って課題を聞き出したりなどして密に連携しています。「キャディと一緒にビジネスをしたい」「より深い関係を築いていきたい」と思ってもらえる価値や顧客体験・ストーリーを一緒に考え、実行していくんです。

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ーーSCM(サプライチェーンマネジメント)はいかがでしょうか?

SCMは、サプライパートナーの窓口となって新規開拓や信頼形成、また強みを引き出すなどを通してQCD全体の向上など関係構築を行う役割を担ってくれています。新たに開拓・強化が必要なパートナーさんの選定をSCMとディスカッションし、優先順位を決めたり、プロジェクトに最適なパートナー体制の選定を一緒に検討したりしています。

また、お客様にとって条件が良いだけではなく、パートナーにとっても良い案件であることが重要だと考えています。その状態に近づけるためにはどうしたらいいのかを、SCMとディスカッションしながら進めていきます。

ーーちなみに、「パートナーにとっても良い案件」とはどういったものでしょうか。

例えば、町工場さんにとって苦しい問題の一つに「先が見えないこと」が挙げられます。「来月の案件が決まっていない」という状態ですね。ここでもし「来月もキャディからこれだけの案件を依頼できます」とお伝えすることができたら、経営が安定するので嬉しいですよね。我々が「発注の予約枠」のようなものを提示させていただくわけです。

ーーお客様の声はいかがでしょうか?

「キャディがいなくなるとビジネスが回らない」と言ってもらえるようになってきました。その背景には各社で調達チームの人員が削減されている、という製造業界の厳しい現状があります。分析する時間も人員も十分ではなく、「なぜコストが上がっているのか」といったファクトも分からないまま、とにかく目の前のことを頑張るしかないという状態に追いやられてしまっている方も少なくないんですよね。この事実を放っておくと、じり貧状態になってしまいます。

そこで我々が詳しく分析して、コストが上がっている理由や調達する上で問題となっている原因を割り出し、コストが下げられる箇所を見つけ出して提案します。さらに、加工品の8〜9割をキャディにお任せいただけるので、手配にかかる工数も劇的に減らせるというわけです。

我々はそういった企業の調達チームの一員、時には「経営パートナー」として、売上の向上に貢献していきたいと思っています。ほぼその会社の一員のような感じになるケースも増えてきていて、今ではサービスとは直接関係のない組織作りの相談まで受けることもあるほどです(笑)。

モノづくり産業のポテンシャルを解放するために

ーーキャディの仕事のどこにやりがいを感じますか?

製造業は「モノ」ありきで、それらがないと成り立たない業界です。加工部品の改革に携わらせていただいているということは、お客様の「ビジネスの根幹」に入り込んで、インパクトのあることをやっているということ。そういった製造業の課題に向き合い、向き合った結果としていかに”ロイヤルな状態”を続けていけるか。

また、目の前の行動が1年後に帰ってくる可能性もあるので、場当たり的な問題解決ではなく中長期的な経営インパクトを考える必要があります。お客様やパートナーに対しても、我々のオペレーションやシステムに対しても、「長期に渡って最適な状態」を目指して意思決定をしていくのは、CXマネージャーとしてやりがいを感じます。

ーー中原さんの今後の目標をおしえてください。

CXで下す判断によってお客様のQCDが決まりますし、パートナーにとっても利益の出る取引になるか否かが決まります。僕らのやり方や取り組み方、工夫次第で両者にとって「良いモノ」が提供できるし、逆に両者にlose-lose取引にもなりえます。

いかに両者の利益を最大化できるかを際限なく考え、変化を起こして行きたいなと思っています。責任と同時にやりがいを感じますし、我々にできることをもっと増やして、キャディの価値をさらに高めていきたいですね。

ーー最後に、中原さんが感じているキャディの可能性と、キャディで働く楽しさをおしえてください。

「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」というミッションへの道のりは遠くても、実現する可能性は十分あるし、ポテンシャル自体は間違いなく大きいと肌で感じています。

製造業にかかわりを持たせてもらうのはキャディが初めてなんですが、製造業のお客様やパートナーと一緒に仕事をしていて思うのは、皆さん本当にモノづくりが好きだったり、製造業全体について思い入れをを抱いて日々取り組まれているということです。ですから、我々が真剣に向き合って取り組んでいけば、みなさんも一緒になって産業全体の変革を起こしてくれると思いますし、確実に変化が起きていくだろうと思っています。

変化を起こせる可能性が業界としてはたくさんあると思いますし、テクノロジーも含め、実現させるための強みを持ち合わせている人材がキャディには揃っていると思っています。

我々がやっていることは、超難しいけど実現する可能性はある、「絶望しない最高難易度のギリギリライン」といったレベルの難易度なんだろうなぁと思うんですよ(笑)。めちゃくちゃ社会的インパクトが大きくて、めちゃくちゃ難しい。なんだけど、きっと無理じゃない。社会に大きなインパクトを生み出したい、どうせやるならチャレンジしたいという人にとっては、とても良いチャレンジの場になっていると思います。

Photo by Taiga Yamazaki

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