アクセンチュアとマイクロソフトの戦略的合弁会社として2000年に米国で生まれたアバナード。「戦略×テクノロジー」の支援により、これまで多くのクライアントのイノベーション創出を支えてきました。
世の中には多くのコンサルティングファームやシステムインテグレーターが存在し、コンサルティングと開発を一手に引き受けている企業も少なくありません。そんな中、なぜアバナードが選ばれクライアントから評価されるのか。
今回はTechnologyグループと、セキュリティチームの統括を兼務する前田にインタビューを実施。マイクロソフトソリューションに特化したアバナードならではの強みと、アバナードが理想とする人材について語ってもらいました。
アバナード日本法人立ち上げ時に転職
―前田さんの経歴について聞かせてください。
私は新卒でアスキーに入社しまして、Windows NTを日本市場に啓蒙するグループ会社でマイクロソフトソリューションを中心にデリバリーやコンサルティングをしていました。社員数は50人くらいベンチャーで仕事も楽しかったのですが、外の世界で自分の力を試したくなり次のチャレンジの場として選んだのがアクセンチュアです。
当時はアクセンチュアにはマイクロソフトソリューションに特化したグループがあり、そこで2年ほど働いた後にアバナードに移りました。その後、マイクロソフトの認証基盤、メールシステム、グループウェアのコンサルティングや導入支援を長らくしており、現在はTechnologyグループとセキュリティ事業の統括を兼務しています。
―アクセンチュアからアバナードに移ったのですね。
アクセンチュアでの仕事もマイクロソフト関連の案件が多く、当時は他の技術も身につけるかマイクロソフト製品を極めるか悩んでいて。アバナード立ち上げの話をもらった時に「どうせならマイクロソフトのスキルを極めよう」と思いアバナードの立ち上げに参画を決めたのです。
幅広いサービスの組み合わせで経営課題を解決するTechnologyグループ
―前田さんがリードを務めるTechnologyグループについても聞かせてください。
Technologyグループは、数あるマイクロソフトのITサービスを統括して、クライアントのニーズにマッチしたソリューションを提供するのが大きなミッションです。クライアントが求めているのはツールを導入することではなく、経営課題を解決すること。クライアントの経営課題を引き出し、複数のツールを組み合わせながら経営課題を解決するのが私たちの仕事になります。
今やマイクロソフトのサービスはAzureやMicrosoft 365のような代表的なサービスから、ERPやCRM、最近では生成AIなど多岐に渡り、Technologyグループは、5つのチームに分かれてサービスを提供しています。
―幅広いサービスを取り扱っているのですね。
それは近年のビジネスシーンに対応するためです。近年はDXのニーズが強くなる一方で、ITへの投資は年々圧縮されています。以前のようにスクラッチでゼロからアプリケーションを開発することは減っており、様々なツールを組み合わせて開発・運用コストを最適化できるソリューションを提供していく必要があります。
コストの最適化を図りながらクライアントの経営課題を解決するためには、幅広いツールを用意しながら、課題に合わせて組み合わせる必要があるのです。
―サービス領域が親会社のアクセンチュアと被りますが、どのような違いがあるのでしょう。
アバナードは基本的には、独立して自分たちのクライアントに価値を提供しているため、アクセンチュアとサービス領域が重なる部分はあります。
ただし、競合する部分はあるものの協力することも珍しくはありません。アクセンチュアの案件を私たちが手伝うこともありますし、逆に私たちの案件をアクセンチュアに手伝ってもらうこともあります。どうしても私たちだけではカバーしきれない大規模な案件などは、アクセンチュアにサポートしてもらいます。
マイクロソフトソリューションに関する膨大な知見と、新サービスのスピーディーなキャッチアップが強み
―前田さんはTechnologyグループだけでなく、その中のセキュリティチームのリードも兼任していますよね。近年のセキュリティの市況についても聞かせてください。
ランサムウェア、標的型攻撃、内部不正など、情報セキュリティの脅威が増す中で、セキュリティ対策に対するニーズは非常に高まっています。かつては、セキュリティ対策は「脇役」でしたが、現在は「主役」と言っても過言ではありません。システムの企画・設計段階からセキュリティを組み込むSecure by Designのアプローチが当たり前になりつつあります。
セキュリティ対策の歴史的な背景から、ウイルス検知やシステム障害検知など、複数の製品を組み合わせるのが当然でした。いわゆるBest of Breedの発想です。しかし、このアプローチではセキュリティ対策ツールの導入するにつれ、運用コストが嵩んでしまいます。現在は、Best of Suiteへ転換する企業が増えつつあります。マイクロソフトは、毎年セキュリティに対する膨大な投資を実施しており、対策ソリューションの守備範囲が増えてきたことによって、Best of Platformの選択肢の一つとなってきました。もちろん、AzureやMicrosoft 365との親和性も高く、統合的なマネージドサービスを構築することが可能です。
―マイクロソフトのセキュリティ ソリューションは、どのような特徴があるのでしょうか。
セキュリティに限りませんが、マイクロソフトは先進的な技術を取り組む意識が強い会社です。セキュリティにおいてもAIを組み合わせて、これまで専門家しかできなかった分析を、専門家でなくても対策できる機能を開発しています。
他社もそのような動きが見られますが、その中でも先進的な機能に取り組んでいるのがマイクロソフトだと思います。
―競合他社と比べた際の強みも聞かせてください。
マイクロソフトに特化したコンサルティングやシステム構築を、グローバルで大規模に行っているのは当社の大きな強みです。他のコンサルティングファームでも同じような事業を展開していますが、私たちほどの規模で事業を展開している企業はいないため、ノウハウや知見が圧倒的に違います。
また、マイクロソフトの出資があるため、新しい製品をいち早くクライアントに届けられるパイオニア的な役割も果たしています。そのような事業をグローバルで20年以上も続けているため、他社にはない価値を提供できるはずです。
―マイクロソフト ツールにおける膨大な知見が優位性になっているのですね。
優位性になっているのは、過去の知見だけではありません。新しいサービスについても、いち早く習得しクライアントに価値を提供できるのも私たちの強みです。製品やサービスのライフサイクルはより短くなっており、常に最新の技術をクライアントに提供しなければいけません。
それは技術の話だけでなく、クライアントの課題も同じです。技術が加速度的に発展している昨今、企業の課題も変わっていきます。そのためコンサルティングとエンジニアリングが両方できなければ、本当の意味でクライアントのニーズに応えられません。コンサルティングファームやSIerはコンサルティングとエンジニアリングを分けて考えていますが、そこを区別せずに一気通貫でサービスを提供できるのも私たちの強みだと思います。
―コンサルティングとエンジニアリング、どちらの技術も必須ということでしょうか?
どちらのスキルも持ち合わせているのが理想ですが、必ずしも両方のスキルを持っている必要はありません。クライアントの課題を整理するのが得意な人もいれば、システムを構築するのが得意な人もいる。どちらかができないからといって評価が下がるということもありません。当社では、本人の希望、素養に合わせて適材適所の配置をすることでチームでの成果を最大化することを目指しています。
アバナードだから得られる成長
―クライアントのニーズを満たすために、マイクロソフト以外のシステムが適している場合もあると思います。そのような場合に、どのような対応をするのか聞かせてください。
全てのケースにおいてマイクロソフトのソリューションが最適だとは思っていません。そのような場合には、他ベンダーのソリューションをお勧めする場合もあります。アバナードはマイクロソフトのソリューションに特化しているのが強みですが、アクセンチュアには各社製品のプロフェッショナルがいるため、彼らと一緒にプロジェクトを進めていけばいいのです。
また、マイクロソフト製品で満たせないニーズがある場合は、マイクロソフトにフィードバックして将来の製品開発の参考にしてもらいます。個社ごとにカスタマイズしてもらえるわけではありませんが、私たちのフィードバックをもとに次の製品に活かしてくれるので、より広いニーズに答えられるようになるはずです。
―必ずしもマイクロソフト製品に固執する必要はないのですね。アバナードで働くことで、どんな成長を期待できると思いますか?
今のIT業界は、どうしてもコンサルティングが上、エンジニアリングが下と思われているよう風潮があります。そのため、いきなりコンサルティングのキャリアに進みたがる方もいますが、エンジニアリングの経験がなければ地に足のついた提案ができません。机上で提案したものの、実装に手間取ることも少なくありません。
逆にコンサルティングの視点がなければ、クライアントの課題を解決するためのエンジニアリングも難しいでしょう。つまりコンサルティングとエンジニアリングは、お互いに相乗効果を生み出しながら価値を発揮するものだと思います。
コンサルティングとエンジニアリングの両方を極めることができるアバナードは、他社にはない成長が期待できるはずです。コンサルタントのスキルも身につけたい、エンジニアのスキルも高めたい方にとっては理想の環境だと思います。
―生成AIの技術の進歩によって、どちらかのスキルをAIで補うこともできる気がしますが、その点についても聞かせてください。
AIは現時点であくまで相棒だと捉えるべきだと思っています。プロンプトの工夫をしたり、ファインチューニングの精度を高めることで抑制することは可能ですが、AIが間違った回答をしてしまう、ハルシネーションの問題を避けられません。AIに任せっきりにするのはリスクが高すぎます。
例えば、これまでコンサルタントが1日かけて考えていたものを、AIに壁打ちして1時間で同じ結論にたどり着くことはできるでしょう。エンジニアが1日かけて書いてきたコードを、AIを使って1時間で書くこともできるはずです。
しかし、コンサルティングをしたことがない、もしくはエンジニアリングをしたことがない人間が、それをAIに任せても最適なアウトプットは出せません。AIの限界を理解し、情報を鵜呑みにせず吟味する姿勢が求められます。
―最後に、どんな人がアバナードに向いていると思うか聞かせてください。
端的に言うと、グロースマインドセットと呼ばれる成長志向やチャレンジ意欲を持っている人です。マイクロソフトは次々に新しい製品や機能をリリースしているため、常に新しい情報をキャッチアップしなければなりません。アバナードは、マイクロソフトソリューションのパイオニアの役割を担っているため、最新のテクノロジーをクライアントへ提供していく必要があります。そのため、常に学んでいく姿勢が不可欠です。アバナードでは様々な教育を実施しており、自分の価値を高めたいと考える方には最適な環境が整っています。
アバナードでは、そのようなチャレンジを個人だけでなく、組織やチームでも行っています。例えば、有志による勉強会も頻繁に開催されているため、新しい技術にチャレンジしたい人にとっては、制限なく成長できるはずです。グロースマインドをお持ちの方は、ぜひアバナードに話を聞きに来てみてください。