アバナードは今、グループ企業であるアクセンチュアとともに、世界レベルの大規模プロジェクトに挑んでいます。
規模にして500名以上。日本だけではなく、インド、中国の開発部隊とともに進めるそのプロジェクトは、Microsoft Dynamics 365 テクノロジー領域において、世界最大規模のプロジェクトです。
そんな未踏のプロジェクトを率いるリーダーたちは、どのようなプロジェクト マネジメントを行っているのでしょうか。
そして、彼らが感じている面白さとは、一体どのようなことなのでしょうか。
約10年前、アバナードでメンバーとしてキャリアをスタートし、現在はCRM及びERP領域でグループマネジャーを勤めている広瀬敏彦さん、田中玄太さんにお話を伺いました。
※このインタビューは、2021年12月8日に実施されました。
それぞれがプロフェッショナルとして役割を担う
——お二人は現在、アクセンチュアとともにプロジェクトを進めていますが、どのように協業しながら進行しているのでしょうか?
広瀬敏彦(以下、広瀬):アバナードは、マイクロソフト テクノロジーを活用したソリューションにおけるリーディング カンパニー。その強みを生かして、エンタープライズ向けにコンサルティングとデリバリーを担っています。
お客様の文化や業務背景をしっかり理解したうえで、優れたコンサルティングを進められるのがアクセンチュア。大規模案件を進める中、それぞれ欠くことのできない高い専門性を活用し協業しています。
クライアントの経営層との折衝やプロジェクト管理に共に対応しつつも、マイクロソフト テクノロジーを活用したシステム開発の領域において、アバナードはしっかり技術側での強みを発揮し、プロジェクトを成功に導いています。
広瀬敏彦(ひろせ としひこ)/CRM Group Manager
システム開発会社にて、システムエンジニアとしてキャリアをスタート。運用保守にはじまり、在籍した11年間で数々のプロジェクトマネジメントを経験。2012年にアバナードに入社し、CRM領域でキャリアを積み、現在グループマネジャーを務める。
——お客様の経営課題に対し、技術でどう答えるかがアバナードの役割ですね。
田中玄太(以下、田中):そうですね。アバナードがやるべきは、Dynamics 365がお客さんのもとで力を発揮するよう開発し届けることです。
アバナードではアクセンチュアのメンバーと一緒に仕事をする場面が多いです。彼らがいてくれることで技術面に集中できています。
田中玄太(たなか げんた)/ERP Group Manager
事業会社にて営業及びマネジメント職を経験したのち、未経験でシステム開発会社に転職。オフショア開発及びオンショア開発で技術とプロジェクトマネジメントの実績を積み、2012年にアバナードへ。ERP領域でキャリアを積み、現在グループマネジャーを務める。
——そこでお二人はどんな役割を担っているのですか?
田中:私はERPの需給・物流領域を見ています。
領域内のフェーズごとのタスク プランニングや、スケジュール策定にはじまり、様々なスキルセットを持つメンバーに、誰がどの領域を担当するのかチーム編成を考えるのも仕事ですし、メンバーが仕事をする上での障害物を取り除くのも、大事な仕事です。メンバーが開発で困っていれば、技術的なアドバイスももちろんします。
定められた業務に専念するのがメンバーの仕事だとすれば、リーダーはメンバーより一つ上の視点を持って導くのが仕事。まさに、船頭さんのようなイメージでいます。
広瀬:私の場合は、総勢500名以上になるプロジェクトのPMOのチームにいて、田中さんが率いてくれているような各チームのリードや、アクセンチュア、クライアント、オフショア開発部隊のあるインドや中国のチームとコミュニケーションを取ることで、プロジェクトを円滑に進める役割です。
アバナードには、テクノロジーが好きで開発に携わりたい人がたくさん集結しているので、いかにその機会を提供するか、いかにみんなが自分の仕事に集中できる環境を作るかが、アバナードにおけるプロジェクト マネジメントの仕事だと思っています。
新たな才能を発見できる面白さ、着実に成長する実感
——お二人は、アバナードに入社される前から今に至るまで、数々のプロジェクトを経験されていますよね。現在携わっているような大規模プロジェクトには、どんな面白さを感じますか?
広瀬:私は、新たな才能が発見できることですかね。
小規模プロジェクトはひとりが担う業務領域が広くなりますが、大規模プロジェクトはその逆で、役割が細分化されてきます。
それによって例えば、「Aさんはコーディングが苦手でも、スケジュール・タスク管理がすごくうまいね」とか、「Bさんは課題解決スキルが高いね」とか、すごく光り輝く部分が見えてきたりするんです。
その人がフィットする場所を見つけられたり、強みを伸ばす人材配置ができたりして、その人の才能を活かすことができるのが、すごく面白いと感じます。
田中:僕も、プロジェクトにおいてどうしたらスキルや経験を活かすために気持ちよく働いてもらえるか、どのようにその人のキャリアアップに役立つようにするかというところは、すごく面白いと思っています。
もう一つ、僕がいるERP領域には、また別の面白さもあって。
——どんな面白さですか?
田中:ERPプロジェクトって大規模になればなるほど、スタートの状態がカオスなんですよ(笑)
お客様においても、仕組みを踏襲したい人と新しいことをやりたい人をどうまとめるかまだ定まっていないだとか、我々においても、お客様の業務や現行システムについて理解がない状態ですし、茨の道しか見えていないような状態で始まるんですが、そこから積み上げていくのが楽しくて。
レベル1からスタートして、みんなで地道にレベルを上げていって、巨大な敵に立ち向かうRPG的な要素をすごく感じるんです。
1日単位だとその成長が見えにくいんですが、1年経って振り返ってみたら、「あれ、レベル50にきたじゃん」みたいな。
お客様もメンバーも含めたプロジェクト全体で成長度合いを見られるのは、やっぱり面白いですね。
「人に伝える能力」が問われる時代に
——そうした面白さを感じる一方で、大変なことや苦労されていることはどんなところですか?
田中:プロジェクトの規模に関係なく、リモートワークになったことで、プロジェクト マネジメントのスタイルを変えざるを得ない苦労はありましたよ。
僕は、対面でジェスチャーや表情も含めてコミュニケーションしていくのが性に合っていました。対面のコミュニケーションに慣れていた分、直接会ったことがないメンバーやお客様と仕事をしていく難しさはありました。
でも手軽に会話で済ますことができなくなった分、資料を作るので、そこにプロジェクトの足跡が必ず残ります。今は、このスタイルの方が健全だなって思っています。
広瀬:資料が残ることで、プロジェクトの炎上につながりやすい「言った言わない」問題や、開発資料が残っていなことで後継者が困る問題なども解消されているように感じます。
田中さんが話してくれたように、コミュニケーションが変わってきたことで、「人に伝える能力」というのが今まで以上に問われる時代になっているのかなと思っています。
——「伝える」ために、何か工夫されていることはありますか?
広瀬:リモートワークになると気軽に相談しにくいので、できる限りこまめにメンバーとコミュニケーションをとっています。1on1やリモート飲み会等、話しやすい環境を作るようにしています。
小さな気づきからその人個人や私の考え方も変わったりするので、会話するということが重要だと考えています。
田中:小さなことかもしれませんが、端的にわかりやすく伝える努力ですかね。
みんなのメールやチャットは、文字が溢れ返っている状態だと思うんです。だから相手に読むストレスをかけないように、10行以上のメールは絶対打たないとか、わかりやすくシンプルに伝えることは気をつけてますね。
▲オンラインインタビューの一コマ(左:広瀬さん、右:田中さん)
チャレンジする気持ちを大事にしてくれる会社
——お二人は、他社でもプロジェクトマネジメント経験をお持ちですよね。アバナードでプロジェクトマネジメントという仕事に携わる面白さは、どこにあると感じていますか?
広瀬:裁量権がしっかり認められているところですかね。外資系企業ですからグローバルを含め報告など当然やらなきゃいけないことはありますが、プロジェクトの進め方に自分自身の考えがしっかり反映されている実感があります。そこに政治的なことだとか、面倒な口出しする人もいません。
田中:本当にそうですよね。アバナードは口を出すのではなくて、手を差し伸べてくれる会社です。
広瀬さんが言うように、アバナードはやりたいようにやらせてくれるところっていうのは、本当にその通り。
進め方やアイディアについてもちろんダメ出しされることはありますが、チャレンジする気持ちを大事にしてくれる会社だというのは、ひしひしと感じています。
プロジェクトは難易度が高いものが多いのですが、アバナードはグローバル含めた全社体制でプロジェクトが円滑に進むようにフォローしてくれます。その大前提のうえでプロジェクトマネージャーに自由にやらせてくれる、チャレンジを認めて前に進ませてくれる会社です。
——安心して失敗できる環境は、一般的にはなかなか無いのではと思います。なぜアバナードにはそれがあるのでしょうか。
広瀬:創業メンバー含め、会社を率いるリーダーたちが同じようにチャレンジしてきたからだと思います。
日本のアバナードの礎を作ってきた方々は、何もないところから「SIerとは何たるか?」を問い、形作ってきたはずです。ですから、「やってみないと、わからないでしょ」「やりたいようにやってみなよ」という姿勢でいてくれるんだと思います。
アバナードのメンバーは、彼らの経験値と姿勢をカルチャーとして引き継いでいる気がします。
目の前のプロジェクトを成功させる
——プロジェクト マネジメントをする上で、大切にしていることはありますか?
田中:そこに携わっている人の成長があってこそ、プロジェクトに参画している意味があると思うんですね。
個々が、プロジェクトをやり切ることでどんなスキルを得られるのか、乗り越えることでどんな未来が開けるのか。
メンバーのスキルセットややりたいこと、キャリアプランを把握しながら、「なぜやるのか」「何のためにやっているのか」を、彼ら自身が忘れることなく仕事に向かえるようにしたいという意識は持っています。
——アバナードに根付く「なぜアバナードがやるのか」というカルチャーに通じるものを感じます。広瀬さんはいかがですか?
広瀬: プロジェクトって、失敗したところで別に命とられるわけじゃないですけど、命がけという位に真剣に向き合う意志で取り組んでます。
もうひとつ、相手に対して何か都合が悪いことは、いの一番に共有することは心がけてますね。それはクライアントでもメンバーでも上司でも誰に対しても、です。
——だからこそ、普段から細やかなコミュニケーションも大切にされているんですね。
最後に、お二人の今後の展望を聞かせてください。
田中:僕は今、進行中のプロジェクトを成功させることしか考えてないです。
このプロジェクトが成功すると、Dynamics 365というサービスに対してもERP・CRMという領域に対しても、アバナードの経験値とスキルが大幅にアップするんです。そうすれば、会社として成長できるし、個人としても成長していけると思っています。
だからは今はもう、このプロジェクトだけに集中しています。
広瀬:私も田中さんと同じですよ。世界最大規模のプロジェクトなんて、そうそう体験できるものじゃありません。まずはこれを命がけで成功させることです。
そしてただ単に成功するんじゃなくて、今一緒に仕事してるメンバーが誰1人欠けることなく終わらせたいと思っています。