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AGRI SMILEとJA大津松茂、れんこんの腐敗病に関する課題解決に向けた圃場検証を実施

〜AGRI SMILEのデータ分析・独自ライブラリーが腐敗病に関する対策の推進に寄与〜

株式会社AGRI SMILE(以下、AGRI SMILE)は、大津松茂農業協同組合(以下、JA大津松茂)とともにれんこんの腐敗病に関する調査を実施し、課題解決に向けた圃場検証において、一定の成果が得られたことをお知らせいたします。

本調査では菌叢解析および培養試験のデータなどを掛け合わせたバイオインフォマティクス手法を用いた分析を実施しました。AGRI SMILEが保有する、農業資材として有効性の高いバイオスティミュラント原体を集めた「AGRI SMILE ライブラリー(※)」を活用し、本調査結果をもとに、れんこんの腐敗病に寄与する資材を選択することで、対策を推進してまいりました。

その結果、本検証に協力したれんこん生産者より、腐敗病被害の減少および品質が向上した、との報告もありました。今後も対象とする圃場試験区を増やすとともに、各圃場において継続して検証を実施してまいります。

■背景

JA大津松茂は徳島県の阿讃山脈東端に位置し、吉野川下流域の水利に恵まれた肥沃な土地では農業が盛んに行われています。主要特産物はかんしょ(「なると金時」)、梨、れんこん、だいこんの4品目であり、近年は順位を落としているものの、主要品目のひとつであるれんこんの徳島県の生産量は全国3番目を誇っています。

近年、れんこんの生産量は減少が続いており、原因の一つとして腐敗病が挙げられ、JA大津松茂も長年この腐敗病による収量低下を強いられています(写真1)。そして現在腐敗病に有効な農薬はなく、その防除法が確立されていないため、JA大津松茂にとって、腐敗病に関する知見を深め、安定生産体系を構築することは喫緊の課題です。

そこで2022年より、AGRI SMILEとJA大津松茂は共同で、JA大津松茂のれんこん生産圃場における菌叢解析や培養試験、データ分析を含む調査を実施してまいりました。


写真1 生育中の腐敗病発生の様子
写真中の枠内のれんこんにおいて腐敗病が発生している

図1 腐敗病非発生土壌の菌叢解析グラフ

図2 腐敗病発生土壌の菌叢解析グラフ

■本取り組みについて

調査・検討内容

  • 病原菌等の培養・PCRによる検出、土壌菌叢解析調査。
  • 腐敗病が発生した圃場、発生していない圃場の差・病原菌等の培養特性等の調査。
  • 上記調査結果を踏まえた、AGRI SMILEのライブラリーによる腐敗病対策に適した土壌還元効果と根の伸長を助ける効果のある資材の選定、及び圃場における効果検証。


土壌菌叢解析について

土壌菌叢解析では土壌サンプル中からDNAを抽出し次世代シーケンサーを用いてDNA情報を解読、それがどの微生物由来のものかを推定しました。読み取られたデータをもとに、それぞれの微生物の存在比率を示すことができ、大きな分類としての類似性や多様性を分析し、土壌全体の特徴を把握するためのものです。栽培環境や栽培暦と照らし合わせ、適切な施策を検討するための情報として活用しています。

検出データの例として図1、図2を掲載しました。図1は腐敗病非発生土壌、図2は腐敗病発生土壌における菌の比率を円グラフで示しており、差が確認されています。これらの違いをより詳細に調査し、培養試験や、環境情報・栽培暦から施策を検討いたしました。

写真2 レンコンの断面から腐敗病の発生がないことを確認する組合長(右)とレンコン生産者様(左)


取り組み結果と今後について

土壌菌叢解析の結果、腐敗病発生圃場とそれ以外の圃場の間で菌叢の構成に差異が生じていることが判明しました。そのため、JA大津松茂管内の腐敗病発生圃場においてバイオスティミュラント資材散布を行ったところ、検証対象農家からは、「2022年度に収量が半減していたものの、2023年度は腐敗病になったれんこんは減少し、身が引きしまって重量感もあり、一つひとつの節も大きくきれいなれんこんであった」との報告がありました(写真2)。

今回の圃場検証の成績を受け、今後も対象とする圃場試験区を増やすとともに、各圃場において継続して試験を実施してまいります。

■JA大津松茂 代表理事組合長 佐々木 伸夫 コメント
徳島県の中で有数のレンコン産地であるJA大津松茂管内は、長年にわたり腐敗病に悩まされてきました。これまで様々な試みを行い、新たな解決策を模索して参りましたが、現在主力となっている腐敗病対策は夏場に石灰窒素を混入し、圃場をポリフィルムで覆う「太陽熱消毒」です。しかし、これは労力的にも大変であることから、より簡易な防除技術の確立が求められていました。

これまでAGRI SMILEと共に腐敗病発生圃場の調査を進めてきましたが、AGRI SMILEが選定した資材を用いた圃場検証において、腐敗病の改善が実現しました。この成果は私自身にとってまさに「50年来の正夢」とも言え、腐敗病が過去の病気となり、徳島県のれんこん生産量が飛躍的に増加する未来はそう遠くないと信じております。

今後も圃場試験区を増やし、実効性を確認しながら継続して検証を進め、地元農家と共により良い産地の未来を築いていきたいと考えております。


■株式会社AGRI SMILE 代表取締役 中道 貴也 コメント
これまでAGRI SMILEが研究開発分野で培ってきたサイエンス分野の技術が、JA大津松茂様のれんこん腐敗病の対策にこのような形で寄与できたことは非常に嬉しく感じています。

これまで、アミノ酸や海藻等を利用すればバイオスティミュラントだとされていましたが、同じ原料であっても処理方法が異なれば効果や植物に対する作用が異なるため、当社は植物内の遺伝子発現解析等のバイオインフォマティクスの手法によって有効性や作用メカニズムを数値化し、作用メカニズムを解明した資材のみを産地にて使用しております。今回の検証を通じてバイオインフォマティクスの重要性を改めて認識しました。

当社は食品残渣を活用したバイオスティミュラントの開発を進めており、その過程で得た今回のライブラリーのような特許技術を活かし、産地の課題解決に貢献することこそ私たちの使命だと考えています。

今後も産地および生産者の課題に対して、「AGRI SMILEならば解決できるのではないか」という期待を抱いていただけるよう、積極的かつ継続的な取り組みを推進して参ります。

※:AGRI SMILE ライブラリー(特願2023- 93984)
AGRI SMILE 評価指標を用いて有効と判断したバイオスティミュラント原体群を集め、データベース化した「ライブラリー」を保有しています。ライブラリーを活用して新たなバイオスティミュラント資材の開発や、市販資材とライブラリーを掛け合わせることで、市販資材の効果を改善・向上します。


【JA大津松茂について】
当組合は、徳島県鳴門市大津町を管轄するJA大津と、板野郡松茂町を管轄するJA松茂が平成27年に合併して新設されました。鳴門市は明石海峡大橋の開通に伴い本州と高速道路で結ばれ、松茂町には空港やバスターミナルが整備されており、一帯は「四国の玄関口」として関西圏への交通における要所となっています。また阿讃山脈東端に位置し、吉野川下流域の水利に恵まれた肥沃な土地では農業が盛んに行われており、かんしょ(「なると金時」)、梨、れんこん、だいこんの4品目が主要特産物です。

【組合概要】
正式名称:大津松茂農業協同組合
愛称:JA大津松茂
本所所在地:〒772-0042 徳島県鳴門市大津町備前島字横丁ノ越297番地1
事業内容:信用、共済、購買、指導販売ほか


【株式会社AGRI SMILEについて】
AGRI SMILEは、「テクノロジーによって、産地とともに農業の未来をつくる」を経営理念に据え、豊かな経験を持つ産地と、進化を続けるサイエンステクノロジーを融合することで、環境に優しい魅力あふれる農業の実現に取り組んでいます。

国内最大規模の産地ネットワークを活かし、データサイエンス技術による農業DXソリューション、最先端バイオテクノロジーによる生産技術、産地のブランディング支援などを展開しています。また、技術創出の源泉であるアカデミアの交流を活発化するプラットフォームを提供し、社内外で技術を連携させています。今後も、産地と調和した革新的なサービスを通じて、笑顔(SMILE)のある未来を創造し続けてまいります。

【会社概要】
代表者:代表取締役 中道 貴也
事業内容:農産業DXサービス、脱炭素に資するバイオテクノロジーの開発及び提供
設立:2018年8月31日
所在地:〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3丁目28-5 Axle御茶ノ水
会社URL:https://agri-smile.com/


プレスリリースはこちらをご覧ください。

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農業をデータで改善する。バイオサイエンス研究部長候補
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