ABEJAでAdminの業務(一般的には管理部?)をしている森田潤也です。コロナの影響による働き方の対策に関して、緊急事態宣言が終わったこともありこれまでにやったことを振り返りとして整理しました。いろんな仕組みをスピード持って意志決定して作れたなぁ。とそれなりに満足してます。個別で参考になるものや、ABEJAイイねってものが少しでもあると嬉しいです。
現在までの流れ
1月:なんか海外は危なそう、くらいの対応
2月19-20日:全社リモートデイの実施
2月25日:会社としてリモートワークの方針発表
朝会にみんなオンラインで参加
2月27日:代表電話番号の表示を削除
3月25日:オフィス原則出社禁止のアナウンス
3月26日:Google Meetの導入
3月26日:契約書の対応方針決定(DocuSign)
3月30日:荷物の受け取りを無人化
4月1日:初の完全オンラインでの全社ミーティング
4月3日:代表電話を完全外注(Fondesk)
4月3日:モニター持ち帰りOK
4月9日:完全出社禁止と清掃、飲食系サービスの廃止
4月10日:月1万円のリモートワークサポート制度の決定と周知
4月10日:「あつまれzoomの飲み」企画スタート
4月24日:ゴールデンウィークの勤務OK
5月:Adminの業務が社内で称賛される
その他社内で発生している取り組み
全体を振り返って
今後について
1月:なんか海外は危なそう、くらいの対応
1月時点では特に対策はしていなかったんですが、中国に旅行して帰ってこれなくなっている社員がいるというところから急激にコロナを意識するようになりました。 ただ、そのときはまだ会社として何かしようというよりは「困ったことあったら連絡してね」というくらいでした。
私は管理部をABEJAで初めてやっているので、正直こういう時に何を考えていいのかもあまりわかっていなかったので、他社でお世話になっている頼れる先輩方にどういう対策をしているかを聞きました。
この時点ではどこも出張を禁止にしているというくらいだったので、ABEJAでもとりあえず同様の対策のみに留めてました。
2月19-20日:全社リモートデイの実施
実は、これたまたまなのですが、コロナ関係なく全社でリモートデイ(全員がリモートワークを行う日)を元々予定していたので、ちょうどいいやと思い実施しました。
2020年のオリンピックのシーズンには出社が困難になるので、それを想定して業務が耐えられるかを検証しておこうと、情シスの福原の提案で計画していたものです。
ここで、全社のリモートワークを長期的に続けるのは一部の業務では難しいが、概ねなんとかなることが分かったため、その後の様々な意志決定が行いやすくなりました。
2月25日:会社としてリモートワークの方針発表
コロナの影響でリモートワークに切り替える会社が増えてきて「そろそろうちもどうするか決めませんか」といった声が多くなってきたことも受け、もともと週2日までリモートOKとしていたのを、週5日OKに切り替えました。 また営業、マーケティングイベント、採用活動などをオンラインへ切り替え、他社イベントへの参加も原則禁止としました。
売上への影響は当然あると思いましたが、それを優先し出社を強制させるかというと、それはないと思ったので厳密に売り上げへの影響を試算して判断というよりは、リモートワークを前提にした上で対策を考えようというスタンスを決めました。これはこの後の他の意志決定でも同様です。
ただマーケやセールスの方からしたら「どうせえっちゅうねん」というのはあったと思いますが、僕がその対策を全部考えてから意志決定するのは難しすぎるので「それぞれ考えてくれい」と人任せにしたところがあり、しわ寄せがいってしまって申し訳ないという気持ちも当然ありました。
2月25日のコロナ対策方針の連絡
朝会にみんなオンラインで参加
ABEJAでは毎朝5-10分くらいで担当の人が「最近深めた見識」や「考えてること」を発表する朝会をやってます。これまではオフィスの広いスペースに全員が集まってやってましたが、話す人も聞く人も完全にオンラインになりました。
100名弱の参加者がいるので最初のほうは生活音ダダ漏れになり、話が聞こえないなどいろいろ問題がありましたが、画面共有をしてコーディングの様子をみせて朝会の数分でゼロから動くモノを作るなど、オンライン朝会だからこそのやり方もでてきてかなり楽しくなってます。
また、時間がきたら自動的に通話が切れる設定もでき、時間が守られるのもオンラインのいいところです。ずっと聞いていたい興味深い話ばかりではあるのですが、当然全員の時間が使われているので適切な時間管理は必要です。
朝会の一コマ
2月27日:代表電話番号の表示を削除
自社ホームページから代表電話番号を削除しました。オフィスにいないと出来ない業務をなるべく減らしたかったのと、だいたいが営業の電話なのでなくても困らないんですよね。
3月25日:オフィス原則出社禁止のアナウンス
都知事の会見を受けて、オフィスへの出社を原則禁止にしました。
20:46 社内から森田へ問い合わせ
21:05 森田が方針整理し役員確認
21:48 森田から社内発信
今Slackを見たら上記のように動いていたので、スピード感持って意志決定できてるなぁとちょっと自分で感心しました。
特にこの方針を決める権限が誰にあるかは細かくは決まっていなかったのですが、「まぁ間違ってないやろうし決めちゃっていいやろう」と思って僕なりの考えを整理して役員に投げました。
ただ、たぶん役員の返事待たずに社内周知した気がします。駄目なことがあれば後で訂正したらいいので。それより明日どうすればいいの?と思っている人にすぐに連絡することを優先しました。 この時点で出社しない前提での仕組みが本格的に必要になったので、あわせて下記も周知しました。
会議は完全にオンライン化。もともとZoomを利用しており、会議室用の有料アカウントと全社員無料アカウントを持っていたので問題なし。
月末月初の請求書受領、送付ともにデータ化する。これを実現できるよう相手先に状況説明とお願いをする。
立替経費申請の証憑をデータでもOKとする。(ただし後日原本回収はまだ必要)
3月26日:Google Meetの導入
基本的にZoomの有料アカウントは会議室にしか割り振っていないので、Google Meetをオフィシャルなツールに変更し社内周知しました。
「どう使うの?」という質問がSlackにあがったら、Adminじゃないメンバーが「これじゃない?」とか言いながらSlackにキャプチャを貼って対応してくれたり、「コマンドで呼び出せるのでは」とか調べて共有してくれて、こういうのはAdminとしてはめちゃめちゃありがたいし、ABEJAのいいところだなぁと痛感しました。
3月26日:契約書の対応方針決定(DocuSign)
契約書作成、押印が物理作業として残っているとオンライン化が進まないので法務の対応を決めました。
まずは一部で利用していたDocuSignを全契約書に対応できるようフローを組みました。また、相手先のルールで押印が必要だが出社できずしばらく対応できないという場合には、押印無しでメールでの意思確認で契約を進める(あとで押印版をいただくつもり)というフローもつくりました。
ただやはりこれは相手ルールの問題もあり、まだオンライン化できておらず、総務メンバーが2週に1度とかの頻度で出社する対応が必要となってます。これは今後の課題ですね。そして全社のために出社してくれているみなさん本当にありがとうございます。
3月30日:荷物の受け取りを無人化
荷物の受け取りがあると人が居ないといけなくなるので、荷物の受け取りを無人化する仕組みを作りました。 ここはセキュリティとのバランスもありますが、現状はうまくいっているのでこの問題はクリアできてます。
4月1日:初の完全オンラインでの全社Kickoffミーティング
毎月初にやっている全社Kickoffミーティングを完全オンラインで実施しました。朝会の応用でもあるのでそんなに難しくはなかったです。むしろオンラインのほうが話者の切り替えや資料の投影がスムーズだったり、タイムリーに反応や質問がついたりするのでオンラインのほうがいいのではというのが発見としてありました。
4月3日:代表電話を完全外注(Fondesk)
代表電話番号をホームページから削除しても過去に出回っているので当然電話はかかってきていたのですが、これを受けるとなると出社が必要になるので完全外注で電話を一次受けしてくれるFondeskというサービスを導入しました。
これはめちゃめちゃいいです。電話があったら相手先と簡単な内容をABEJAのSlackに流してくれて必要なものだけ対応すればよくなるので、急に業務がさえぎられて集中が切れるといったこともなくなります。これはオフィス勤務に戻ったとしてもそのまま利用したいサービスですね。しかも月100件までは1万円とかなり安いです。
4月3日:モニター持ち帰りOK
コロナ影響が落ち着かなくてリモートワークが長引きそうということで「短期間ならいいやと思っていた働く環境」もやはり課題がでてきて、「オフィスで使っていたモニターを家でも使いたい」といった声が出てきました。
これらはオフィスで眠らせておく意味は何もないので「モニターを持って帰ってもOK」としました。これをAdminが全員分発送とかにするとそれを対応するメンバーが当人の意志に反して出社が強制されるので、それもよくないと思い「自身で持って帰る」という方針にしました。
4月9日:完全出社禁止と清掃、飲食系サービスの廃止
緊急事態宣言を受けて、完全出社禁止としました。3月25日の原則禁止と何が違うんだってツッコミどころはありますが、これまではオフィスの近くに住んでいる徒歩組を中心にまだオフィスに来ている人もいましたが、この日以降は完全に禁止とし、どうしてもという場合は許可制としました。これをすることでAdminとしては誰もいないことを前提として仕組み変更ができます。
たとえばオフィスの清掃業者(掃除、ゴミ捨て)を止めました。これじつは20万/月以上かかっていて、ざっくり計算すると時給2-3万円?となかなかなお値段。飲食系のサービス配送も、数名出社してたため止めていなかったですが、これを機に完全に止めました。
無人となったオフィスの様子
4月10日:月1万円のリモートワークサポート制度の決定と周知
4月9日で出社を完全に禁止にしたことで、毎月固定で支給している通勤交通費を実費精算に切り替えました。
これらの削減により捻出したコストから、自宅環境の向上に当てることを目的として月1万円のサポート費用を全社員に出すようにしました。これも発案から2日ほどで意志決定できました。 またモニターに続き、椅子も持って帰ってOKとしました。
「あつまれzoomの飲み」企画スタート
いつも社内を盛り上げてくれる安宅と高橋が、コロナで暗いニュースが多くなっている中で少しでもポジティブな流れをつくろうと、「みつばち開発」というチームを作り、オンライン飲みの企画を立ち上げてくれました。
「みつばち開発」は、コミュニケーションが少なくなりがちなフルリモート環境でも、社員のコミュニケーションを活性化することを目的に、完全出社禁止が始まってから社内で結成された非公式チーム
社内で参加意思表明した人からランダムマッチングをしてオンライン飲みをするものですが、マッチングして放置ではなくしっかりと目的達成のために拘り抜いているのがこの2人の素敵なところです。 参加者の自宅に美味しいお酒とおつまみのセットを届けてくれて、自宅にも関わらずかなり立派なものをいただくことができ、また全ての会に参加し盛り上がるコンテンツを持ち込んでくれて、どの会もしっかり盛り上がったようです。
ちなみに選べるお酒セットはこういうものです。
イタリアワイン&チーズセット
スパークリング日本酒&牡蠣燻製オイル漬け
クラフトビール&ウィンナーセット
4月24日:ゴールデンウィークの勤務OK
こちらの記事に詳細はありますが、この時期に連休があってもやることがない、、、と時間を持て余すよりも仕事をしたい人は仕事をして、後日に休みを振替えてコロナが落ち着いてからおもいっきり旅行などを楽しんだほうがいいと思いゴールデンウィークを勤務OKにしました。
労務的なリスクを会社が負うことになるのでカレンダー通り休む方針でもいいのですが、従業員目線(という僕もですが)この方がいいと思い役員に打診しました。僕自身もゴールデンウィークは仕事を選んだので、振替休日で旅行に行くのがすでに楽しみで、はやくコロナ落ち着かんかなぁと思ってます。
5月:Adminの業務が社内で称賛される
毎月選出しているテクノプレナーシップアワードで、コロナへの迅速な意志決定やAdminメンバーの陰の努力を見ていただき、Adminメンバー全員という形で珍しくチーム受賞ができました。
普段スポットライトが当たりづらい業務をしているメンバーが多いので、社内で注目されて嬉しかったです。また僕個人もノミネートしていて、今までこういう表彰とは無縁だったので素直に頑張って良かったなと思えました。
※「テクノプレナーシップアワード」とはABEJAが大事にしているテクノプレナーシップを最も体現していると思う人を表彰する月1回のアワード。
Adminへの称賛コメント。チームみんなにこういう言葉をもらえるのは嬉しい。私個人へもコメントいただき、感謝感謝。素直に嬉しい。
その他社内で発生している取り組み
話を聞いているとオンライン飲み会だけではなくオンライン筋トレ、オンライン人狼、オンラインもくもく会などが行われているようです。
もくもく会はGoogle Meetを繋いでおいて、1時間の間に何するか宣言して、あとは特に喋らずに自分の業務に集中し、1時間後にどこまでやれたか話して、また次の1時間どうするか決めるといったもの。適度に他人の目があるのがパフォーマンスが上がるってのをメンタリストDaiGoさんも言ってるので、結構良いんじゃないかと個人的には思ってます。
また、ABEJAを卒業していく人の送別会をリモートで行い、そこで謎解きをしたり寸劇をしたりというのもありました。これを企画したのも「みつばち開発CEOの安宅」です。みつばち開発は今のところは謎の組織ですが、いい組織であることはわかってます。こちらの取り組みもブログになっております。
全体を振り返って
普段の全ての意志決定も同じですが、コロナの状況下にどう対応していくかというのは誰も正解がわからないですし、会社としてやれることにも限りがあるので、自分がすべきことが何かを考えてそれをスピードを持って進めることに集中しました。
たとえば、個人レベルでのコロナ対策は正直何が正しいのか分からないので、手洗いうがいをして人混みを避けようくらいしか言ってないです。医学的根拠がある情報が全然無いので間違った情報を回したくは無かったのが正直なところです。なので調査して、社内に伝えて、、、みたいなのには1分も時間を使ってないです。
逆に会社として決めないといけない事は、すぐに決めて伝えるようにしました。「緊急事態宣言が出たのに明日来ないといけないの?」という疑問があるのに、その答えに一週間かけていたら、もはやその意志決定には意味がないので。
当然全ての問題を想定して解決策を事前に用意するのは大事ですが、すべてを網羅することはできないので、出社禁止と宣言してしまってその上で困ることや要望を聞き対応していく方が良いと考えました。
また、3月26日時点でリモートワークを実現するためにやらないといけないことを自分のメモとして下記のようにまとめていてAdminメンバーにも共有していました。
オンライン会議。社外との45分以上の会議だと無料zoomでできない
契約が原本のものあるので、オンライン化したい
原本じゃないとダメなところ残る
原本かつ、先方が押印できない問題
請求書の発送
請求書の受け取り
立替経費の証憑は現状は原本必須
ものの発送
ものの受け取り
カメラなど備品の保管
水や食品の搬入は止める?or減らす?
代表電話
取締役会の議事録、株主総会の議事録
独り言っぽく発信しただけで細かいタスクの割当はしてないのですが、Adminメンバーが各自解決策を考えどんどん対応してくれて、今では99%リモートワークに切り替えることができており、あらためてAdminのメンバー、そして全力で協力してくれるABEJAの全員に感謝です。
今後について
証憑、契約書、印鑑といったものを電子化していかないと完全リモートは実現しないので、ここは今後も取り組んでいかないといけません。また、恐らくたくさんの会社で「オフィスって必要?」という議論がでていると思いますが、ABEJAでもオフィス縮小を考えてます。
ただこれはコストカットで縮小という話ではなく、個人の生き方・働き方、そして会社としてもパフォーマンスが最大化する働き方が何なのか、そのあり方が大きく変わろうとしているので、それに対してしっかりと自分たちで考えて答えを出し、現状考えられる一番いい働き方を実現させたいと思ってます。
森田潤也:1986年生まれ。京都大大学院工学研究科修了後ミクシィに入社。同社事業戦略室、同子会社取締役のほか、M&A支援のフリーランス、ビズリーチの営業・企画を経て2018年ABEJA入社、Admin業務全般、組織づくり、資金調達などを担当。
【#私たちはつながっている】について
新型コロナウイルスを機に、今まで当たり前だった風景や意味を考えていくシリーズ。随時更新していきます。
(2020年6月24日掲載の「テクプレたちの日常 by ABEJA」より転載)