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2023年は、会社の倍速成長と共に社員が120人を超えたことで、マネジメントの仕組みを見直した1年でした。そのなかで一番の苦労と言えるのは、これまで大切にしてきた価値観の浸透を進める過程で壁にぶつかったことでした。
これまで我々は、リモート環境下でのコミュケーションを成り立たせるために以下の2点を重視し実践してきました。
1. 意志決定をするための情報がオープンであること
2. 情報は、誰もが更新可能になっていて、かつ自由に意見が言えること
1つ目については言うまでもなく、必須の基盤です。非リモート環境下では、たとえ情報がオープンではなくてもオフィスで上司や同僚に聞くことで意志決定をしていくことができます。一方で、リモート環境においては、情報がオープンになっていなければ限られた一部の人しか意志決定に参加できなくなり、その他の人々は無力感を感じていくことになるでしょう。
2つ目の情報が更新可能になっているという点も重要です。意志決定を進めるうえでは議論や会話における発言などが欠かせません。一般的な会社のドキュメントや文書と呼ばれる情報は、誰かが作った完成物であり他人が手を加えることはできません。このような所与の情報だけがリモート上でやりとりされてしまうと、会話中にあった発言のような重要な情報は共有されないまま散逸し、やはり良質な意志決定ができなくなってしまいます。
それに対して、リモート環境下で「会社の文書」だけではなく「会話や個人のノートも含めた情報」がふんだんに共有されると、オフィスでの物理的な制約を超えて、さらに多くの部署の社員が意志決定に参加することができます。これを実現しているのが、我々が開発しているScrapboxやGyazoといったツールです。これらのツールにおいては、ドキュメントはただのドキュメントではなく、会話もただの会話ではなくなります。どちらも一体の情報となって社内全体で共有され、参照され、洗練され、意志決定を強力にサポートしていきます。当社では何年もこのやり方を実践し、磨きをかけてきました。
ところが、今年はこのやり方の前に「組織の壁」というものが立ちはだかった年だったように思います。これらのツールを使いこなすには、自分の意見を率直に書くことや、誰が言ったかではなくロジカルに内容そのものを検討をすること、意志決定につながるような文章にまとめあげることなどが要求されます。とはいえ、よく考えるとこれらは訓練されていないとなかなか難しいことです。数あるインターネットツールのなかでも、組織の中であらゆるトピックについて非同期的に意見を出してまとめていくという使い方をするものは珍しく、実際にこのような経験をしたことがある人も多くはないないでしょう。事実、社員が増えるなかで投稿が少ない人も見受けられるようになってきました。また同時に、我々はこれらのツールをお客様にも提供しているのですが、お客様にとっても同じような課題があることが分かってきました。
しかしながら、自社での課題が明確になると、早速その克服に燃えるのが当社の特徴でもあります。そこで改めて課題を分析してみると、「意志決定につながるような情報を多く提供しているのが誰か」とか、「誰と誰がコラボーレーションをして部署間のコミュニケーションをリードしているか」とか、こういったさまざまな事柄が統計的に把握できるようになりました。
現在はこういった分析をもとに、企業の知識共有と情報の検索方法に対して、新たな地平の解決策を提示できる手応えを感じつつあります。これらの課題解決策を自社で実践して確立できれば、Helpfeel社のナレッジ領域でのプロダクトに適用していけると考えています。
我々はリモートで働く会社として最強のノウハウを蓄積し、会社の成長性によって、それらが優れた方法論であることを証明していきたいと思っています。柔軟に時間の確保ができることで、いつもテンションが高い状態を維持し、そのおかげで生産性が上がっている実感を得られる機会も多くあります。また、日本中から優秀な仲間が集まって、日々熱く語り合っています。目指すところは“Work hard, play hard”の精神で、「世界を変える」という意志のもと仕事に打ち込みつつ、プライベートでも全力で遊ぶこと。このような姿勢に共感してくださった新しい仲間が来年も加わって、一緒に働けるのを楽しみにしています。
ちなみに忘年会は、一箇所に社員みんなが集まります。