yutoriの泉水(せんずい)です。今の時代「誰でも好きなことを発信できる」「好きなことを仕事にできる」と、よく謳われています。
ぼくが初対面の方に仕事を聞かれた時に「オンラインで服を売ってます」と伝えると、「個人?会社?」と聞き返されることも多いのですが、これは個人でもアパレルブランド立ち上げが実現できる時代だという理解がみなさんにもある証拠だと思います。
しかし、アパレルブランドを立ち上げた人全員が成功しているか?でいうと、そうではないと思います。さらに、立ち上げている人は増えているものの、アパレル業界全体としては右肩下がり気味と言われています。新型コロナウイルスの影響もあり、大きな打撃を受けていると報じられていたことも記憶に新しいです。
そんな中、このnoteを通じて少しでもアパレルへの希望を持っていただけたり、関係者の方の参考になるべく、yutoriのブランドの立ち上げ基準やスタンスについて言及できればなと思います。
ブランド作りの前提のスタンス:トレンドは「乗る」ではなく「生む」
『古着女子』も、これまでつくってきたブランドも、トレンドに「乗っかる」のではなく、トレンドを「生み出す」ことを意識しています。(ただニュアンスとしてはcreateではなくrevivalの意味の方が強いです)
アパレルトレンドの移り変わりはめまぐるしく、かなり早いスピードでファッションは消耗されています。人気がある商品と近しいものをスピード感を持ちつつ、かつ安く生産して薄利多売で売っていくのは、老舗アパレル企業の生産背景には到底及びませんし、ぼくらがやる意義はないと思っています。
ぼくらは「誰かにとって価値がないものに焦点を当てて、価値があるものにする(=古着)」ことだったり「挑戦しにくいジャンルのファッションをポップにトレースし、着るキッカケづくりをする(=ストリートカルチャー)」ことがアパレル商売をやる意義に繋がるのではないかと考えています。「業界のプロではできない、かつ自分たちが得意でやる意義があることをやれ」という意識を強く持っています。
例えば、ブランド『9090』(ナインティナインティ)では、古着ファッションやストリートファッションにチャレンジしたいという人が、まずは9090で挑戦できるようポップなグラフィックデザインに落とし込んだ商品企画・開発を行っています。一方、ストリートらしさは残したいので、デザインはポップだけれど、メッセージは因習に歯向かうような気骨を持ったトゲのあるものを取り入れています。
Don’t Butter Up=「ゴマをするな」
(バターがパンに溶け込んでいくように、人と馴染むための言動ばかりじゃカッコ悪くない?)
”Do you wanna be cow?”
(モタモタしてると2020年に置いていかれるぞ)
このように、これまでそのファッションジャンルへのチャレンジに気が引けると思っていた人向けに、障壁を取ってあげられるような商品を提供することだったり、服を通じて何かメッセージや価値観を主張することの手助けをすることが、yutoriが提供できる代替可能性の低い価値だと思っています。
半期に一度社内コンペ。熱量はスキルを凌駕する
そもそもブランドコンセプトのアイディアなどはどのようにして生まれているのか。これは、半期に一度ペースで学生のアルバイトメンバーから代表片石も含めた全社員が参加可能な社内コンペを行っています。
コンペは以下のような基準を持って全員で意思決定していきます。
※数字の部分だけマーカー引いてます🙇♀️
コンペではひとり◯個までなどの提案数の制限もないので、何十個ものブランドアイディアが集まります。これらのアイディアは基本的に、メンバーの「服が好き」という想いから生まれているものです。
スキルや年次、経験などは全く関係なく、フラットにブレストが行われます。
コンペの企画案一例
新規ローンチブランド「My Sugar Bebe」販売開始直後3分で完売。
企画書をコンペ参加者全員で丁寧に吟味をした結果、コンペを通り実際昨年12月にローンチしたサーフ系ブランドの事例を紹介します。
実際立ち上げた西海岸ストリートmixブランド
「My Sugar Babe」(意味は”私の大切な人”)
「サーフ系」という言葉自体がすでに死語のようになっていますが、ゆとり世代のぼくたちは過去にその流行真っ只中を歩んできました。そんなサーフ系を”リバイバル”させよう、という背景でできたブランドでした。
先述した「誰かにとって価値がないものに焦点を当てて、価値があるものに変換する」と同じスタンスです。
ちゃっかり宣伝ですが、1月30日(土)に商品の発売も予定しているので、良ければチェックしてみてください。
新たなトレンドの火付け役としてアパレル界にムーブメントを一緒に起こしませんか?
単純なお金儲けとしてではなく、「アパレル商売をやる意義」を追いかけていると、自然とオリジナリティが生まれ、それが味になっていきます。
ぼくらも少しずつムーブメントを創れている実感があり、例えば別の企業にてyutoriの手がけるブランドと近しいデザインのものが展開され始めたり、中国の通販サイトにて全く同じデザインの偽物商品が販売されていたりしていました。
アパレルのようなモノづくりにおいては業界にベテランがたくさんいるし、単純な商いとしてアパレルをやるなら他により儲かるビジネスがたくさんあるのではないかと思います。
しかし、これを読んでいるあなたが、トレンドに乗っかったものではなく、自分の”好き”を詰めたブランドをやりたいと思うのであれば、やる意義はあると思うし、間違いなく強固で価値あるブランドがつくれると思います。
本気でブランドづくりをしたいという方で、それをyutori社でやってみたいという方がいればそれも大歓迎です。企画書などあればyutoriの誰でも良いのでDMお待ちしております。どしどし送ってください。
おわり