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フラット組織 〜新カルチャーを求めて〜

前回までのあらすじ

設立11期に入り、新たに「チーフクリエイティブオフィサー(略:CCO)」という肩書きとなり、さまざまな取り組みに挑戦しています。
現在、Y’s企業文化(以下:カルチャー)を作り直すプロジェクトを進めています。このシリーズでは新しいカルチャーをご紹介しています。

第一弾では「フィードバック」の大切さを書きました。
第二弾では「スポーツチーム」と例えて5つの重要性を書きました。

今回、第三弾「フラットな組織」と題して紹介させていただきます。僕と同じように組織の成長に苦戦されている方、ぜひご覧ください。

カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方」参照

偉人たちのお知恵をお借りして

Y’sのカルチャー制作は、下記の3つの参考資料を元に、僕の想いを加えて作っています。

[カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方]
マッキンゼーの7Sから着想を得て、カルチャーを説明してあります。会社の成長イメージを決める上でとても参考になり、特に経営スタンスを定める重要性がわかりました。Y’sは本書で言うところの“権威分散型”であり、変化を求める「全員リーダー経営」を目指していこうと思っています。

[NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX]
ネットフリックスが世界最強のコンテンツ制作会社になれた要因はまさにカルチャーにあり、という内容です。イノベーションを生み出す「カルチャーデッキ」という最強構造が生まれた経緯が書かれており、大変感銘を受けました。ハードルは高いですが、言われてみれば当たり前のことが多いなと感じました。(その当たり前のことが一番難しいわけですが…)

[世界で最もイノベーティブな組織の作り方]
日本企業からインベーションが生まれない本質的な理由が「組織の創造性」であるという内容です。そしてそのイノベーションを実現するカギが「組織」と「リーダーシップ」であるとまとめています。「組織風土」「組織構造」「リーダーシップ」にわけ分かりやすい例を交えて解説されています。

組織構造って必要なの?

Y’sは研修生を入れると約100名ほどのメンバーがいます。これだけの数になると、すべてのメンバーの仕事ぶりは正直見えません。この人数をどのようにまとめていくべきかとても悩ましいところです。そこで今回は、カルチャーを作る上で避けて通れない「組織構造」をテーマにします。
と、、、その前に、少し余談をさせてください。

僕が大好きな『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』というTVアニメがあります。このアニメを一言で表すと、ぞれぞれのメンバーが得意技を生かし、圧倒的な強さをもって数々の難事件を鮮やかに解決していくSFアクションです。そんな最強チームをわかりやすく伝える上司の印象的なセリフがあります。
我々の間には、チームプレーなどという都合のよい良い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じるチームワークだけだ。

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」参照

裏を返せば、全員がその場で最良の判断ができれば、チームプレーなんて考えておく必要はないと言うわけです。これは、Y’s社内ではたびたび名前が上がる書籍「ビジョナリーカンパニー2」の中にもある「人材が先、計画が後」に通じるものだと思います。

つまり、計画的に組織を考えても予定調和しないということです。大切なのはあたりをつけてまず始めてみることだと思っています。信じた人材が集まっていれば、進める中で自ずとよい構造に変化していくということです。

Y’sには様々な職種のメンバーがおり、未経験もいれば新卒もいます。外部に常駐しているメンバーもたくさんいます。それぞれ得意技も働く場所も異なるため、攻殻機動隊のように全員がプロになってもらえる、そんな構造を意識して進めていきたいと思いました。

組織構造は他の要素と連動している

組織構造だけ考えてもうまくいきません。他のカルチャー要素と密接な関係があります。一番大切なことはそれによってミッションやビジョンが達成しやすい構造かとなります。

「カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方」参照

Y’sのミッションは「デザインの力でビジネスを加速させる」です。つまり、クライアントのビジネスを加速させるために、スピーディーにたくさんのイノベーションが起こせる組織構造が必要です。

そのためにY’sの目指す経営方針は「自律性とリーダーシップに重きを置いた全員リーダー型」です。これは第二弾でお話した「スポーツチーム」における考え方に通じます。
そして組織風土は「どんな状況でもフィードバックが盛んに行われ、各自が適宜自分の判断で動けるスピードを武器にしやすい形」です。第一弾にお話した「フィードバック」もその一つです。
(上図7Sの詳細な解説は別のブログでさせていただきます)

これらを踏まえた結果、Y’sの組織構造は下記の図のような3階層構造を目指します。(一部を除き)
必要最低限の階層しか持たない組織構造です。

注目すべきは役員とマネージャーの数です。この10人に満たない数で全員の仕事は把握できません。重要な決定を除いては、現場のメンバーに権限を譲渡し進めてもらうことが前提です。

すでにこの構造で始まっています。一部、部門によってマネージャーとメンバーの間にリーダーという役割をおき、メンバーを成長させています。いずれ、全員がリーダーとして動けることが目的です。

この限りなくフラットな形が理想である理由を下記にまとていきます。

Y’sが選ぶフラット組織

❶「フィードバックしやすい風通しのよい環境」

「フィードバック」、これができるかできないかがカルチャーを作る上で最重要項目の一つです。このフラット3階層は上下関係をほとんど気にすることはありません。「」と「勇気」と「タイミング」があれば、できるだけ早く本人に伝えることができます。

ちなみにフィードバックを発表してから3ヶ月程度しか経っていませんが、社内でかなりのフィードバックが飛び交うようになりました。

また、別の角度からの話をひとつします。フラット3階層によって信頼とほどよいプレッシャーを生み出すための方法です。その関係値を図で説明します。

この図で描かれている通り、3階層しかないため、明確なトライアングルになります。とはいえ、時計回りの循環が生まれるためにはマネージャーの手腕が問われます。よくも悪くも役員など経営側との距離が近いというのが特徴です。(これもまた次回以降のブログで)


❷「部門を越えた活発な情報のやりとり」

「個々の優秀な人材が集まれば、組織としても優秀である」ということは間違っている。このことは参考資料書籍「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」の中で指摘されています。それほどまで人は忖度を考えて伝言ゲームをしてしまうのかという驚きがありました。

つまり、ここで言いたいことはフラットな形と同時に「ネットワークの密度」が重要になるということです。「ネットワークの密度」とは一言で言うと、「情報の量が多く、そして早く正確に伝えることができるかどうか」です。

なぜ、そうする必要があるかは2つ理由があります。ひとつは、活発なコミュニケーションが生まれ、新しいアイデアや信頼関係が生まれやすいということ。もうひとつはマネージャーの処理能力に依存しないため、メンバーの自律性が高まることです。
そして、自律性が高まると、意思決定のスピードが増し、判断ミスが減り、メンバーの自信・モチベーション・成長スピードが高まります。

『攻殻機動隊』では個々の能力もさることながら、ものすごい情報共有が的確で早いため、チームプレーが成立していました。


❸「リモートにマッチした形」

Y’sは「リモートワーク推奨」としています。(一部、業務都合上、出社するメンバーもいます)
しかし、物理的に一緒にいる方が仕事の効率が良いことは否めません。これはほとんどの人がまだ「リモートワーク2年生」だからです。気持ちもシステムも追いついておらず、不慣れな点が多すぎることが原因です。

とはいうものの、僕らがやっている仕事の多くがインターネットで完結します。リモートワークとは限りなく相性がいいのです。元に戻る可能性が低いのであれば、組織構造をリモートワークに合わせる必要があります。

それを考慮すると、やはり階層は少なくしたいところです。階層が多い場合、ただでさえ難しいリモートワークにおいて、やりとりする時間が莫大に増えてしまいます。リモートワークに寄せるのであればフラットな組織は欠かせない条件になります。


❹「モチベーションを維持できる環境」

Y’sが理想とするフラットな形をとる以上、権威譲渡は必須条件です。まず、マネージャーと各メンバーとで意思決定範囲を明確にしておきます。それにより各メンバーが現場で意思決定を下せる仕組みとなります。

権威譲渡は同時に、全メンバーに「自分はプロフェッショナルだ、だから最高の仕事をしよう!」と強い当事者意識と意欲を持ってもらうことがこの形の意図です。

自分で目標を設定しそれに責任を持つこと
自分の仕事(環境)を改善するのは自分の役目

モチベーションと同時に、これらのことを強く意識できる個になることがフラット組織として重要なテーマになります。

デメリットもある

今のY’sにとってたくさんのメリットがあるため「フラットな組織」にしています。しかし、この組織構造ではデメリットも存在します。会社にはミッションやビジョンからはじまり、全社戦略、そこから落とし込まれる戦術や現場のオペレーションがあります。これらの内容をしっかりとメンバーに理解してもらえていなければ、この組織構造はとても難しいものになります。それぞれが自分の考えだけでバラバラに動くことほど怖いことはありません。

そのため、内容理解をしっかりと推し進めるカルチャーの実践マネージャーや各職種のベテランたちがどのようなリーダーシップを発揮できるかがとても重要になります。次回以降ではリーダーシップの話をしたいと思います。

最後に

Y’sはフラットな組織を選択しました。今のY’sにとって一番適していると考えたからです。まだスタートしたばかりです。ここからどう変化していくかはわかりません。メンバー全員にかかる自由とプレッシャーは強まっていくと思います。同時に権威譲渡をする経営側の勇気とそれを管理するマネージャー側のリーダーシップがより重要になります。組織構造にこだわりすぎて優秀なメンバーがうまく動けなくなることは避けなければいけません

ときには人によって組織構造を臨機応変に変えることも必要だと思います。あくまでバランスが重要だと考えています。
しばらく経過したとき、いい組織形態だと思えるようなそんな形になることを思い描いてがんばって挑戦したいと思います。

次回へ続く。

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