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やっと10年、まだまだ10年。Y’s10周年インタビュー <後編>

前回よりお届けしているCCOの米田龍平のインタビューシリーズ。今10期目の決算真っ只中である株式会社Y’sの設立当初からの唯一の人間である米田龍平の株式会社Y’s10周年に向けての話を引き続きお届けします。

米田は株式会社Y’sの設立者であり現在はCCO(チーフクリエイティブオフィサー)つまりは「ものづくりに対する最高責任者」を務める。元々自身もデザイナーであり、株式会社Y’s設立の動機となったのは「自身がデザインで生活していけるように」というごく個人的な想いと「クリエイターを育てる環境をつくりたい」という大きなビジョンの2つの想いであったという。現在はデザイン部門を見守る一方で自ら直接人事や広報にも積極的に携わることで「株式会社Y’sとしてのカルチャー形成」の役割を担っており、月に1度は全社員の前でY’sのカルチャーなどについて講義をする場を設けるなど社員の気持ちに寄り沿う、距離の近い存在でもある。

10周年に向けて

ー今期を振り返ってみて今期を象徴するキーワードは何になりそうですか?

米田
個人的には今期でデザイナーの兼任をやめて教育と監修に徹底することが一番印象的な出来事でした。10期中にクリエイティブの品質だけではなく、会社文化を作る立場に専念しようという話になりCCOとなったためでした。

ーそういった「会社文化を作る立場に専念する」という決断にはどのような背景があったのでしょうか?

米田
コロナの影響もあり、経営状況を考えると直近ではなく「長期」で会社の強さや成長を考えなければいけないという危機感があったと思います。その中で地道な取り組みですが「会社文化を作る」ということに重きを置きました。


前回のインタビューでもお聞きした通り、そのような色々な変化を経て10周年を迎えられる企業は決して多くないと思います。こうしたコロナ渦の期間を経たからこそ生まれた来期に向けてのビジョンなどあるでしょうか?

米田
実は会社を設立した年にも東北大震災がありました。ですので社会的に大変なことが起きている中で会社を経営していくという経験は過去にもしていますが、10年経過して今またコロナの打撃を受けつつも10周年を迎えるというのはどこか不思議な感覚があります。

そんな中でもコロナ渦以前から10周年を迎えるにあたり会社の向かっていく方向をどうするべきか悩んでいた部分はありました。個人的にも会社設立の原点である「クリエイターを育てたい」という想いはずっと思ってきましたが「では育ててどうしたいんだ?」ということに気が付き考えるきっかけとなったのがコロナ渦の期間だったと思っています。


ーコロナ渦で今後の会社の進むべき方向性がクリアになってきたということですよね?

米田
はいその通りです。「クリエイターを育ててどうしたいんだ?」という問いに他する回答として明確になってきたのが、「デジタルトランスフォーメーション(以下DX)」を実現するために、またそのもっと前の段階のデジタル化の波に乗れずに困っている人たちの力になってく10年間にしよう、という方向性でした。そのためには高いスキルを持ったクリエイターを育てることが必要となりますし、デザインを通じてマーケティングやブランディングで困っている人たちや企業の力になるのが社会貢献でもあり、今そしてこれからの日本では必要とされているのではないかという考えに至りました。

ー「DX」のワードが出ましたが、定義の広い言葉です。Y’sの言う「DX」は広義の意味での「DX」を指しているのでしょうか?

米田
はいその通り広義の意味で「アナログなものをデータやデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革してビジネスに貢献する」という意味で使用しています。これもコロナ渦に様々なビジネスモデルなどのアウトプットを行なう事ができた中でまとまってきた考えでした。


今後のクリエイティブ部門の事業について

ー今のお話でも「DX」のお話が出てきましたが、10年前と比べると現在のデザインやWEBデザインを取り巻く環境は大きく変化して来ていると思っています。「本業デザイナー」だけでなく副業や週末副業などの働き方や、フリーランスという会社に属さない働き方もメジャーになりました。また、技術や知識のない個人がサービスやプラットフォームを利用すれば自分でサイト作成ができたり、無料でECサイト構築ができてしまうなどのサービスも出てきています。そんな状況の中であってもY’sという会社にしか提供できないバリュー(付加価値)というのはどんなものだと考えていますか?

米田
コンサルティングができる、デザインができるというようなある意味一部分に特化した会社は既に多くあると思います。また、一気通貫で対応している会社であっても各セクションが完全な分業制というところが多いと思います。ただ、単に寄せ集めただけの組織では上手くいかないと思っています。だからこそ一気通貫で取り組めるチームワークを持っている弊社なら、その強みが出せると思います。

例えていうなら「DXの総合病院」ではなく「DXの腕のいい町医者」というデザインという専門分野に特化した中小企業に向けたポジショニングを目指したいと個人的には思っています。

今の時代の流れに追い付くには「PDCA」ではなく、「DCDC」に対応していけるような小回りと柔軟性を併せ持ったチーム体制や会社が必要とされていると思っています。またこうした規模や体制で対応することと、さらに制作会社として10年取り組んで来たアウトプットの力を合わせて良い成果を提供できると考えています。

そうした強みがあるため今後さらに個人のクリエイターやコンサルタント、会社が増えて来たとしてもY’sはチーム体制で戦えると思っています。

ー今のお話は比較的ITのビジネスモデルについて深い理解があるベンチャー企業のクライアントなどには理解しやすい強みだと思いますが、一方で「DX」という言葉も何となくしか聞いたことがないというようなアナログな業界のクライアントにも「わかりやすく」理解してもらえるY’sの魅力や強みというのはあるのでしょうか?

米田
現在我々の会社でもアナログな業界の中小企業を中心にDX化しようと取り組んでいますが、クライアントさんたち自身は自分たちが「DX化している!」とは意識していないかもしれないですね。

おっしゃる通り、そういう状況でもY’sを選んでもらっているのはやはり「デザイン力」だと思っています。デザイン経営、デザイン思考、に基づいてトライアル&エラーをしていけるようなアウトプット、論理的思考に裏打ちされたデザインを評価して頂いていると思っています。


ーなるほど、そうなってくると「プロとしての高い技術力」と「家族のようなチームワーク」の両方が必要になってきますよね。そういった環境は理想的ではありますが、なかなかその両立というのができている企業は多くないのではと思います。Y’sだからこそその両立を実現できている、また実現していけるというポイントはあるのでしょうか?

米田
そもそもY’sでは「スキルのある人間」を採用しているだけではなく「人格者」を採用していると思っていますので、チームワークに必要な人格的な土壌が既にあると思っています。スキルは短時間で成長可能ですが人格を育て上げるのはとても時間がかかると思っています。ですので、最初からスキルではなく、人格的な素養を意識して採用を行っています。会社文化で求心力を高める取組もこれから先、増やしていく予定で、「仕事ができる人格者を育てたい」という想いを実践しています。

また「家族のようなチームワーク」とおっしゃって頂きましたが、今後我々が目指していくのは「スポーツチームのようなチームワーク精神」だと思っています。他社との戦いに常にさらされていること、自分たちはプロであり成果がすべてであること、社内メンバーとも一軍争いをしているという緊張感の中で仕事を行いつつも、チームプレーを育み、素晴らしい同僚と喜びを分かち合える、そういうカルチャーを目指していきたいと決めています。

この大変な状況であっても人を採用して育てていくというのは時間がかかったとしても必要なことだと思っています。


10周年のビジョン

ー10年前に起業された当時、自分たちが提供しているサービスの一部がこうして10年後も会社の柱のサービスとしてお客様から必要とされているという状況はある程度予想できていたのでしょうか?

米田
全くできていなかったですね。1%も描けていなかったです。


ーでは会社を経営していく中でピポットをしながらお客様に必要とされる事業に成長させてきたということだと思うのですが、なにかそうした転換期というのはあったのでしょうか?

米田
間違いなくこのコロナの影響は一つの大きな転換期でしたが、それ以外だと「会社を大きくするかしないか」という判断をした起業4年後のSES事業開始時だったと思っています。SES事業を開始するということは会社を大きくすると決断するということになりますので、今考えても大きな転機でした。

個人的には2018年にデザインノートに掲載されてエンタメデザイン5社に選ばれたことも大きな転機であり、「デザイナーとしてやりきった」という一区切りでもありました。個人として一区切り付いたので、ここからは経営者になって人を育てていこうと思いました。


ーこれまでの10年でそんな幾度かの転換期を経てこの度10周年を迎える訳ですが、今度はこれからの10年に向けて今から準備をしている新事業や新教育体制や採用計画など教えて頂ける範囲で教えて少しだけ教えてもらえますでしょうか?

米田
教育としてはこれからさらにインハウス教育に力を入れたいと思っています。人を育てるのには時間がかかるとはいえ、一日でも早く育てられるようにしていかないといけないと思っています。そのためには採用としてそうした社員教育の手本になるような即戦力人員の採用も力を入れていくつもりです。


ー先ほどおっしゃっていた「人格者」のポテンシャル採用と即戦力採用の両輪で考えているということですね。Y’sの言う「人格者」とは具体的にどんな人のことを指すのでしょうか?

米田
「人格者」とは主体性を持ってリーダーシップとマネジメントができ、物事の優先順位を決められる力を持ち、さらには周りを巻き込んでみんなを成長せることができるということだと思っていますが、その中でもまず一番の素養は学ぶ姿勢がある、つまり「素直であること」だと思っています。

素直な人は色々なアウトプットを受け取る力も吸収する力も強いと思っていて、そうした人を広く募集したいと思っています。

今日の話に出た通りフリーランスや他社でも単に「働く」ということはできますが、Y’sであれば「クリエイターとして、人として成長する」ことが可能です。クリエイターの皆さんにとっても、成長できるということはただスキルだけを持っているという訳ではなく、一緒に仕事がしたいと思われる一番大切な信頼関係を作れる人格的な素養を持つことだと思っています。そしてそれは最終的に「自分の市場価値が高まる」ことにつながると確信しています。

2回に渡ってお届けしてしたCCOの米田龍平のインタビューシリーズ。Y’sが目指すDXの話から、基本的なデザイン力の話まで「やっと10年」という話を聞くことができた。その一方で、今後に向けた「まだまだ10年」という話も聞くことができた。何度も震災やコロナといった社会的困難と遭遇しながらもこうして10周年を迎えるY’sという会社の体力は凄まじく、それでいて柔軟なビジネスモデルも併せ持つ姿を知ると、今後どのような困難が襲おうとも10年、20年、30年とクライアントから必要とされ続ける企業であるのではないかと考えている。

次回は各事業部のリーダーたちに座談会形式で同じように10周年を迎えるにあたり考えていることや感じていることをお聞きする予定です!

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