YAMAPスタッフが本当にいいと思った山道具を貸し出すYAMAPレンタル。
YAMAPがオンラインレンタルサービスを開始してから、2024年4月で1周年を迎えました。
未経験者・初心者が最初から自分に合ったものを探すのが難しく、いいものは価格もそれなりにする山道具。人によってはテントや雪山道具など年1、2回の出番しかないものもあるなか、レンタルという選択肢を提供することで、登山者の悩みの解決をお手伝いしてきました。
YAMAPレンタルを立ち上げた担当者のサービスにかける想いや、多くのリピーターにご評価いただいている徹底的な品質管理へのこだわり、道具を通じたユーザーさんとの心温まる交流を取材しました。
山へのハードルを取り払う
「木曽駒ヶ岳での初めての雪山登山。おかげで素晴らしい景色を見ることができました」
「中1の息子の北アルプスデビューに大活躍でした。成長期の子を持つ人に推薦できる素晴らしいサービスでした」
「テントは高価なので購入できませんでしたが、レンタルのおかげで一歩が踏み出せました」
東京都足立区の荒川沿いに倉庫を構えるYAMAPレンタルには、日々、サービスを利用したユーザーさんからお手紙が寄せられています。
レンタル品の返却とともに寄せられるお手紙には、山の思い出や感想、サービスへのフィードバックが書かれています
「ユーザーさんの“はじめて”を支えられたとき、一番やりがいを感じます」
YAMAPレンタルを立ち上げた事業責任者の石堀隆之は、ユーザーさんから寄せられた沢山のお手紙の束を手に、嬉しそうに話します。
YAMAPレンタルは2023年4月に山道具のレンタルを開始し、この4月で1周年。「YAMAP側起因での配送ミスは1件もない」(石堀)といい、今では多くのリピーターに支えられ、人気サービスに成長しました。
自身も登山歴20年を超え、全国各地の山を季節を問わずに歩く石堀。山の魅力を知ってほしいと願う一方、天気や道具、体調、体力の心配など、未経験者や慣れていない方にとっては本当にいろんなハードルがあると感じているのも事実。
「山に行くまでに色々なハードルがあるから、せめて道具の心配だけでもなくして、安心して楽しんでもらえるようにサポートしたいと、常々思っているんです」
未経験での購入、つきまとう不安
返却されたアイテムは、チェック項目に沿って厳密に検品
山は季節や難易度、行程によっても装備が変わってきますが、全てに対応できる道具をそろえるのは、経済的にも保管の観点からも負担は小さくありません。
例えば「初めて雪山に行ってみる」「どんな登山スタイルが自分に合うかわからない」という状況。未経験のなかで、よくわからないまま道具やウェアを購入するのは不安がつきまといます。
そんな時に役立つのが、山道具のレンタル。
「ウェアやアイテムにどれほどの機能やスペックが必要なのかを実際の山で試せれば、道具選びに失敗するリスクも減りますよね。山を長く登っている人なら、何らかの道具を買い替えた経験は必ずあるはずです」
準備も、後片付けも
乾燥中のシュラフ。まずしっかり広げて干してから、洗濯、再び乾燥へ。
レンタルの利点は、準備のときだけではありません。使い終わった後の泥落とし、洗濯、乾燥、片付け……と、疲れて帰ってから「次の日は仕事なのに、やることが多くて大変!」となってしまう部分もまとめて対応するのも嬉しい点です。
特に、テントやシュラフといった大型アイテムを休日の最後に干し、仕事から帰ってきた後にきれいに収納するのは、時間も手間もかかるので、この工程をお願いできてしまうのは助かります。
洗濯には、専用の洗剤を使って撥水性能を維持
良い道具を、良い状態で
YAMAPレンタルで貸し出しするのは、YAMAPストアでも扱っている(一部を除く)、YAMAPスタッフが目利きしたえりすぐりの道具です。
レンタル品に対して、廉価品を擦り切れるまで使うようなイメージもあるかもしれませんが、YAMAPレンタルはその真逆。良い道具を、良い状態で貸し出すことをモットーにしています。
人気のソロテント泊セット(3泊4日14,500円〜)。これからのシーズンにもおすすめ
道具の良さを実感し、気に入ったらそのまま購入できる商品があるのも特長です。
実際に使って「これなら買いたい」と良さを実感する方も多く、買取可能な商品のうちの2割弱(2023年4月〜2024年3月実績)が、レンタル後に購入されます。
前職でもアウトドア用品のレンタル業をしていた石堀は、購入率の高さに驚いたといいます。
その理由の一つに、レンタルしたウェア・アイテムは使用回数に応じた割引価格が適用され、使い勝手や状態を確認してお得に買えることがあげられます。
例えば、シンプルで堅実な製品に定評のあるスイスのアウトドアブランド・EXPED(エクスペド)の大型バックパック・ライトニング60L MENSの場合。
新品の定価は38,500円(税込)ですが、3泊4日のレンタルは5,500円(税込)で、3回使用した商品であれば、レンタル後に30%オフの26,950円(税込)の追加で購入可能。新品にこだわりがなければ、金銭的な負担も減らしながら、自分の体格に合ったものを実際に山で試して納得してから購入できます。
返却でのもう一つの驚き
ポールは1本ずつ、歪みや汚れがないか、組み立てながら入念にチェック
購入率の高さのほか、石堀がこの1年でもう一つ驚いたのは、利用者のみなさんがとてもきれいに使って返却してくださること。
「ユーザーさんの根っこに、山の道具を大切に扱う意識があるのだなと、いつも感動しています。」
とはいえ、利用時の天候や登山道の状況次第では、泥だらけになって返却されることも。
石堀によると、一番大変だったときは、泥だらけの登山靴が1回の洗いでは汚れが落ちきらず、3回に分けて洗濯・乾燥を繰り返してやっとクリーニングが完了したこともあったそう。
もちろん、次のレンタルのときには、誰もが気持ちよく利用できる美品の状態で貸し出せるようにしています。
あの憧れのブランドもレンタルできる
YAMAPレンタルで扱うのは、パタゴニア、ナンガ、ザ・ノースフェイス、スポルティバ、ファイントラックなど、名だたる国内外の有名ブランドばかり。全て、YAMAPレンタルのコンセプトにご賛同いただいたパートナーとして、了承を得た上で正式にお取り扱いをしています。
感度の高い登山好きに人気の国内ブランド、RawLow Mountain Works(ロウロウマウンテンワークス)を公式レンタルパートナーとして扱うのは、YAMAPレンタルだけ。(2024年4月時点)。こだわりのブランドアイテムを使ってみる機会として利用する方も増えています。
山と人をつなぐ架け橋に
たくさんの道具をそろえて、お待ちしています
YAMAPレンタルのコンセプトは、山と人をつなぐこと。
目指すのは、道具のサポートを通じて、誰かにとっての『初めて』や『挑戦』を応援したり、安心して自然を楽しむ豊かな時間の助けとなること。
「その先には、山のシェアリングエコノミーや、限られた資源の有効活用を目指すサーキュラーエコノミーへの貢献も見据えています。山道具をレンタルしたことがない方や気になるアイテムがある方はもちろん、友人・知人で山登りやテント泊を始めたいけど道具の購入に二の足を踏んでいる方がいたら、ぜひおすすめください。一緒に山の魅力を広めていきましょう」
YAMAPレンタルの倉庫を訪れれば、自身も山に魅了された一人として、この1年妥協なく業務にあたってきた石堀の姿がありました。
撮影:甲田和久 文:松山麻理
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