多様化する結婚式へのニーズ、急速な社会変化への対応が求められるウエディング業界。“結婚式”を取り巻く環境がめまぐるしく変わり続ける昨今、業界全体では、これまで以上に「挑戦」や「革新」の必要性が高まっている。
新しき風を運ぶのは、新しい組織から。
株式会社ウエディングパーク メディアソリューション本部が、この春より新体制に生まれ変わった。
クライアントである結婚式場と密なコミュニケーションを重ね、式場ごとの特徴や課題に応じて、ITを活用した集客の提案をする「メディアソリューション本部」。2021年4月より同部署の本部長として、入社7年目の女性社員・金 小熙(きむ そひ)が就任した。
本部長が変わるのは約8年ぶり。 新生「メディアソリューション本部」は、何に取り組んでいくのか。チームを率いる金の経歴、業界に対する思いを紐解きながら、これからの意気込みを語ってもらった。
■プロフィール
株式会社ウエディングパーク
メディアソリューション本部 本部長
金 小熙(きむ そひ)
早稲田大学商学部卒業後、2015年ウエディングパークに新卒入社。入社後、アカウントプランナーとして主に首都圏・地方・海外のクライアントのインターネット集客を支援。2020年4月に、結婚式場の自社集客最大化を支援する組織「メディアソリューション本部」の東日本統括を経て、2021年4月より現職。自社メディアやアドテクノロジーを活用したオリジナル広告商品の開発、クリエイティブ支援等により、ブライダル業界各社の自社集客最大化を担う。
両親から学んだ「結婚」の豊かさ。ワクワク重視でブライダル業界へ
— まずは、金さん自身の経歴について。ウエディングパーク、ひいてはブライダル業界を志望したきっかけは何だったのでしょうか。
理由は2つあります。ひとつは、自分にとって「ワクワクする業界」だったからです。就活時代に「せっかく週5日働くのなら、心から楽しめる仕事に就きたい」と思い、“自分がワクワクするかどうか”を基準に就職先を検討していたんです。私にとってのワクワクは、だれかの人生をポジティブにする製品やサービスに関わることでした。そのため、選択肢のひとつとして自然と「結婚」が思い浮かびました。
人の幸せの創出に関わる職業は数多あるなか、最終的にこの業界を選んだのは「両親」の存在が大きいです。ふたりは韓国で出会い、結婚。身一つで来日し、起業した父を支える母。仲睦まじい両親の姿を見て、パートナーを得て人生が豊かになっていく魅力を、幼い頃から感じていたんだと思います。
ウエディングパーク社を志望したのは、ふたつめの理由にあたる「成長」を叶える場所だと感じたからです。結婚や出産などでキャリアが左右されやすい立場にあるなか、キャリアを前倒ししてさまざまな経験を積み、スピード感を持って成長したい意欲がありました。成長できる環境を重視したときに、就活当時はまだ業界でも活用の幅が限定的だった「インターネット」の活用に前のめりなウエディングパークに惹かれたんです。
心がけたのは、かゆいところに手が届く営業。式場ごとに合った提案で信頼を獲得
— 入社して7年目。これまでにさまざまな経験を積まれてきたかと思いますが、最も苦労した、あるいはやりがいを感じたお仕事はありますか?
入社以来、営業一本道を駆けぬけてきました。新規のお客様との商談や、お取引のあるお客様のフォローなど記憶に残る仕事は数知れずですが、自分にとって「転機」だったと感じる出来事は2つあります。
ひとつは、入社2年目のとき。海外・リゾートウエディングのクチコミ情報サイト「Wedding Park 海外」の営業担当を兼任したことです。1年目より担当していた国内の結婚式場向けの商談では、課長や部長などの部門を取りまとめる役職の方と相対することがほとんどでした。一方、海外の場合は個人で海外ウエディング事業を経営されているケースも多く、社長や創業者本人との商談が多かったと記憶しています。
当時は海外ウエディングに関する知見も少なく、自身の価値の出し方にかなり悩みました。自分に何ができるだろうと。考えた結果、海外ウエディングの知識や経験以外の部分で役に立てる点を探すことにしたんです。
— 具体的にどんな点でしょうか。
ひとことで言えば、「相手のかゆいところに手が届く営業」ですね。当時、「Web集客」という領域が海外ウエディング事業ではあまり開拓されておらず、そのためインターネット事情に課題を抱えておられる企業が多くいらっしゃいました。なので、インターネット広告のトレンドやHPの運用など、社長自身の熱意があっても知識不足で介入しきれない部分にアプローチしていきました。現場の集客を担当する方々とも密に連携を取って、打てるアクションは片っ端から挑戦する。そうしてるうちに、「どうやら金という人が頑張っている。小回りが利く人らしい」と、徐々にご相談いただけるようになりましたね。
全幅の信頼を寄せていただくためにも、国内・海外に限らず、クライアントには良い結果も悪い結果もお伝えするようにし、その上で改善策をしっかりと提案し続けることを大切にしています。さらに、式場によって特徴や魅力はさまざまです。みな一様な提案をするのではなく、対クライアントである前に、対ヒトとしてのコミュニケーションに重きを置くようにしています。
— そうした意識の積み重ねが行動に現れ、「金さんになら相談してみようかな」と信頼をしていただけたのかもしれませんね。
だと嬉しいですね。もうひとつの「転機」は、4年目でマネージャーに就任したことです。就任した当初は、まさか自分が管理職になるとは思っておらず、チームマネジメントや、部下とのコミュニケーションに苦戦しました。マネージャーあるあるだと思うんですが、「自分でやったほうが早い」と感じてしまったり、相手を追い詰めるコミュニケーションを取ってしまったり…。このままではダメだと、参考になる書籍を読んだり、お手本になる人の話を聞いたりして、手探りでチームマネジメントについて学んでいきました。
結果、自身がマネジメントを担当したメンバーが、活躍した社員として半年に一回の社員総会で次々と表彰されるように。マネージャーに就任以来、3年間で5名が表彰されました。社全体で見ても稀に見る事例だと聞き、素直に嬉しかったですね。手探りながらも、地道に頑張ってきたことが目に見える形で成果として感じられたのはよかったです。
オンラインの強みを活かしたサービスと、フォロー体制の改善を
— 今回メディアソリューション本部の本部長に抜擢され、率直にどう感じましたか?
これまでの成果を含め「金なら」と指名してもらったと思うので、責任を感じながら「やるしかないな」と腹をくくりましたね(笑)組織もまだ若く、会社にとっても「女性が営業の本部長に就任」というケースは初なので、良いアイコンになれたらと思っています。
ウエディングパークの行動規範のひとつに「憧れになる」というものがあって。周囲のメンバーや、あるいはこれからウエディングパークに入社する未来の仲間にとっても、ブライダル業界で働くことが「憧れ」となるような、それを体現できる存在でありたいですね。
とはいえ、私自身もまだまだ未熟な部分が多いのも事実です。年齢や経歴的にも周りのメンバーと距離が近い分、気軽にコミュニケーションを取り合い、一緒に組織を作っていくんだという雰囲気を醸成していきたいと思っています。
— 新体制となったメディアソリューション本部は、今後どのようなことに取り組むのか気になります。
現在、主力商品のバージョンアップに向けて準備を進めています。そのひとつが、国内最大級の結婚準備クチコミ情報サイト「Wedding Park」を活用した自社集客支援の最大化です。
同サービスは結婚式場の公式HPへの送客を目的としており、今後はこの送客の質を向上できるよう努めていきたいと考えています。結婚式に対するニーズも多様化が進む中、カップルにとっては「自分に合う結婚式が見つかるサイト」となり、結婚式場にとっては「顧客とのベストマッチが叶うサイト」でありたいと思っています。
結婚準備クチコミ情報サイト「Wedding Park」
— 多様化するカップルのニーズに応えながら、これまで以上に式場とのベストマッチを叶えられるようにパワーアップすると。
はい。あとは、ウエディング業界のDX支援強化を目的に、2020年11月にリリースしたオンライン接客支援ツール「フェアつく online」の活用サポートも強化していきます。新型コロナウイルスの影響もあり、結婚式に関するオンライン相談の需要は急激に高まっているように思います。ただ、挙式を検討中のカップルのなかには「オンラインでどこまで相談できるのだろうか」と不安に感じている方も多いはず。式場側も「オンラインで会場の魅力をどこまで伝えられるものか」といった悩みを抱えているところは少なくないと思います。
コロナ禍で対面での打ち合わせが難しいなかでも、双方にとって納得のいく結婚式が実現するように。カップル側には「オンライン相談」のメリットや特徴を広め伝えつつ、式場側にはオンラインであっても会場の魅力を紹介しやすい仕組みを提案していきたいです。
その第一歩として、結婚式場のオンライン接客を支援する専門組織「オンライン接客推進グループ」を7月1日より設立いたします。ウエディング業界におけるデジタル時代のより効果的な集客をサポートできる体制を強化してまいります。
期待通りではなく、期待以上の動きを。クライアントが気軽に「挑戦」できる環境を目指して
— 最後に、メディアソリューション本部の本部長として、今後ウエディングパークをどのような会社にしていきたいですか?
結婚式に対するニーズの多様化や新型コロナウイルスの影響など、結婚式に対する価値観が大きく揺れ動くなかで、集客に苦戦する式場も少なくありません。プロモーションに関しても費用対効果や、効率の良い集客に対する需要が大きくなるなか、一番にお声がかかるような企業でありたいと考えています。式場が何か新しいチャレンジをしたいと思ったときに、インターネットの強みを生かして、気軽に何度もトライしていけるような環境とサービスを、今以上に強化していきたいです。
— インターネットに強い会社として、業界の期待に応え続けていくということですね。
期待通りではなく、期待以上の動きがしたいですね。期待通りの成果では、業界自体が成長していかないと思っています。「挑戦」や「革新」が急務になっている今だからこそ、お客様が「こんなことをやりたい」と相談してくださったときに、デジタル技術を駆使しながら「これもやれると良さそうですよね」と、期待していただいているラインを超えるような価値提供をどんどんしていきたいです。
(取材・文 なかがわあすか)