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自らの知識を再確認できる社内報が、社員のモチベーションを生み出す|Story User Interview・株式会社ALCHEMY

多くの企業が、新たな働き方へのシフトチェンジを余儀なくされた2020年。リモートワーク実施企業へのアンケート結果では、今後の継続に積極的な企業と消極的な企業とが拮抗していると報じられるなど、その行く先はまだ不透明感に包まれています。不透明感の要因の1つに、リモートワーク環境での社員とのコミュニケーションおよびモチベーション維持という課題があるのではないでしょうか。

社員の教育・育成に力を入れ、エンジニアやデザイナー等の技術職でも積極的に「未経験者歓迎」として採用を行っている株式会社ALCHEMYでは、コミュニケーションと教育という2つの視点から社内報「Story」を活用し、社内報への参加モチベーションを高めています。同社の導入経緯や具体的な活用方法について、代表・都築崇さんにお話を伺いました。

自律的な社内コミュニケーションの源は、入社時のフィルタリングと手厚い教育

ーーリモートワークによる、社内コミュニケーションや社員の変化は感じられていたでしょうか?

都築:弊社では他業界から転職した未経験者を、エンジニアやWEBコンテンツディレクターとして養成・教育し、クライアント先へ常駐してもらうビジネスモデルになっています。そのため、社員は現在24名ほどですがもともと社内で社員が顔を合わせることはあまりありませんでした。しかし今年はコロナの影響で常駐先での業務も8割程がリモートワークになり、対面でのコミュニケーションを取る頻度は総じて減っています。

社内コミュニケーションも同様で、対面でのコミュニケーションが減った分、コミュニケーションの“濃度”は下がってしまいましたが、時間や場所の制約が無くなってカジュアルなミーティングがやりやすくなりました。そこでミーティングの回数を増やして、コミュニケーション濃度の低下をカバーしている状況です。

社内イベントのミーティングの様子

ーー気軽にミーティングを行えるような関係性を築くために、社内コミュニケーションについて、何か工夫をされていたのでしょうか?

都築:日頃から特別な施策をしているわけではありませんが、入社時には一次面接から私が必ず行い、カジュアル面談などを通じて何度も会うようにしています。入社の時点で、社風に合うかどうか、私や社員とコミュニケーションが取りやすい人かどうかを重視して見ています。すると入社後に施策を打たなくても自然と他の社員と仲よくなってくれます。逆に仲よくなりすぎて内輪ノリが強くなり、新入社員が参加しづらくならないよう気をつけています。

ーー社風にマッチするか面接時にフィルタリングされているのですね。具体的にどんな点を重視されていますか?

都築:会社のビジョンにワクワクしてくれる人、共感してくれる人を採用しています。ほかにも自走ができる自律性のある人、あとはやはり、仕事が好きな人というのも重要です。採用時のフィルタリングはしっかりと行っています。それと同じくらい、入社直後に始まる教育を通じたコミュニケーションにも力を入れています。特に実務経験のない人には半年ほどかけて手厚く研修・教育を実施しています。進捗度合いやコンディション確認をこまめに行って、密なコミュニケーションを心がけています。そのせいか、業務以外でも飲み会などのオフラインコミュニケーションがすごく多く、社員同士のコミュニケーション上では、具体的な課題はあまり感じていませんでした。

社内報へのアウトプットが、みずからの知識を再確認するきっかけに

社内報「Story」のトップページのキャプチャ

ーーコミュニケーション課題のない状況で、なぜ社内報「Story」の導入をされたのでしょうか?

都築:導入前の業務コミュニケーションツールはSlackのみで、社内コミュニケーション用途として「週報チャンネル」を作って活用しています。全社員が閲覧可能なSlackチャンネルに週報を各自がアップしていて、代表である私からの週報では、今後のビジョンや理念を書いていました。ですが、全社員に読んでほしい投稿も、新たな投稿に流されてしまう全員の目にきちんと届かないという問題があったり、また、発言する人としない人の間で頻度の差も生まれていました。

そこで「Story」を知り、流れてしまわずにあとで読み返せる社内報の導入に踏み切りました。もともとWanteldy Visitのヘビーユーザーだったので、UIの面でも使い慣れていましたし、Wantedlyを通して採用している社員が多いためアカウント保有率が高く導入面でも「Story」は便利でした。

現在はエンジニアの業務で役立つTech系の情報共有の記事や、私が行った新人社員のインタビューなどをアップしています。情報共有系の記事は社員一人一人に記事を作成してもらい、私がチェックして投稿作業を行うという形で運用しています。


社員が作成された、Tech系記事のキャプチャ

ーー社員が作成することで、コミュニケーションのきっかけになるのですね。

都築:それだけでなく社内報「Story」は教育の面でも大きな意味があると思っています。各自が学んだり調べた知識を第三者に向けてアウトプットすることで、より自らの理解が深まるんですよね。コンテンツのクオリティーのばらつきは確かにありますが、逆に社内報だからこそできることだと考えています。

コメントがつくほど積極的なやり取りはまだ生まれていないのですが、管理画面から閲覧者を確認すると、ほぼ全員が記事を見ているようです。知識を披露したりほかのメンバー向けに解説することで自らの学びにつながる場として浸透してもらいたいです。

社内報運営に必須なのは、発信者側がメリットを感じる仕組み作り

ーー社内報の導入検討時に、考えておくべきことは何だと思われますか?

都築:発信者にとって記事作成が負担にならず、書くことでメリットを享受できる仕組みや制度作りです。

実は当初はマネジメント層に記事を執筆してもらおうとしたのですが、どうしても仕事優先になり、結局放置されて更新が滞ってしまったんです。そこで、プレーヤーやメンバークラスの社員に「いま勉強中のこと」というテーマで「Story」を書いてもらうようにしたところ成功しました。

アウトプットすることで理解度が深まり、自身のスキルアップにつながるというメリットが見えたからですね。社員に記事を書いてもらおうとすると、どうしても発信するモチベーションの差という問題は発生しますが発信するメリットがあれば、自発的にやってくれるようになると感じます。モチベーションを保つ制度設計が、社内報の運用では重要です。

社内報「Story」の記事投稿に対する、Slackでの反応

ーー「Story」を通じてどのよう効果や反響が得られましたか?

都築:これまであまりSlackでは発信していなかった人が、「Story」導入後に積極的に発信するようになりました。受け手だけでなく発信者側に大きな変化があった点は非常によかったですね。弊社ではリモートワークと「Story」が非常にマッチしていると感じています。

リモートワークでコミュニケーション濃度は下がったかもしれませんが、ミーティングの頻度が上がっただけでなく、勉強会や研修もオンラインにしたことで参加率が上がるというメリットもありました。今後コロナが収束しても、メリットとデメリットを使い分けながら「8割リモートワーク」を前提にコミュニケーションを取っていくつもりです。

ーーお話を伺って、社内コミュニケーションを非常に重要視されている御社の文化を感じました。

都築:私は、会社を「ただ仕事をするだけの場所」にしたくないと考えています。同じ目標に向かって一緒に頑張って、成功したら共に喜んで、お互い高め合えるコミュニティにしたい。そこでコミュニケーションの質を大事にすることで、結果としてアウトプットの質につながっていくと感じています。

例えば「言いたいことが言えない雰囲気だ」とか「発言したら生意気だと思われるかも」という心理的ハードルを下げれば、アウトプットは良くなると信じています。そこで情報発信のきっかけを作ってくれる「Story」は、リモートワークが当たり前になった環境で社員のモチベーションを維持するツールとして、非常に大きなサポートになると感じます。

(取材・執筆協力:伊藤七ゑ)

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