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組織の見える化を加速する社内報が、「改革意識」と「組織目線」を生み出す|Story User Interview・株式会社サーキュレーション

多くの企業では働き方の急激な変化によって新たな課題を抱えていますが、以前から抱えていた見えない組織課題が変化を機に顕在化したと捉えている企業も少なくないでしょう。高スキルの人材採用に悩む企業に対して、外部のプロの経験・知見を複数の企業でシェアする「プロシェアリングサービス」で経営課題を解決へと導くサービスを提供する株式会社サーキュレーションもそうした企業の1つ。

主にSlackで行われていた社内コミュニケーションは、働き方が変わってもほとんど影響がなかったと、同社の茅野秀平さんと植田未優さんは語ります。その一方で顕在化した課題を解決するためWantedlyの社内報機能「Story」の導入を決めた、その背景について伺いました。

■茅野秀平さん
2017年に株式会社サーキュレーションに新卒で入社。これまで製造業の企業を中心に、50社以上のコンサルティングに関わり、2019年8月にリーダー昇格。その傍ら、入社1年目から社内横断プロジェクトであるBranding Projectを立ち上げ、「会社で働く人の想いを可視化し伝えたい」という信念の元、Wantedlyの記事を中心に広報活動にも従事。
■植田未優さん
新卒で音楽事務所に入社、アーティストのマネジャーとして、多岐に渡る業務を経験。その後、大手インターネット広告代理店で営業、人事、新規事業、広報など様々なミッションを担う。2017年11月に株式会社サーキュレーション入社。中途採用ユニット兼人事管理・総務・広報ユニットのマネジャーとして、関わる人たちがサーキュレーションと出会えてよかった、と思えるような組織づくりに奮闘。現在は出産を経て、広報と人事を担当。

社内報による「見える化」で分断解消を目指す

――御社の組織体制と、勤務状況を教えてください。

茅野:2014年に設立し、現在社員は200名弱です。プロ人材の経験・知見を活用して経営課題の解決をする「プロシェアリング」サービスと、CTO/エンジニア/クリエイターによるIT課題を解決する「FLEXY」をなどのサービスを提供しています。2つのサービスを中心にで約90名のコンサルタントがおり、社員の半分を占めています。そのほかは企画や人事、経理などのミドル・バックオフィス、インサイドセールス、カスタマーサクセスチームという体制です。コンサルントのメンバーは客先への訪問が主な業務でしたが、緊急事態宣言以降は全員テレワーク、6月以降もハイブリッドワークという形でテレワークとオフィスワークを使い分けながら仕事をしています。

――社内コミュニケーションには、どのようなツールを利用していましたか?

茅野:主にSlackです。クライアントからのうれしいお言葉や社外媒体への掲載情報などをSlackで社内にシェアすると、自然と誰かが反応する状態ができあがっていることは、当社の良い文化の一つだと思います。コロナ以降もそれは変わらず、社員同士のコミュニケーションに大きな課題意識は感じていませんでした。しかし、6年あまりで200名弱の規模にまで急激に拡大したことに加えて、リモートワークの割合が高まると、どうしても日頃オフィスで行われていた些細なコミュニケーションや、オフラインの場で行われていた社内のイベントなどもできなくなり、結果的に他の組織の社員が何をしているのかが見えにくくなってしまいました。

そこで、Slackでは流れてしまい、見逃してしまうトピックをアーカイブして、さらなる社内の「見える化」を目的に「Story」の導入に至りました。2020年6月から利用を始め、1カ月につき1投稿を最低限の目標に運用しています。

社内報「Story」のトップ画面

植田:弊社には、当社のCIRCUIZM(行動指針)をより浸透させていくために有志で組成された、IZM PROJECT(イズムプロジェクト)という組織があります。知の探究委員会、ワクキラ委員会等があり、その中に茅野が委員長を務めるBranding Projectがあります。Branding Projectのテーマとして「サーキュレーション全社員マニア化」を掲げています。会社について知らないことがなく、誰よりもファンであって欲しいという思いが込められています。ですが、社員数が増え、組織が大きくなったり、今回のコロナのように同じ空間で過ごす機会が減ることによって、徐々に「知らないこと」が発生してしまうように感じています。そこを埋めようと、人事から情報を発信すると、重たく受け取られて、なかなか見てもらえないんですよね(笑)。そこで、もともとヘビーユースしていて仕様にも慣れているWantedlyから、新たに社内報のサービスをリリースされたと茅野に教えてもらい採用し、Branding Projectのメンバーに発信をしてもらっています。

会社から伝えたいことこそ、社員の目線で発信を

――約4カ月で24本と多くの記事が社内報に公開されていますが、制作にあたり注意されている点は?

茅野:1つは社員が読む必要性を感じられることや興味を持ちそうなことを、3〜4分で読めるコンパクトなボリュームで記事化するように意識しています。例えば、最近好評だったのは10/1に実施した内定式の記事です。オンライン内定式の模様を、準備段階から伝えつつ、合わせて「これまでの新卒はどうだったのか」と過去を振り返る記事を制作しました。対外的な記事ではないからこそ書ける、内定式の裏側を知らせる機会になり、「こんな準備をしていたのか」「今年の新卒社員がよくわかった」という声が社員から聞かれるなど、とても好評でした。

2つ目は、記事の「読みやすさ」を意識する一方で、人事や広報、経営陣が発信したい「思いの強さ」とのバランスも大事にすることです。「メンバーの『知りたい』をかなえたい」という思いは共通していますので、広報や経営陣と社内報の企画をすり合わせるコミュニケーションは特に重要だと感じています。

――すり合わせとは具体的にどんなことをされているのでしょうか。

茅野:企画側の「やりたい」という思いを尊重しつつ、経営陣と相談して記事を出すべきタイミングを計ったり、人事としての目線を取り入れたりするなど、関係各所の意図を反映しながら会社として発信すべきバランスを保つことを、特に意識しています。

その一環としてStoryの制作・運用は、植田が伝えた通り、Branding Projectで運営しています。Projectメンバーは、“全員人事・全員広報”という意識を持っており、常に当事者意識を持って企画・インタビュー・ライティングまでやってくれています。

Projectメンバーが執筆した記事の一覧

――運営面ではどのようなことを重視されていますか?

茅野:まだ始めて数カ月なので、まずは持続すること重視していますね。

植田:そうですね、継続できる体制づくりは重要です。担当が1人で背負ってしまうような運用では続けることはできません。先ほどお話したBranding Projectのように、社内の人を巻きこんだプロジェクトにする必要があると思います。

ただ、もしこうしたプロジェクトや基盤づくりが難しい社風の場合は、無理のない範囲で、小さなことでも継続することが一番重要だと思います。継続によって必然的に社員が記事と接触する機会を増やせますし、社内での「知らない」を解消できると思っています。

また、「バランス」という話があったとおり人事・広報目線に寄りすぎると、社員から見れば「言いたいことしか言ってないじゃないか」と冷めてしまって読まれなくなってしまいます。「内定式」記事の例もありましたが、広報から発信するよりもメンバーが主語になって発信した記事のほうが社内へからの反応が良いんですよね。会社から伝えたいことが、社員発信であることが重要であり理想です。

社内報に関わる一人一人が「組織の目線」で語れるように

社内報の記事が公開されるとSlackで活発なコミュニケーションが生まれる

――今後、Storyをどのように活用していきたいでしょうか?

植田:記事をきっかけに、コミュニケーションが再び活発になっていると感じます。ふだんはあまりリアクションしない社員からの反応もあるので、書く側のモチベーションに繋がり、うまく定着している手応えも感じています。今後書きたいことは、社内制度ですね。これは人事や広報から発信してもなかなか認知が広がらないトピックの代表だと思っていて。制度って、社員自身が活用するタイミングじゃないと興味を持てないと思うのですが、社内報を通じて、まずは制度を知ってもらえると良いなと思っています。

茅野:Storyの導入によって、これまでは表に出なかったプロジェクトや制度の裏側を目にする機会が増えたことで「自分たちがよりよく仕事をしていくには、どうすればいいだろう」という改革意識が芽生えたり、社内報に関わる一人一人が発信者の役割を担うようになって組織の目線で物事を語れるようになってきていると実感しています。

今後は特に「クライアントからのフィードバック」「社内の様々な良い取り組み」「社内の制度」の3つのテーマを発信していきたいと考えていますので、もし記事のカテゴリーを設定できる機能が追加されたらうれしいですね。社内制度などは、利用したいときになかなか情報が見つからないケースも多いので、アーカイブして必要な時にきちんと知ってもらえるようにしたいです。例えば「○○制度を使ってみた」という記事にすれば読みやすいし、制度の認知向上につながるのではないかと考えています。

(取材・執筆協力:伊藤七ゑ)

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