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【代表インタビュー】「いま空いているか1秒でわかる 優しい世界」を目指して

今回はVACAN代表の河野に、会社のルーツやその熱い想いを語ってもらいました!



-VACANを創業したきっかけは何だったんでしょう

河野)自分自身が「行ってみたけど、空いていなかった。」という残念な経験をしたことがあり、こういう状況を変えたいと思ったことがきっかけです。

20代の頃はひたすら仕事に打ち込んでいましたが、結婚と子供の誕生を経て、もっと家族との時間を増やしたい、大切にしたいと思うようになりました。ところが家族で商業施設に出かけた際、トイレも飲食店もどこも混雑していて本当に困りました。実際に行ってみないと空いているか分からない上に、子供を連れて動き回るのも一苦労。さらにそうこうしているうちに子供はぐずりだし、大人はイライラして・・・家族で楽しむはずの時間が、ただ疲れただけの時間になってしまいました。こういう悲しい体験を減らしたいな、と思い、事業を始めました。

-そうして始めたVACANのサービスですが、ミッションである「いま 空いているか1秒でわかる、優しい世界をつくる」には、どのような想いが込められていますか

河野)人は待たされるとイライラしてしまいがちです。正確にいうと、待つことそのものにイラつくのではなく、選択肢がなく待つことを強要された時にイライラします。何も知らずに行って待たされるのと、混んでいるのを分かった上で「それでも行きたい」と判断して待たされるのとでは気分が違いますよね。

VACANのサービスがあると混雑を避けられる、または、混雑があると知った上で行くかどうかを決めることができる。つまり、状況に合わせて自分で行動を選択できるということです。

待ち時間などの無駄な時間を減らして自分のやりたいことに集中できれば心に余裕ができますし、心に余裕があれば周囲にも優しくなれます。そうやってみんなが人生を自分らしく過ごし、大切な人と楽しい時間を共有できるような「優しい世界」を実現させたいと思い、このミッションをつくりました。


東京駅構内のグランスタ東京に設置されているサイネージ。グランスタ東京内飲食店の混雑状況がリアルタイムかつひと目でわかります

-新型コロナウィルスの流行により、何か変化はありましたか

河野)新型コロナウイルス以前は、混雑情報を提供することによりユーザーの利便性やQOLの向上が期待されていましたが、感染症拡大をきっかけに安心・安全の観点で「混雑情報」が注目されるようになりました。VACANのサービスがあると導入事業者は三密回避による感染症対策ができますし、ユーザーは人が多い場所や時間帯を避けることができるので安心して施設利用ができます。現在は避難所や投票所の混雑情報配信といった自治体との取り組みも拡大し、これまでよりも多くの世代の方に使っていただく機会が増え、さらには人命救助にも貢献できるようになりました。社会的意義や責任を強く感じています。

-時代の変化にここまでスピーディに対応できたのはなぜでしょうか

河野)特定の場所ではなく、さまざまな環境の混雑情報の検知ができるサービスを作ってきたことと混雑情報のリーディングカンパニーとして培ってきたノウハウが活きていると感じています。

このサービスを始める前は、「センサーなどを使えば空きを容易に検知できる」と思っていました。しかし、実際は環境によって取得方法も混雑情報の解析技術も異なります。さらにセンサーやカメラといったハードウェアを使って検知しているため、オンライン上で完結するwebサービスとは異なり、高さ・広さ・温度といったさまざまな物理的制約もあります。

私達は混雑情報を軸にしたプラットフォームサービスを目指しているので、取得領域を限定せず、あらゆる空間の混雑状況を取得してきました。そのため技術を複合的に活用するノウハウが蓄積されており、急激に市場環境が変わるなかでも迅速に対応できました。このさまざまな場所や用途に柔軟に対応できる混雑検知・配信技術や運用面での優位性は参入障壁にもなると思っています。

VACANのサービスをご利用いただくことで、「密」を避けて安心かつ快適な体験ができます

-自社独自の技術を生み出すだけではなく、それを守る・活かすことにも注力されていますね

河野)はい。創業初期から特許ポートフォリオを構築し、実際に5件の特許を出願しました。現在では国内外含め、70件以上の権利化が進んでいます。やはり特許があると、自社の技術やサービスの新規性・優位性や価値をわかりやすく伝えられます。さらには単に自社の強みを伝えるというだけではなく、スタートアップにとっては特に重要である「安心感」をお客様に感じてもらうことができるんです。

また、他社との連携においてはお互いの知財の境界線を明確にできるので、それぞれの利益を守りつつ、得意分野を活かした建設的な議論もできます。

-2020年2月には、特許専任のメンバーも採用しました

河野)特許専任を設置しているというのは、この規模のスタートアップには珍しいのではないでしょうか。それまでは私やエンジニアが手探りでやっていた業務を専門家に任せられるようになり、可能性が大きく広がりました。そのメンバーは社内の依頼に応じて申請手続きをするだけでなく、特許に関する情報収集や戦略立案をしたり、積極的に情報発信をして啓蒙活動を展開してくれたりしています。まだ形にもなっていないサービスの種が生まれるところから関わり権利化を模索してくれるので、エンジニアに限らず、営業やプロダクトオーナーなどからも気軽にアイディアや相談が持ち寄られるようになりました。

-社内では、組織の壁を超えたコミュニケーションが活発に行われていますよね

河野)先程の特許の例にもあるように、所属や職位・役割などに関係なく、フラット&オープンなコミュニケーションがとれる組織を心がけています。社内ではSlackを利用していますが、個人情報など一部の例外を除いてプライベートチャンネルの利用は禁止し、経営情報なども発信するようにしています。各メンバーがその日にやったことや感じたことを日報として投稿するチャンネルもあり、さまざまなネタで盛り上がっています。そのほかにも、その時々のホットトピックについて担当メンバーが語る「VACAN Session」(隔週開催)や、社内メンバーをゲストに迎えてのトークが人気の社内ラジオ「VACANの知らない世界」といったオンラインならではの取り組みも行っています。


チームを超えた交流も盛んに行われています

-VACANメンバーが大切にしているValueとColorとは

河野)Mission/Vision/Valueを定めている会社は多いですが、VACANではCorporate Colorである”VACAN Violet”も大切にしています。

紫は、赤と青という相反するイメージを持った原色同士の掛け合わせで生まれる色です。赤は強い意志や情熱などの意味合い。青は、逆に冷静や誠実といった意味合いがありますよね。VACANのメンバーには、熱い想いだけで猪突猛進に突き進むだけでもなく、一歩引いてただ批判するだけでもなく、強い意志と冷静な客観性を内面に併せ持ち、そして情熱と誠実さで周囲を動かしていけるようになって欲しいです。どちらか一方だけでは成し遂げられないことも、赤と青の両方を兼ね備えた自分たちならできると信じています。

Valueもこの「二面性」をキーワードに、それぞれ相反する言葉を組み合わせて作っています。

-そんなメンバーと、今後はどんなことにチャレンジしたいですか

河野)民間はもちろん、自治体との連携もここ一年で大きく強化しています。また大手企業ともさまざまな事業を一緒にやっているので、社会的なインパクトが大きく面白いことがどんどん増えていくんじゃないかとワクワクしています。

元々は混雑の「可視化」から始まったVACANですが、今ではさらに発展して「行列や座席のような空間のマネジメント」「長時間滞在の抑制」「施設にとってこれまでなかった新しい収益化」などもできるようになりました。将来的には買い物や食事といった日常から災害といった非日常まで、トータルでサポートできるプラットフォームへと成長させて、優しい街づくりに貢献していきたいですね。

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