スタートアップへ転職を希望する方は、「早期から活躍したい」、「スタートダッシュを切りたい」という想いが強いと感じます。そのため、ジョイン後の第1歩目となるオンボーディングも非常に重要視していると考えられます。
オンボーディングに力を入れているのが、私たちユーザーライク。「D10」という独自のオンボーディングプランで、入社後の早期からの活躍を目指しています。今回「D10」のプロジェクトオーナーの“ケビン”こと野村吉貴(のむらよしたか)、その「D10」を直近入社したメンバー向けに設計した石井琴音(いしい ことね)、入社時に実際にその「D10」を受けたPRの神田一政(かんだ かずまさ)に話を聞きました。
話の中で見えてきた、スタートアップにおけるオンボーディングの意味とは。
できるだけ早い段階で自走できるように
ーまず、「D10」とは?
HR “ケビン”こと野村 吉貴
ケビン:入社後のオンボーディングプランです。10日間のプランなので「Day10」に由来しています。
スタートアップへ入社する方はみなさん高いモチベーションをお持ちです。ただ、何もない状態で「結果出してね」といきなり現場に放り込まれても、成果にはつながりにくい。できる限り早い段階で自走できるように、会社のことや自分が関わっていくメンバーについて知ってもらうための期間を設けました。
ただ、丸々10日間をインプットに充てるわけではありません。当社は、お花の定期便「ブルーミー」を運営する会社ですので、サプライチェーンや実際にお花をユーザーさんに届ける工程の理解、さらに今後の自身の業務に活かすヒントを得るため、10日間のうち2日間は作業を行なっている自社拠点にて実業務を体験してもらいます。インプットに充てられるのは最大8日間。チームによっては最初の5日間ぐらいでインプットを行ない、2週目以降はアウトプットを出すための準備が始まります。
ーなぜこういったオンボーディングプランを?
ケビン:きっかけは、四半期ごとに行なっている全社合宿で「メンバー育成」が議論テーマになったことです。
全社合宿で、次の四半期に注力していくべき全社課題を議論するなかで、入社メンバーのオンボーディングについて全メンバーで話し、プログラム化することになりました。
この件をテーマに設定した背景は、入社後に活躍する人と苦労する人がいることを目の当たりにしたことです。活躍できる人の共通項を探ったとき「会社のカルチャーに馴染む」「会社を知るためのキャッチアップが早い」「他部門との協業・連携スキルが高い」など複数の項目が挙がりました。それらを早い段階で体験し、身に付ける機会としてD10を設計しました。
もう少し詳しく説明すると、「入社から6ヶ月後に期待している状態にするためにはどうすればいいか」から逆算し、3ヶ月、1ヶ月、そして10日間でマイルストーンを設定。入社の1ヶ月〜2週間前ぐらいから各チーム、各レイヤと議論し、プロジェクトを準備し、D10の内容を詰めていきます。
マーケティング 石井 琴音
石井:D10の内容は、ある程度パッケージ化はされているものの、詳細は入社される方に合わせオーダーメイドで作成します。
2022年末に入社したPRの神田さんを、例に挙げて説明しますね。まず、彼のこれまでの経歴を踏まえ、彼の上長となるCMOの戸口さんと相談しながら、プランを組み立てました。
神田さんの場合は、PR業務の経験は豊富だったので、事業理解を深め、社内コミュニケーションを円滑にするための時間を多めに用意。3週目には自走できる状態にすることをゴールに設定しました。
ケビン:これだけ工数をかけて、細かくカスタマイズできるのも、まだまだ少数精鋭の規模で、基本的に即戦力を採用しているからです。期待していることがある程度明確化しているからこそ、D10の中身に落とし込みやすい。もちろん入社タイミングなのでピボットすることもありますが、目線が大きく変わることはありませんからね。
全社巻き込み方のオンボーディングプランだからこそ
ー実際、入社してD10を知ったときの印象は?
PR 神田一政
神田:シンプルに「ここまでプログラム化されていてすごい」と感じました。入社した初日に、プログラムと必要資料がワンパッケージになって提示されたのですが、内容にも納得感がありました。先ほどの話にもあったように、私自身いろいろな部署のメンバーと1on1をしたい気持ちがあったので、すでにプログラムに組み込まれていたことはありがたかったですね。
D10自体、全社巻き込み型のプロジェクトなので、みなさん協力的で、私から変にお伺いを立てるような必要はなかったし、進捗管理についても1日ごとに能力面と心理面の状態定義があるので、やりやすかったですね。
ー“受け入れ側”としての手応えは?
石井:非常に順調でした。前半は社内の関係値づくりに重きを置き、後半は取材対応などをお願いしたのですが、どちらも全く問題なかったです。
特に後半の取材対応では、早期に成果を残してくれて。これまで当社にはPRの専任が不在だったため、取材対応もかなり属人的だったのですが、彼は早々にドキュメントをつくってオペレーション化に尽力してくれ、基盤を整えてくれたことは期待以上でした。
ー期待以上と言われていますが。
神田:いやいや、恐縮してしまいますね(笑)。
今振り返って自分なりに要因として考えられるのは、早い段階で事業戦略やコミュニケーションメッセージのキャッチアップができ、かつ他部門とのコミュニケーションのストレスが全くなかったことです。他部門とのコミュニケーションも、最初の1週間からかなりスピード感を持って連携を取ることができ、1on1の場を設けてもらえていたことが大きかったと思います。
あと、ひとつD10には「掟(おきて)」があって、期間中に何かしらのアウトプットを求められます。少数精鋭の組織において10日間ひたすらインプットだけを繰り返していると、肩身の狭い想いをしてしまいがちですが、アウトプットが求められることで少しでも事業貢献できている気持ちになれるし、社内の協力も仰ぎやすい。
プレッシャーはありつつも、ストレスに感じることはありませんでした。
1ヶ月後、3ヶ月後、そして半年後にまなざしを
ー今後の課題は?
ケビン:D10以降の取り組みについてです。
10日間のオンボーディングプランは手厚いが、終わったら放任のような構造になっていて分断されていました。もちろん放任でも活躍できる人はいますが、活躍まで時間を要するメンバーもいるので。もう少し先を見据えて、1ヶ月、3ヶ月、そして半年間で目線を合わせる「M6」(Month 6 に由来)もスタートしました。
M6のプログラムは、現在はテスト運営をしている段階です。
D10を終えたメンバーに対し、ヒアリングをしながら、その後の動向について現状把握と情報収集をし、アップデートをしています。
石井:課題……逆に神田さんに聞いてみたいですね。プログラムは私がよしなに組んでいたのですが、どうでしたか? 「これはほしかった」「これは後回しでよかった」などがあったらぜひ聞きたいです。
神田:違和感はなかったですね。もしプログラムがなくても「こういう情報が必要だ」と思っていたことが網羅されていました。1〜2日目は事業戦略やこれまでの各部門の取り組みやPR活動に関するインプットが中心で、3日目以降でマネージャー陣との1on1が始まったので、バランス的にもありがたかったです。
石井:個人的には、PRが事業成長に貢献していくためにもう少しプラスアルファの要素を提供したかった気持ちがあったので、良かったです。
会社を上げて成長を後押ししたい
ー改めて、組織運営におけるオンボーディングの意味づけとは。
ケビン:「次元圧縮」。先ほど名前が出たCMOの戸口さんがよく口にする言葉で、社内でもよく使われている言葉です。オンボーディングも他のスタートアップだったら最初のインプットまで1ヶ月ぐらいを見るのかもしれませんが、私たちは「1か月でできることを2週間でやろう」と思っています。
だから、インプットでもあり、カルチャーマッチの期間でもあるわけです。スタートアップへ仲間入りすることは何かしらチャレンジや自己実現したい欲求があるはずなので、叶えるチャンスは提示したい。ハードな10日間になるかもしれませんが、全社で活躍をサポートしたいきたいと考えています。
石井:「人」に対する想いは強い会社だと思います。経営陣が人を育てることの重要性を理解している。
少しずつ組織の規模が大きくなったからこそ、オンボーディングに力を入れて、入社後の活躍を後押ししたいと考えているのではないでしょうか。
ー最後にユーザーライクへの入社を検討している人へひと言。
ケビン:成長したい欲求があるのなら、ぜひユーザーライクを選んでいただきたい。欲求を叶えられる場所だと思いますし、今後も成長をさらに加速させる仕組みをつくっていきたい。
神田:「周りのメンバーの成長スピードが早いから、自分もより早く成長し続けたい」という気持ちもあります。いい意味で成長を強いられる環境だと言えるかもしれません。
(おわり)