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美容室の支援は社会の役に立つのか?

techners株式会社CEOのじゃっきーです。

先日、エンジニア時代の先輩と、採用やチームづくりについて話をしていた際にポロッとこんな話を耳にしました。

「大義とか、やりがいを考えて仕事したいよねぇ...。」

今回はなぜ美容室の支援をしていきたいと考えているか、ちょこっとだけ触れてみたいと思います。

最初のきっかけ

僕が美容室に興味を持ったのは、大学生になって初めて美容室に訪れた時からでした。10年以上前に遡りますが、今でも鮮明に記憶に残っています。

おしゃれの右も左もわからず(今でもわかっていないかも...)、「短めのいい感じで....」とふわっとしたオーダーしかできない僕を、必死に理解しようと質問を投げかけながら向き合ってくれた美容師の方。じっくり30分ほど話を聞いてもらってからの、「あとは任せてください!」と一言に、「こんなに良いサービスがあったなんて...!!!!」と強烈に感動した記憶があります。

その後、すっかり美容室が気に入ってしまい、お店に通い詰める中で美容室の現状を根掘り葉掘り質問攻めにしていました。

「リピーター商売だと思ったんですけど、どうやって顧客管理をしているのですか?」

「こんなにも良いサービスを提供しているのに、どうしてカットは4000円なのですか?」

「美容師って修行期間は長いのですか?」

「カラー剤とかはどうやって買ってるんですか?」

などなど。失礼な質問もあったかと思いますが、気になった全てを片っ端から質問していました。そして、その答えは自分の想像を遥かに上回るような内容でした。

「お客様の管理はノートでまとめている。けど、探すのが大変なんだよね...」

「そうなんだよね。しかも最近は都心でもどんどん料金が安いお店が出ているんだ」

「大体3~5年くらい修行するね。しかも修行中に半分以上辞めちゃうんだよね、生活ができないから」

「卸売の人にFAXで注文するよ。そしたら車で届けてくれる」

頭の中が?????だらけになりました。

顧客管理を紙??データ化していないのはなぜ??経営判断どうするの??

価格を下げる??下がった結果ビジネス成立するの??誰に皺寄せがいってるの??

半分辞める??教育方法に何か問題あるんじゃないの??

FAX??しかも自社で配送??数百円のものを??

大学生の僕でも、何かこの業界はおかしなことが起きていそうと理解するには十分でした。そして、どうもそれが当たり前のことだと疑いが持たれていないようでした。

この時には「とてつもなく課題は大きそうな業界だな〜」くらいの認識でしたが、頭の片隅から離れなくなりました。

なぜ自分達が関わる必要があったのか?

その後月日は経ち、僕もDeNAでエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、その後海外のVCに転職し投資先の経営支援に従事していました。

ひょんなきっかけで、自分で事業を始めたいという思いが強くなり頭の片隅から離れなかった美容室について、今度はしっかり調べてみました。

「流石に8年も経っているから、何か変わっているだろう」

「高単価の美容室は増えたのだろうか」

「教育制度は変わって、オンラインでの教材は充実しているだろうか」

「オンライン注文で簡単に安く、便利に材料も買えるようになっているだろう」

............こんなことを考えていましたが、実態は8年前の学生時代に感じていたことと、なにひとつ変わっていませんでした。

なぜだろう?8年前と比べてスマホも普及した。テクノロジーもクラウド中心に開発コストも落ちた。EdTechなど、オンライン教育にも十分波は来ていた。オンラインでモノを買うのは当たり前になったはず。なぜ?なぜ??

調べても調べてもよくわかりませんでした。わかったことは①いろんな思惑が絡まっていそうで、どうも1つのサービスで突き抜けられるほど単純な状況ではないこと②それを解決できそうなエクセレントなテック企業は、美容業界には参入していないこと、の2つでした。

「事業に取り組むならば、自分達がやる意味を強く感じられる領域が良い」と考えていた最中でしたので、10年弱変われなかった十分難しい課題を抱えている美容業界はまさに最適な領域でした。

意図せず「美容に興味をもっている」x「テクノロジー畑出身」x「事業支援の経験もある」という掛け算キャリアを歩んできた自分だからこそ、ファーストペンギンとして飛び込んでみようと思えた瞬間でした。

美容室で毎日行われていること

その後現場第一と考え、せっせと美容室に足を運ぶ中で、強烈に印象に残っている体験があります。

ある千葉のお店で、営業中の一幕でした。

ちょっと怪訝なお疲れ顔をしたお母さんが来店しました。初めての来店だったらしく、緊張もしているのか目つきもやや厳し目です。日々の疲れも滲み出ているような、そんな印象を受けました。

席に案内されて、担当美容師の方がカウンセリングを開始。担当の情熱にどんどんと巻き込まれてノリノリになるお母さん。表情がパッと明るくなっていきます。

そしてあっという間の2時間の施術でした。帰り際には別人のように表情も明るくなり、足取りも軽くお帰りになられました。本当に本当に幸せそうに、お店を後にされたのです。

このたった2時間で行われたことが、今でも僕は忘れられません。

エンジニアとして、必死にプロダクト開発に取り組んでいた日々。毎日ウンウン言いながら、ユーザーの価値とは何か?を頭がちぎれるほど考え、ユーザーに憑依したつもりで想像し、コードを書くことで製品を作り上げていましたが、1ヶ月サイクルでのサービス提供です。優秀なメンバーが何十人も集まって、です。

経営支援の現場で、日本語が通じない中でも身振り手振りと力になりたいという思いを精一杯示す中で、現地メンバーと信頼関係を築くにも数ヶ月はかかりました。実際にその先のエンドユーザーに価値を届けられたのは、もっと先の話です。

誰かの人生を変える体験を、こんなにも短い時間で、しかも毎日繰り返している。こんな付加価値の出し方を毎日、毎日繰り返している人がいる。この人たちの力になりたい。この人たちがお客様の人生を変えていけるよう、非効率な作業は効率化し、より付加価値が高まるお手伝いをしたい。自分達のエネルギーを注ぐ先に、このような人たちがいるんだと強く実感できた瞬間でした。

改めて、美容室を支援する意義とは?

自分にしかできないことをやりたい、そしてそれが本当に誰かの役に立っていると実感できていることは、毎日の大きな充実感につながると思います。

僕たちはお客様の人生を毎日変えている、精一杯美容に向き合っている美容師・美容室の力になりたいです。そしてそれは、テクノロジーの力を強く信じている自分達だからこそ出来ることであるとも思います。

ここまで読んでいただいた方は、きっと文中の何かが面白いと感じていただいているのだと思います。テクノロジーが、デザインが、美容室を大きく変える力になります。あなたが得意なことで、大きな課題の解決を手助けできます。

「もうちょっとだけ話を聞いてみたいな」と思った方は、お茶でもしながらぜひお話ししましょう。きっとあなたが求める大義ややりがいを満たしてくれる環境だと思います。

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