キュレーター/コレクターの私が"サスティナブルで成熟したアートシーン"をThe Chain Museumでつくれると信じる理由。 | 私が入社した理由
アート・コミュニケーションプラットフォーム「ArtSticker(アートスティッカー)」を軸にアートビジネスを展開するスタートアップ「The Chain Museum」に、2022年1月から新た...
https://www.wantedly.com/companies/t-c-m/post_articles/374262
2024年より、一人一人のメンバーの活躍・成長の裏側にスポットライトを当てながら、The Chain Museumでの仕事の面白みや、組織の魅力について発信する新企画「My Career Story」がスタート。
一人一人の等身大の言葉を通して、具体的な仕事内容もイメージいただける記事となっております。ぜひご覧ください!
アートコンサルタント。SBIアートオークション株式会社にて、作品の解説文執筆、オークショニア、営業、広報を担当。現代アートについて学術サイド、プライマリー、セカンダリー流通全てに携わった経験から、アップカミングな若手作家から資産性の高い作家まで幅広い視点でのキュレーション、コレクション形成コンサルティングを得意とする。2022年1月よりThe Chain Museumに参画。
The Chain Museumの「アートコンサルタント」は、 アート領域のプロフェッショナルとして、展示企画からキュレーション、社内外のプロジェクトに関するマネジメントやコンサルティングまで横断的に関わる役割を担う仕事です。
アーティストやコレクターを始めとした様々な関係者とのリレーション構築を行いながら、組織としてのアートリテラシーや企画力の向上、事業の価値向上の種となるプロジェクトを開拓し、The Chain Museumの提案を常にアップデートしていく、重要なポジションです。
最初に携わったのは「展示企画」の仕事です。
私は大学院修士課程まで美術史を専攻し、学芸員を目指していたものの、現代アート最前線への自主規制なしのフルコミットの難しさに直面し、別の角度から現代アートに関わる立場を選びました。その背景から、The Chain Museumでは主に2つの観点を大事にしながら、展示企画・場づくりを行ってきました。
1つは、国内の美術館が企画しづらい内容の展示にフットワーク軽くチャレンジすること。
例えば「会田誠」さんの展示など、アーティストとしての影響力があり、様々な反響を呼ぶ可能性のあるモチーフやテーマを扱う場合。もしくは「加藤泉」さんのように海外の美術館での豊富な展示実績がありつつ、近年、国内の開催は数を絞って来られた作家の場合などです。
そうした国内の中堅から大御所にかけてのアーティストの方々に、ホワイトキューブではなく”実験”をしていただくための場所である「Gallery & Restaurant 舞台裏」(自社運営の常設ギャラリー)を立ち上げ、企画・運営を行っています。
Izumi Kato, Untitled, 2023. Urethane paint on aluminium, coating, stainless steel. Photo by Yuta Saito. Courtesy the artist and Perrotin. ©2023 Izumi Kato
▲企画を手掛けた、「Izumi Kato」展(Gallery & Restaurant 舞台裏)
もう1つは、若手アーティストの方々に”作品の文脈付け”や”対話”をもたらす展示へチャレンジすること。
欧米では美大の授業に組み込まれているほど、必須である作品のコンセプト作りについて、日本の美大教育の課程で学ぶことは稀であり、卒業後もその必要性は意識されづらい現状があります。一方、海外に出る意欲のある人が後からそれに気づいて、スキル不足につまづく場面も多く見受けられます。
こうしたアーティストの抱える課題に対しては、自社運営の常設ギャラリーである「アートかビーフンか白厨」や「上野下スタジオ」などで場づくりを行っています。具体的には、様々なメディウム・形式を用いる若手作家の展示を企画し、キャリアの築き方についてのアドバイスや、コンセプトを練るためのサポート、業界内プレーヤーとのコネクション形成など、その後の糧になるような解決策を提供しています。
▲立ち上げを手掛けた、上野下スタジオ。
最終企画ABAB閉店大大大感謝芸術祭が2024年6月30日(日)まで開催
The Chain Museumでは、展覧会企画や実施の旗振り役・調整役を担うポジションを「プロジェクトマネージャー(PM)」と呼んでいます。
アート業界ではこの言葉が一般的ではないため、当初この役割を任された時は私も困惑しましたが、「ギャラリーや美術館で普段行われている一部業務を切り離すと、一般企業でいうPMに確かに相当するなあ」と、飛び込んでみて改めて気づきました。
相対するクライアントには、アートを主軸にしない一般企業も。そのため、一般社会でPMが行っている業務や効率化された手法を学べたことは、仕事の幅を広げることに繋がったと実感しています。
主に関わったPM業務で、達成感があったことは2つです。
1つは社内メンバーの目線を揃えるための言語・基準作り。
社内にはアートに詳しいメンバーのみならず、エンジニア、アートとは接点のない企業出身者など様々な背景を持つメンバーが在籍。アートに関する情報粒度が異なる状況では課題点や改善策が洗い出せないため、まずは全員の前提を揃えるべく、アーティストの制作スタイルやキャリアの段階をマッピングすることから始めました。
そうした軸を作った上で、社内のデータベースに反映し全員に共有したことで、今では全員が同じ目線で話ができる環境が整いました。当初は社内言語の統一を目標に進めたプロジェクトでしたが、結果としてアーティストのキャリア形成における課題感や抱えている問題を解決するための施策を生むきっかけともなりました。
もう1つが、購入者(コレクター)と出品者(アーティスト)がArtStickerを利用する上で感じているハードルを下げるためのプロジェクト。
転職した当初から、コレクターや著名なアーティストの中にはThe Chain Museumの存在を知らなかったり、ArtStickerを利用していない方も一定数いるということに漠然とした課題感を感じていました。
そういった課題感も、一つ一つの作品購入状況やデータを見ていくと様々な発見が。そこから解決策を洗い出し、改善機能をUI/UXデザイナーと設計し、エンジニアメンバーにウェブサイトやアプリの改修をしていただく旗振り役を率先して担当しました。
▲開発チームと連携の上、2023年12月にリリースした「ウェイティングリスト」機能
The Chain Museumの「セールス」の業務は、作品販売に繋がるコミュニケーション取りや、施策の立案・実行を指します。
前職でのセールス担当時から、ニーズを把握し確度の高い提案に繋げるためには「まずはお客様の声をしっかり聞くことが全て」だと考えていた私は、それを常に意識することを心掛けました。特に、ArtStickerの「アプリ」という特性上、対面での顧客コミュニケーションは難しいため、いかにオンラインで作品を売る流れを作るかに注力しました。
また、ArtStickerというプラットフォームだからこそ挑戦できた新しい仕事も多くあります。
作品販売は、購入者の属性によって、欲しい情報や機能が異なります。そのため、PM業務で行ったことと一部リンクしますが、顧客データベースも見直しました。いわゆる「嗜好のマッピング」です。その上で、アーティストの作品形態のマッピングシステムとも連動するようにしました。歴戦の方々が感覚とセンスで行ってきた質の高い作品提案を、ロジック作りとデータベース化に繋げることで、アート作品販売経験の浅い人でも提案することができる環境を作りました。
一方で、アート業界のテイストメイカーなどのいわゆるVIP向けのコミュニケーションにも、常に気を配っています。「こういう作品がお好きそうですよね」「新しい別荘を建てたと聞きましたが、こういう作品はいかがですか」など、一人一人のお客様に対してピンポイントで提案ができる関係性作りは今でも継続して行っています。
全体として、自分のスキルの幅が広がったと感じています。
PMとしての立ち回り方・方法、対企業戦略、アプリやテクノロジーといった、過去無縁だったものを次々と学べました。有名企業の第一線から転職してきたメンバーなど、超一流の人材からスキルやノウハウ、考え方を取り入れられたことは刺激になりました。
アート方面で言えば、次世代の表現・歴史に関われていることがとても楽しいです。コレクター歴の長い弊社代表・遠山の嗅覚やフットワークが軽い社風に面白みを感じていただけているからなのか、企業や行政、アーティストの方々から面白いプロジェクトに声をかけていただけることは、この組織ならではの強みです。
The Chain Museumは、アート業界において「既にあるものを尊重しながら領域を拡張していく立場」を取っています。私の入社当初は、まだ会社・事業の認知が十分に広まっておらず、業界内での評判や見られ方をそこまで気にすることなく、水面下で自由に色んな実験やトライができました。そういった仕込みの時期があったからこそ、一定の認知が広まった今、「注目してなかったけど、なんか最近あちこちで見るようになってきた」と言っていただけるフェーズに移行したと捉えています。
The Chain Museumが提案する様々な企画やプロジェクトは、「次世代の当たり前」になり始めています。とても良い時期に参画でき、やりがいのある仕事を任せてもらえて、心から嬉しく思います。
拘束時間など就労環境で苦労することの多いアート業界出身の私からすると、以下の2つは特に魅力的です。「実はアート業界の理想の働き方ができる会社なのでは」と感じるくらい、環境が整っています。
展示や企画をする際、「チームで役割を分担する仕組み」が徹底されている点。例えば、アート業界では、骨組みを考えて文章を書く担当、企画の進行/予算管理担当、会社の運営/予算管理担当、ファンドレイジング担当は全て一人でやるケースもありますが、The Chain Museumの場合、担当は複数人に分担され、リソース状況を常に配慮しながら協力・フォローしあえる体制が整っています。
アートに携わる身として嬉しいのがバリュー支援制度(※)。美術館入場料や書籍代、アートに関連する体験や旅行のための費用に一定の補助が出ます。これにより、プライベートの学びを積極的に仕事に繋げることができています。
※制度についての詳細は「私たちについて」ページをご覧ください
アーティストや作品に文脈を与える力のある人材が、今のThe Chain Museumにはもっと必要です。その様な仕事に取り組みたい方や自信をお持ちの方、どうぞお力を貸してください。
アーティストやギャラリーとコミュニケーションを取ることが多いポジションです。初心者の方、ギャラリーで働いていたことはあるけどPMというと身構えてしまうという方のためにも、一人前になれる教育プログラムがありますのでご安心ください。
アート作品の販売は作品自体の特性や購入属性の幅が広い特徴があります。そのため、人と話すことが得意な方を大募集しています。百貨店外商員やコンシェルジュに近いお仕事をされている方や、作品の魅力を語るのが得意な方、幅広い顧客にフラットにコミュニケーションができる方などは力を発揮いただきやすい環境です。
皆様のご応募をお待ちしています!