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マーケティングとは「商品やサービスが選ばれる確率を上げる仕組み」を考えること ― シナマケ大学・東山さんインタビュー(前編)

シナジーマーケティングが行っている、デジタルマーケティング支援。いったいどんなことをしているのか? そもそも「マーケティング」って何? どんなスキルが必要なの? 
就活生からよく聞かれる質問を、シナマケ大学(*)・学長の東山さんに聞いてみました。

*シナマケ大学とは:
お客様への提案の質を高めたい、自身の支援の幅を広げたい、という有志が集まって始まったシナジーマーケティング社内の学習コミュニティ(※2020年3月~2022年4月までの取り組みです)


東山さん(写真):
2016年新卒入社。CRMの「コミュニケーションを通して、消費者と企業の関係性をよりよくする」という考えに共感し、シナジーマーケティングに入社。
入社後はデジタルマーケティングのコンサルタントとして数十社のマーケティング活動をご支援。現在はクラウド事業部事業戦略グループのマネージャーとして、自社の事業成長に向け、奮闘中。

木戸口(聞き手):
経営推進部所属。2021年8月中途入社。前職は電気通信事業者に勤務。コーポレートブランディング推進や広報等に従事。広島県からフルリモートで勤務。


そもそもマーケティングとは? デジタルマーケティングで何ができる?

木戸口:
前提のところなのですが、マーケティングとはそもそもどういう概念なのでしょうか?

東山さん(以下、東山):
すごくむずかしい問いですよね。いろいろな考え方がありますが、私自身は「商品やサービスが選ばれる確率を上げること」という説明が1つのよい解釈なのかなと思います。

「自社(の商品・サービス)がなんで選ばれるんだろう?」を突き詰めて考えて、選ばれる理由をしっかりと作って、それを選んでくれるであろうお客様を見つけて、そこに情報を届けて、お客様が買いたいと思ったり必要になったタイミングで自社(の商品・サービス)を選んでもらう。この一連の流れを考えて作っていくのがマーケティングにおいて重要なポイントだと考えています。

木戸口:
想像していたより、かなり幅が広いんですね。

東山:
そうなんです。マーケティング=広告のイメージを持っている就活生って多い印象ですよね。でも実際は、広告以外にも「マーケティング」が担う役割は幅広くあるんです。
たとえば、マーケティングのフレームワークとして有名な「4P」でも「Product」「Price」「Place」「Promotion」という4つの要素に分解をしています。広告はこの中の「Promotion」の要素が強いですよね。なので、就活で企業を見るときも、4Pのどの部分にどこまで関わった仕事がしたいのか、どの部分のマーケティング活動をやっているのかを意識するといいのかなと思います。

木戸口:
自分のやりたいことと、その企業でできることがぜんぜん違う、ということもありえるわけですね。
ちなみによく似たような言葉だと思うのですが、デジタルマーケティングとWebマーケティングとは違うものなんですか?

東山:
正直、世の中的にも明確に切り分けて使われていないケースが多いと思います。私自身も境界線が曖昧な言葉だなと感じています。デジタルマーケティングの中にWebマーケティングが含まれているイメージですね。

WebマーケティングはWebの中で行うマーケティング活動を指しており、具体例を挙げると、サイト改善がこれに当たります。一方、デジタルマーケティングは、オンライン・オフラインのどちらかに閉じず、デジタル技術を掛け合わせたマーケティング活動を指すことが多いです。たとえば、Webで試着するアイテムを選んで店舗で買う、というような感じですね。

木戸口:
そうなると、Web広告の運用をやっている会社が「デジタルマーケティング事業をしています」というのも、間違いではないんですね。

東山:
そのとおりです。デジタルマーケティング、Webマーケティングといった言葉だけで判断せず、どんな事業をしているのか、どんなサービスを提供しているのかを、きちんと確認し、理解することが大事ですね。


木戸口:
生活に身近なマスメディアの視点だと、広告=テレビCMというイメージもありますが、最近は、テレビ番組見逃し配信サービスでも広告が出てきますよね。これも、デジタルマーケティングのひとつになるんですか?

東山:
なってくると思います。テレビ局のデジタルマーケティングという捉え方ですね。

オンラインとオフライン(またはデジタルとアナログ)の境目って、どんどん近づきつつある気がしています。テレビCMから、熱心に視聴してくれたか、売上につながったかなどCMの効果を検証する技術なども出てきているので、そういう意味では、デジタルマーケティングとテレビCMなどアナログ(オフライン)が掛け合わされていく流れがあるのかなと思います。。

木戸口:
そうなると、いずれアナログだけのマーケティングはなくなってしまうんでしょうか?

東山:
おそらく、なくなることはないと思います。実店舗の店づくりなどリアルな接点でのマーケティング活動は今後も必要不可欠です。

とはいっても、生活や価値観が多様化して、デバイスも進化を続けている中で、今後も、消費者がデジタルに接する時間はどんどん増えていくでしょうし、デジタル技術を活用するシーンや場所も増えていくと思うんです。もちろん、デジタルとアナログの使い分けが必要ではありますが、デジタル技術が有効な場面を見極めて上手く活用することが、ますます大事になってくると思います。



木戸口:
使い分けを考えるという部分でお聞きしたいのですが、デジタルマーケティングに得意・不得意みたいなものってあるんでしょうか?

東山:
技術の使い方次第で実現可能となることが多いので、費用対効果を考えなければ不得意分野はあまりないかもしれません。唯一あるとしたら、五感に訴えるのはむずかしいかもしれません。視覚・聴覚はある程度カバーできているとしても、嗅覚や触覚はむずかしいと思います。視覚・触覚のところでいっても、やっぱり生でライブを見に行ったときの臨場感や興奮ってなかなか再現できないのではないのかなと感じています。。

木戸口:
たしかに、匂いを嗅いだり、触れて実感するみたいなことはできないですもんね。

東山:
「頑丈で軽いメガネです」と言われても、わからないですからね。でも、伝わりきらないからこそ、実際に触ってみたい、確かめててみたいという感情を起こすことはデジタルマーケティング活動の中でもできると思うんです。デジタルがアナログを補完できるような仕組みや仕掛けが、必要とされているんじゃないかと思ってます。


デジタルマーケティングに携わるには、どんな能力やスキルが必要ですか?

木戸口:
次は就活生ならではの質問なのですが、デジタルマーケティングを仕事にするのに必要なスキルってどんなものなのでしょうか?

東山:
能力やスキルも大事なのですが、一番大切なのは「マーケティングに興味があること」ですね。

あくまでも個人的な意見ですが、マーケティングがやりたい→マーケティングの中で「デジタルマーケティング」をやろうという流れの方が仕事を楽しめるのではないかなと思っています。逆に極端なケースだと、デジタルやITが伸びてる→だからデジタルを使った仕事をしたい→デジタルマーケティングをやろう、みたいな考え方があります。これは当然、個々人によりますが、後々しんどくなる気がしています。

木戸口:
なぜ、デジタルやITが伸びている、という入り口ではダメなんですか?

東山:
「『AIを使って』マーケティングを支援する会社がいいなと思いました。」というのは、入り口としては悪くないんです。興味を持つきっかけはなんでもいいと思います。

ただ、マーケティングで成果を出すには、最初に言った、お客様に自分たちが選ばれる確率を高くしていくとか、思い出してもらう確率をどう上げてていくのかといった、消費者理解が必要不可欠なんです。なので、マーケティングそのものに興味がないと、ただただデジタルを使うことが目的化してしまいやすい印象があります。そうするとどこかのタイミングで、「なんのためにこれをやっているんだっけ」と迷いが生まれてくるのではないかなと思います。

デジタルやITなど「技術」に対する興味と同じくらい、消費者理解など「人の感情や行動」に対する興味を持てるかどうかを、就活の際に考えてみてもいいのかなと思います。

木戸口:
デジタルマーケティングではあるけれど、デジタルじゃない部分が大事なんですね。
もうひとつ、マーケティングは数字に強くないとできないんじゃないか? という質問がよくあるのですが、実際のところ、どうなんですか?

東山:
統計や高度な数学ができればプラスになりますが、マストではない職種も多いはずです。ざっくりとしたイメージとしては、二次方程式だったり関数を理解できるくらいであれば大丈夫なのかなと思います。数学の知識があるとか問題を解けることよりも、解き方を考えられる、仮説を検証する方法を考えられる、問いを作れる、といったことのほうが大事かもしれません

具体的な例を挙げると、お客様のECサイト上での購入データを見たときに、何をどう見ればリピート率の高いお客様の特徴を見つけられるのかとか、そういうことを組み立てられる、という感じです。

木戸口:
組み立てる力を身につけるというのもむずかしそうですが、数学の専門知識はなくても大丈夫というのは、よくわかりました!

東山:
スキルはトレーニングで身につけられるので心配ないですよ。本当にむずかしいのは、やっぱり消費者を理解して仮説を立てるところだと思います。

たとえば、こういう行動を取っている人はリピート率が高い/低いというのは、データを見ればわかります。じゃあ、リピート率を上げるにはどうしたらいいのかというと、リピート率が高い行動を取っている人を増やすか、リピート率が低い行動を取っている人にテコ入れするという話になりますよね。でも、ここから先がむずかしい。
なんでリピート率が低いのかという理由に対して解決策を出さないと意味がないのですが、数字だけ見ていてもわからないことが多いんです。私自身もさまざまな案件を経験する中で、この点に気づいてからは、「なんでこの結果が出ているのか?」を数字以外の面も合わせて考えるようになりました。

木戸口:
「考えてみるようにする」だけで、理解できるようになるものなんでしょうか?

東山:
そこでいうと、答えがない世界なので、理解できるようになったかどうかはわからないというのが、正直なところです。でも、思ったとおりに結果が出たかどうかは振り返るようにしています。結果が出ていれば、それは一つの正解ですから。

考えるという部分で何をやっているかだと、お客様の商品を実際に使っている人に話を聞いたり、SNSのコメントを見たりは、意識してやっています。あとは、Aさんという人にこの商品を買ってもらうには、どうやって説得したらいいんだろう? 何を伝えたらこの人は響くんだろう? みたいなこともよく考えたり、実際に売り込みをして試してみたりしています。

木戸口:
年齢も、性別も、興味があるものも、まったく違う人を説得するってむずかしいですよね。

東山:
むずかしいけど、すごくおもしろいんですよね。そういえば、この前もこんなことがあったんです。母(60歳)が急に、給湯器を買い換えると言い出して。故障する気配もないし、ちゃんと動いているのに「なんで?」と思うじゃないですか。

母曰く、給湯器の耐久年数が10年だということを聞いて調べてみたら、実家で使っているものは11年目になっていたそうです。夫婦2人であれば、給湯器が壊れても銭湯に行ったりして凌げばいいけど、お正月に家族が帰ってきたときに故障したら困る。なかなか会えない家族との楽しい時間が壊されるのは嫌だということで購入を決めたらしいです。給湯器が壊れたから買い換えるという「理屈」ではなく、「不安」が購買行動につながっていたんです。

こういう話を聞くと、上手くマーケティング活動の中で使えないものかと思うんです。自分なりに「これってこういうことなんじゃないかな」と考えて、納得する機会を増やしていくんですね。

木戸口:
いろいろシミュレーションしてみるんですね。

東山:
そうですね。「耐久年数を知ることが購入のきっかけにつながっているんじゃないか?」と思いついたら、次は、どうやって確かめるのかを数値的に考えていきます。お客様の中に給湯器の耐久年数を知らない人が8割いるとして、知っている人を4割に増やせば売上って2割ぐらい増えるんじゃないのかな、と考えてみたり。

木戸口:
イメージする力とロジカルな思考、両方が必要なんですね。

東山:
たしかにそうかもしれません! 私もまだまだ未熟ですが、やってみるとけっこうおもしろいですよ!

*後編では、引き続き東山さんに「デジタルマーケティング支援」について、お話をお聞きしました!

人と企業がそれぞれの想いを伝え合える仕組みを作りたい ― シナマケ大学・東山さんインタビュー(後編) | シナジーマーケティング株式会社
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(取材/編集:経営推進部 ブランドマネジメントチーム)

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