【対談|産学つながり対談】感謝と共感の連鎖がつくりだすプログラム。未来を支える学生さんたちに伝えたいこと。
不定期で更新している、シナジーマーケティングの社員と縁(ゆかり)・つながりのある方との対談企画の第3弾です。
今回は、「グローバル化とIoT・AIが変える『ものづくり』」というプログラムで、5年間に亘り講師を務めている当社社員の和田と、プログラムを主催している広島工業大学の村上教授との対談記事をお送りします。
プログラムでの講義に込めたお互いの想いや、それぞれに共感する部分、将来実現してみたいことなど、日頃のビジネスシーンでは聞けないようなお話を聞かせていただきました。おふたりの対談を通して、当社自身や社員のパーソナルな部分も知っていただければと思います。
※写真撮影時のみ、マスクを外しております。
〜登場人物〜
■ 村上 修二教授(写真左)
広島工業大学所属。工学部 電気システム工学科 教授。2016年4月から広島工業大学へ所属。研究テーマは「高速移動受信システムの開発」「大容量通信システムの低消費電力化」「デジタル信号処理技術」など。広島工業大学ホームページはこちら
■和田さん(写真右)
シナジーマーケティング株式会社 企画制作部所属。2014年4月中途入社。マーケティングプロデューサーとして、「顧客理解」の視点から企業と人をつなぐマーケティング活動のデザインに従事。
■木戸口(聞き手)
シナジーマーケティング株式会社 経営推進部所属。2021年8月中途入社。コーポレートブランディング推進や広報等に従事。広島県からフルリモートで勤務。
出会いは衝撃的。お互いへの共感がよりよい講義づくりのカギ
木戸口:
まずはおふたりの出会いについてお伺いできればと思います。おふたりが初めて接点を持たれたのはいつ頃ですか?
村上教授(以下、村上):
2017年から和田さんに「グローバル化とIoT・AIが変える『ものづくり』」というプログラム※(以下、プログラム)の講師を務めていただいているのですが、私がこのプログラムに参画したのは翌年の2018年だったんです。
そこで初めて和田さんの講義を拝見した時に、強い衝撃を受けたのを覚えています。
※ 広島工業大学主催のプログラム。グローバル化時代に臨む心構えと姿勢を知り、IoT・AI技術がもたらす情報社会の本質を理解した上で実際の展開例を学ぶことによって、これからの「ものづくり」のあり方を自らの視点で捉え、広島から「ものづくり」を発信するための基礎力を身につけることを目的としています。大学生に加え、大学院生及び現役の社会人も参加可能なプログラム。
木戸口:
衝撃ですか!どのような点に衝撃を受けられたのですか?
村上:
当時、人の感性や価値観といった概念がビジネスの世界で既に活用されている、ということにとても驚きましたね。企業のマーケティング活動がここまで進化しているんだ、ということに衝撃を受けたのを今でも覚えています。
和田さん(以下、和田):
ありがとうございます。そのように受け止めていただけたことはとても嬉しいですね。
木戸口:
その後、一緒に仕事をされてきた中で、お互いに印象的だったことなどはありますか?
和田:
例年、私の講義では座学に加えワークショップ形式も組み込んで、座学で学んだことを実践し、体験を伴いながら理解してもらえるように心掛けているんですね。講義を通じて感じるのは、みなさんが素直に話を聞いてくれること、前のめりな姿勢で熱意を持って参加していただけることが本当に印象的ですし、感動しますね。
村上:
和田さんの講義は、受講生とのキャッチボールも活発なのですが、受講生に対して自然体で接していただけてるんです。1つひとつの言葉に温かみがあったり、受講生の発言をしっかり頷いて聞いていただけたりと、受講生への愛情を強く感じるんですよ。和田さんの人間性がよく現れていて、尊敬できますし、共感する部分でもありますね。
受講生が熱意を持って参加してくれているのは、そういった和田さんの姿勢や想いを感じて、応えてくれているのだと思いますね。
和田:
村上先生にそう感じていただけることは本当にありがたいですね。
年に1度しかお会いする機会がないのですが、私から見た村上先生は、物事に非常に丁寧に向き合っていただける印象です。事前準備の際は、私の抱きそうな疑問点にも先回りして助言をいただけていますし、講義の場面でも、あらかじめ会場に温かい空気を作っていただき、安心して講師に専念させていただける環境をご用意いただけていますね。
村上先生の持たれている優しさや温かさ、相手のことを想う気持ちが受講生の方へも伝わっている印象ですし、それだけ信頼されているんだと感じています。その証として、受講生の方も "講義を受けさせられている" という感じもなく、能動的に受けていただけているのかなと思いますね。
村上:
そう言っていただけるのは本当にありがたいですね。教授として働く中で実感しているのは、大学生と接していると幸せな気持ちになれるんです。愛情を持って学生に接する姿勢はずっと変わらず持っていたいですね。
『ありがたい』想いの連鎖が良いプログラムへ。講義に込めた想いとは
木戸口:
ここからは、実際の講義の内容についてお伺いできればと思います。2021年のプログラムではどのような内容の講義をされましたか?
和田:
プログラムのテーマとして「AI」が設けてあるので、データサイエンスのビジネス活用に関してはもちろんお話しますが、トランザクションだけでは捉えられない類の情報も存在しています。実はそちらの情報がマーケティングでは大切だったりするんですよね。それをどのように取得していくか、どのように相手を理解していくのか?など、広い分野を横断的に捉えていくような話をさせていただいています。
というと、少し抽象的で難しく聞こえてしまいますね。具体的には、課題を1つ設定していて。例えば今回は、「とある人物に喜んでもらえるようなことを企画する」という一見単純ですが、人それぞれに考え方や答えが異なるものです。
課題に取り組む上で、参考となるデータや物の見方・捉え方、人間の価値観や感情の不安定さなどの要素も提示しながら考えてもらうようにしています。今回は新型コロナウイルス前後の市場のデータなども使っているんですよ。
村上:
繰り返しになりますが、講義の内容がとても衝撃的なんですよね。人の感情や性格を分析して、それをマーケティングへ活用するという視点は、初めて参加する受講生は大変驚きを持って学んでくれている。そういった意味では、本プログラム全体では10本以上の講義を行っていますが、メインとなる講義の1つです。
和田さんの受講生へ接していただける姿勢に加え、ワークショップ形式を取り入れていただき、受講者に体験・実感してもらいながら講義を進めていただけるのも非常にありがたく感じているところです。
和田:
そう仰っていただけるのは光栄ですね。こういった場を提供いただけることは本当にありがたいことですし、私個人としても非常に貴重な体験をさせていただけていると感じているんですよね。
木戸口:
お互いに『ありがたい』と感じられているというのは、滅多に得られない貴重なことですよね。その想いが根底にあるので、良い講義を一緒に作り上げられているのだと感じました。
和田さんが講師をされる中で、心掛けていらっしゃることはありますか?
和田:
ビジネスの現場での『リアルな声や生々しさ』に触れてもらうことを常に意識しています。受講生の理解の速度に合わせて、こちらの意図がしっかり届くように、リアルタイムで考えながら自分の言葉で話すようにしていますね。言霊というと少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、言葉はあくまでコミュニケーションのツールなので、なぜその表現に至ったのか?や、なぜその説明をはさんでいるのか?など、単に言葉をなぞるだけではくみ取れないような「雰囲気」のような部分を伝えられたらな、と思いますね。
木戸口:
受講生の方の反応はいかがですか?
村上:
反応はいつも上々なんですよ。私と同様、人の感情や性格、価値観がビジネスに結びついていることへの驚きが返ってきますね。先端的な概念の話だけではなく事例も含めて話をして頂いているので、実際に企業で活用されていることが理解できているのだと思います。そのことをワークショップを通して実感できたという反応が多いですね。
和田:
講義を受けた受講生の方に持ち帰っていただきたいなと考えていることがあるんです。
とにかく「雑食であれ」というメッセージを講義の裏に込めています。人の考え方やあり方、生き方に正解はないと思っているんですね。大きくいうと、人間はコントロールができない不安定な環境下で生きていますし、何か1つの学説で表せるような単純なものではないですよね。だからこそ、好奇心を持つことが多くの出来事に出会える源泉になるのだと考えていて、とにかく興味のあることはなんでも知って欲しいんですよね。知った上で自分で判断をして、行動した結果は真摯に受け止めて、次の改善・アクションに移していくという一連のサイクルを受講生の方には期待したいです。
講義の冒頭に話すのは、「私の講義は総合格闘技のような物です。今日は頭の中がパニックで帰ってもらいます」と。さまざまな情報を提供するので、吸収しきれないことも多いと思うのですが、その中で「こういう考え方もあるんだ」という気づきを持って帰って欲しいんですよね。もっと世の中を柔軟に捉えて欲しいな、と。
木戸口:
なるほど…。和田さんの想いを受けて、参加される受講生の方に村上先生から期待されることはありますか?
村上:
和田さんの想いをしっかりと受け止めて欲しいですね。和田さんの講義を受けられることは、本当に貴重な場であり、100分間の講義全体を集中して全てを吸収して欲しいですね。この講義が無料で受けられる、というのは本当に羨ましいですよ(笑)
和田:
(笑)そう仰っていただけるのは本当に嬉しいですし、感謝しかないですね。やりがいを感じます。
村上:
こちらこそ、ありがたい気持ちでいっぱいですよ。
※お互いの『ありがたい』という気持ちが連鎖して、より良いつながりに発展していることを実感しました!話もどんどん広がっていきます!
お互いが大切にしていること ー 相手を想い、尊重すること。そして将来の夢。
木戸口:
ここからは少し講義・プログラムの内容から離れて、お話をお伺いできればと思います。
おふたりが日々お仕事をされる中で、大切にされていらっしゃる考え方やポリシーはありますか?
村上:
私が仕事をする上で大切にしているのは、『相手のことを尊重する・感謝する』ということですかね。人は誰しもそれぞれの価値観や想いを持っているんだと思うんです。でもどこかで「自分の考え=普通」だと考えてしまい、自分の価値観に合わないことを批判することもありますよね。
でも、人はそれぞれ違っていて、価値観が合わないことが当たり前であって。企業でも、組織として何か1つの答えを出すときには全員の想いと合致することの方が少ないと思いますが、自分と違う考えがあることを尊重してあげることが大事だと思っていますね。
相手のことを尊重することは、巡り巡って相手からも自分のことを尊重していただけるような、そんな気もしているんですよね。
和田:
私は、仕事をする上では、全体最適の視点を見据えてから局所的な課題へ対応するように心掛けていますね。そうしないと、その場その場の対処療法になってしまいます。課題が生じた背景を探って課題の全体像を把握した上で、対応策を検討するようにしています。お客様の課題解決にもその視点を持って向き合っていますね。
もうひとつ、村上先生の話にも通ずるのですが、良くも悪くも「お互い様」だと思っているんです。人は、1人ひとり違っているというのが当たり前で、それぞれが抱く感覚は共有することはできないんですよね。というのも、「言葉」に込めた「意味」は人それぞれで異なっていて、言葉という道具は、そこに乗せる想いまでは一般化されていないんです。
だからこそ、コミュニケーションをとって相互理解を目指しますが、うまくいかないことも多くて。そこにはお互いに「思いやり」がないと続かないと思っていて。
それを端的に表すと「お互い様」という言葉になるのかな、と。「私も言いたいことを言うから、あなたも言いたいことを言ってね」という想いでコミュニケーションができると、どんなプロジェクトでもうまくいくと思うんですよね。
木戸口:
お互い大切にしている部分で通ずるものがありますね。お互いに共感されている部分なんでしょうね!
最後の質問です。仕事でも仕事以外でも構わないのですが、将来的にやってみたい・取り組んでみたいことや夢はありますか?
和田:
「マーケティング」は人と企業がWin-Winになる関係を作る仕組みを差しますが、将来的には今まで培ってきた「人を理解する」ノウハウを「社会善」のために使いたいな、と。
自分(人間や会社)だけが良ければいいという世界観ではなく、最近よく謳われる「サスティナブル」の先にある、仕組み自体を肥大化させる(リジェネレーション)ような仕組み作りにマーケティングデザインのノウハウを活用したいですね。そのためには「人を理解すること」も重要ですし、人間以外との共存共生ができる社会循環、組織やフローのデザインも必要になります。「思いやり」の連鎖と言いますか、こういう想いに共感する人たちと繋がって社会変容の一助に繋がればいいなと考えています。
村上:
和田さんとスケールが違うので、少々恥ずかしいですが…(笑)
私は教授という立場になって6年目なのですが、いつか100分の講義の最初から最後まで、全員を集中してくぎづけにするような講義を実現してみたいですね。学生の興味を根こそぎ引き寄せるような。1対多の講義だと、どうしても一方通行になってしまうことがあって、なかなか難しいんですけどね。
和田:
せっかくのご縁ですし、社会課題の解決に向けて、産官学で連携するようなプロジェクトが実現できたらいいですよね。学生さんにも参加していただければ、教育の観点からも有意義な取り組みになるのではないかと思います。プロジェクト自体を教材にするのも面白いかもしれません。
村上:
学生がプロジェクトへ参画しながら、学びを得るというのはとても良いコンセプトですね。シナジーマーケティングの持つマーケティングの知見も活かしながら、実現できると素晴らしいですね!
木戸口:
この対談が壮大な夢実現のきっかけになるかもしれませんね!今後も、応援しています!今日はありがとうございました。
※今後のつながりの発展も応援しています。写真撮影時のみ、マスクを外しております。
(取材/編集:経営推進部 ブランドマネジメントチーム)