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親世代との“意識の壁”が問題?【ニットで働く子育て世代のリアル 第1回】

株式会社ニットで働く子育て世代のメンバーたちは、どんなふうに仕事と子育てを両立して、どんなことに苦戦しているのか? ニットの人事が、地方でリモートワークをしている3人の子育て世代のメンバーにインタビュー! そのリアルな声を、3回にわたって紹介します。

《ニットで働く子育て世代》
・藤澤恵子 長野県在住/2歳の男の子を子育て中/HELP YOUエンプロイーサクセス担当
「長野在住の元HRコンサルタントが、ニットにジョインした理由」
・平島奈美 奈良県在住/小学6年生の女の子を子育て中、シングルマザー/HELP YOUカスタマーサクセス担当
「完全リモートで名物社員を目指すという無謀な目標を掲げてみた」
・吉井秀三 鳥取県在住/2歳の男の子を子育て中/事業開発担当
「夫がリモートワークをする妻のブログ」

《目次》
・仕事は「承認欲求を満たすもの」から「子どもを守るためのもの」に
・時間を誰かにマネジメントされているような感覚
・子育て支援制度の利用をためらわせる“意識の壁”

■仕事は「承認欲求を満たすもの」から「子どもを守るためのもの」に

−今、何歳のお子さんを、どんな状況で育てているの?

平島:私は小6の娘をシングルマザーとして育てています。両親と同居しているけど、両親は商売をしていて日中は家にいないので、家事はすべて私がしています。

吉井:僕には2歳になる息子がいて、今年の4月から保育園に通いはじめたところです。嫁も僕も在宅ワーカー。家族3人で暮らしています。

藤澤:私には2歳の息子がいます。息子は生まれたときは仮死状態で、1歳半になるまでに手術をするなど大変だったんですが、様子が落ち着いてきた昨年の6月から、保育園に預けて働いています。

結婚を機に、東京から主人の実家がある長野に移住しました。主人の実家は車で30分くらいのところにありますが、義父はフルタイムで働いていて、義母も毎日何かしらの地域活動などがあるので、平日はあまり子育てのサポートは受けられない状況です。

−みんなハードな状況の中で子育てと仕事を両立しているけど、子どもができる前と後で、仕事観や時間に対する考え方はどう変わった?

平島:以前は、好きなことをしながら“その日暮らし”をするのもいいと思っていたけど、守るものができたら、安定した収入を得なくてはと考えるようになって。それで就活をして、今に至っています。

時間の使い方も、子どもができる前と後とでは全然違う。100%、自分が好きなように使えていたのが、子どもができてからは、自分の時間なんてほとんどない。

藤澤:子どもができる前は、社会との接点をもつため、成果を評価されたいという「承認欲求のため」に仕事をしていたけど、子どもができてからは、それが「生活のため」に変わりました。

時間の使い方はというと、独身のときは、仕事とプライベートの時間のリソース配分を自由にコントロールできた。「今日はちょっとやる気が出ないな」というときでも、残業すればなんとかなるという感じで。でも今は、子どもを保育園に迎えにいくため、18:45には絶対に仕事を切り上げなくてはならない。そのために日々、どう時間をやりくりするかを考えています。自分の時間が全然ないのが切実な問題です。

吉井:前は自分の時間をほとんど仕事に使ってもよかったけど、子どもができてからは、どんどん自分の時間がなくなってきているので、いかに効率よく働くかを考えるようになりました。

■時間を誰かにマネジメントされているような感覚

−子ども中心に計画を立てなくてはならなくなった、ということですね。

吉井:たとえば旅行をするとき、前は“行き当たりばったり”なこともできたけど、今は、宿泊先などを事前に決めて、しっかり計画を立てるようになりました。

平島:そう、そう! その日に「今日、これしよう」ということができなくなる。

吉井:誰かを家に招くときも、「今日、友達が来るよ」ってその日に言うのはナシで、必ず事前に嫁に伝えるようにしています。

平島:私は、自分のタイムマネジメントやスケジュールを、ほかの何者かに操られている感じがする。

藤澤:私は、まわりの人の承認を得ないと、自分の予定すら立てられない。たとえばニットに出社するときも、子どもの保育園の送り迎えを誰にお願いするとか決めてからでないと、予定を立てられない。美容院にも、子どもを主人にお願いできるときでないと行けないし。

平島:そう考えると、そもそも「お願いしないといけない」って思いながら子育てしなくてはいけないのがおかしい。申し訳なさを感じてしまう社会が、おかしいんだけど。でも、そう感じてしまうんだよね。

藤澤:すごく感じる。

■子育て支援制度の利用をためらわせる“意識の壁”

−大家族で暮らしていた時代は今と違っていたと思うけど、核家族化によって、子育てに対する社会の意識が変わってきたということなのかな。

平島:行政がおこなっている子育て支援や病児保育などの制度はあるけど、田舎であればあるほど、それを利用することが、母親としてよくないことだと思われているんじゃないかな。

子どもが病気で病児保育に預けたいと思っても、「母親なのに、子どもを預けて仕事を優先するなんて……」と言われて、心が折れちゃう人は結構いると思う。「自分は、なんて悪い母親・父親なんだろう」と思わせてしまう環境や、社会の意識に問題があると思う。

藤澤:それ、すごくわかる! 病児保育に預けることは、よくないことだと考えている人もいるよね。

うちの地域は病児保育の取り組みが進んでいて、医師から、病児保育に預けることをすすめられるの。病院の中に病児保育の施設があるから、何かあってもすぐに病院で処置をしてもらえる。

平島:それ、いいねー。

藤澤:でも大変なのは、祖父母を説得すること。「病児保育ってこういうシステムで、看護師さんがついていてくれるから、私が家でみているより安心なんだよ」って、説明しなきゃいけない。

平島:プレゼンが必要なんだね。

−それって、大変だね。

平島:親の世代はまだ考え方が古いから、なかなか理解してもらえない。なんだかんだで「家で仕事してるんでしょ? それならめんどうみれるでしょ?」って言われるから。「家にいるなら、家事だってできるでしょ?」だし。

吉井:ウチの場合は、夫婦で在宅ワーカーだから仕事と子育てを両立しやすいけど、どちらか片方でも会社に出勤して働いている人たちは、よく両立してるなって思います。どうやって実現してるのかなって。

僕の息子は、しょっちゅう病気になって保育園を休んでいます。月に2、3回は保育園から、熱が出たから迎えに来てくださいっていう連絡がありますよ。

それと、保育園では、体温や食べたものなどを毎日『連絡帳』に書かなきゃいけないですよね。

平島:めんどくさいですよねー。

吉井:あれを、AIとかで簡単にできないですかね? ご飯を撮影したら『連絡帳』に自動的に書いてくれるとか(笑)。

平島:それ、いい! あと、行政関連の事務処理こそIT化やIoT化が必要だと思う。書類はデータで扱ってほしい。

藤澤:そう、そう! チラシとかたくさん配布されるんだけど、そんなのサイトを作ってアップしておいてくれたら見るからって。

“理想の母親/父親像”は追わない。【ニットで働く子育て世代のリアル 第2回】に続く

HELP YOU ライター:小笠原綾子

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