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法律事務所からベンチャーへ転職して2年!実際のところどうなの?に答えます

こんにちは、スペースマーケット/コーポレート部法務担当の宇根です。

スペースマーケットへジョインしてから、そろそろ2年が経とうとしています。弁護士歴としては5年目後半となり、転職や出向を考えている同期や後輩の弁護士から「ベンチャーの法務って実際どうなの?」と聞かれることも多くなりました。

そこで、大企業の法務や法律事務所からの転職を迷っている皆さんのご参考になればと思い、よく聞かれる質問に答える形で、ベンチャー内法務の実際をまとめてみました。
スペースマーケットを含め、ベンチャーには法務の力がまだまだ必要なので、ぜひベンチャーに飛び込んでもらえるきっかけになればと思います!
(なお、スペースマーケットの業務の傍ら副業として他社の法務業務のお手伝いもしており、それらの経験を通じたものとして記載していますので、以下の記載が全てスペースマーケットのことを指すというものではありません。)

ベンチャーの法務って何やるの?

まず一番に聞かれるのはこれです。私の経験でいくと、

  • 株主総会・取締役会・コンプライアンス委員会・衛生委員会等の会議体の事務局
  • 利用規約の修正・契約書チェック
  • 反社チェック
  • 法務相談の対応
  • 契約書締結フローの構築・運用
  • 法務体制の整備
  • トラブル対応
  • 社内研修の実施
  • 継続開示・適時開示
  • SO・持株会対応
  • 内部監査
  • M&A対応
  • IRmtgの同席
  • 本店所在地の変更にまつわる事務
  • 業法関連の対応(公共政策・戦略法務を含む)
  • こういった記事の執筆

等がざっとあげられます(もしかしたら漏れがあるかもしれません)。

こんな感じで非常に幅広な業務をすることが多いかと思います(特にスペースマーケットは手をあげれば何でも経験できる環境なので、労務・経理・財務あたりも手をあげればできます)。
そして、これだけ幅広の業務範囲に関わるのがベンチャーの法務の特徴かと思います(例えば、総会対応、SO・持株会対応、開示、内部監査、IRmtgの同席あたりは法務部門以外が担当している企業も多いのではないでしょうか?)。

ベンチャーの法務をやっていて面白いことは?

個人的にベンチャー企業にジョインして力をつけたいと思っていたので、以下のような点は、ベンチャーにジョインして良かったと感じる点です。

① 守備範囲が広いのでものすごい勉強になる

上記のとおり、幅広の業務を扱うことから取り扱う法分野がものすごい多いです。
私は前職において大阪の法律事務所で勤務しており、中小の顧問企業の法律相談や契約書チェックを多く扱っていましたが、上場企業の法務やスタートアップの法務(=資金調達・組織再編や個別法・業法規制の確認等が多いイメージ)は全く経験がなく、このような経験を積める業務はとても面白いです。

② 経営陣が法務に求めていることを肌で感じることができる

法務と言えば契約書チェックや法務相談等を行う部門というイメージですが、ベンチャーにおいては、「事業のスケールにおいてどう貢献できるのか?」という目線を求められることが多いと思います。
というのも、大手企業の法務や法律事務所内にいると、同じような目線で同じような業務をしているメンバーが複数いるため、法務の人材の評価方法は一定程度確立していくものと思いますが、法務のメンバーが一人しかおらず上長にも純粋な法務経験があるメンバーがいないときは、他のメンバーと同様、「(法務の力を使って)事業のスケールにおいてどう貢献できるのか?」というところに重きが置かれると考えられるためです。
なので、特にベンチャー法務においては、常に事業をスケールさせるという目線をもって業務に臨むことが大事だと思いますし、より高いレイヤーを目指すのであれば、そこがポイントであることも多いかと感じています。

例えば、スペースマーケットにおいては、ODRの仕組みを導入しました(ODRの詳細についてはこちら)が、「ODRの仕組みがあることでプラットフォームを安全安心に利用いただくことができ、他のプラットフォームに対する優位性につながるため、事業のスケールに貢献している」というような捉え方はできるかと思いますし、こういう場面で法務の力を生かすことが(小規模な)ベンチャー法務に求められるものであり、面白さの一つかと思います。
前職では外部弁護士として、例えば、丁寧な契約書チェックを行うことが事務所内での価値・評価につながっていたと思いますが、企業内、特にベンチャー法務においては、上記のように、そこの価値観は180度転換を迫られました。そのような状況の中で、(法務は基本的に課題解決的な思考をするので、スケールに貢献するという創造的な思考は実際かなり難しいのですが、)如何に自分の能力・価値を発揮していくかというチャレンジが醍醐味の一つと思います。

なお、これらの経験は、自分が仮に法律事務所に戻ったりクライアントワークをするようになったりした場合にも必ず生きてくる経験だと思います。

ベンチャーの法務をやっていて大変なことは?

金銭的にも人材的にもリソースが限られているため、例えば、新たなリーガルテックの導入一つとっても導入による効果の適切な説明が必要ですし、また、純粋な法務以外の業務も一定扱う必要があるというところが大変な部分かと思います。
また、ワークライフバランス・福利厚生的な観点でも大手企業等と比較すると整っていないことも多く、そこにギャップを感じる場合もあるかもしれません。

なお、これらの経験は、いろいろなベンチャーを渡り歩くキャリアを歩もうとする場合はよい勉強になるかと思いますが、ゆくゆくは大手企業の法務や弁護士としてのキャリアを歩もうとするという観点でいくと、その活かし方は検討の必要があるという部分かと思います。

キャリア的にプラスになってる?

ここは自分がどのようなキャリアを歩もうかとしている次第ですが、

  • 法律事務所に戻る可能性がある
  • ベンチャーの法務を渡り歩く

というキャリアを目指すにあたってはプラスになるかと思います。
一方、ゆくゆくは大手の企業法務をやりたいという場合には、(大手の企業法務の経験がないため、あくまで想像ですが、)キャリア的にプラスになることはあまり多くないのかなと思います。

ぶっちゃけ待遇は?

これもよく聞かれるポイントです(笑)。

企業ごとの事情もあるので一概には言えないですが、弁護士だからというところで差は出ないということは言えるかと思います。
ちなみに、大手企業の法務や法律事務所からの転職となると、給与ベースでは、おそらくダウンすることになるかと思います(逆にアップするとなると期待値の調整をしておいた方が良いかもしれません)が、SO付与や副業をすることによってトータルで見ると遜色ない程度に調整できることが多いのではないかと思います。

以上、よく聞かれる質問に答える形で、ベンチャー内法務の実際をまとめてみました。

結論としては、

  • スタートアップ法務の経験を積んで、将来はスタートアップ法務を中心とした弁護士としてやっていきたい
  • ベンチャーの法務を渡り歩くようなキャリアを形成したい
  • 現職での経験幅に物足りなさを感じている
  • 将来的には法務の知識も生かしつつ経営的なポジションの仕事がしたい

といった人はベンチャーに飛び込んで法務+αを経験してみるのも楽しめるし、おすすめできるんじゃないかなと思います。

この記事を読んで興味を持たれた方・もっと話を聞いてみたいという方は、ぜひお声がけください!
(最近は増えてきていますが、インハウス 兼 法務受託弁護士としてのキャリアについてお話しましょう!)

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