倒産の危機
こんにちは、市川と申します。
小さな会社を10年以上経営しています。
5年ほど前に会社の経営が債務超過と呼ばれる危険な状態になりました。
借金もたくさんありました。
その当時、社員が5名ほど在籍していました。
なんとか社員を困らせないようにしようと、私が保有していた会社の株を半分以上売りました。
絶望した日
それから2年後、会社の経営状態は少しずつ改善していました。
しかし、社員は株を買ってもらった先の親会社に移籍したり、辞めたりしていたため、当時いた社員5名はもういませんでした。私はひとりになりました。
仕事を終え、誰もいない5畳程度の小さなワンルームの部屋に帰ります。
収入は少なく、貯金もなく、20代で起業した当時ほど若くもありません。
起業してから、ずっとがむしゃらに休みなく働いてきたあの日々は何だったんだろうと思いました。
真っ暗な部屋の中でひとり、このまま年老いていく気がしました。死ぬまでここに居るのかと思ったら、とても悲しくなりました。
涙が出てきました。
東北 女川町での出会い
2018年5月に宮城県にある女川町という小さな港町にお試し移住しました。
お試し移住とは数日から数ヶ月、お試しで移住することができるプログラムで、宿泊費なしに泊まることができました。私は7日間泊めて頂きました。
なぜ女川にお試し移住したかというと、たまたま女川町へのお試し移住を主催する方と出会ったのがきっかけではあるのですが、起業して2年目の時に起きた東日本大震災では、自分たちのことが手一杯で被災した方のために何もできなかったということをずっと心残りになっていたことも参加したきっかけのひとつです。
すでに震災から7年が経っていましたが、少しでも復興の役に立ちたいと思っていました。
私がお試し移住をしていた期間は、他に移住者はいませんでした。私ひとり、一軒家に宿泊しました。
移住初日の夜、私は普段はひとりでお酒を飲みに行くことはないのですが、せっかくだからと町の居酒屋でひとりお酒を飲んでいました。
しばらくして熊のような大柄の男が1つ席を空けて私の隣に座りました。
その男は私がお試し移住者だと気がつくと、私にいきなり「おめぇ温泉行くか?」と声をかけました。
「はい」と私は返事をしました。
被災地から教わったこと
翌朝、その方は車で私を迎えにきてくれました。
そして、私を片道1時間くらいかけて、女川町の隣りにある石巻市の温泉に連れて行ってくれました。
車の中でその方と二人っきりでした。
その方は地元の工務店の社長さんでした。
その社長さんは、車の中で被災した当時のことを私に語ってくれました。
とても悲惨な話もありました。
私はただうなずいて聞くことしかできませんでした。
温泉に行く途中に、その社長さんは車を止めました。
そこは小学生が津波に流されてしまった大川小学校の跡地でした。
津波でボロボロに崩れた校舎の前で、私はなんとも言えない気持ちになりました。
私が出会った社長さんは、毎晩地元のお店を飲み歩いている方で、一見するとただのお酒好きの方なのかと思いますが、少しでも地域のためにと毎晩地元のお店を飲み歩いていました。
そして、私のようなお試し移住に来ている人を見つけると、被災地のことをより知ってもらいたくて、温泉に誘うのだそうです。
短い間でしたが、女川町での7日間、そして女川町の人たちとの関わりが、私に人は生きているだけでありとあらゆるすべてのことに感謝しなければならないと教えられました。人は決して自分だけの力で生きているわけではないのです。
ひとりで生きている(ひとりぼっちの)つもりになっていた私ですが、みんな共にこの世界に生きていることに気づけたのです。
私はこれからは大きな愛と感謝の心を持って生きていこうと決めました。
助け合いの社会を創りたい
東京に戻った私は、勝どきで地域の方たちと枝豆を栽培する活動を始めました。
地域の人たちと助け合って何かをしたいと考えたからです。
素敵なボランティア仲間にも恵まれ、勝どき枝豆プロジェクトと称したその活動は、地域の居場所づくりとして現在は子ども食堂にまで広がっています。
一方会社では、仕事が徐々に増えていき、在宅ワークで働く方を増やしていきました。
当時から人材不足で、普通に会社に出社して働いてくれる方を募集しても応募がほとんどないなか、在宅ワークで仕事を募集したら、2週間で50名以上の応募がありました。
しかし、せっかく在宅ワークで働いてもらうのであれば、在宅ワークじゃないと仕事ができない方を優先して採用したいと思いました。
そこで積極的に子育て中で会社に出勤することが難しい方を採用していくことになります。
これについては私が書いたnoteの記事「在宅お母さん採用のすゝめ」もぜひ読んでみてください。
弱者が生きにくい社会
ずっと経営してきて、色々な方を採用してきた中で思うことがあります。
この社会は、のんびりしたマイペースな人にとっては生きにくいということ。
競争社会の中で、会社を経営していると、どうしても効率化、スピードが求められます。
そんな中で仕事が遅い人、要領の悪い人がいます。
そういう人にはどうしても厳しいことを言ったり、プレッシャーをかけたくなります。
なぜなら最前線に立っている経営者が一番厳しい風当たりにさらされ毎日を過ごしているからです。
しかし、そういう方は過去にも、以前いた会社でも、ずっと上司や周りから厳しい対応をされ続けています。中にはいじめられたり、人格まで否定されるケースもあるでしょう。
当の本人は、自分で自分を否定し自信を失っていたり、なぜ自分だけが周りからそんな対応をされてしまうのかわからず、自分の殻に閉じこもる人もいます。
ありのままのあなたを受け入れたい
私は過去に仕事のできないやつはダメなやつと決めつけて、人を大切にしてこなかったという反省もあり、経営理念を「人を大切にする」としました。
私自身、過去に組織から追い出されるという経験もあります。
今は、どんな人もありのままを受け入れてあげたいという想いがあります。
自分が過去にそうではなかったからこそ、どんな人もありのままの自分を受け入れて、自分らしく生きてほしいと願います。
そんな願いとは裏腹に、社会の格差は広がり、社会的弱者にとってはより生きにくい社会が進行しています。
そんな社会を変えたいと「働くママ応援プロジェクト」というメディアも立ち上げました。
まずは全国に100人の働くお母さんの組織を作る
私は子育て中のお母さんだけを助けたいと思っているわけではありません。
社会的弱者を助けたい、救いたいという想いです。
それは障がい者の方だったり、介護に追われる方だったり、貧困の方だったりと様々です。
今は働くお母さん方を中心に20名ほどの組織ですが、社会を変えるにはさらなる規模の組織を作りたいと考えています。
まずはあと2年以内に100人の組織にしたいと考えています。そして、次は1000人規模、日本だけでなく世界に広がる組織を作りたいと考えています。
そしてその組織で実現したいビジョンが「弱者が生きづらい社会を変革し、愛と感謝に満ちた心豊かな社会」です。
ビジョン実現に向けて協力してくださる経営陣を募集しています
あるクライアント企業の社長さんからこう言われたことがあります。
「才能がある人は、もっと弱者のためにその才能を使うべきだ」
私を叱咤激励するために言われた言葉だと思います。
私は社会がもっとそうなるべきだと考えます。
そしてその実現には私以上に才能のある方の協力が必要不可欠だと感じています。
今後さらに組織を大きくしていくためには、同じ方向を向いて組織を率いてくれる経営陣が必要だと感じています。特にシンプルメーカーは社員の8割が子育て中のお母さんで構成していますので、同じ目線に立てる女性の経営者が居てくれると心強いと思います。
正直その才能に値する報酬をお支払いする余裕は今のシンプルメーカーにはありません。
もちろん自分を犠牲にしてまで働いてほしいと思ってはいません。人を幸せにするにはまずは自分自身が幸せである必要があると私は思うからです。
お金に依存しすぎる資本社会を是正し、多様性を受け入れ、助け合う社会を一緒に創るために私たちにその才能を貸して頂けたら幸いです。
最後に、シンプルメーカーに少しでも興味を持って頂けましたら、当社のホームページや、私が書くnote(人を大切にする経営)、働くママ応援プロジェクトもぜひご覧ください。