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遠回りして辿り着いたスタートアップの世界

こんにちは、しるしの泉です。
今月、新卒から4年間お世話になった三菱商事を退職し、設立1年強、社員数約10人のベンチャー企業、しるし株式会社に入社しました。

このストーリーは、「少し前の僕のように、
・将来経営者として活躍したいと考えている人
・大企業で順調にキャリアを積みながらも、意志を持って次のキャリアに挑戦しようとしている方々
の参考になれば。」そんな気持ちで書いています。
三菱商事で何不自由ない生活を送りながらも、キャリアへの迷い、癌、起業、長女の誕生、転職と、様々なタイミングでの葛藤を綴りましたので、少しでも多くのビジネスパーソンの背中を押すストーリーになれば良いな、と思います。

まずは簡単に自己紹介しますね。

1. プロフィール

名前 泉 光矩(いずみ みつのり)
好きなもの 野球(キャッチャー)、料理、猫
好きな食べ物 カレー、ラスク、カヌレ
学歴 慶應義塾大学商学部卒
経歴 2018年4月 新卒で三菱商事に入社し、化学品トレーディングでキャリアをスタート
   2021年2月 精巣癌が発覚し、若干の闘病を経験
   2022年6月 長女が誕生
   2022年7月 しるし株式会社入社

2. 何一つ不自由のない三菱商事生活

経営者としてキャリアを作っていきたいという想いから、事業投資先が多く、様々な投資先で経営の経験が積めるチャンスが多い、三菱商事に入社しました。

三菱商事での4年間は、事業投資先での経営経験こそ積めなかったものの、正社員3-4人のチームで、数億、数十億の数字を背負うというかなり刺激的な環境で過ごしました。
コロナ禍の影響で事業環境が目まぐるしく変わる中で、事業戦略を描いては何度も修正し、若手にも関わらず主担当として重要顧客との交渉も任せて頂きました。
三菱商事時代の上司、同僚には心から感謝しています。

仕事内容以外でも、給与は高く、休日出勤なし、人間関係にも恵まれ、海外含め出張の機会は多く、合コンはそこそこ楽しい。何不自由ない社会人生活だったと思います。

3. 恵まれた環境で抱えたキャリアに対しての違和感

恵まれた環境ではありましたが、ふと初心に立ち返った時、「このまま大企業のサラリーマンを頑張って、最終的に経営者として大成できるのだろうか?」と、モヤモヤしながら社会人3年目に突入しました。
起業・転職した同世代の友達にキャリアについて相談したり、興味のある会社にアポを取って話を聞きに行ってみたり、休日に知り合いの事業をいくつか手伝ったり、かなり多動的に動きました。
それはそれで楽しかったですし、社会をより俯瞰的に見る良いきっかけになりましたが、これだ!という選択肢が見つからずに、モヤモヤを抱えたまま、社会人3年目も終わりに差し掛かりました。

4. ”人生は有限である”から踏み出せた挑戦

突然の精巣癌

2021年2月、ちょっとしたきっかけで病院で検査を受けました。
そこで告げられた診断は、精巣癌。
衝撃でした。
元々身体が強くて体調を崩すことはあまりなく、大きな病気とは無縁の人生だったので、診断を受け入れられず、頭が真っ白になりました。
3日後に摘出手術を受け、早期発見で転移も見つからなかったので、大事には至らなかったものの、もしも発見があと数ヶ月遅れていたら、、、考えると今でもゾッとします。

決断

入院とその後の療養で、約1ヶ月ほど仕事をお休みしました。
その間、本当に色々なことを考えました。
ありきたりですが、人生の時間は有限で、いつ終わるかわからないことを再認識するきっかけになりました。やりたいことを、好きな仲間とやろうと、大学時代の親友が始めていた事業にジョインすることに決めました。

起業

外国人旅行者向けサービスで起業することを決め、日本文化に関わるコンテンツを作り始めました。
東京都内の有名寺院や茶室を周り、交渉して箱を抑えて、一緒にコンテンツを作り込んで、在日外国人を集めてデモ会を開催して、フィードバックを受けて、コンテンツを磨く、、、平日は三菱商事で働いていて、かつ副業は禁止なので、平日深夜と土日の時間をフルで使って無給で事業作りに没頭していました。

とは言え、当時はコロナ最盛期で旅行者は皆無、東京オリンピックに向けて着々と準備を進めていたものの、結果は”無観客開催”。観光需要は見込めないことが確定しました。
その後は外国人向けコンテンツは一旦諦め、寺院との繋がりを活用して、ビジネスパーソン向けの坐禅事業を始めました。

サウナやマインドフルネスが好きなビジネスパーソンから一定の反響があり、6ヶ月累計で200人程度の集客に成功しました。が、リピート率が著しく低く、集客コストがかさみほとんど利益は出ませんでした。
toCがダメならtoBだと、法人向けに、社員のメンタルヘルス向上を目的に坐禅サービスを提案しました。こちらも契約はいくつか取れたものの、爆発的な反響は得られず、打開策が見つからないまま苦しい時期を過ごしました。

旅行コンテンツや坐禅以外にも、様々な事業アイディアを検討しましたが、ハマるものが見つからず、人的リソースの問題もあり、事業継続を断念することになりました。

5. キャリアの迷い、再び。

家族

起業断念とほぼ同時に、妻の妊娠が発覚します。
歓喜!!!と同時に、キャリアに対する焦りが芽生えました。
三菱商事に残るか、転職するか、一人で起業するか、、、
産まれてくる子供のために稼ぎ続けながら、同時に自分のキャリアも追求していきたい。
そんな想いで、事業アイディアを探しながら、4ヶ月で約100社から話を聞き、自分の可能性を探りました。
(無事、2022年6月に娘が誕生しました🎉写真は生後10分に撮りました)

なりたい経営者像

様々な会社を周る中で、ある経営者の先輩から、こんなアドバイスを頂きました。
経営者の役割は、会社を成長させること。
優秀な経営者は、会社を成長させることができる。
成長している会社で、経営の当事者として(できれば執行役員クラス以上で)活躍することが、優秀な経営者になるための近道。

間違いないと思いました。
自分一人では力不足でも、成長している会社で、優秀な仲間と一緒に、さらに会社を成長させていく。ゼロイチが苦手な自分でも、イチまでできている会社であれば、きっと成長に貢献できるはず。これまでの経験から、そう確信しました。

6. 転職の方向性の決定

転職のリスク

これで転職の意向が固まるかと思いきや、僕には家族がいます。
自分の理想を追うだけでは不十分で、失敗した時のリスクを潰しておかなければいけません。
転職エージェントや経営者の先輩方と話す中で見えてきたのは、「成長しているベンチャー企業で事業責任者を経験すれば、その後の転職先に困る可能性は低い。逆に平社員のまま30台半ばを過ぎると、その先のキャリアは厳しい。」ということ。
“35歳までに事業責任者”を最低限クリアできるかがボトムラインとなるわけですが、現在27歳。ベンチャー企業のスピード感では、新卒から1年で事業責任者を任される人もいることを考えれば、35歳までの8年間で、8回もチャンスがあります。
であれば、このラインをクリアするのは現実的だろうと結論付けました。

転職軸

転職活動当初は、経営ノウハウを学ぶためにメガベンチャーの経営企画職やコンサルティングファーム、M&A業界などを中心に検討を進めていました。
候補企業との面談を進める中で、これらの選択肢は経営の現場から距離があることがわかり、リアルな経営経験を積むには不十分と判断しました。

先ほどのなりたい経営者像と照らし合わせて、転職軸は以下の3つに設定しました。

①設立3年以内、社員数30人以下のベンチャー企業。
設立からしばらく時間が経っていたり、社員数が一定以上いると、既に要職が埋まっており、経営に近いポジションで活躍できるチャンスが少なくなります。
②市場規模が10%/年以上で成長している。
③主軸事業のPMFを達成している。
PMFとは、Product Market Fitの略で、「顧客を満足させる製品を提供できていて、それが適切な市場に受け入れられている状態」を指します。
つまり、ゼロイチのイチができている状態です。
前述の通り、僕が活躍できる可能性の高い会社は、イチができている会社だと思っています。

7. しるしを選んだ理由

転職の方向性が決まり、ダウンサイドリスクが潰せたところで、具体的な転職先探しに移りました。
複数の魅力的な会社からオファーを戴いていた中で、決め手となったのは、経営者と自分との相性でした。

キャッチャー精神

僕は小学3年生から野球を続けていますが、ポジションはキャッチャーです。
野球に馴染みがない方もいらっしゃるかもしれませんが、キャッチャーはチームの司令塔と呼ばれ、試合に対する影響力の最も大きいポジションです。一方、バッターを抑えればピッチャーが褒められ、打たれればキャッチャーが怒られ、試合に勝てば勝利打点を挙げた選手が褒められるので、あまり陽の目を見ることはありません。
前面に立って目立つことはほとんどありませんが、常にチームやピッチャーをどう勝たせるかを静かに考えている。
よく、キャッチャー=女房役と呼ばれますが、まさにそんな感じです。

僕は子供の頃からキャッチャー精神が染み付いていて、目立ったり人前で褒められることは苦手(陰で褒められることは大好きです!笑)だけど、常に他人やチームをどう勝たせるかを考えている、縁の下の力持ち的なポジションが大好きです。

しるしとの出会い

ちょっと話が脱線しましたが、転職候補の企業を選ぶ時、経営者と自分との相性が決め手だったと書きましたね。下田は、これまで出会った中でトップクラスのゼロイチの天才。
下田さんとなら、染み付いたキャッチャー精神で、良い組織を作れるかもしれない、と直感しました。
さらに言うと、EC業界やスタートアップ未経験にも関わらず、僕のパーソナリティやこれまでの経験を買って、役員候補として期待してくれた想いに応えたい、そんな想いで、しるしを選びました。

8. 今後の覚悟

しるしで僕に課されているミッションは、営業・組織作りを通じて既存事業をスケールさせること。
キャリア論を長々と語りましたが、一度しるしにコミットすると決めたからには、自分のキャリアは傍に置いて、しるしの成長のために100%尽くしたいと思います。

しるしは、創業以来順調に事業を伸ばしています。
今期は優秀な人材の採用が続々と決まっていて、事業成長が更に加速していきそうです。
会社の成長と共に、意志があれば個人として成長できる環境が整っていますので、強い意志を持った若手ビジネスパーソンの皆さんは、是非しるしの門を叩いてみてください!


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