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約100年の歴史~歴史を振り返って次の世代に残せること~

【約100年の歴史を振り返って】

現在の東京都・八王子市には、100年以上の古い歴史をもつ呉服店や商店など現在も多数あり、東京の中でも非常に歴史がある都市のひとつです。

そんな中私たち、下島愛生堂薬局は1920年(大正9年)に東京府は八王子市で創業し、国民健康法が施行される前から「薬」を通して、地域の方々に支えられてきました。

1923年(大正12年)に起きた関東大震災、1945年(昭和20年)に起きた東京大空襲後の八王子大空襲にも耐え、 戦前~戦時~戦後の大きな時代の変化の中、お金も何もなく薬が買えない人や病気やケガで困っている人、薬以外の相談で来られる人など、どんな時でも地域の方々に頼りにして頂いていました。

時が経ち、時代は戦後からの復活に沸き、そしてバブル期に突入、平成に入れば本格的な医薬分業の施策で薬局の数が爆発的に増え、今日まで様々な分野でIT化と医療の高度化が進んできました。

そんな時代の変化の中で立地優先の薬局ビジネスモデルが良しとされ、私たちも多分に漏れず同じ時代の潮流に乗り今日まで来ましたが、昨今そのビジネスモデルも変革を迫られている状況です。

病院や診療所の近くにある薬局で、処方箋と指定された薬の受け渡しで稼ぎを作るだけのビジネスモデルでは、もはや社会のニーズに応えられない過渡期に来ているということです。

私たちは幸いにして、薬を扱うことを生業として、これまで100年近くの歴史を積み上げてこれた理由は何なのか?を過去を振り返って問いただすことができ、そして「薬局」の本質的価値は何なのか?を探すことができます。

当時の資料はほとんど残っていませんが、歴史を振り返る限り「いつも地域の人に貢献していた」ということが大きな要因ではないかと考えています。

貢献=価値提供】

この「地域の人に貢献する」というありきたりな言葉は、非常に抽象的で各個人の価値観によって左右されることが非常に多く、各々が具体化・行動化・習慣化させるのには難しいものですが、私としては貢献する=価値を提供するものと考えています。

これは薬局や薬剤師に限らず、この世の中の仕事全般にも言えることでもあると思います。

では、「あなたはどんな価値を提供しますか?」と質問された時どういった行動をとるでしょうか?

よく「貢献する」となると「あなたの為に尽くす」「あなたの為にこれをする」などのイメージを持つ方も多いと思いますが、一度立ち止まって考えてみましょう。

「あなたの為に尽くす」は、相手は本当にそれを望んでいるのでしょうか?

「あなたの為にこれをする」は、相手は本当にそれを必要としているのでしょうか?

自分の中で思い描いている「貢献の軸」は自分でしょうか?相手でしょうか?

もしそれが自分自身の一方的な価値観の押し付けだった場合は、相手にとって迷惑になる可能性もあるということです。

価値とは「相手ができないこと」「望んでいること」「やりたくないこと」そのもので、それを満たすことが価値提供であり、貢献であると考えています。

だからこそコミュニケーションを取って、相手の声に耳を傾け、その声の裏にある背景を相手の立場になって考え、相手の望む価値を見出していくのです。

【次の世代に残していくもの】


私はまだこれから前の世代のものを引き継ぐ立場にありますが、次の世代に残せるものを常に考えています。

次の100年をどうやって切り開いていくのか。

昨今、日本と医療を取り巻く環境は非常に厳しい状況です。

超高齢社会への対策、日本の医療・介護保険制度と財源問題、TPPの医薬品問題、医療・介護の担い手不足、消費税増税など地域のミクロの問題から日本全体のマクロの問題まで様々あります。

今現在考えうるこういった問題は過去、様々な方策の付けを回されていると感じる若い方も多いかもしれません。

しかし現実としてこの問題を私たちが受け止めて、私たちの世代で止めなければなりませんし、時間的にも後世まで棚上げできない問題です。

ならば、何をやるか。

私たちの薬局という立場で考えると、地域の生活拠点の一つとして地域になくてはならない存在を目指し、問題に対してできることを増やし続けることです。

一つの薬局が日本全体の問題を一気に一括で解決することはできません。

しかし、問題意識を持ち、何ができるのかを考え、できることをやる、そんな当たり前のことを実行していくことです。

それが「いつも地域の人に貢献している」という、私たちがこれまで積み重ねてきた歴史の軸であり、この生業の原点になっていることだと考えています。

そして現在、国が掲げる「立地から機能へ」という薬局ビジョンに加え、「立地から機能、そして価値へ」と繋ぎ、次の世代が地域住民の生活拠点の一部としての薬局の立場を、どう発展させていくかの土台を作り、今後出てくる大きな問題に対して、私たち以上に優秀な人々がもっと様々なことができることの選択肢を増やしたいと考えています。

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