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薬剤師業務をRe-engineeringする(①問題提起編)

リエンジニアリングとは

リエンジニアリング (reengineering) とは, 経営の今日的最重要課題である原価削減, 品質・サービスの向上, スピードアップなどを劇的に達成するために, 職能別に細分化されてきた旧来の分業体制を廃して, 顧客志向・プロセスベース・情報技術活用の職能横断的な業務遂行 (統合されたオペレーション) 体制に抜本的に改革することである. すなわち, 従来の標準品大量生産に適した, 徹底した分業と職能別階層組織による調整とからなる仕事の進め方を根本的に改めて, 多品種少量に適した職能横断的なプロセスベースの仕事の進め方に革新することである. ビジネス・プロセスの改革・革新であることを明言するために, これをビジネス・プロセス・リエンジニアリングということもある.(出典:OR Wiki

昨今のビジネスシーンにおいて、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)はさほど珍しくなく、今に始まったことではありませんが、日本の医療業界、とりわけ薬局のフィールドにおいてはこういった手法はほとんど取り入れられていないと感じています。

なぜなら、職能別の各国家資格保持者たち(医師・看護師・薬剤師・放射線技師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・社会福祉士・介護福祉士など)が各々の業務を分業化させて独占的に行うことで、診療・調剤・介護報酬の点数・単位を算定することができるからです。

保険医療の収入の仕組み

診療報酬(とその他)の点数等の算定とは、わかりやすく言うと、○○をしたら□□点、こういう設備や人を整備していると△△点というように技術や設備・体制などに決まった点数が付けられており、その作業を行ったり設備を整えるとその点数分のお金を、皆さんが支払っている健康保険の組合などからもらうという仕組みです。
(分かりやすいかな?w)

それらに則って、医療機関を受診し、医療や薬の提供を受け、決まった点数を請求され、ご存じの通り、かかった医療費の1割~3割などの自己負担分を支払います。

一見何の問題もないフェアな制度に思えますが、この仕組みは「日本全国の全ての医療機関で全く同じレベルの医療サービスを提供する」ことが前提となっています。

つまり、「新人だろうがベテランだろうが、丁寧だろうが粗暴だろうが、スキルがあろうがなかろうが、全く同じレベルのサービスを提供するので原則同じ料金」ということになります。

日本の皆保険制度における保険収入の仕組みの核は「手技」です。

いくら一人の患者に対して懇切丁寧に説明し、対応したとしてもプラスのサービス料金や付加価値料金は発生せず、医療行為そのものや投薬行為そのものにのみ点数(料金)がつくため、職能別の各国家資格保持者たちが分業化し、効率的に職能別の細分化した手技点数の算定を最大化、もしくは患者一人当たりのの対応時間を少なくするなどして生産性を上げるという形を我々も含め多くがとっています。

薬局業務の収入源とは

我々、保険薬局も上記の保険収入が主な収入源です。

薬局の場合、収入構成の約70%前後が“薬”の売買売上で、病院やクリニックなどとは同じ制度上でも内訳構成が異なります。

薬そのものの値段も実は国で決められています。いわゆる「公定薬価」と呼ばれるものです。

昨今の医療費増大の問題に対応すべく、国としては一人当たりの医療費単価を下げる方向で動いており、医療費構成の中でも大きな薬剤費、つまり薬そのものの値段を大幅に下げる方向性が打ち出されています。

さて、ここで薬剤師の方々に質問です。

薬局の収入のメインである“薬”の値段が国の政策によって落ち続け、収入や利益が落ちて会社の業績・経営が悪化したら、あなたの会社の社長はどう動きますか?

・設備/体制点数を取りに行く(=営業時間を増やす)
・リストラなどで人件費を減らす(=一人当たりの業務量を増やす)
・他の薬局に行っている患者を取り合う(=客数の増加、シェアの拡大)
・ドラッグストアの様にOTCを売る(=患者一人当たり単価を増やす)
・不採算薬局を売却もしくは閉鎖する(=赤字そのものをなくす)

さらに質問です。

あなたにとって「仕事」とは何ですか?
また「薬剤師の仕事」とは何だと考えますか?

これらの問いを真剣に考えていただきたいと思います。

「これまで大丈夫だったから、これからも大丈夫だろう」
「薬剤師は国家資格だからどこかで雇ってくれるだろう」
「言われたことだけをやって、それなりの給料をもらって、早く帰れればいい」
という考えの方は今の場所で頑張っていただければ結構です。

もう一度問います。

あなたにとって「仕事」とは何ですか?
また「薬剤師の仕事」とは何だと考えますか?

これらの問いについて真剣に向き合う方は、ぜひこの後の私たちが考える「方向性」についてもご一読いただきたいと思います。

次回(②機能と価値編)に続く。

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