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羊は僕にとって家畜という括り以上の何かなんです

新卒で就職して20代は会社員として経験を積むというやり方でなくても、自分のやり方で道を切り拓くことができる。若手の働き方や成長志向の一つの形として、羊SUNRISEの増田善三郎さんは興味深いケースと言えるのではないでしょうか。実家の羊牧場の後継者として独自のキャリアを突き進む彼のインタビュー第一弾です。

実家の牧場を継ぐために見聞を広げる

-増田さんのご経歴を教えてください

北海道大学を卒業後、実家の牧場で2年働きました。昨年1年間全国の農家を巡る旅をして、今年の4月から羊SUNRISE麻布十番店で勤務しています。

-小さい頃から実家の牧場で育てた羊を食べていた?

はい、実家で育てた新鮮な国産羊肉を日常的に食べていました。羊SUNRISEでお客様に提供するレベルの羊肉が食卓に並んでいたので、今考えるととても贅沢ですね。

北海道といえばジンギスカンが有名ですが、北大に進学して札幌で過ごした4年間で外食で食べたジンギスカンはほとんど印象に残っていません。実家の羊肉が最高すぎました。

-実家の牧場を継ぐことはもともと決めていた?

はい、小さい頃から将来は自分が後継ぎになると自然に考えていました。それで北大在学時には特に就活せず、卒業後はそのまま実家の牧場で働き始めました。

牧場経営をする上で外の世界を一定期間見て経験を積んで見聞を広める必要があるのは、大学在学時から理解していました。全国から学生が集まってくる北大で過ごすうちに、地元に篭っているだけでは成長するのが難しいと思うようになったんです。

そこで「2、3年牧場で働いたら、いったん外に出ていく」とは家族に伝えてあり、実際に2年働き終えたタイミングで外の世界を見て回る計画を実行しました。

全国を旅した昨年1年間を経て、今年一年間は羊SUNRISEで働きます。この2年間で将来的に実家の牧場でやりたいことを具体的に固めるのが目標です。

北海道から鹿児島まで全国の農家を1年間行脚

-昨年1年間の旅行について教えてください

WWOOFという有機農家と農家の手伝いをしたい人を繋ぐプラットフォームを利用しました。有機農家に対して旅人が労働力を提供して、食事と宿を得る仕組みになっています。

北海道から鹿児島まで全国11軒ほどの有機農家さんにお邪魔して、勉強をさせていただきました。滞在する農家さんを選んだ基準は、自分が経験したことはないが興味ある取り組みをしていること。実家は羊と牛の牧場を経営しているので、あえて違うジャンルを選びました。ワイン、放牧豚、養鶏、さらに里山自然学校や放課後デイサービスの経営を行っている生産農家さんへの滞在もいい体験になりました。

将来的には、実家の牧場でもフリースクールや自然学校などを運営したいなと思うようになりました。牧場が生産だけでなく教育や研修、文化活動にも役立つ場所になればいいなと。

原動力は「羊が生き物として好きだから」

-旅での経験を経て羊に対して生まれた思いはありますか

里山自然学校に滞在した時に高齢のオーナーといろんな話をしました。生きるとは働くとは何なのかということについて話し合った時に、自分の中の羊という存在が特別だということに改めて気づかされたんです。

僕の実家は牛と羊を飼ってはいますが、収入の大部分は牛によるものです。父が独立して牧場を始めた約20年前は羊の価格が今の1/3ほどでした。羊だと食べていけないから牛を飼うようになり、現在でも牧場の経営は牛に支えられていると言っていいでしょう。

あまり儲からない状況の羊をなぜやるのか。それは僕も父も「羊が生き物として好きだから」です。

僕は羊を単なる家畜としては見ていません。例えば食肉市場ではキロいくらで肉が販売されますが、重量が多いから高くなるというのは羊に関しては違うのではないかと思っています。同じ重量の枝肉でも個体によって大きく個性は異なるからです。羊の販売方法については従来と違う判断基準を確立したいという夢があります。

羊は僕にとって家畜という括り以上の何かなんです。「じゃあ何なの」と聞かれるとまだはっきり答えられないんですが、いつかははっきり答えられるようになりたいですね。

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