日本初の羊肉専門の鉄板焼き屋として神楽坂のグルメな人々の注目を集めるTEPPAN羊SUNRISE。今回は店長の高橋さんに羊肉の面白さと難しさについて語っていただきました。羊10000年の歴史がTEPPAN羊SUNRISEから変わるかも!?
内臓専門から羊肉へと転職
-高橋さんはもともともつ焼き屋さんで働いていたんですよね?
そうです。僕が当時働いていたもつ焼き屋の横が、偶然当社代表の関澤が働いていた店でして。そこでの出会いをきっかけに友人として仲良くなって、関沢が羊SUNRISEをやるために独立したタイミングで一緒にお店をやることになりました。
-もつ焼き屋時代は羊は扱っていたんですか
いや、全く扱っていませんでしたし、ほとんど食べたこともなかったんです。ですので、まず基本的な知識や技術をジンギスカン屋での勤務経験がある同僚スタッフからレクチャーしてもらい、あとはもつ焼き屋時代に肉や内臓を扱った経験を生かして、羊肉を美味しく食べる方法を自分で研究しました。
羊肉は他の家畜と異なる熱の通し方が必要
-羊肉はどうしたら美味しく食べることができるんでしょう
鉄板焼きに関していえば、ロゼという焼き具合で提供しています。これは柔らかい生の部分が比較的残った状態です。
羊肉は線維質で赤身がギュッと凝縮した肉質なので、鉄板焼き用の分厚い肉を強火とか中火でよく焼いていくのには向いていません。硬くなってしまって食えたものではない。
牛肉や豚肉であれば肉質が柔らかですし、焼きながらでた肉の脂によって揚げ焼きのような状態になり、旨味が閉じ込められます。羊肉で同じ焼き方をするとただただ硬くなってしまうので、ずっと焼くのではなく時には鉄板から離して休ませる必要があります。これは僕が試行錯誤する中で編み出した技術になります。
あとは強く焼くことで羊特有の臭いが出やすくなる。これがいいという人ももちろんいるのですが、羊を苦手だという人は臭いが苦手なケースが多いので、極力焼きすぎないことも重要ですね。
羊肉のユッケの流行のきっかけに
-TEPPAN羊SUNRISEは一品料理も豊富ですね
はい。一品料理のメニューは僕が考案したものです。羊骨ラーメンはご来店された方の8割が締めに食べて帰られます。あとは国産羊のユッケや羊のハンバーグなんかも人気のメニューです。
-メニューを考案するにあたってどんな苦労がありましたか
TEPPAN羊SUNRISEの一品料理のメニューに載っている料理って、絶対僕以前に誰かが試して美味しくないから諦めてるはずなんですよ。僕も頭の中にあるレシピを羊で試してみて「これはダメだ」ってがっくりすることの繰り返しでした。
やはりネックは先ほど説明したような焼くと硬くなり臭みが出る肉質です。従来の調理法とは違う方法を取り入れてみることで、その部分を解消することを試みました。
今羊肉を扱っている飲食店で羊肉のユッケを出しているお店は多いんですが、そのきっかけの一つになったのは僕が麻布の羊SUNRISEで提供した国産羊のユッケです。ここに関してはけっこう誇りに感じています(笑)。
羊って雑食って知ってました?
-羊肉の豆知識を教えてください
意外に知られていないこととして、羊って草だけ食べているのではなく雑食なんです。つまり、与える餌によって肉質や味の違いを出すことができます。例えば今お店で出してる南三陸の国産羊は発酵したワカメを飼料として与えることで、アミノ酸をたくさん吸収して深い旨みの肉になります。羊は体が小さい分、そういった餌の質もダイレクトに肉に表現できるのが魅力ですね。
美味しい羊肉は生産増加中!
-羊肉の未来は明るいですか?
はい、大きな可能性があると思います。これまでの羊の品種改良は毛皮の品質に重きが置かれていました。もちろん世界的には食用としても消費されているんですけれども、日本人の繊細な舌に合う食材とは言えなかったのも事実です。
ただ、ここ最近になって、味に重きを置いた品種改良がされるようになり、先ほどの飼料の話のように羊飼いさんも試行錯誤を積極的に行っています。どんどん美味しい羊肉を食べられる場所は増えてくると思うので、たくさんの人にトライして欲しいですね。TEPPAN羊SUNRISEでも神楽坂に集まるグルメな人々を満足させられるように、日々羊肉の研究を頑張ります!
【TEPPAN羊SUNRISE】
東京都新宿区袋町2-2 杵屋ビル201