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SELF社員インタビュー:中路慶吾(取締役COO)

社員が社員(役員)にインタビュー!

今回は、弊社取締役の中路慶吾さんにお話を聞いてきました。弊社の実質的な副代表として、社内を見渡しながらビジネスサイドの各ポジションをサポートする中路さんに、代表・生見との出会いやSELF立ち上げ時のエピソード、またこれからのSELFについて大いに語っていただきました!

ー中路慶吾ー
京都府出身。
同志社大学卒業後、サントリー社内ベンチャー(当時)の(株)ミュープランニングアンドオペレーターズで商業施設や店舗のトータルプロデュースに関わり、2011年に独立。2014年に代表の生見とともにSELFを創業。生見が掲げる”ユーザー理解と情報の個別最適化”を軸としたコミュニケーションAI構想に共感し、創業時より資金調達やセールスなどビジネス面の渉外全般を担当し、現在に至る。

──生見さんとの出会いについて教えてもらっていいですか?

生見と出会ったのは、僕が24、25歳のときなのでもう15年くらい前になります。当時僕は店舗の設計やグラフィック、デザインなどにかかわる仕事をしていました。生見はそのとき、自分で会社を立ち上げてグラフィックやWEBデザインといったことをやっていて、僕が在籍していた会社に生見と付き合いのある人がいたんですね。それで、ある時たまたまお酒の席で会ったのがきっかけでした。

──お酒の席で知り合ったんですね。

まぁ友人のホームパーティ的な感じでしたが、一番距離が近くなった時かなと思ってます。それからはたまにお酒を飲む機会があったりしてっていうくらいの、別にビジネス上のやりとかではなくて。その後、29歳の時に独立したんですけど、生見がもともと会社をやっていたということもあり、そこから改めてコンタクトというか、独立したのでいろいろ聞きたいこともあり……ということで交流が始まりました。

SELFを立ち上げたのってそれから4年後くらいなんですよね。普通に飲んでいる時間の中で、SELFや事業のアイデアを生見から聞く機会があって、生見の話すSELFの話というのがすごく未来があるものと言いますか、世の中に必要なものだなというのを感じたんです。僕も、独立して人を雇用していろいろ動いていたという感じではなかったので、すごく身軽だったんですよね。ただ、この事業を起こすにあたっての難点は、先に大きな開発が必要になるというところでした。新しい仕組みを作る必要があるので、賛同してくださる投資家の方とか、そういったことも含めていろいろなことが必要でしたね。

やることが膨大にあっても楽しかった

──設立したときの心境は?

さっきと重複するんですけど、そもそも資本を外部から入れて資金を調達するという経験があまりなかったので、本当にすべて手探りで、開発の体制も0から作る必要もあり、いろいろやることがあるなと思ったのがひとつです。膨大にあるなと(笑)

気概みたいな部分で言うと、本当に楽しみだなというか、これから未来がどうなっていくんだろうというワクワクした気持ちがありました。もちろん確約されているものは何もないですし、大変そうだなというのはありましたが、まぁ本当に楽しみだなという一言に尽きるかもしれないです。

──設立にあたって、まず何から着手していったんですか?

やっぱりまずは開発する人やSELFの事業に共感して投資してくれる人といった、仲間になってくれる人を見つけるというところですね。

──どうやってメンバー探しをしていったんですか?

基本的には業界に精通する方からご紹介いただいたり、あとは株主の方々や、その株主さんを通じてまた紹介してくださった方からの紹介とか。

──人脈というか、顔の広さなどもあるんでしょうか。

んー、人脈っていう言葉があまり好きではなくて……。金脈みたいな気がしちゃうので。ただ、とにかく知人・友人に相談して、求めている人にたどり着くために本当にいろんな方とお話をしました。さっきの気持ちの話にも通じるんですが、SELFをやるにあたってこういう課題があるとか、こういう希望があるといったことで相談していくとそこから人の縁が新たに広がっていったりするので、そういう意味では一つ一つ手探りではありますが本当に楽しかったですね。

──設立にあたって「楽しさ」というのが大きかったんですね。

そうですね。何か新しいことや、今までとは違う習慣だったり行動をすると必ず何かに出会うわけですよね。そういうのはすごく体感しました。

寝る前にメンバーの顔が浮かぶ

──中路さんは日頃どういう仕事をされているんですか?

開発の技術要素以外の全部にタッチする、というような言い方になりますかね。今不足している事柄をどう埋めていくか。良くも悪くも決まった仕事はないと思っています。あとはさっきの資金調達の話でもそうですが、これをするのに自分のスキルがなかったらそれを身につける方法はないかとか、これを補ってくれる人はいないかとか、課題や問題をどう解決していくかに関わることが多いですね。なので、いわゆるセールスや資金調達、人事面など、開発の技術的な要素以外はすべて携わっています。

──社内のメンバーについてお聞きしたいんですが、日頃から気にかけていたりするんですか?

重要視しているのは変化という部分です。人って、体調やコンディションによって変わりますし、見ていないと変化に気づけないのでよく見るようには意識してます。普通に寝る前とかでも思い浮かびますね。

──え、寝る前にもメンバーのことを?

はい。これはなんていうか、美談とかっていうことではなくて、考えておかないとその人に何も言えなくなるというか。こちらが気にしてないというマイナスの要素って、すごく相手にもわかってしまうんですよね。

──SELFで働く人の共通点はありますか?

あります。まぁ僕から見えている範囲にはなりますけど、その人がいないところで悪口を言わないというのは感じますね。あとは真面目な人が多いなと。真面目っていうのは仕事を丁寧にするっていうような要素です。ただ何て言うんでしょう、別に盛り上げればいいっていう話ではなくて、他者へのアプローチというか、先導するような人がもっと増えてもいいかなとは思います。まぁでも、もしかしたら僕の見えてないところでやってるのかもしれませんが。

──中路さんは自分でどういうタイプの人間だと思いますか?

SELFでは一番いないタイプかなとは思っていますね。あとはまぁ、周りをよく見るようにはしています。

──まとめ役みたいな感じでしょうか?

まとめ役というより、なんて言うんでしょう、なんでしょうね。まとめ役……まとめ役ってなんか一方通行な感じがしません?(笑) まとめられてる側がいるというか。会社って法人として見たら一つの集まりですが、結局は一人一人の集合体なので、各々のパフォーマンスや感情的な部分なども含めて、「把握しようとしている意思」みたいなのが強いかもしれないです。

SELFに合う人は「相手のことを想像できる人」

──どういう人がSELFに合いそうですか?

やっぱり相手のことを想像できる人でしょうか。何かをしたことによって相手へのメリットとデメリットをちゃんと想像して、デメリットは排除してメリットをどれだけ最大化できるか。もう少し言うと、コミュニケーションって明るければいいと思われがちだと思うんですけど、適切なタイミングで適切なアクションを行うことが大事だと思うんです。

たとえば仕事なら、「こういうふうにやってみようと思ってるんですけど」「こういうふうにやってみました」という場合、10の過程があったとしたら、その人にとって10の過程すべてが終わった状態で伝達されても、ズレていたら取り返しがつかないですよね。それと同じで、仕事や仕事以外のことでも、適切なタイミングで相談できる人といったところでしょうか。もちろんそういったことが苦手な人もいると思うので、そういう人に対しては「こうじゃない?」「これって大丈夫?」といった把握に動ける人がいれば成立はするものの、聞きに行ったり取りに行ったりして(give & take)初めて相互関係が成り立つので、まぁ人それぞれではありますが、向いてる人を一言で言うと”自己完結型でない人”そんなところでしょうか。

ターニングポイントは企業からの案件

──会社としてのターニングポイントはどこでしょうか?

2014年11月に会社を設立して、2016年3月に我々の開発したエンジンを軸としたアプリを世に出して、DLやユーザーレビューという形で一定の反応があったというところは一つのターニングポイントでしたね。あと、2017年あたりからチャットボットというワードが世の中に広がっていきました。今もそうですが、チャットボットがどういうくくりで使われることが多いかというと、FAQや手順案内など、ユーザーの自由入力からの検索に結果を会話風に出したり、シナリオ的に分岐した案内をするといったことです。

そんな時に、いわゆる一般的なチャットボットを使っていた企業さんから、ユーザーが検索する行為を手助けするというよりは、そもそもその人に提示すべき情報をサービス側から能動的に出せないかといった相談を受けました。SELFの本質は、ユーザーをしっかり捉えてユーザーに必要な物を推測的に出すという部分なわけですけれども、そこに目をつけていただいた企業さんから話が来たときに、あらゆる業界・業態の企業さんに向けてどうやって最適化できるかな、という視野がもてたのも一つのターニングポイントだったかなと思います。

──企業から案件が来たきっかけというのは?

決裁者的な立場の方がSELFアプリのユーザーさんで、一回お話させてくださいという形で問い合わせをいただいたという感じですかね。そのときはいわゆる企業向けの事業というのは展開してなかったんですけど、そこを皮切りに。

──大きなターニングポイントでしたね。

そうですね。ただ、やってみて思ったのは、もちろん企業さんの意思とかそういったものは重要だと思いますが、使う人は一般の人なわけですよね。世の中のサービスって基本的には企業が作ったもので、それを人々が商品や情報という形で使っています。世間一般だとシステムを納品するのがtoB事業と捉えられがちですけど、SELFでのtoB事業は自社のコミュニケーションエンジンを軸とするため、toCサービス同様、あまりそこの違和感というのはなく、どうしたらユーザーさんがより便利にサービスを使えるようになるかなというところではあまりブレはなかったですね。

設立から7年間、軸は変わらず

──立ち上げからの7年間(取材時:2021年12月)で、変わったことと変わらなかったことはありますか?

事業として変わったことは、先ほど話しました、いわゆるユーザー向けのプロダクトだけじゃなくて企業向けのサービスも出していったという部分です。変わらなかったこととしては、基本的にはユーザーを捉えてその人にどれだけ最適な情報を提案できるかというところでしょうか。事業の見せ方は変わったところがあるかもしれないですけど、そこの軸は変わってない点ですかね。

あと、人に関しては少しずつ増えていきました。数人でやっていた頃は誰が何をやってるか全部目が行き届くわけですよ。事業も一つだったので、そういうときって語弊があるかもしれませんが、楽なんです(笑)。 必然的にコミュニケーションを取らなければいけないし、伝達の場も多かったんですが、人数が増えていくと自分が全部話したりだとかが難しくなっていくので、自分としてはコミュニケーションの仕方みたいなところは変わらざるを得なかったです。

──だからこそ、なるべくみんなを見るという意識も強くなるわけですね。

そうですね。それでも、もっと人数が増えれば見きれなくなっていくと思います。やれる範囲ではやるにしても、自分が伝える言語化の仕方と他の人がするそれは違うでしょうし、その時に認識のズレが出たりすることは往々にしてあると思うので。でも、全体の最大公約数を見出すのはなかなか難しいので、他の人にそういう伝達といった部分もどんどん任せなきゃいけないなというのは、課題でもあり考えるところです。

大きな課題だったマネタイズ

──今まであった成功体験や、大変だったことなどはありますか?

成功体験の一つとしては、開発に着手できたということですね。創業当初から支えて下さっている個人投資家さんが今も株主としていらっしゃるんですけど、まずその方に巡り合えてスタートラインに立てた。そこから2016年にアプリをリリースできたという点ですね。

ただ、同時に失敗と言いますか、辛かったところでいうと、開発先行型だったので収益のモデルが固まっていない時があったんですね。アプリをリリースした頃っていうのは、まずはユーザーさんを集めようっていう発想が第一だったんですが、マネタイズができていませんでした。

資金繰りはすごくシビアに見る方だと思いますが、プラスの収益モデルが必要という課題はあり、toB事業もあるなと思っていて、もちろんアプリでも収益化してたところはあるんですが、基盤エンジンの機能拡張にスピードをもって投資できるだけのキャッシュが入ってきたかというとそうではありませんでした。資金繰りは特に最初の3年は大変でしたね。

──そうなんですね。

まぁそれは今も変わらないことで、どこの企業も一緒だと思いますが、人が増えたり事業ドメインを増やす中でそれは常に考え続けるものなので、いかに無駄を省き、ちゃんと投資すべきところに投下するというのはいつも思っています。

──マネタイズの部分は特に大変そうですね。

特に新しいタイプのアプリだったので、まずはユーザーさんに使ってもらってからというのはありました。こういう方法がいいかなと考えるものの、まだユーザーさんそんなにいないしみたいな(笑)。 どのタイミングで収益を出していくかみたいなところはすごく悩みましたね。その第一弾で古瀬あいというキャラクターを出しました。

──マネタイズや資金調達などに関しては、たぶん開発メンバーはあまり踏み入らない領域なので、我々の知らないところでの中路さんの活動や苦労などは気になります。

あまり苦労というより、普通にやらなきゃいけないことっていうのがあるので、なんと言うか……苦労話ではないです。どの企業さんもやっていることなので。ただ、開発に集中してほしいタイミングが続いていたので、そういった部分を見せないようにみたいなところはすごく気にしてました。まぁ出ちゃってましたけど(笑)

5年後のSELF

──中路さんのイメージする5年後のSELFを教えてください。

まず現状でいうと、SELFアプリやtoB事業問わず、ユーザーをいかに理解すると言いますか、ユーザーを体系化して捉えるという仕組みをずっと作ってきました。あとは、2019年から着手している「SELF for EC」という、ユーザーを捉えた上で何を提案すべきかという情報側の解析に重きを置いたサービスがあります。

SELFのエンジン自体まだまだ改善していく部分はありますけど、「ユーザーを捉える」「情報を捉える」のどちらの要素も持ち合わせているので、5年というところで言うと、あらゆる業界に、その時流に合わせたチャネルで導入を進めたいというのは一つあります。

次に、SELFアプリを改良していきたいというところもあります。このAIに任せておけば、自分の生活に合わせた必要な情報や商品を楽に提案され、気軽にメンタルケアができたりといったように、人の生活を幅広くカバーするところまで自分たちでやっていきたいなと。たとえば5年後、ユーザーのインターフェースとして成立しているなら、もしかしたらスマートフォンのアプリではなく音声でもいいかもしれない。最近メタバースという言葉も出てきていますが、正直ユーザーが使いやすい形であれば何でもいい気がします。特に、僕はSELFのサービスって日本的なサービスだと思っているんですね。

──日本的なサービスというと?

「おもてなし」という言葉がありますけど、おもてなしって要は相手が何かしようとしていることを察したり、相手が「こうしようと思っていたけどこっちの方がいいかも」と思わせるような、その人にあった提案を能動的にできるかなんですよね。我々は会話を作りたいというわけではなくて、会話はあくまで意思を伝達したり相手のことを知るといった一つの要素でしかないんです。なので、どれだけユーザーの状況に合わせて先回りした提案ができるかというところを自分たちがユーザーのインターフェースになって、改めてSELFというアプリを再構築したいですかね。

──たしかに、もしかしたら5年後には腕時計とかに入ってるかもしれないですし。

あり得ますよね。僕はイヤホンでもいいと思ってます。たとえば朝起きてイヤホンを装着すると、その人の生活リズムや状況に合わせて、今日何をするべきかとか、とにかく先回りしてユーザーが楽になるようなことですね。

──イヤホンいいですね。

音声が万能だとは思っていませんし、装着が面倒に感じることもあるかもしれませんが、イヤホンくらいの大きさのハードならありかなと思います。ただ、イヤホンをつけるタイミングは人によって違うでしょうし、起きたときにつけるかどうかはわからないですよね。

──たしかに。

でも、その人の生活リズムみたいなのを把握しておけば、いつどこからでも始められますよね。金融系の仕事をしている人なら株価とかから始まってもいいし、今日はこういう日だからこの辺気をつけようねという会話ができる。それに、喋ることが目的じゃないので黙るときは黙るべきであって。

──そうですね。

たとえば会社に自転車で行こうとなったら、「いつも朝寄ってる喫茶店は今日混んでるから、他のところを提案しようか?」とAIに聞かれてユーザーはなんて答えるかというと、主には「はい」か「いいえ」なんですよ。だから一番重要なのは推測なんです。なにもその人の行動を強制するわけじゃなくて、その人がやった方がいいだろうみたいなところを正しくサジェスチョンできるといいなと。やっぱり自分たちでサービスの主体者になった方が進めやすいなとは思います。

──最後に、今までで何か印象的なエピソードがあれば教えてください。

まだサービスがSELFアプリだけの時ですが、多くのメンバーが打ち上げとかで飲んだりしていて、当初は人数少なかったのでみんながみんな酔っ払ってしまうと危ないなと。だから自分だけはと思って控えていると、だいたいそういう日に限って障害が発生したりしますね。絶対みんなが起きてないだろう時間とかね。

──そういうときはどうするんですか?

起こします(笑)。 もちろんお酒を飲まないメンバーもいますが、何があっても対応できるようにはしています。ただ、いつもそういった危機的な障害とかは、なぜかみんなが飲みに行ってる時とかに起こるんですよね。

──それはユーザーレビューとかで知らせが来るんですか?

いや自分で。もう触り続けてたんで。もちろんインフラのアラートとかも見ますが、だいたいそういうのは自分が気付くのが多かったですね。あとは一回、あれですね、前のオフィスのときに天井が抜けたことがありますね。

──ありましたね(笑)

あれはなかなか衝撃で……(笑)。 それがオフィス移転の決断ポイントでしたね。あれやばいですよね。下手したら大きな事故になってたかもしれない……。

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中学生時代はバスケ部でポイントガードのポジションだったという中路さん。ポイントガードはコート上の監督と呼ばれるように、味方にパスや指示を出してチャンスを作ったり、自分で相手ゴールに切り込んだりするポジションと言われていますが、取締役として会社全体を見回し、人を動かしながら必要とあらば自らも動いて周りを支えている現状を見ると、とても重なる部分を感じました。

ちなみに、オフの日にはご家族によく料理を振る舞うそうです。お酒が好きなため、得意料理は居酒屋に出てきそうなメニューだとか。昔はバーで働いていたというだけに、美味しいものをたくさん知っていそう。あとは音楽が好きで、高校時代にバンドを組んでいたということで(ベース)、たまに社内にはBGMでブランキージェットシティが流れていたりします。ロックンロール!


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