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勘違いした「できそうな人」は、なぜ生まれるのか

仕事が「できそうな人」たちがたまにいます。話の筋道も何やら難しそうで、語尾はいつも断定口調。自信に満ち溢れた話し方ですが、少し上から目線なのが気になります。そして、よく話を聞いてみると、極端なそもそも論だったり、些末なことばかりだったりして、何を言いたいのかがよくわかりません。できると思っていたけれど、実は仕事ができない人たちなのでしょうか。その人ができる人なのか、できない人なのかは、実際により深く接してみないとわかりません。でも、そういう良くわからない状態の人にならないためにも、経験の積み方について理解しておきましょう。

始まりはちょっとした成功から

できる人もできそうな人も、自分に自信をもって話している、という行動面は共通しています。しかし話の内容がよくわからなかったり、仕事をしてもらったときのスピードとか品質とかがそれほどでもなかったりして、あれ?と思うことがあります。そして、できそうな人をできる人だと勘違いして付き合っていると、やがてとんでもない騒動に巻き込まれることもあります。また、騒動が起きなくても、結局たいして得ることがなくて時間の無駄だったということにもなりかねません。


実は、できる人とできそうな人を分けるポイントは一点だけです。その一点が違うために、できる人はどんどん成長するし、できそうな人はそこで足踏みしてしまうのです。


できる人もできそうな人も、最初のきっかけはちょっとした成功からスタートします。たとえば新規取引がうまくできたとか、良い企画書を作れたとか、何らかの成功体験によって、自分は仕事ができるという感情を得ます。優越感といってもよいでしょう。この優越感によって人は自信を持った行動がとれるようになっていきます。できる人もできそうな人も、この時点では大きく異なってはいません。

自信を持ったあとの心理が違いを生む

自信をもって行動することは、あらゆる局面で良い結果を生みやすくします。より多くの人と接することができるようになりますし、良い意味での期待もかけられるようになります。人はそうして、良い期待をかけられたときに成果を出しやすくなるという性質も持っているので、繰り返し成功しやすくなります。逆に自信がない人の場合、自分自身をすべて否定してしまう負のスパイラルに陥ってしまうこともあります。


優越感によって生まれる自信。


実はこの感情は、心理学的には「錯覚」だと言われています。優越感とは、実際に優れているから得られる感情ではなく、優越していると錯覚することで得られる感情なのです。そのきっかけが成功であり、上司からの褒め言葉であり、お客様からの喜びの声だったりするわけです。


そうして得られた「錯覚した優越感」とどのように付き合うかが、その後本当にできる人になるか、できそうな人で終わるかを分けるポイントです。


それは、失敗したときに「自責」を感じられるかどうかで決まるのです。

自責とは自分を変えようというきっかけ

常に成功し続けられる人は稀です。ほとんどの人は、成功と失敗を繰り返すことになるのですが、成功した時は誰でも優越感を感じます。そして優越感を持っている状況で失敗すると、そのことについて2種類の感情が生まれます。


第一の感情は、「たまたま失敗した」「〇〇の状況が悪かったから失敗した」などのように、失敗の責任は他にあるという他責の感情です。他責の感情によって、優越感は維持されようとします。


一方、「自分のこの行動がまずかった」「この時に判断が失敗の原因となった」というように自分に責任があるという感情も生まれます。これが第二の、自責の感情です。自責の感情は、優越感を否定し、元の自己評価に戻します。


誰しもが、他責と自責の両方の感情を持っています。そして他責が強すぎる場合と、自責が強すぎる場合、いずれの場合でも人は間違った成長をしてしまいます。

他責が強すぎる場合には、優越感が維持され続けます。本当にすべてが環境のせいであれば、優越感が維持され続けることで次のチャンスを得やすくなります。しかし、本当に自分の責任で失敗した場合であっても、問題点が改善されません。これが繰り返されていくと、冒頭にあげたような、勘違いした「できそうな人」がうまれてくるのです。

自責だけだと自分の良い点まで否定してしまう

一方、自責が強すぎることも問題です。すべてが自分の責任であると考えてしまうと、環境や他人の責任である場合にも自分の問題を探してしまうため、変えてはいけない自分の良い点まで変えてしまおうとすることになるからです。

20代のような若いうちに、自分が経験する成功と失敗、それぞれにどのように接するかで、その後の成長が決まってきます。

自責だけでももちろんダメなのですが、極端に他責にならないように気を付けることが、できる人に成長してゆくきっかけとなるでしょう。

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