株式会社誠勝 代表取締役社長・デジタルアーキビストの山本です。
当社は2024年10月12日(土)をもって、設立から12周年を迎えました。
12年前、マンションの一室で私一人で始めた事業は現在、40名以上の従業員、東京・奈良・大阪の3か所に拠点を構えるまでに成長しました。
あらためて、これまでご愛顧いただいたお客様に心より感謝申し上げます。
この12年の間に、デジタルアーカイブを取り巻く国内環境は大きく変化しました。特に、分野横断型デジタルアーカイブ検索プラットフォーム「ジャパンサーチ」の公開(2020年8月)と、約70年ぶりに単独改正された新たな博物館法の施行(2023年4月)といった動きは、欧米諸国と比較して立ち遅れている日本のデジタルアーカイブを一気に進展させる画期的なものでした。
2024年に入り、文化庁の「第5期博物館部会(2024年3月)」でも民間企業等でのデジタルアーキビスト人材等の育成の重要性を指摘する意見が出され、「知的財産推進計画2024(2024年6月)」では「デジタルアーカイブ振興法(仮称)の制定」の必要性が明記されました。その他にも文部科学省からは「2030デジタル・ライブラリー(2024年7月)」推進に向けたロードマップも公開されています。
こうした事業環境の変化をふまえ私共誠勝も、これまで取り組んできたデジタルアーカイブ関連事業をさらに発展させ、2024年より以下の5つの取り組みを強化しております。
■1.「そのままスキャン+」の展開(2024年5月~):
単に史資料を電子化するだけでなく、その先の利活用までも見据え、デジタルアーカイブ構築・運用・利活用にまつわる長期的・包括的な支援を提供する統合サービス「そのままスキャン+(プラス)」を開始しました。
主に大学や企業、自治体など法人のお客様に対し、現在は6つのサービスを展開しています。
これら6つのサービスは全てお客様からの声を元に開始するに至りました。
▲「そのままスキャン+」のサービス6つ
■2. デジタルアーカイブ専門ポータルサイト『デジタルアーカイブ教育』の立ち上げ(2024年6月~):
「知的財産推進計画2023(首相官邸:知的財産戦略本部)」でも明記されている「デジタルアーカイブ社会の実現」に向けては、これまでごく一部の公的機関や大企業の社内、専門家のみにとどまっていたデジタルアーカイブ構築・利活用のノウハウを、業界や団体の垣根を越えて共有することが求められます。
そのため誠勝では新たに、デジタルアーカイブに関する情報を一ヶ所に集約して提供するポータルサイト『デジタルアーカイブ教育』を6月7日より立ち上げました。▲『デジタルアーカイブ教育』(https://blog.sei-syou.com/)
当初は自社の取り組みや事例が中心となりますが、今後は国内外のデジタルアーカイブに関する最新トレンド、他社様の取り組みも含めた最新サービス・ソリューションの紹介も充実させ、お客様にとって有益な情報源を目指すとともに、業界全体の活性化へ貢献することを意図しております。
■3. 京都大学での特別教育等、教育機関との連携強化
(デジタルアーキビスト不足という社会課題への取組):
当社は『“文化を継承するアメーバ”を創る。』というミッションを掲げて活動しています。
“文化を継承するアメーバ”とは、誰かに依存することなく、自律して文化を継承できる人を増やし、仕組みを作り、デジタルアーカイブが当たり前に利活用される社会を創ることです。
言うまでもなく、当社だけで世の中に眠っている膨大な史資料のデジタルアーカイブ化を行うのは不可能です。またデジタルアーカイブ化が進んだとしても、「利活用」がなされなければ、その運用自体が停止してしまい、無用の長物となってしまいます。
このような課題を解決するために、当社は大学や教育機関との連携を強化し、デジタルアーキビストの育成に注力しています。具体的には、教育プログラムの開発やインターンシップの実施を通じて、学生が在学時から実践的なスキルを習得できる機会を提供しています。
今後も、教育機関との連携をさらに強化し、デジタルアーカイブの重要性を広める活動を続けていく所存です。
▲京都大学 学芸員課程での講義中の様子:レポート記事(https://www.wantedly.com/companies/sei-syou/post_articles/903207)
■4. 奈良地域との連携、地域課題解決活動の強化:
誠勝は2020年に奈良市様と立地協定を締結し、2021年2月1日に奈良支店を開設しました。立地協定を締結して以来、市との立地協定に基づき、当地において事業を展開しております。2024年からは下記3点についての地域課題の解決に向けた取り組みを開始しました。
・4-1「奈良市みらい価値共創プロジェクト研究」への参画
当社 取締役の寶德が「奈良市みらい価値共創プロジェクト研究」の1期生として参加し、歴史文化あふれる奈良の地でデジタルアーカイブを通して奈良市内の地域課題の解決に繋がる取組の研究を行いました。
▲2024年2月16日に当社 取締役 寳徳が最終発表中の様子
その研究の成果物として、奈良市の地域課題と司書・学芸員がデジタルアーカイブ人材として新たなキャリアの選択肢の形として 「奈良支店における『司書・学芸員雇用の5箇年ビジョン』」を策定するに至り、同プロジェクトの後継組織「奈良市共創チーム」での「当社主催プレ研究会」の取り組みに引き継がれています。
また、2024年9月30日(月)には当ビジョンを「奈良支店における雇用5箇年ビジョン」に刷新し、対象を司書・学芸員有資格者も含めた「人文・社会科学の専門性を持つ大学生・大学院生」に広げ、新卒採用の正社員雇用での新たな目標を発表しました。
・4-2「なら産地学官連携プラットフォーム」へ参画
2024年8月より、当社も「奈良産地学官連携プラットフォーム」に参画しました。奈良県内の課題解決や新たな価値の創造につながる活動を今後進めて参ります。
▲詳細プレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000015316.html)
具体的な活動については今後発表を予定していますが、デジタルアーカイブによる人と文化の投資循環に資する取り組みを、地域関係機関を巻き込んで行っていく方針です。
・4-3 奈良県主催「サマーインターンシップ・キャリア教育 in 奈良」に参画
2023年度に続き、2024年度も当社は奈良県主催「サマーインターンシップ・キャリア教育 in 奈良」に参画し、当社奈良支店にて9/2(月)~9/6(金)にインターンシップを開催しました。
▲インターンシップレポート記事(https://www.wantedly.com/companies/sei-syou/post_articles/926255)
5月より募集を開始し、有難いことに満員御礼となり、当日は6名の学生の方々にご参加いただきました。インターンシップではデジタルアーカイブにまつわる社会変化、デジタルアーカイブの構築体験、企業家史を用いた奈良の地域課題解決に繋がる事業企画(展示・ツアー・教育・イベント)などを学生さんそれぞれに考えていただき、最終日にはプレゼンテーションを行っていただきました。
産経新聞での掲載や、奈良大学HPでの参加学生の顕彰など、地域・社会の関心の高さも窺えるキャリア教育イベントとなりました。
■5. 人材採用の強化(新卒採用の開始):
当社はこれまで中途採用を中心に行ってきましたが、今年度(2024年度)から2025年卒を対象とした新卒採用を初めて行いました。
そして去る2024年10月2日(水)には、こちらも当社初となる内定式を実施しました。
当社としても新しい仲間を迎えることができ、とても嬉しく思います。当社が12年間で培ってきた専門性と経験に、若い世代の情熱と革新の力が加わることで、デジタルアーカイブの新たな価値創造に繋がっていくと信じています。今後も当社のミッションである「“文化を継承するアメーバ”を創る。」に基づき、歴史や文化を未来に紡ぐための革新を追求し続けて参ります。
▲内定式、内定者・社員合同ワークショップの様子
▲当日内定者に授与した誠勝オリジナルの内定証書
詳細レポート記事( https://www.wantedly.com/companies/sei-syou/post_articles/927908 )
また、当社は既に2026年卒の新卒採用募集も開始しております。中途採用も含め、今後もデジタルアーカイブを一緒に盛り上げていく仲間を募集していく所存です。
2026年度新卒採用ページ: https://www.wantedly.com/projects/1810594
誠勝は、電子化(スキャン)だけでなく、デジタルアーカイブの構築、そしてその先の「利活用」を見据えたソリューションを、お客様それぞれのニーズに合わせてご提案できる会社として、さらなる成長を目指してまいります。
今後もご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
山本大視
株式会社誠勝 代表取締役社長