2023年8月、弊社では創業10周年という節目に、新しいミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)とパーパス*を新たに加え、一歩を踏みだしました。原点回帰となった新MVV+パーパス誕生の背景や事業開発に込められた想い、そしてRITの特徴である三職種一体型の組織構成や今後の方向性などについて、代表の安武が語ります。少し長いですが、ぜひ最後までお付き合いください!
*【ミッション】事業を創る人を作る、事業を創る仕組みを作る、事業を創る文化を作る
【ビジョン】事業開発を通して、一人ひとりが思い描く未来を実現できる世の中を作る
【バリュー】RIT PRIDE
【パーパス】社員の人生にHAPPYとワクワクを、お客様と一緒にチャレンジし、社会・未来をより豊かに
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Q.MVVを変更し、パーパスを加える決断を下したきっかけや理由は何ですか?
3年前にも同じようにリブランディングを行いましたが、その時はクライアントワークにシフトするという方向性を打ち出しました。1〜2年目は組織的にも成長し、結果お客様もメンバーも増えたのですが、今のタイミングになって、そこの求心力や推進力が、少し停滞し始めたことがきっかけです。
その理由の多くは『成長を伴う痛み』です。例えば、
- メンバーが増えることによるMVVへの共感のブレを覚えたこと
- 人が増えるということは、仕事も増やさなければならない。そのために案件獲得を安定化させなければいけないが、そこのバランスがうまくとれないタイミングがあったこと
- 退職者が増えたこともあり、社員エンゲージメントが下がってきていると感じたこと
- 対外的に見えているRITの姿、“DX、コンサル、システム化のような幅広い領域をサポートしている”というざっくりとした印象を払拭したいこと
など、いろいろ課題が出てきたタイミングがこの2023年でした。
今後、求心力・推進力を高めていくためには、よりMVVを尖らせて、RITが目指したいところにより集中していく必要があると思い、この見直しを検討しました。
Q:事業開発に集中するという方針は、安武さん自身がその必要性を感じたのか、それとも、周りから声があがったのか、どちらでしょうか。
僕があるべきだと思ったからですね。
新MVV誕生の一番のきっかけになったのは、マネージャー以上が全員集まって、真夜中まで貸し会議室に籠り、今の組織への不安や不満をぶつけ合ったことでした。思いをぶちまけあったら、やはり課題が山積みで……。僕が気づいている課題もあれば、この人はこう思っていたのか、というような新しい課題もありました。
以前のMVVは、みんなの総意で作った言葉だったので、コミットしているつもりではあったけど、確かにやりきれてない部分はありました。どちらかというとボトムアップで、みんなこういうスキルを持って、エンジニアとデザイナーとコンサルタントがいて、さらに今DXという波もあり、ここが今会社として取り組むべき一番のポイントだよねと、なんとなくみんながそう思っているから決めていった感じがありました。
僕自身も、以前のMVVまでは、皆で考えて、その時の組織の状態や経済環境を加味すると、これが妥当という感覚だったので、ちょっと他人事感もあったかもしれません。それを先のミーティングで指摘されました。MVVにちゃんとコミットできているのか、と。
これからも組織を継続していくなかで、会社の5年後10年後を考えた時に、本当に何をやりたいのか、自分が信念を持って言える言葉に置き換えないと、同じ方向に動けないし、求心力も高まらない。そういうところがあったので、僕が決めることになりました。
Q.新MVV+パーパスの中で、最も重要な要素は何だとお考えですか?
『事業開発』というワードですね。この世の中には、コンサルやシステム開発ただそれだけやる会社は山ほどあります。その中で、RITならではのやり方や強みを磨いていく必要があり、それを今回定めた『事業開発』というキーワードに込めています。
『事業開発』は今後の目標設定や評価にも関わってくるので、デザインができるだけではない、システムが作れるだけではない、アドバイザーとして事業の相談に乗れるだけではなく、自分自身も起業家・事業家のような意識を持つこと、言ってしまえば全員起業家のようなスタンスで仕事に臨んでほしいし、そういうスキルを磨いていってほしいです。
RIT創業の原点こそが『事業開発』です。RITには創業メンバーが3名いて、3人がそれぞれ違う事業をやりたいということから始まりました。普通の会社は、みんなでこの事業をやっていこうという発想が多いと思いますが、RITの場合は特殊で3人が3人、それぞれやりたいビジョンが異なるから、それを実現できるプラットフォームというか、エコシステムのような、そういうものを作っていけるとワクワクするし、面白いよね。というようなかたちでスタートしました。新MVVは、その原点回帰的な部分が強いですね。新しいことを考え、生み出していくことはすごくワクワクするし、社会的な価値も高い活動だと私自身は思っているので、やはりそういうことにより注力してやっていきたいなと改めて思った次第です。
Q.この変更が、社内の文化や組織の方向性にどのような影響を与えるとお考えですか?
そうですね、まだメンバーは混乱していて、あまり浸透しきっていないと思います。新MVVを発表した8月から3か月が経ちましたが、各職種・事業部ごとに新MVVを通じて、我々は何をしなければならないのか皆で考えているフェーズであり、そこを腹落ちさせている段階ですね。
これまではDXというキーワードで、デジタルに関わり幅広くその専門性を持つという方向性だったので、開発はもちろんDX、デザインもITコンサルも広義でDXと、各職種それぞれ普通にやっていれば、DXに当てはまっていました。しかし、事業開発に絞るとDXの中でもごく一部なのです。DXは事業開発的な新しい意味を創出する側面もあれば、既存のビジネスプロセスを効率化していくという2つの側面があり、一方の事業開発にフォーカスすると、スキルや知識が足りないということになるのです。
事業開発の観点も取り入れたデザインプロセスや開発プロセスというのは、もちろん今までもやってきました。でもそこに本気でフォーカスすることは、一人ひとりが起業家になれるぐらい、スキルや経験、マインドを持ち合わせていく必要があるので、今までそこまでガッツリ頭がいってなかったメンバーにとっては、かなり新しいチャレンジになると思います。何から始めたらよいのだろう、エンジニアとして、デザイナーとして、どういうスキルを磨いていけばよいのだろうと、それぞれがそれぞれ考えている感じですね。
もともとRITには起業したい、新しい事業を生み出したいと思っているメンバーが多いので、全員が全員真逆の方向にいるわけではありません。これまではそれぞれのやりたいことに向かって、放射線上に広がっていくイメージでしたが、新MVVでは、事業開発に一点集中ということで、みんなで同じ方向に向いていこうとなりました。放射線上に広がっている中で、別の方向を見ていたメンバーは集中点側に振り返らなければならなくなったため、人によってそれぞれですが、どの階層でもブレ幅がある人は一定数いると思います。
Q.新MVVのもとで、採用プロセスにおいて何を重視し、どのような候補者を求めていますか?
やはり事業立ち上げや起業に取り組んだことがある人や、今後そういうチャレンジをしていきたいと強く思っている人をより優先する感じになるかと思います。これまでも同じような方針ではありましたが、より事業開発や起業へベクトルを合わせるべく、職種的にこういう経験があってこういうスキルを持っているのではなく、ポテンシャルでもいいので、事業開発へのマインドや思考を持っている方。それを実際に何か行動に起こしたことがある、例えば、自分で会社を作ったことがある、自分でアプリを立ち上げてサービスをリリースしたことがあるなど、そういうところを重視したいです。起業ではなくても、何か自分で立ち上げた、例えば学生だったら学生団体を立ち上げた、学生団体を運営してきたなど、そういう経験でもよいと思いますし、エンジニアのスクールに通って学んでいますでもよいと思います。何かしらの想いを持ってアクションを起こしていることが大事ですね。
Q.新MVVのもとで、メンバーや将来の社員の成長機会やキャリアパスについて教えてください。
今までは職種別それぞれのプロ集団という意識であったので、社員に共通する言語のようなものはありませんでしたが、新MVVでは『事業開発』という一本軸が通りました。RITの事業開発というのは、全社員が持つべきバックボーンだと僕は思っています。
バックボーン、いわゆる背骨ですよね。バックボーンがあって、では右手で何をするのか、左手で何をするのか。右手にデザインがあってもいいし、エンジニアリングのスキルがあってもいい。左手に何をするのかというと、自分が興味関心を持っている何か、教育分野で何かにチャレンジしたい、政治分野で何かやりたいなど、これがメンバーそれぞれにあることは、とても良い事ですし、ダイバーシティにもつながります。
その一方、『事業開発』というバックボーンが共通言語化されて、それぞれの知識スキルを融合させることができるとすごくいいなと思っています。そうなったときに、そのバックボーンはしっかりRITのメソッドとして体系化して、社員のみんなも再現できるようにやっていってもらいたいなと思っています。
通常のエンジニア、通常のデザイナーというだけでなく、事業開発のプロという目線を持っている、事業開発のプロだけれども、デザイン力がある開発力がある。そのような成長の道を行くことになっていくと思うので、将来的に何か起業したい、起業しようとしている人を手伝いたい場合に、例えば創業メンバーとして入っても良いパフォーマンスを出せるでしょうし、大きく資金調達して、今後成長していこうとしているスタートアップのCTOやCPO人材に繋がっていけるといいのかなと思っています。
Q.今後、メンバーと会社が共に達成したい具体的な目標や成果について教えてください。
お客様にも事業開発の第一人者だというところをしっかり認識してもらうことです。RITにリリースや新規事業の相談、新規事業に伴う開発の相談をしていると成功の確率がすごく高まるよね、いい進め方をしてくれるよねというような認識を社内、社外で作っていくために、まずRITだからできる独自のメソッドのようなものをしっかり作り、売上を重ねて、それをお客様に展開していくことが目標と成果になります。
Q.新MVVに基づき、今後会社がどのように進化していくと予測していますか?
ここで事業開発に舵を切り、メンバー一人ひとりが事業開発のプロフェッショナルとしてのスキルを持ち合わせていくことで、お客様の新規事業もクオリティー高く支援できると思っていますし、この経験を活かして自分の事業を立ち上げることも、いずれできるようになると思っています。そのため、直近はお客様の新規事業をどんどんお手伝いさせていただいて、きちんと成功に導いていく段階で、4〜5年経つと、自分たちでいろいろな事業を生み出して、それを成長させていく感じになると予想しています。
Q.新MVVに基づき、ステークホルダーに注目してほしいポイントはありますか?
RITの強み・特徴は、デザイナー、エンジニア、コンサルタント、この3つの職種による三位一体型ということです。この3つの職種は事業開発に欠かせない職種であり、この3職種が融合してうまくシナジーが出せるようになってくると、本当にいろいろなものが、どんどん世の中に生み出せていくと、僕は思っています。
これまでもRITの半分以上は新規事業や事業開発の案件であったので、この手の経験は豊富にありますし、強みは元からありましたが、今後は新MVVにより、もっと尖った形で、お客様のいろいろな新規事業や事業開発のお手伝いをしていくことになります。
実際問題、事業開発はどうやるべきか?と、困っている会社さんはたくさんいらっしゃると思います。大企業の中でもなかなか新規事業が生まれないという悩みや、だいたいの新規事業は予算があまりつかないので、その中でどうやったらいいのだろうというような悩みを皆さんは抱えていらっしゃると思います。
我々は自分たちでも事業開発を展開しているので、その悩みは非常に共感できるし理解できるので、いわゆる“言われたことだけをやる会社”よりは、おせっかいかもしれないですが、例えば予算1000万円あったときに開発だけに1000万円かけちゃ駄目ですよ、開発は300万ぐらいに抑えて、なんならウチの発注を抑えてマーケティングに使った方がいいですよと、普通に言ってしまいます(笑)。お客様以上に、お客様のことを考えて動いていく集団だと僕は思っているし、実際にそうなので、いろいろな課題に直面している人たちの救世主になっていきたいです。
Q.最後に、現メンバーや将来の社員に対するメッセージや呼びかけがあれば、お願いします。
世の中や日常で、何か課題や不安、不満を抱えていて、何とかしたいと思っているのであれば、ぜひRITで一緒に日本や世界を良くしていきませんか。
我々は今後、世の中を驚かせるような事業を数多く生み出していく集団になっていきます。
これからの時代、人間がやる仕事とAIがやる仕事に分かれていきます。その中でこの『事業開発』は、人間にしかできない仕事です。スキルや強みを磨いて持っておくと、本当に希少価値の高い、どこに行っても活躍できる人材になれると私は信じています。この新MVVに従って、自分のスキル経験を磨いていくと、きっと10年後20年後、明るい未来が待っているはずです。でも、自分はデザインだけをやりたい、エンジニアリングだけやりたいという人は中にはいると思います。自分はどう生きていきたいか、世の中に価値を出したいと思うのであれば、少なくとも自分を磨いていき、何かをやれる人材になっていかなければいけないですよね。今ここでMVV見直して、こういう方向に進もうとしているRITという船に乗っておくことは、絶対に人生において損はないですし、そこは信じて一緒についてきてほしいですね。
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ありがとうございました。今回のインタビューを通じて、新しいMVVに込められた決意をみなさんと共有できればうれしいです。私たちは未来への一歩を踏み出しました。そして変化を受け入れ、進化し続けます。現メンバーや将来のメンバー、そしてRITと共に、素晴らしい未来を築いていけることを楽しみにしています!
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おまけ ~新MVV誕生の裏に、こんなことがありました~
編集:(新MVV誕生の経緯で)夜中まで皆さんで膝をつき合わせて討論をされるっていうのは、なかなか大変でしたね。
安武:RITならではなのかもしれないけれど、普段リモートワークだから、対面で会話する機会がなかなかないので、本当に久しぶりに討論できた感じでした。みんなマネージャー・役員クラスなのに(笑)。会ったら、なんか太ったねとか痩せたねとか、どれだけ顔見てないんだよ!みたいな(笑)。
編集:そうですね、リモートだとなかなかちょっとした変化に気づけないですよね。
安武:みんなで毎日集まっていれば、何かおかしいなと気付ける部分はありますよね。なんかあいつ元気ないなとか、リモートだとそういう予兆があっても、薄まって気付けないし、みんな愚痴り合うタイプの人たちでもないから、中に抱え込んでいて。これ何なんだよ、まずそうだけど打開策もないし、ちょっと不安や不満があっても、吐き出す場所もないので心に止めておくか、みたいな状態だったり。
でもそれをやって、僕は結構傷つきましたけどね。ボロボロに言われたんで。上がそんなんだから駄目なんですよとか、もっとビジョン持ってくださいよ、安武さん!!といわれて、そうだね。。。としか言えなかったり。
編集:皆さん手厳しい。。でも本音を聞ける機会があったからよかったですよね。
安武:うん、そうですね。この機会がなかったら、本当に大きい爆発が起きていたかもしれなかったので。広がった先に組織崩壊とか起こったらもう目も当てられないので、ちゃんと気づけて、何かやるタイミングがあってよかったなとは思いますね。