写真:Resily 代表取締役 堀江 真弘
Google・Facebookをはじめ、グローバル企業が導入し注目を集めている目標設定・管理のためのフレームワーク「OKR(Objective and Key Result=目標と主な成果)」ですが、日本企業への導入は近年始まったばかり。
そんなOKRに目を付け、2017年に日本企業向けのOKRに特化したSaasサービスを展開するResilyを創業した堀江に、起業した理由や今後OKRは日本にも普及するのか、プロダクトの強みについて話してもらいました。
新卒で入社した会社も、未開拓分野だった
ーーまずは、自己紹介をお願いします。
新卒でクラウド名刺管理サービスを提供するSansanに入社しました。当時は三三株式会社という社名で、人数もまだ35名ほどのベンチャー企業でしたね。将来は起業したい思いもあったので、経営に近い視点で働ける点と、「名刺という切り口から商談機会を最大化する」というユニークな価値感が決め手でした。
まだ市場に普及していない分野に挑戦していく、チャレンジングな環境でした。今では名刺管理アプリでトップシェアを誇る企業ですが、入社当時はそうなるとは想像もしなかったです。
入社してからは、3年間法人営業をしました。名刺管理アプリは営業職のユーザーが多く、ペルソナとして自分でサービスを使って営業をするうちにプロダクトそのものへの要求も多くなっていきました。
そこでキャリアチェンジをして、今度はPMとしてモノづくりを経験。チームで一つの価値を持つプロダクトを作る経験は自分にとって大きかったです。
今のプロダクトづくりへの考え方や組織の在り方についてはそこで学びました。
そういった経験を経て、2017年8月にResilyを創業しました。
きっかけは「月に行こう」レベルのあり得ない数値目標
ーーなぜOKRに特化したSaasサービスをつくろうと思ったのですか?
前職で「あり得ない数字目標を達成する」というOKRの成功体験をしたことがきっかけです。
OKRではわくわくする目的と簡単には達成できない目標を定め、高い成果を求めます。
当時の営業部長は「月に行こう、アポロ11号や」と言いながらあり得ない数字目標を掲げていたんですよ(笑)
最初はみんな無理だと思っていたんです。でも、組織としてまだ大きくなかったので、段々と社員全員が同じ目標を認識しはじめ、社内のあらゆるリソースを組み合わせて達成に向くムーブメントができたことで、ありえなかった数字目標はギリギリ達成するかしないかまでになった。
その時に、OKRのメソッドが価値が高いものだと感じました。
一方、規模の拡大や人事異動など会社の状況が刻一刻変わっていく中で、他部署間の影響関係や優先事項のズレを修正していく必要が出てきた。
掲げた目標も結局何のためにやっているのかメンバーが認識していなかったり、自分の部門以外が何をしている部門なのか分からず、部門間を超えてのイノベーションが起きなくなっていったり。
OKRの魅力を感じたと同時に、課題も確実に感じました。そういうアプリケーションがあればいいんじゃないかと思い、つくろうと思った。それがきっかけです。
すでに存在するものをもっと良くしたいというよりは、そういうアプリケーションがまだないので0からつくるというイメージで、それはSansanに入社した時の、まだない市場を作っていくという感覚に似ていたかもしれません。
本当に必要で価値のあるサービスであれば、数年後には誰もが知っているサービスに成長するという自信はありました。
2020年はOKRが普及するかどうかの勝負の年
ーー実際のところOKRはどんな企業に必要?日本にも普及するのでしょうか?
これから事業が急成長する企業にとっては必ず力になれるものです。ただ、日本企業すべてが我々のターゲットとは思っていません。
我々のプロダクトが最も良く機能するのは、新規事業がいくつも立ち上がったり、急成長段階にあるような企業です。まずはそういった企業が120%満足するプロダクトを作るということを心掛けてきました。
そのような企業がOKRの導入によって効果を出すことには自信があります。ただし、日本企業が300万社あるといわれている中でも、そのいった企業は全体の10%程度ではないかと思います。それでも30万社はあるので十分に大きな市場です。
それに加え、直近1〜2年の検索件数としてOKR自体の検索ボリュームが増えてきていて、世の中全体にOKRという言葉が浸透しはじめているのを感じています。
我々が2020年内に、ターゲットとしている影響力のある企業にどれだけ導入を実現できるかにOKR普及の明暗がかかっているとも考えていて。そういう意味で、2020年は勝負の年だと思っています。
強みは「事業成長」というブレない核
ーー競合する企業はありますか?
OKRに特化したサービスでベンチマークしている企業は、現在2社あります。
最も大きな違いは、他社は評価や従業員満足度をあげることを目的にしているのに対し、Resilyは「事業成長」を目的としていること。明確に数字として結果が求められる分、リスクや責任が伴いますが、その分社会への貢献性や私たちの介在価値は高く、Resilyの強みとして強く押し出していきたい部分です。
他のOKRサービスでは1on1でのコミュニケーションを軸にしているのですが、Resilyのサービスはチームとして優先事項を一致させられる設計にしています。目標同士の関連性が明確にわかるようなUIのデザインを重視していて、関係者間で目標の達成にむけた進捗のズレを可視化し、チームでのディスカッションを促すような機能をつくっています。
(当社の実際のOKR利用画面。全体の目標と個々の目標の関連度合いが灰色アクティブで可視化されている。また各メンバーのOKR同士についても色分けされ、関連性が認識できるようになっている。)
また、導入して終わりではなく、OKRを運用するチームのあり方も重要です。この点は、コンサルティングとして、OKRを推進できる体制づくりや、チームとしての意思決定を重視できる会議設計などをサポートしています。
事業成長を強みとしているものの、評価と結びつけたいというクライアントの声があるのも事実です。今は、その声に逃げずに向き合おうと思っていて、事業成長という核をブラさずに社員1人1人を評価できる、Resilyにしかないツールを作ろうと思っています。
ーー働く上で、Resilyならではの特徴や面白さがあれば教えてください。
一番の特徴は、自分がユーザーのペルソナとしてOKRを体験しながら、全員でプロダクトをつくっていくことができることですね。
Resilyの目標設定として2020年は、会社として「絶対に落とさない」と決めた影響力のある5社に導入を成功させようとしています。これを、自分たちで作るプロダクトを活用しながら達成していく、そんな成功体験が得られると思っています。
また、ResilyのOKRは、チームのコミュニケーションを最重要視しています。そのため自分自身も代表として社員それぞれの強みをきちんと把握し、人材の長期的な成長のためのアサインを真剣に考えています。
何か成し遂げたいことがある方や、ビジネスパーソンとして明確な方向性を描いている方であれば、企業の成長とすり合わせながら最適な機会を与えられるのではないかと思っています。
どのような人材になりたいか、明確に事業をどう成長させたいか、自分の考えを持っている方には最高の環境だと思います。
ーー最後にOKRの領域に興味を持ってくれた方にメッセージをお願いします。
OKR領域のサービスも、Resilyもまだまだ始まったばかりですが、私たちは、このサービスが近い将来に誰もが知っているサービスになると本気で考えています。組織を良くすることに興味がある方はもちろん、とにかく自分自身の手で事業をグロースさせる経験をしたいという方のご応募もお待ちしています。未開拓市場に一緒に挑戦しましょう。