Poisyからberryへのピボットを正式に行いました。
React社として大きな節目である出来事であると共に、
Poisyを半年やってきて得たもの、反省点などを残すことによって、
会社として次のフェーズにステップアップできるようにしたいと思います。
かなり本格的にさらけ出しているので、これからスタートアップをやったりする人にも参考になるかと。
Poisyリリースからクローズまでの経緯
経緯をまとめます。
2017年07月15日
プロダクトが完成し、審査に出す。
2017年07月18日
審査通過し、Poisy正式リリース
2017年07月18日〜2017年12月24日まで
▼ KGI(定量評価)
下記の二つの指標に絞って様々な角度から分析することでプロダクトとマーケティングの両輪を回していた。
- 継続率
- バイラル係数
また、上記とは別に、
- ネットワーク分析(Poisyのソーシャルグラフがどう繋がっているのかの分析)
は必ず毎週行い、モニタリングしていた。
▼ 定性評価
定量的に発見された課題に対して定期的に直接インタビューを実施
(例:登録したけど、投稿していないユーザーになぜ投稿しないのか?など)
▼ プロダクト
リリースは週に一度程度の頻度でアップデート
▼ マーケティング
- 集客
- 基本方針は「火種戦略」
- 火種の定義
- 継続率が高く、バイラル係数の高いグループ
- 火種を見つけ、作りだし、火種を育てることに徹した。
- 特定の狭い領域にアプローチし続ける戦略で、
- 火種を「見つける」「作りだす」「育てる」の三つが回る施策を打ち続けた。
- PR
- 使い方などのブログ発信
2017年12月24日
最大の火種の一つのアプリ起動率が明らかに低下
--> 短期継続率は高いが、中長期継続率が低いという課題発見
↑特定の火種の1週間単位におけるアプリ起動率のグラフ
一方で、完全に自然発生的に出来上がった火種(下図右上)を発見
--> 口コミ以外の方法で広げられる可能性があるのでは?ということでオンライン広告実施を決定
↑起動率の高いユーザーのネットワーク分析結果
2017年12月26日
Facebook/Instagram広告開始
Poisyの潜在的なユーザーにリーチしようということでオンライン広告を実施。
2018年01月03日
Facebook/Instagram広告終了
年末年始の1週間の実施結果でほとんど効果がないことが判明。
潜在的なユーザーがそもそも存在していない。今のPoisyでは難しいと判断。
2018年01月04日
Poisyクローズの方向に向かうことを決定
2018年01月10日
新プロ(当時はまだサービス名未定)の開発に着手することを決定
定例会の議事録
2018年03月07日
Poisyを正式クローズ(サーバー停止とAppStoreからの削除)
▼ サーバー費用推移
▼ iTunes Connect
振り返り
良かったこと
- Poisyで苦戦した内容を元にカスタマイズした定義ができて、それが今も生きていること。
- ▼キラーコンテンツの定義
- ①新規のユーザーが興味湧くもの→新規ユーザーの離脱を解決|Referral User Activation
- ②1人で楽しめるもの→成功体験・新規ユーザーの離脱を解決|Activation
- ③ユーザーの欲求かニーズを満たすもの(便利・おもしろい・お得)|Retention(7日目)
- ④習慣化するもの(ツール系・便利!・用途がはっきりしてる/エンタメに転化できるもの)→中長期の課題を解決|Retention(30日目)
- ⑤友達に紹介したくなるもの→2次バイラルを解決|Referral
- リリースした後の検証サイクルは良かった。
- AARRRモデルを採用して、定量的に評価した後、定性的に評価をして、機能要件を定義していけた。
- しかもそれを高速に回すことができていた。
- アップデートを週1くらいにしていてリズムが凄い良かった
- データ分析
- ユーザーインタビュー
- 要件定義
- 開発
- アップデート
悪かったこと
- リーンスタートアップの手順を忠実に踏めていなかった
- Poisy開発の前からリーンスタートアップの手順は理解はしていたし、採用していた。
- 課題を抽出し、モックを作成し、インタビュー実施してMVPを開発し、
- PMFに向かってはいた。
- しかし、反省点として、バイアスを持ったインタビューになっていた。
- ユーザーのことを疑わなかった。
- Depth Interviewをするべきだった。
- インタビューはしていたものの、仮説検証の精度が低いまま開発が進んでしまった。
- SNSで成功するための原理原則を理解しきっていなかった。
- Single Play Modeがあったほうがいいということはわかってはいたものの、
- 課題を最短で解決するサービスであるから問題ないということで進めてしまった。
- 局所的な箇所を解決する能力は高かったものの、根本的な解決をするというところに盲目だった。
- 結局、最初の仮説検証の甘さがアダになってしまった。
- 最初の仮説検証がしっかりとされていればそこからは強い。
- プロトタイプの検証がしっかりとされていなかった。
- Poisy自体がモック時点での検証がしづらく(友達がいないと面白くない)、
- その検証プロセスをかなりすっ飛ばしてしまった。
- 大局的にマーケットのニーズを把握できていなかった
- 既存のSNSの使われ方とか、
- なぜこのタイミングでPoisyなのかというところをしっかりと考えきれていなかった。
- PEST分析で言うと、Socialの領域をついたサービス展開をしていたにも関わらず、
- そもそもターゲットとなるユーザーについて知りきれていなかった。
- ユーザーの習慣などをもっと知るべきだった。
- ペルソナをしっかりと定義していなかった
- ペルソナじゃない人たちの継続率が高かったことに満足してしまっていた。
- ペルソナに使ってもらい、そこからのインサイトを十分に取り入れるべきだった。
まとめ
全体観
論理性(仮説検証の精度を上げる)と非論理性(運営側の思想)のバランスが大事。
非論理性がなければ、過去のデータに基づくもの(論理性)しか担保されず、イノベーションは生まれない。
MVP完成前
マクロな視点でサービスのスケールを考えつつ、
そのマクロに存在する一人一人のユーザーの習慣や行動様式を捉え、
彼らが本当に課題だと思っているものを抽出し、
課題をストレートに解決するソリューションをMVPとして定義する。
MVP完成後
MVPが完成してからの仮説検証プロセスは高速だししっかりとしていたが、
MVPが出来上がった後も、局所最適だけではなく、
抽出された課題に合わせてドラスティックにプロダクトを変えていく。
インタビューとペルソナ
インタビューは常に疑い続けるマインドを持ち、
ペルソナに対してしっかりとヒアリングをかけ、
ペルソナの行動を追い続ける。
ここまでは、Poisy全体としての反省点をまとめたものだったが、
各セクションを担当していた責任者に対して、
別のセクションにいた責任者からそれぞれ良かったこと1つ、改善した方がいいこと2つ(1ストライク2ボール)を言い合ってみた。
1ストライク2ボール
プロダクト
ストライク
- 分析精度が高かったため、その後の要件定義が洗練されていた。
- スタートアップの経験がない中で、AARRRモデルを採用して着実に進めていた。
- PMFしたら絶対に行けるという安心感があった。
ボール
- そもそもの根本を疑う姿勢を持った方が良かった。
- それができていれば、ペルソナ定義しようとかなってたと思う。
- ドラスティックな判断をしやすくするための材料をもっと発信してほしい
- 頭の中をさらけ出せ!って感じ
- さらけ出すことで、ドラスティックな判断をしやすくなるし、受け入れやすくなる
- 心配を払拭する方法論として、論理的にその心配を取り払おうとしてしまうところ。
- 一度決まったこととかも、心配なのであれば根本的な解決策を新規で考えるようにする。
- ユーザーのことを疑った方がいい
- ユーザーが表面的に言ってることではなく、その奥にある本質をみた方がいい。
- 意識はしているのはわかるものの、足りていない。
- インタビューの後に、そのインタビューのまとめだけでなく、
- そのまとめから見える本質的なインサイトを探る行為をもっとした方がいい。
マーケティング
ストライク
- とりあえず色々試してみて、動いていた姿勢は凄い良かった。
- やるだけではなく、それをしっかりと体系的にまとめていたのは良かった。
- 次に活かせそう。
- リーンスタートアップの考え方にマーケティングをうまく組み込めたのが良かった。
- プロダクトとマーケティングの両輪がしっかりと回っていた。
- ネットワーク分析など初期のマーケティングとしてやるべきことがしっかりとできてた。
ボール
- もはや所属している感覚になるくらいのコミュニティをもっと作るべき
- イベントにもっと顔を出すとか、柔軟に対応できるコミュニティをもつ
- 施策に対しての定量的な振り返りを時系列でまとめてほしい
- スポット的に利用したマーケ費用に対しての結果はまとめていたが、
- それを俯瞰的に振り返る場所がなかった。
- バイラルするためのプロダクトに反映できる施策や機能を考えるべき
- 意図的にグロースするための施策みたいなのを考えてほしい。
- 広告施策とかではなくて、プロダクトに反映できる仕組みを作って欲しい。
- インフルエンサー(食べスタグラマー)にもっと接触するべきなのではないか
- 初期のターゲットユーザーがリスペクトする人たちになるわけだから、
- そういう人たちに接触することで自然に宣伝にもなるのではないか。
デザイン
ストライク
- 安心と信頼が完全に根付いた。安定している。
- 成長が著しい
- 論理性に基づいたデザイン思考が素晴らしいし、やりやすい。
- 感性に基づいたデザインだと納得しずらい部分をクリアにできる。
ボール
- ベターではなく、変化球もほしい。
- ユーザーインタビューという行動習慣の理解と、
- デザインのスキルを合わせるからこそ実現できるのでは。
- ReactNativeのライブラリを勉強する
- エンジニアとのコミニケーションをもっと円滑にするため。
- こんなことが簡単にできるというイメージを持ってもらいたい。
- デザインパターンをもっと見て、対話型にしていきたい
- 一つだったりすると、なんか違うなという点などにコメントがしずらいため
- 現状を常に疑い、満足することなくドラスティックにデザイン提案が欲しい