背景
- Berryは人々が外食する時の接点となるアプリであるため、この外食産業がマクロトレンドとしてどういうことになっているのかを簡単に調査しました。
- 『外食産業の歴史』→『現在の外食産業』→『外食とテクノロジーの関わり』という流れでまとめています。
外食産業の歴史と現在の市場
引用:https://rnavi.ndl.go.jp/kaleido/tmp/145.pdf
始まり
- 江戸時代である1657年以降に各地から江戸への移住が盛んにされるようになり、その多くが単身の男性が多いことから外食需要が高まり、屋台の形態のお店が出現したのが始まり。
- 食べられていたのは『蕎麦』『天ぷら』『握り鮨』など。肉食は嫌われる傾向にあった。
洋食の流入
- 明治時代に入り、洋食が本格的に流入すると、外食も急速に発達。
- 明治30年末には東京には料理屋 476 軒、 飲食店 4,470 軒、喫茶店 143 軒、銘酒屋 476 軒が存在。
- 大正時代に入ると外食が日常で行われるようになってくる。簡易食堂などが出現。
- 戦時や戦後は華やかな外食はなくなり、窮乏状態に合わせて雑炊食堂という業態が多く出現。日本経済の回復とともにこれが解消されていくことになる。
外食産業の誕生
- 1970年、ファミリーレストランのすかいらーく、ケンタッキーフライドチキン、マクドナルドがオープン
- この年から大規模チェーン店が全国に増加し始める。手頃な値段で食べられ、食事の準備も片付けもないため、一気に日常に溶け込むことに。
外食産業の誕生
- 外食の日常化が進んだあとは、外食のレジャー化・娯楽化が進む。
- バブル直前には一世のグルメブームが発生。料理店が多様化し、エスニック、フランス料理、イタリア料理(イタ飯)が大量に出現。
- この時期からグルメガイドブックが販売されたり、テレビや雑誌にレストランが載るようになる。
- 市場はそこから近年まで伸び続ける成長産業となる
画像)リサーチ・ナビ 国立国会図書館より
外食産業の現在
全体
- 数字でみると『25.4兆円』と相当でかい成熟市場。ちなみに日本の飲食店数は60万件。
- 近年は外食業界の市場規模は縮小傾向
- ①人口減や高齢化による食需要の縮小
- ②節約志向の高まりによる低価格化の進行
- ③コンビニエンスストアや食品スーパー等の品揃え拡充に伴う中食市場の拡大
- 業態別には下記の通り
- ファミレスやファストフードは堅調
- パブや居酒屋は高齢化、若年層の酒離れにより縮小傾向
外食を取り巻く環境
- 外食の競争は激化
- 中食や宅配需要の拡大
- 人材・原材料調達のコスト上昇
- 消費者の根強い節約志向
- 中食や宅配需要の拡大要因
- 高齢化、共働き世代の増加による影響により市場が伸びている
- 深刻な人手不足
- 生産年齢人口の減少を背景に、労働環境が過酷な外食サービス業では人材不足が高まってる
- パート・アルバイトの採用難易度が高まる中、人件費を抑制しながら離職率を下げることが求められる
外食におけるテクノロジーの関わり合い
グルメサービスの歴史
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引用元:http://toreta.blog.jp/archives/45861837.html
- 5年毎にゲームチェンジが起きている
- 1995年の始まりから現在までどのようにプレイヤーが変わってきているかを記載
①始まり(1995〜 )
▼背景
- 当時は自店のホームページを持っている飲食店はかなり珍しい時代
- インターネットが出始めの時代
▼主なグルメサイト
ぐるなび
- ぐるなびは"自店のホームページ代わり"として普及
- ぐるなびは現在もお店からのメッセージ、PRをダイレクトに表現する場になっていた。
askU東京レストランガイド
- クチコミ型グルメサイトの元祖
- レビュアーと呼ばれるユーザーがお店のクチコミを書いて作られていくグルメサイト
- サクラや荒らし、競合店の嫌がらせの書き込みなどで荒れやすく広告収入が得にくかったため、収益化に苦しむ
②ぐるなびモデルの台頭(2000〜)
▼背景
- ぐるなびモデルが流行
- エリアやジャンル、目的などで検索できるサイトを構築し、掲載料金をお店からもらうスタイルのグルメサイト
③次世代グルメサイトの登場(2005〜)
▼背景
- 『ぐるなび』と『hotpepper』の2強状態。お店を効率的に探せるお店が勝っていた。
- その2強を崩すグルメサイトが登場する
▼主なグルメサイト
食べログ(2005~)
- 「askU」「東京グルメ」など先行するクチコミ型の弱点であった収益化にはじめて成功
- 膨大なお店の中から、『人の評価』という軸でお店を選べるようになった
- 親サイトの価格.comで培ったノウハウでガイドラインに沿った巧みなクチコミの統制し、誹謗中傷やヤラセを抑えつつ、ユーザーの自由度を担保
オズモールレストラン予約
- 全国50万店ともいわれる飲食店(パブ、スナックなどは除く)を全網羅するのではなく、敢えてターゲットを絞ったお店のみに掲載を限定
- 掲載料ではなく"予約による送客手数料"をもらうスタイル
- ターゲットは若者女性
一休レストラン
- オズモールレストランと同じスタイルだが、ビジネスマンターゲット
④新旧世代交代 (2010〜)
▼背景
- 「スマホ」「キュレーション」「予約」をキーワードに第3世代のサービスが登場
▼主なグルメサイト(ここからアプリも)
Retty
- 増えすぎた飲食店情報をナビゲートするために、"検索"ではなく知っている人や食通の人を通じてのキュレーション
- 全国の実名レビュアーの信頼できる口コミを検索。食べログのわけわからない人のではなく、顔の見えるレビュアー。
TERIYAKI
- 有名人がおすすめする本当にうまい店を探せるグルメサービス
- こちらも増えすぎた飲食店情報をより激選させてキュレーション
⑤現在存在しているグルメ系サービス
リストラン
グルメサイトの情報をまとめて検索!
写真・口コミ・クーポンをまとめてチェック
ランキングからお店が探せる! ListRank順(無料)
リストランは新しいスタイルの飲食店 検索エンジンです。
写真や口コミ、クーポンを、まとめて検索できます。
ブッキングテーブル
豊富なお店のラインナップから人気のお店をランキングで探せる飲食店予約アプリ
予約がとりにくい人気のお店も、いつものお店も、豊富に揃えました。
Tastime
Instagram社の公式APIを使用したフォトジェニックなお店が見つかるグルメアプリ
Instagramで人気のお店や、世の中のトレンドを先取りできる
リピ店
リピーターが多いお店=リピ店がランキングから簡単に探せます。
ミイルに投稿された200万枚以上写真と投稿日時から独自のアルゴリズムでリピーターの多いお店をランキング表示します
ペコッター
希望を伝えるだけで、美味しいお店を教えてもらえる
気に入ったお店は、予約もお任せできて
個室や人数をチャットで伝えるだけで、予約してもらえるぺこ
いたれり尽くせりのコンシェルジュアプリぺこー
考察
上記のインターネットの歴史を見ていると、順当な進化をグルメアプリも遂げているのかな。元々は飲食の情報がないという状態だったため、飲食の情報が多いところが勝者になり、次に情報過多の中からお店を選びやすくするためにカテゴリー分けてお店を探しやすくしたサービスが勝つ。
さらにそのお店群の中でも優劣が欲しいという需要に対して『口コミ』というものをテーマにしたサービスが台頭し、『知らない人の口コミ』ではなく知ってる人の信用性のある口コミが欲しい!という需要に対して、Retty・Teriyakiなどが出てくる...。
上記のように、その時の人間の行動や考え方の変化があって、それに合わすことができたサービスがその時代の勝者になってきているのかなと思います。それでは次の勝者はどのようなものになるのか...。
最近大学生を中心とした若者世代と話す機会が多いんですが、彼女たちの『グルメに対する熱量の高さ』と『情報の取得の仕方の変化』を非常に強く感じています。この感覚や変化に沿ったサービスが次世代のグルメアプリになっていくのではないかと思っています。
前者は、インスタ映えとメディアで騒がれている通り、本当に彼女たちはインスタ映えするお店に行くことに大きな価値を持ってます。SNSでの自分が彼女たちのヒエラルキーに影響を与える重要な要素になっていること、そしてイケてる自分を投稿することで自己顕示欲が満たされるため、できる限り自分の生活をよく見せたいと日々思っています。その一番てっとり早い手段が日々の『食事』となってるため、おしゃれなお店、おしゃれな食べ物を日々求めています。稼いだバイト代もグルメに使います。
後者は、スマホネイティブの世代は『情報を検索する』という行動自体をしなくなってきている、という変化です。下記の図で示している通り、スマホがそもそも能動的に情報を取得することに最適化されていません。そして、彼らは常にSNSをみて情報を受信し続けており、能動的に情報を取りに行く必要性も下がっています。むしろ受動的な情報のみで情報過多の状態になっています。
PC世代からすると当たり前な能動的な情報の取得から受動的な情報の取得に変わってきています。
引用:http://komugi.jp/?p=691
グルメに関していえば、行きたいお店を決める時は食べログで検索するのではなく『日頃からSNSの情報をスクショで保存したり、アーカイブしたり、メモして、お店に悩んだ時は検索せずそこを見返してお店を決める』といった行動です。グルメ以外の分野でも、同等にこのような変化が起きていると思います。
そのような変化を肌で感じ、これから次なるグルメアプリが台頭するとしたらこのような彼女たちのトレンドに即した形のものになるのではないかなと思っています。
私たちが作ってるBerryはこのティーンたちの感覚や行動の変化に伴って起きている課題や需要に対して、いち早く刺しにいき、彼女たちに圧倒的に寄り添えるサービスにできればと思っています。