調査背景
スマホ普及が浸透してきた2012年頃をピークに、位置情報サービスはありふれているが、未だに大成功しているサービスと言えるものが出てきていない。(GoogleMapがそれに当たるかも)
そんな中で、これまで注目はされたけどFacebookのようにはなれず終了してしまったサービスを調査してみた。
先人達の失敗から学ぶことでサービス構築の教訓とできればと思います。
巨大サービス
LikeALittle
- リアル世界で発見した魅力的な異性の特徴を位置情報付きで共有するサービス
- ユーザーは匿名でログイン(コメントごとに勝手にフルーツの名前が振られる)し、
- 魅力的な相手を発見した際には相手の「性別」、「髪の色」、「発見した場所」、「その他の印象に残った点」を共有
- 誰でもコメントなどできるが、削除や報告も誰でもできるようにして健全化を図っていた。
- 2010年10月ローンチ
- Facebook同様の方法でサービス展開を開始
- リリース6週間後で到達したページビュー数は2000万PV
- 2011年には10億の評価でアンドリーセンホロウィッツから1億円の調達
- 2012年前半には、コメントがヒートアップし、位置情報の問題も顕在化してきてサービス終了。
- 2013年3月に全く別の会社が作成したUCrushという類似したサービスも大学生の間でまた爆発的に流行ったらしい。
- 大学生は匿名の噂話が大好きなようです。
- ちなみに、その後CircleというモバイルアプリをLikeALittleのメンバーで作成。
- 友達がどこで何をしているのかを知らせてくれるサービスをアプリで作成したが失敗している様子。
Yik Yak
- 特定の地域内(特に大学コミュニティ内)でユーザー同士が匿名でチャットできるサービス
- 大学生の二人が2013年12月に創業と同時にローンチ
- 創業5ヶ月後の2014年4月には1.5億円を調達
- そっからガンガン投資をもらうものの、2015年にはいじめによる自殺者などが出てやばい雰囲気に。
- 2017年4月にサービス終了。
- 最終的には匿名性の陰湿ないじめなどにより学校で禁止などされるようになり維持できなくなって終了。
- この手のサービスでうまくいっているのはKikやWhisperなど。
- Secretというサービスもゲイコミュニティになってしまって2015年に終了している。
- その後、Squareが100万ドルでYik Yakの数名の従業員と同社のいくつかの知的財産における通常実施権を買収した
- 2013年の創業以来7,340万ドルも調達していた。
- 評価額は4億ドルがピーク
- 米国では大学生ならば利用していない人はいないというレベルだったらしい。
- 日本では、匿名学校裏掲示板 -ロコモコ-という似ているサービスがあるが、こちらも閉じている。
Panoramio
- 元々はスペイン発のスタートアップで後にGoogleが買収したサービス。
- Google Map上に審査通過した写真だけがマップ上に表示されるサービス。
- 2005年10月にローンチ後、2007年3月にアップしたユーザー数は100万人を突破し、Googleから買収提案が来る。
- 2007年7月には買収。
- 買収後、Googleアカウントが必須になったり、そもそも写真がマップ上に表示されなくなるなどがあり、
- さらに既存のGoogleMapも進化を続けていたため、
- 2014年9月にはサービス終了。
Wondershake
- Facebookログインで、いいねからの嗜好情報x位置情報xバーチャルという出会い系サービス。
- 現在はLocari運営会社のWondershake。
- OpenNetworkLabで4000万円ほどの出資を受けている。
- Wondershakeは2011年7月に渋谷からサービス公開
- サンフランシスコ、ボストン、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンディエゴ、シンガポールでも順次公開。
- ただこの時期、SXSW 2011で注目を集めたサービスにローカルコミュニケーションが多かった
- これらはどれも近くの誰かとコミュニケーションするをモットーとしていた。
- 2011年8月に観光ビザで渡米するものの、その後正式ビザはおりず途方に暮れてしまう。
- 次世代出会い系アプリと自分たちでプロモ動画を作っている。
- 若者に強烈に突き刺さる話題性が口コミを呼び、サービスが急拡大したことが容易に想像できる。
- 一ヶ月で10万ユーザー、半年で50万、なんと世界で200万人が、一日平均一回shakeしてHi!している。
- ちなみに、foursquereは6万ユーザー集めるのに7ヶ月
- twitterrは100万ユーザーに2年もかかった
- 半端ないメディア露出がよかった?
- 良記事
- 楽しいけど友達には説明しにくいアプリかで、ユーザー数のはね方はだいぶ変わってくる
- ユースケースを誰でもわかるレベルで明確にして伝える
- 良記事2
Gowalla
- サービス内容はほとんどFoursquareと同じ。
- サービスの誕生はFoursquareと同時期で、2009年のSXSWカンファレンス
- その時点ではGowallaの方がデザイン性に優れ、有利とされていた。
- 2010年11月:60万ユーザー
- 2012年3月、Foursquareに勝てず、Facebookに買収される。
- 負けた要因として言われているのが、
- 立地(NewYork v.s. オースチン)
- 名前(Gowallaは全く位置情報という意味になってない)
- 機能の集中(Foursquareはチェックインにフォーカスしてプロダクト設計した)
- スタバがFoursquare側についた。
ナカマップ(ピボットしてLobiに)
- サービスとしてはZenlyとほぼ同じと思っていいと思われる。
- 友達の、今どこにいる?何してる?が位置情報とチャットですぐわかる!
- Zenlyとは違って、グループ単位での位置情報共有に重きが置かれていたり、
- 通知などはシャウトをしないと届かないなどの配慮がされている気がする。
- FreakOutの創業メンバーに聞くとみんな使ってたらしい
- 2011年サービスローンチ。
- 中東でなぜかはやったりとか、
- 震災があったこともあり話題になる。
- しかし、LINEなどの勢いに潰されチャットアプリとしては厳しくなる。
- 2013年5月にlobiに名称変更してピボット。
- プロモ動画
- このブログ面白いです。
- 位置情報を共有し続けることに抵抗あったけど、解放してみたら意外と気持ちよかったってブログw
その他
変わり種系
- Dtector
- 自分の求めるスキルや知識を持つ人に会いにいけるアプリ
- GPSを使って近くにいるスキル持ちとコンタクトが取れてすぐ会える
- 知らない人と話すのでどんどん人脈が広がりスキルもついていく
- ShakeMe
- Wondershakeのリアルグラフ版?
- Highlight
- facebookの友人が近くにいると通知するアプリ
- 偶然の出会い、再会を演出する。
- Knockerに近い
- ともだちストリート
- Zenlyみたいな感じ
- 待ち合わせしながらメッセージができる。
出会い系
ログ系
スポットに情報貯める系
考察
2012年を第一回目のピークとして位置情報サービスが急速に普及したが、その先駆けは「出会い系」「匿名掲示板」「バーチャル」の要素を持つアプリがものすごい多かった。
その中で生き残ったのはうまくSwarmにサービスを移管したFoursquareくらいなのではと思えるくらい生存確率が低い。
Swarmは現在現役の大学生にヒアリングをしても一定数の支持を得ている。
もはやソーシャルな要素というよりは、個人的な記録管理アプリ x ゲーミフィケーションであるので、正直位置情報サービスと呼ぶべきかも少し怪しいが、
個人の位置情報をソーシャル上にシェアして行くという新たな行動習慣を生み出したという点では非常に凄い。
ポケモンGOが大流行し、Instagram, Twitterでも位置情報をタグなどでシェアして行くことが当たり前になる世の中で、
これからより位置情報を個人が発信するということに抵抗がなくなってくる世界になってくるため、
これまで潰れて来た「出会い」や「匿名」、「バーチャル」といった要素を排除した位置情報SNSがこれからは求められてくるのではないかと思ってます。