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デザートを目当てに来店してもらえるように。商品開発を担うパティシエの研鑽

2022年8月、ポジティブドリームパーソンズ(以下、PDP)に入社した「現代里山料理 ZEN HOUSE」パティシエの榊原 綾華。入社後間もなくデザート開発を任され、今年は夏季限定商品“氷菓子”の「緑蔭」を考案。入社1年目から活躍する榊原が、パティシエとして大切にしていることを語る。


和菓子にチャレンジ。日々のデザート作りと商品開発を担当

▲現代里山料理ZEN HOUSE

「現代里山料理 ZEN HOUSE」でパティシエを務める榊原。現在の業務はランチ、ディナー、アフタヌーンティー、ハイティーなど日々のデザート作りが基本。そして毎月のデザート開発や期間限定のデザート開発を同時並行で進めている。

「キッチンスタッフは社員・アルバイト含めて合計6人で、パティシエは私一人です。商品開発の際は、考案したデザートをシェフに確認してもらいながら進めています。

月替わりのデザートは月初にメニューを考案し、後半が開発・試作という流れ。そして単発的に期間限定のデザートを別途開発しています。とくに旬の短いフルーツを使ったデザートを開発することはとても楽しく、やりがいを感じています」

コースの最後を華やかに演出するデザートを担当する──入社後間もなくそのポジションに就き、責任感を持ちながら日々業務に取り組んでいる。

「メニュー開発や使用する食材に関して、シェフに相談や指導してもらいながらも、主にデザートはすべて私が作っています。出勤日以外に不足が発生しないよう、仕込みをきっちり終わらせることを大切にしています。仕込みが完了できなかった場合もそのままにせず明確に相談し、手伝ってもらうことも意識しています」

デザートをお客様に提供する上で、榊原が大切にしていることは「価値の提供」。そのデザートの先にいるお客様を意識した一皿を作り、ZEN HOUSEのコンセプトを表現している。

「お客様からお金を頂戴しているので、それに応えられる価値ある品を提供することを心がけています。お客様が召し上がったあと、『食べて良かった、来て良かった』と思ってもらいたい、そんな想いでデザートをつくっています。

たとえばコースとは別の記念日プレートをご注文いただいたときには、お客様が喜んでもらえるような見た目やお客様のシチュエーションに合わせた盛り付けを行います。レストランの和の雰囲気にあわせて、『おめでとうございます』を縦書きしたり、羊羹やお餅をあしらって和風にしたりといった工夫は意識しているポイントです」

失敗を糧に──自分のキャパシティを見極め、高いクオリティを提供

▲開発に携わった氷菓子

PDP入社前はパティスリーやレストランで約6年間働いていた榊原。それまで未経験だった「和菓子」というジャンルに挑戦できることにおもしろさを感じ、転職を決めた。

「パティスリー2店舗と地中海イタリアンレストランで勤務し、パティシエとしての基本の経験値は積むことができていました。そんな中で、『新しいことを始めたい』という想いが強くなり、和菓子作りに挑戦できるPDPに入社。PDPはさまざまな店舗を運営していますが、面接時にZEN HOUSEへの配属がほぼ決まっていました」

榊原が商品開発を担当し始めたのは、入社1カ月後から。前職から「商品開発をやりたい」という想いがあり、その希望をすぐに叶えることができた。

「前任のパティシエと入れ替わりのタイミングだったこともあり、早く商品開発を担当できればと思い、最初は『何かできるものがあったらお手伝いします』といった姿勢で取り組みました。前職ではお店の規模が大きく商品開発に携われなかったため、転職後はぜひ挑戦したいと思っていました」

デザート作りを一人で担当するのは、現職が初めてのこと。今までとは違うノウハウが身につき、成長できたと振り返る。

「自分のキャパシティを見極められるようになりました。自分のキャパシティ以上のものを作ってしまうと、周囲の手を借りなければいけません。パティシエ1人の中では、それだと継続的な提供は難しいですよね。だから、私が責任を持ってやり切れる範囲でお客様に満足してもらえるクオリティを提供することが大切で、スケジュール管理能力も身につきました」

そう考えるようになったのは、入社初期の経験がきっかけ。「工数が多い」=「おいしい」わけではないことに気がつき、自分の責任の範囲内で高いクオリティを維持できるようになった。

「当初は今より手がかかるデザートを作り、工数を必要以上にかけていました。私自身は商品開発がとても楽しく、時間がかかることを厭わないと思っていましたが、ご来店のお客様が増えるにあたって周りのメンバーに手伝ってもらうようになってしまったのです。

皆さん優しいので『手伝うよ』と言ってもらえるのですが、私に任されている仕事のため甘えてはいけない、と反省しました。工数を省いてもクオリティを維持できるものはレシピを修正し、自分のキャパシティを見誤らないように意識しています」

かき氷の開発・名付けを担当。本社と協力し、商品をアップデート

▲榊原考案 氷菓子【緑蔭(りょくいん)】

日々提供するデザートは一人で開発するものの、ときには本社と連携した商品も開発する。夏季限定で現在発売中のかき氷は、シェフや本社の担当者と一緒に開発を進めた。

「ZEN HOUSEで提供するほか、他店舗への横展開も見据えてかき氷を開発しました。開発期間は4月後半〜5月後半の約1カ月。5月頭から試作し、6月初旬から『桃』と『お茶』の2種類のかき氷を販売し始めています」

「桃」と「お茶」のかき氷は昨年も好評だったデザートで、今年はそれを元にアップデート。「お茶」のかき氷は榊原がメインで開発を担当。昨年人気だったお茶の味わいは残しながら、バージョンアップしたかき氷を完成させた。

「見た目の面では、昨年お客様から『見た目が寂しい、でも味はおいしい』というご意見を頂戴していたため、わらび餅をかき氷の上に乗せてインパクトをもたせました。これは本社の担当者のアイデアで、私もとても良いと思ったのです。

そして味の面では、抹茶のかき氷以外にもパーツがほしいと思い、昨年と同じ赤米・黒米のアイスに加えて塩味のミルクアイスもプラス。さらにアイスはかき氷の中に入れることにもこだわり、食べ進めるとさまざまなパーツが出てくる仕掛けを施しました」

「新しい発見があって食べるのがおもしろい」と感じてもらえるように──そんな想いが、その仕掛けには込められている。こうして完成した「お茶」のかき氷の名前は「緑蔭」。その名は榊原が提案し、採用されたもので、商品に名前を付けるのは初めての経験だった。

「かき氷を涼むために食べに来てほしいという想いがあったので、夏の季語から初夏の青葉が茂った木々の蔭を表す『緑蔭』を選びました。一息つけるイメージで、店のコンセプトにもぴったりだったのです。ストーリー性を表現した名前が採用されて、とても嬉しかったですね」

かき氷を実際に食べてくれたお客様からは「昨年よりもおいしかった」という声も。

「昨年お越しいただいたお客様や常連のお客様からサービスを通して『おいしかった』と聞いたり、実際にあいさつしてお客様から具体的に『アイスがとてもおいしかった』と伺ったり、改善した点も高く評価いただいていることを感じています」

榊原にとって、仕事をする上で喜びを感じる瞬間は、やはりお客様の「声」。食べ終えたお客様から「おいしかった」という声を聞くと、やりがいを感じると言う。

「お客様によっては何がおいしかったかを熱心に伝えてくれる方もいらっしゃり、直接お声を聞けるととても嬉しいです。失敗したら自分でリカバリーしないといけないプレッシャーはありますが、その分私が作ったものを『おいしい』と言ってもらえることが、大きな喜びですね」

デザートを目的に来店するお客様が増えるように──研鑽し、アイデアを考え続ける日々

今後の目標は榊原が作るデザートのファンを作ること。デザートを目的に、ZEN HOUSEへと足を運んでほしいと言う。

「コースやアフタヌーンティーをご注文いただくお客様の中には、『デザートを食べに来ました』と言ってくださる方がいらっしゃいます。そういった方が、さらに増えたら嬉しいですね」

また、今回のかき氷をきっかけに、他店舗への横展開を見据えた商品に携わるポジションに就くことも将来的な目標だ。

「私が作ったデザートがZEN HOUSEだけではなく、PDPのさまざまな店舗で『おいしい』というお声を伺ったら嬉しいです。一部のお客様だけではなく、全国各地で評価いただくことで、自分自身のスキル向上も実感できると考えています」

入社1年目から目覚ましい活躍を遂げている榊原だが、その背景にあるのは自己研鑽だ。今までの経験を活かしながら、和菓子という新しいジャンルの知識を日々習得している。

「私はこれまで和菓子にまったく触れてこなかったので、和菓子の有名店で実際に食べて研究し、活用できるアイデアがあったら作り方を調べてメニューに新しく取り入れています。

たとえば、『錦玉羹』は今までの人生で私が食べたことのなかった和菓子だったのですが、研究を重ねていく中でそのおいしさに惹きこまれ、ZEN HOUSEらしさを加えたものを現在ランチで提供しています」

今後も新しい引き出しを増やしていくよう、精進したいと語る榊原。その想いを今後もZEN HOUSEで実現していく。

「ZEN HOUSEは、新しいことに挑戦する上で最適な職場です。新しいメニューをシェフに提案するとき、Noとは言わず『まずやってみよう』とうなずいてくれます。

ときにはシェフと食い違うこともありますが、お互いの意見を尊重しながら、話し合って解決に向かうことができています。自分がチャレンジしたいことがあれば、それを実現できる環境なので、目標を持って働きたい人にはぴったりな場所だと思っています」

短期間でパティシエとして成長を重ね、現代里山料理 ZEN HOUSEのデザートを一任されている榊原。一人でも多くの人に「おいしい」と言ってもらうために、今後も新しいデザートを開発し続ける。

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