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【デザイナーズストーリー】デザイナーだけで完結できることは少ない。リーダーとしての周囲の巻き込み力と越境

「デザイナーズストーリー」と題してパーソルキャリアで働くインハウスデザイナーにスポットライトを当てる第二弾は、累計登録者数629万人(※)を超える転職サービスdodaの主に集客用コンテンツを支える市橋壮一さん。今回は記事内で紹介されているリニューアル案件担当の企画職メンバーも交えつつ、普段なかなか紹介されることのない、人材サービスのインハウスデザイナーの仕事に迫ります。それでは早速いってみましょう。

(※)2021年6月末時点の累計会員登録者数


――簡単にこれまでの経歴を教えていただけますか?

市橋:20代の頃は印刷会社や雑誌編集の会社を経て求人広告の制作をしていました。30代中頃から前部署(アルバイト領域)にて法人顧客のオウンドメディアとしての求人募集用ページを制作する業務に従事し、そこでWeb制作に関わるようになったという感じですね。

その後、2018年から現在の部署に異動したので、dodaに関わってもう3年くらい経ちます。あっという間ですね(笑)。現在の部署に入って初めのうちは、集客用コンテンツのデザインおよびdoda転職フェアのプロモーションに関わるクリエイティブディレクション(交通広告やサイネージなど)に関わりました。現在は集客用コンテンツ制作を担当するデザイナーチームのリーダーとして進行管理及び制作業務を主に行っています。

手を動かす機会は以前に比べれば減ってはいますが、チームメンバーに注力して欲しいところに集中してもらうために、細かなタスクやマニュアル作りなど泥臭い部分は巻き取ると言いますか、そういった意味では手を動かす機会は全然ありますね。


――直近の仕事で何か印象的だったものなどはありますか?

市橋:直近で言うと大きかったのは転職イベントのトップページの改修ですね。dodaは2018年にリブランディングをおこなっているんですが、そこに乗り切らなかったページのリニューアルとして、デザイナー発進で私が所属するクリエイティブグループが主体となって改修することになりました。その中で、クリエイティブグループが知っている情報だけでは足りないところを取りに行ったり、関係者間の調整だったり、デザイナーだけでは決めきれない部分を組織間で連携して決めていくことの大切さを感じました。メンバーが自主的・自律的に動いてくれたおかげもあって、無事リリースにまで至ることができましたね。


フレームワーク導入で戦略から踏み込む。アイデアの「拡散」からいかにデザイナーが関わるか

――なるほど。デザイナーだけで0から完結するということは難しく、イベントそのものの戦略を考えていたり、そこの数字を追っていたりする他部署との連携が大事だったと

市橋:そうですね、規模の大きなサービスになればなるほど、そういった部分は大事だと思います。

ちなみに、この転職イベントのトップページは関係者間で情報設計のワークをして作っていったものになります。この方法が各プロジェクトのフローとして定着していくのはまだまだこれからといったところかと思いますが、その導入の先駆けとなったのはITエンジニア転職の専門ページリニューアルでした。ユーザーニーズとビジネスニーズを定義し、デザイナーは目に見える部分のデザインだけするのではなく、各々が職域に囚われず踏み込んでいくことで、結果手戻りも少なくプロジェクト進行が出来たのではないかと感じています。


――そのワークは興味深いですね。それを主導する上でポイントとなった部分などがあればぜひ教えてください

市橋:そうですね、まずはとにかく「拡散」が重要だと思っています。このワークも企画側の担当者以外からも様々な角度で意見をもらいつつ、「混乱を解きほぐして整頓する」ということを意識しました。そして整頓するためには前提としてまず様々な意見やアイデア=拡散が必要である、と。かつその場にデザイナーが居るということが重要だったかと思います。企画やその構成の検討段階からデザイナーが入っていくことで、最後の視覚的なデザインを作る際にも理解が深まった状態で着手できるため、先述のように手戻りが少ない形で進行できたのではないかと思います。


――ではここで、そのワークに参加した当事者でもあるコンテンツ・イベントグループの企画担当者の方にもお話を聞いてみましょう。ワークに参加されてみてどうでしたか?

企画担当者:まず「安心感」がありましたね。企画側だけで決めた内容をデザイナーさんに共有して作ってもらうというよりは、どういう構成や情報設計が良さそうかといったようなところから関わってもらうことで、デザイナーさん自身も納得感を持った状態で着手してもらえるし、企画意図への理解が深まった状態でデザインしてもらえそうだなという期待と安心感がありました。

市橋:例えば今回のワークの一部として競合サービスの類似コンテンツの構成から狙いの読み解きをしたんですが、言ってしまえばそれって企画者の方一人でもできる作業ではあるんですよね。そこをあえて複数名で見て様々な意見や見解を出すことで、一人でやった場合には生まれなかったような「可能性」を含んだ上で議論を進められ、企画そのものの精度も高めていくことができたんじゃないかなと思っています。加えて競合調査が逆に自分たちのサービスの強みに気付くことにもつながったのかなと感じています。

自社サービスの強みを改めて認識したら、その次はユーザーストーリーですね。実際にこのページに訪れてくれたターゲットがどういう状態になって欲しいか?を想像し、そこからワイヤーフレームを引いていく、と。

▼ユーザーストーリー作成ワークで出た付箋の一部

企画担当者:そうですね。ある箇所は完全に当初想定されていなかった構成要素だったりしますね(笑)

市橋:とはいえその箇所がすごく目新しいコンテンツであるとか、そういう話ではないんです。構成要素としては一般的にあるものですが「それをこの場所に入れた方がいいよね」という意思決定は、ワークを通して事前に積み上げてきた設計があるからこそできたのではないかと思いますね。

▼ワークを受けての新たなワイヤーフレーム(黄色枠内が構成意図などの記載)。ファーストビューだけでもかなりの議論がされた経緯が見て取れます。

リリースがスタートライン。インハウスデザイナーとしてのあるべき“動きやすさ”を形成する

――「ユーザーストーリー」という話がありましたが、これまではそういった部分の定義や設計はどの職種の方が担っていたんですか?

市橋:今まではデザイナーはUXデザインの5段階モデルで言う「表層」と、多少の「骨格」程度の関わりで、少なからず「最後に見た目を作る人」という認識が大きかったと思います。それが今回で言えば、ページ単位ではありますが一気に「戦略」から関わっていくという形だったとも言えるかもしれませんね。

企画担当者:企画側としても、リリースして終わりというよりは、リリースしてからいかにPDCAを回していくかが重要となるので、その際に「この意図があったから今はこのデザインになってるんです」と言えるようになることで、また次の検証につなげることができますね。企画はもちろん仮説を持っておこないますが、それが必ずしも当たるとは限らないため、「元々この仮説でやっていましたが、それが当たらなかったので次はこの仮説を検証するんです」という言い方ができるようになることで今後の伝えやすさが増したかなと思いますね。

市橋:まさに、リリースした時がスタートラインなんですよね。なので今回はインハウスデザイナーとしてリリース後にあるべき動きをする際の“動きやすさ”が形成されたんじゃないかと思いますね。今回のワークでこそ5段階モデルを理解した上でおこなったことで、段階によって役割・やることがはっきりとラベリングされましたが、そういう考えがまだ無い状態の時は「情報設計って誰がやるの?デザイナーなの?企画側なの?」というのがぼんやりした状態で進む案件は少なくなかったんですよね。「情報設計」という言葉の定義というか、使い方も人によって曖昧で。

先述したとおり表層の依頼をもらうだけで「本当にこの設計が最適解なんだっけ?」のような疑問を抱きながら進めるという時期が続いていて。でもやはりデザイナーとしては仮説立てから一緒に議論していきたい、最適解を一緒に考えていきたいという思いはありました。そんな中で今回のワークを提案して、それを企画側のみなさんが受け止めてくれたというのはすごく良かったと思っています。


――やはり仮説があるからこそ検証ができる、逆の言い方をすれば仮説がなければ適切な検証はできないとも言えますよね

企画担当者:個人的にはワークをやって、その仮説立ての部分への貢献が大きかったと思っています。今までも「こういうターゲットに対してこういうことをしたい」というものが無かったわけではないんです。でもそこを一人でやるのではなくデザイナーさんも含めいろんな人の意見を聞き、揉んでいくことでよりそこに意識が立つというか。仮説と、それに対するデザイン意図の粒度が上がったことによって、今回はリリースした後の振り返りがやりやすかったんですよね。


資料必要なし!気軽にデザイナーと壁打ちできるオンライン相談所

――「一人でやっていたことを複数人でやる」という部分に、第一弾の記事でも出てきましたが“越境”のような根底でつながるテーマのようなものを感じました。ちなみに案件以外で普段、デザイナーと企画側のコミュニケーションはどういった感じでしょうか?

市橋:私の所属するクリエイティブグループでは毎日30分間フリートークでデザイナーに気軽に相談できるオンラインの場を用意しています。リモートではありますが、まだ企画資料も作っていないとか、上長の承認もとっていないものも含め、自由な相談の場というのを意図的に設けています。

企画担当者:で、私はそこの常連です(笑)。ワークまではいかないんですが、デザイナーさんとライトに壁打ちしたいと思うことはあって、フラットに意見を聞ける場として利用させてもらってます。カジュアルに行けるのも良いですね。

▼オンラインの相談所。市橋さんは右から二番目。

企画担当者:実際に案件を担当するデザイナーさんに「こういう意図でこういう風に作りたい」ということプラスαで伝えるべき情報はないのか?という観点で相談しに行ったりもするので、「案件を依頼する際に担当デザイナーさんに必要な情報をデザイナーさんに聞きに行く」という(笑)

市橋:通常であれば企画の方と担当デザイナーと一対一になってしまうコミュニケーションも、良い意味で他のデザイナーを複数名巻き込んで複数の意見が出てくるというのがこのオンラインの場のいいところだと思っています。どうしても案件によってある程度担当するデザイナーが固定化されてしまう部分もあるので、これもまさに「拡散」ですよね。

企画担当者:きっちりとワークをしようと思うと資料の用意や時間の確保が必要になりますが、このオンラインの場だと本当に資料も無い状態で「想い」と「対象ページ」だけ持っていけば打ち返してくれるのでありがたいですね(笑)

市橋:このオンラインの場で待ち構えているデザイナーはそれぞれバックボーンや持ち合わせている知見も様々で、過去の事例が引っかかることもあるんですよね。「以前こういう事例がありました」というのが参考になったりするのもいいところですね。もちろんきっちりと仕様や設計を資料として作成し、厳格にレビューをするフローもありますし必要だとは思いますが、「何の用意もなく来れる」という場がその前段階に用意されていることで「拡散」という目的には適しているのかもしれないですね。

企画担当者:そうですね。資料作成はある種「収束」とも言えるので、それも必要なくシンプルにやりたいことを相談できるというのはありがたいです。あえてガチガチに固めすぎないで臨める場だからこそ拡散できますね。


スペシャリスト集団としてのさらなる価値発揮を目指して

――では最後に、どんな人と一緒に働きたいと思いますか?

市橋:自身で課題を見つけられる人というのは前提として、現在メンバーも増えてきて同じグループの中でも役割が分かれてきています。そんな中で自分が関わっていない仕事まで想像を働かせたり、越境していくというのが必要になってくると思います。そうなった際に柔軟に対応できる人と働きたいと思いますね。クリエイティブグループだけで完結できる仕事って少ないと思っていて、価値発揮するには他部署のメンバー含めどんどん巻き込んでいって、適切な協力関係を結んでいくというのも大事になってくるかなと思います。

企画担当者:そうですね。企画側が出した要望に対してそれにただ応えるだけでなく、提案ベースでコミュニケーションを取ってくれる方とはぜひ働きたいと思いますね。

市橋:それを企画側の方が言ってくれるのはすごくありがたいです(笑)。あとは、パーソルキャリアのミッション・バリューでもある「成長マインド」や「外向き」というところはグループ内でも良い方向に伸びていると実感しています。一方でそれに満足せずサービスや事業を深く理解した上で意思決定できる、よりスペシャリストとしての存在が求められていると感じています。そうしなければそもそもデザインそのものの価値を伝えていけないですし、組織の中でのプライオリティが上がっていかないと考えています。そういった部分を引っ張っていける人材を求めていますね。


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