みなさま、はじめまして。
GVA TECH株式会社で学生ビジネスインターンをしています、泰道です。
今回は、大学4年生という将来を考えるこのタイミングで、
『せっかく社会人の先輩方がいる環境でインターンをしているのだから、社員に聞いてみたいことない?』
と、お声がけいただき、タイトル通りインタビューさせていただく機会を設けて頂きました!
今回、私がインタビューさせていただいたのは…
機械学習エンジニアの藤井さんです!
現在、自然言語処理のタスクを中心に日々お仕事をされているそうです。
私が藤井さんに興味をもった理由は、なんと海外と国内の大学院で言語学の学位を修めた一風変わった経歴をお持ちだったからです。
それではさっそくいろいろ質問をぶつけてみましょう!
バックボーンを教えてください!
(泰道)本日は宜しくお願い致します!!今回、藤井さんにお話を伺う機会をいただけたということで、入社エントリーを事前に読ませていただきました。藤井さんは、文系の出身でエンジニアになられたんですね!
(藤井)はい、一般にエンジニアといえば理系のイメージが強いと思いますが、私はもともと人文学科の人間です。
(泰道)正直、エンジニア職は理系出身者がほとんどだと思っていました!もともと学部の時の専門はなんだったのですか?
(藤井)外国語学部中国語専攻でした。
(泰道)なるほど。そこから現在のNLP(自然言語処理)を業務で行うエンジニアに至るまでにどういう経緯があったのですか?
(藤井)えーっと・・・
学部の中国語専攻では、中国語の文法とか会話、その他中国をはじめとする東アジアの文化、社会、経済などを網羅的に学びました。留学をきっかけに「もっと突き詰めたい」と思い、その後大学院に進みました。
大学院は学部とは違い、自分が設定したテーマについて日夜研究をするところなので、最も興味のあった「ことば」のあれこれに取り組める言語学に進みました。言語学といってもさらに細かい下位分類があるので、それを説明し出すとあと一週間くらい付き合ってもらうことになります(笑)1つ目の北京の大学院では、個別言語学と認知言語学を専門としていました。そのときは指導教員の持ってるプロジェクトのひとつに自然言語処理系のものがありましたが、自然言語処理というワードは知っているだけで、自分でコードを書いたりなどは全くしてなかったですね。その後、データ分析に携わる機会がありほぼ独学でスキルを積んでいきました。
言語学と自然言語処理って何が違うんですか?
(泰道)藤井さんは自然言語処理がご専門ではなかったのですね!あと、てっきり言語学とは、自然言語処理の中にある学問なのかと思っていました!
(藤井)かなり違います(笑)むしろ逆で、出身大学の言語学系のコース紹介ページの言葉を借りるなら「言語は、人の知的活動の根幹を成すもので、人と他の生物とを分ける大きな特徴の一つです。したがって、言語の本質の探究は、すなわち人間の本質の探究であることに間違いなく、ヒトが人であることの意味を問うにあたって、言語についての科学的理解は欠かすことのできないものと言えます。」というように、ヒトをヒトたらしめる「ことば」について研究するのが言語学で、その「ことば」をコンピュータに処理させる一連の技術やその研究分野が自然言語処理なので、一見似てるけど違う所も多いんですよ。
(泰道)様々な切り口があるのですね!私たちもこうやって自然にコミュニケーションをとっていますが、これも生まれる場所が違うと取得する言語は異なりますよね。これも、言語学の領域なのでしょうか?
(藤井)そうですね。「言語習得」や、人間の脳は言語の基盤を生まれつき備えているとする「普遍文法」の考え方などがそれにあたるでしょうか。これも説明を始めると、あと2日は私の熱い話を聞くことになるので覚悟して下さい(笑)
(泰道)な、なるほど。私たちとは切っては切れない深い学問なのですね…。
学部卒業後なぜ進学を選んだんですか?
(泰道)私の周りには、大学院に進学する予定の友人は就職活動を全くせずに、進学の準備をしています。実際、大学3年生や4年生になると、周りがスーツを着だして不安な気持ちや焦燥感にかられることはなかったですか?
▲泰道
(藤井)ありましたね(笑)大学に入って2年もすると自分の視野の狭さを大いに知ることになるんですよね。「このまま卒業して社会に出ても何者にもなれない」といった焦燥感はありました。それに学部3年になるとみんな本格的に就活をしだすんですが、卒業後のこの社会共同体で自分はどうアイデンティティを確立したらいいんだろうと悩んだこともありました。また、当時その専攻で進学しようとしていたのは私一人だったので、なおさら不安でしたね。
(藤井)でも、結局進学を決めたのは、小さい頃から引っ越しで国内外転々としていたこともあって、「ことば」には人一倍敏感でしたし、「ことば」のことを毎日考えて生きていけるようなそんな生き方がいいなと思ったからですかね。あと、自分の無知さが許せなかったんですよ。大学で学べば学ぶほど自身の無知に気づき、辟易していました(笑)知識を渇望していました。若いですね(笑)
それとは別に、ちょうどその頃、学部のときの成果が認められて国家奨学金をいただけることになったのも追い風になりました。
将来に向けて、どんな選択をすればいいの?
(泰道)私は今、将来の道を選択する地点に立っています。これからの将来の道を選ぶ際どうしたらいいですか?また望む仕事につくコツはあるのでしょうか?アドバイスをいただけたら、嬉しいです!
(藤井)アドバイスになるのか分からないのですが、私は自分ができること×自分がしたいことを基準に選ぶ将来って面白いと思うんです。まずは自分ができることと、自分がしたいことを書き出してみるとよいかと思います。さらにそこに想定するお給与面を書き出してみると気づきも多いのではないでしょうか。お給与大事(笑)!
なお、自分がしたいことはこれまで経験がないものでも全く構わないと思います。これは社会人になってから分かったことなんですが、仕事はできる実力のある、又は経験のある人のところに集まります。未経験の人に仕事を任せるって結構勇気(とリスク)がいることなのでなかなか難しいようです。
だから、自分ができること、得意なことを軸に、自分がやってみたい分野の実績をひとつでも作って、継続して知識をつけていけば、自分ができること×自分がしたいことの領域で活躍できる可能性も高くなるんじゃないかなと思います。
私の場合は言語学と中国語(自分ができること)×自然言語処理、機械学習、データ分析(自分がしたいこと)になります。自然言語処理の経験が全く無い頃、自分でNLP案件を必死で探してきて案件を成功させ、まずはひとつ実績を作りました。あの時は分からないことだらけで非常に苦労しました。大変でしたが今思えば、あの案件が足がかりになり今現在自身の望む仕事に就けています。
また、現在行っている自然言語処理技術の実世界への応用例をたくさん作って、もう一度研究の道に戻りたいという気持ちもあります。それは2年後とか、10年後とかでもいいし、60歳くらいで大学院に入り直すのも楽しそうです。
泰道さん、どんな道でも選べることを忘れないでください。
インタビューを終えて。
私は藤井さんのお話を聞いてから、「言葉」の選択についてよく考えるようになりました。また、言語学とは、とても深くて人間そのもので、その人間の尊さに繋がっているものだ、と感じました。
そのような奥深い言語学をずっと追いかけ続けること、また人生においてそれほど夢中になれることに出会えていることが、すごく素敵で羨ましいと思いました。
今回のお話の中でも、丁寧に言葉を選んで喋ってくださっていることが伝わり、その素敵な「言葉」たちの中で私は、『これから社会人になり、自分色に染められる人生で、どんなものと出会えてどんなものに夢中になれるのだろうか?』とワクワクしていました。
今回のインタビューを通じて、藤井さんから
「自分の選択に自信と責任を持ち、選択したからにはとことん楽しんで学び続ける大切さ」
を強く感じました。
私は今、将来の道を選択する、大きなターニングポイントにいます。
「将来の選択をするうえで、なにを考えればいいのか?」
その悩みは尽きませんが、藤井さんからのアドバイスをいただいて、いまできること・やるべきことは自分次第で無限大にある、そのことに気づきました。
・自分が何を知ってるのか
・自分が何を知らないのか
・自分が何を知るべきなのか
この3つを常に意識して考えるようにしたいと思います。
約9か月後、私は大学を卒業し、自分自身で選択した道を歩いていきます。
その中で、つまづいたり、めげそうになるときの方がきっと多いと思います。しかし、今回のインタビューを通じて学んだこと、自分自身が得ることができた価値のある経験、すべてを糧にしながらしっかりと進んでいこうと思います。
末筆になりますが、今回お仕事の合間にインタビューに応えていただいた藤井さん、そして素晴らしい機会・経験をさせてくださった山下さんに深く感謝致します。
ありがとうございました。