「パラレル」は友達と遊べる新しい通話アプリで、リリースから1年半で100万登録者を突破、利用者の70%をZ世代が占めるなど、若者を中心に急拡大を遂げています。
直近シリーズBラウンドで12億円の資金調達を完了し、グローバル展開やプロダクト開発を加速させていくパラレル社のメンバーを紹介するコーナー。今回は、パラレルAndroidアプリを支えるエンジニアを紹介します。
【鈴木言生(Suzuki Genki)】BASEでAndroidアプリの開発経験を経て、CAMPFIREでは本体アプリの新規開発やpolcaの実装をリード。その後パラレルに入社。現在は「パラレル」のAndroid開発全般を見ている。
10年間Androidエンジニアとして様々な0→1を経験
ーーー約10年間Androidエンジニアとして、様々なプロダクト開発に携わっていたと聞きました。
大学卒業後、新卒で大手システム会社に入社し、サーバー管理・プログラミングをしていました。大企業がどのように情報管理をしているのかを学べた良い機会でした。
その後、株式会社YAZ(ヤジュ)という会社に入社し、ゼロからAndroidに関する知識を学びながら様々な会社のプロダクト開発に関わったのち、当時、社員数20名程だったBASEに入社しました。
今では上場もして、CMも放映され、多くの方に知られるBASEですが、当時は創業2年ほどのタイミングでリソースも限られていたので、約2年間一人でAndroidエンジニアをしていました。その際、webでBASEを使って多く作られていたショップを横断で見て購入できるモールアプリ「BASE」の開発に0から関わりました。
BASEが上場に向けて動き出す中、ある程度プロダクトが形になったのを感じたタイミングで、CAMPFIREから採用オファーが来ました。再び、プロダクトをつくり出す過程に携わりたいという想いからCAMPFIREに転職し、Androidエンジニアとして、polca(フレンドファンディング)というAndroidアプリを専任で開発していました。
ほぼノンプロモーションだったパラレルを兄が既に使っていた
ーーーパラレルへの入社は、CAMPFIRE時代にパラレルからのオファーがきっかけだったと聞きました。
話を聞いてみようと思った背景は、画像や動画など多くのSNSサービスが出回っている中、音声を用いたSNSサービスに可能性を感じていたからです。さらに、パラレルは立ち上げたばかりで、0から1を生み出していくのが好きな自分の性分にも合っていると思いました。
あと、僕自身ゲームはあまりやらないのですが、妻の兄がゲーマーで、当時既にパラレルを使っていたんですよね。知らないところでこんなに浸透しているのか、という感じはしました。
「パラレル」の使用きっかけを、3,000人に聞いたアンケート結果。大々的なプロモーションはしておらず、主にユーザーさんの口コミで拡大してきました。
意思決定の論理性、急激に伸びる数値の2点が決定打
ーーーパラレルに入社を決めた理由はなんですか。
社内の意思決定プロセスがとても論理的だったんです。データから推測できる結果をもとに、皆が納得感ある方向性で事業が進んでいると感じました。いろいろな会社の話を過去聞いていますが、プロダクトオーナーの人がつくりたいものをつくっていたり、サービススタート時はそもそもデータをとっていないことも多いんです。
パラレルの場合は”これをやる”と決められたものが、”なぜやるべきことなのか”というのが非常にクリアだと思いました。目指すべきところが分かりやすいし、納得感を非常に持った状態で開発できそうだと思いましたね。
あとはやはり、プロダクト自体”伸びそう”と直感的に感じたところが大きいです。コロナ禍や社会背景にもマッチしており、特に若い世代への認知が広がっていることがこのサービスの強みだと感じました。そう感じられたのは、急激に伸びている数字を見せてもらったんです。さらにそれを大きくしていく過程に関われるのは、なかなか経験できないことだと思いましたね。
パラレルユーザー3,000人に聞いた年齢属性グラフ。Z世代が7割に上ります。
ーーー現在パラレルで担当していることを教えてください。
パラレルでは、主にAndroidエンジニアとして、Androidアプリのベースを整える役割を担っています。稀に発生する、通話が切れたり逆に通話を切ることができなかったりするエラーの修正や改善をメインで担当しています。
新しい機能を生み出すユニットはまた別であるので、どちらかというと新しい機能をつけるのがより楽になるようなベースシステムの開発であったり、ユーザーが増えてもエラーが起きない強いシステム構築であったり、強いベースを生み出していくことを目標にして努めています。
海外展開を進める今、変化・スピード感がより求められる
―――パラレルの開発に携わることで、やりがいや達成感はありますか?
今より、より良くなっていることが数字で分かることやりがいを感じています。
例えば、ベースを整備する過程において、逆にアプリが重くなり落ちてしまう事態などが発生することがありました。それに対し、アプリ自体を軽くしたり、重くなってしまう要因を分析して落ちる頻度を少なくすることなど、数字が改善していくことが楽しいです。
現在のやりがいとは少し違う話になりますが、現状海外展開に力を入れており、既に海外ユーザー、特にアメリカや韓国からの流入が多いですが、海外に進出すればするほどAndroidの比重は高まっていくと思うので、その変化にも素早く対応していきたいと思っています。
日本以外のグローバルDAUを示したグラフ。プロモーションをしていない期間中(2020年9月から2021年5月)でもDAUの成長率は640%を超え、国内よりも高い成長率水準を保っています。
―――海外展開についてエンジニア目線で何か想いはありますか?
海外展開は今まで経験してきたサービスではなかった経験で「どのように使われるのか」、「どのような反応があるのか」が未知数であり楽しみです。世界的に普及率の高いAndroidだからこそ生み出される反応に対し、より良い使用感を広げていきたいと思っています。
長時間稼働のアプリは珍しい、だからこそ本気のトライ&エラーが必須
ーーー開発をする上でのやりがいについて聞いてきましたが、逆に開発を進める中で、”難しい”と思うポイントはあるのでしょうか?
パラレルは長時間使いっぱなしであったり、他のアプリも使いながらバックグラウンドで使用されることもあるアプリです。そもそもこのような使われ方をするアプリ自体が珍しいですし、長時間使われることを前提にすればするほど、長時間アプリ自体が生きていられる(=安定稼働する)必要があります。そのような取組を前提とするアプリが世の中に少ないからこそ、自分自身で調べて、試して動かす、という本気のトライアンドエラーが必要になります。逆にそれが面白いといえば面白いんですが。
ーーー確かに長時間利用のユーザーが多い「パラレル」ですが、何か面白い使い方をしているユーザーの方などご存じでしょうか?
Twitterでの反応を見ていると、PUBGなどを使う際のボイスチャットとして「パラレル」を使い始めた人たちが、ゲームしていないときもパラレルをコミュニケーションツールとして使い始めてくれていたりします。
また、寝落ちして朝までパラレルをつなぎっぱなしという声も聴きます。大人には想像しにくいし、自分が寝落ちした後も誰かつながっていること自体、僕ぐらいの年齢になると恐ろしい話だと思うのですが(笑)でも確かに自分も若い頃、Skype通話しながら寝落ちしたりしてたなーと思って。当時オンラインゲーム上のやり取りはPCのキーボードを打ち込む感じでしたが、今は完全に音声、しかもスマホ上でのやり取りに切り替わっていて、時代の流れを感じます。
Z世代で盛り上がっているものこそ、今後世の中で話題になる
―――最後にパラレルが今後も伸び続けるだろうと考えている理由はありますか?
やはり、若い世代特にZ世代に受け入れられているということが第一です。若い人が使っているものこそ、今後世の中で話題になると考えています。例えば30~40代の世代が使用する新しいものを生み出しても、きっと10年後には使われていないし、広まりづらいと思うんです。
一方、30~40代の世代の人たちにも受け入れられて、初めて全世界の人たちに受け入れられるサービスになっていくとも思うので、もっと大きなSNSになるためには、Z世代以外にも目を向ける必要はあると思います。
ただ、Z世代などの若い世代が使用することで、例えば「朝までつなぎっぱなし」だったり、「一緒にオンライン上で遊ぶ」など、大人が想像しづらく、私たちつくった側も想定していなかったような使い方が生まれていくこと、話題性の観点で広がりやすいことは事実なので、今後もアプリ自体の可能性・話題性を拡げていくためのZ世代の柔軟な使い方はウォッチしていきたいと思っています。