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海外パートナーとの関係性『そこまでやるかオカフーズ』【日本一魅力的な食品メーカーを目指す会社の社員インタビュー】vol.5 ベトナムエンゲージメント編『前編』

「ステークホルダーの役に立つ」

これはオカフーズを体現する言葉です。この言葉を会社のバリュー(価値観)に取り入れている会社も多いと思います。ステークホルダーにはお客様や株主、従業員、利害関係者等が含まれ、その定義は組織によって多少異なります。

オカフーズでは、お客様や従業員だけでなく、事業のバリューチェーンに関わる全ての人々をステークホルダーと捉えています。これには私たちのパートナー企業様も含まれており、私たちがファブレス生産を行う中で、パートナー工場は重要なステークホルダーの一員です。ビーチリゾートとしても有名なベトナム ダナンにあるクアンヒュー社はその代表的な一社であり、その関係性はWantedlyを通じてオカフーズを知ってくださった方に向けて、私達の価値観やスタンス、パートナー工場への想いを感じて頂けると思います。ベトナム事業室の武井さんにお話をしていただきました。

武井さんはパートナー工場であるクアンヒュー社の担当として、よくベトナムを訪れています。クアンヒュー社とオカフーズのお付き合いの歴史から教えてください。

きっかけは先代社長、現会長がベトナムにある企業とのお付き合いを開始したことに始まります。当時は既に中国の工場と提携して生産が行われていましたし、様々な理由から、ベトナムの企業とのお取引は時期尚早だと考えていました。

その後、中国の食品中毒事件が発生しました。当時、多くの日系企業が中国で食品生産を行っていましたが、この事件を受けて、中国に代わる生産地としてベトナムが脚光を浴び始めました。

時を同じくして、現社長の岡が専務に就任し、クアンさん(現クアンヒュー社代表)と意気投合したことで、クアンヒュー社が誕生しました。オカフーズが立ち上げ資金の貸し付けを行ったのですが、普通はオカフーズが資本を51%以上にして、意思決定権を握ってコントロールしたいと思うじゃないですか?実際に食品大手企業では、海外拠点を作る際に資本比率を高め、現地パートナーを子会社として迎えています。せっかく投資をしても、別の会社からの商品生産依頼を優先されるリスクがあるからです。より高いお金を払うからとか、安全性や品質を担保する必要がある面倒くさい依頼よりも簡単に儲けられるからとか。ですが、オカフーズはあくまでも融資という形でパートナーになったんです。岡社長曰く「株で縛って言うことを聞いてもらうより、いつでもオカフーズから逃げられる環境でお付き合いする方が特別な関係になれる」とのこと。ちょっと変だと思いますよね(笑)

今では約8000㎡の施設で400名にも及ぶスタッフが働いていますが、立ち上げ当初は居抜きの小さな生産室を改築した部屋で、切り身の加工からスタートしました。生産室は3つあり、加熱調理用、生食用、加工食品用に分かれています。オカフーズではあまり取り扱っていませんが、刺身用の魚やエビの加工等も行っています。

クアンヒュー社の立ち上げからのお付き合いだったのですね。融資と出資のお話は岡社長らしいなと感じます。オカフーズでは、商品を購入していただくお客様だけではなく、エンドユーザー様や消費者様もステークホルダーだと考えていますが、クアンヒュー社のようなパートナー企業についても同様なのでしょうか?

オカフーズでは、地域のパートナー企業とのエンゲージメントを高めるための活動を日々行っています。両者が考え方に共感し、雨の日も晴れの日も一緒に成長できる関係が、ビジネスにおいて一番健全だと考えています。目先の価格の高低ではなく、ユーザー様、喫食者様の期待にどう応えるかを一緒に考えられる方々は、皆パートナーであり、ステークホルダーだと思っています。

日本のメーカーは品質に厳しく、価格に敏感です。現地の生産工場からすると、金額は安いのに、手間がかかったりルールが多かったりしたら嫌ですよね。私たちは共に成長するスタンスで、工場を単に選ぶのではなく、共に成長することを目指し、時には育成の支援を行ってきました。

そのスタンスは、現在のオカフーズとクアンヒュー社の関係性や様々な交流に触れる度に感じています。

トップ同士が膝を突き合わせて色々なお話をする中で、価値観が共有できたのだと思います。この人であれば大丈夫だろうという判断があったからこそ、資本参加ではなく貸し付けという形が取られました。

日本とベトナムでは様々な違いがありますが、本質は人によりけりだと思います。もちろん文化や基本的な価値観が違うので、最初から日本の商習慣通りに行くと思ってはいけません。全ては自分次第という気持ちで、日本のやり方を押し付けるのではなく、腰を据えて、見守って伴走する覚悟が無いと上手くいかないと思います。

クアンさんは以前よりたこ焼きやお好み焼きなど、様々な商品を複数のお客様へ提供する工場を先代から引き継ぎ発展させてきた方です。そのクアンさんもクアンヒューの設立には投資をしているわけですが、クアンヒューの全ての稼働と収益はオカフーズが責任を取るとお伝えしています。外国の企業が出資するとなると色々と警戒することもあったかと思いますが、貸し付けというアプローチ以外にも、しっかりとこられのことを伝えて、オカフーズの本気をお伝え出来たのだと思います。

現在は強固なエンゲージメントのもと、とても良い関係を築いている両社ですが、ずっと順風満帆な関係だったのでしょうか?

離婚危機はなかったですね(笑)ですが、全てが円滑に進んだかと言うと、そうではありませんでした。例えば、10年ほど前に環境整備活動を取り入れないかと提案した際、最初は拒否されてしまいました。取り組みに価値がないとか、やりたくないとかいうことではなく「安請け合いしたくない」という良い意味のプライドだったのかなと思います。私たちの環境整備活動は、職種や年次に関わらず、全員が参加することに意味があります。強制ではなく、罰則もありません。クアンヒュー社のオフィスメンバーだけではなく、工場で働くメンバーにも参加してもらおうとお話をしましたが、当時は全員が意義を理解して取り組んでくれる自信がなかったので、断られたのだと思います。

まずは私が独自に始め、岡社長に協力していただいたことで、少しずつ実施するメンバーが増えていきました。全員で実行することが大切なため、働いている人たちの呼称も変えました。ベトナムには日本語で言う「工員」という言葉があります。日雇い労働者のような意味ですが、どこか「社員じゃないでしょ」という空気がありました。そこで、工員という呼び方を禁止し、オフィススタッフ、現場スタッフと改めたのです。言葉の環境整備ですね。

清掃や整理整頓といった「ハード」での活動だけではなく、呼称などの細かな部分での改善もあったのですね。

もう一つ、お昼休みにはお客様向けの専用ランチを用意していたのですが、これも廃止しました。私も訪問当初はこの豪華なお客様専用ランチを頂いていました。ある時、旧正月の休暇を取得する男性スタッフに「休暇明けも働きに来てくれる?」と質問したところ「武井さんはお客様用のご飯を食べていますよね。僕たちの食事は知っていますか?そんなことも知らずに、仕事を提供すれば安易に人が集まると思ってらっしゃるんですね」と言われてしまいました。その日の夕方がたまたま残業となったことで、食堂でご飯を提供するというので一緒に食べることにしたのですが、魚の骨やヒレで簡易的に出汁を取っただけの、魚の臭みも残っている麺料理が提供され頑張って食べきりました。これを機に私ども日本人が工場へ訪問した際に用意してくださる「お客様用ランチ」を廃止し、毎日工場のみんなと同じ場所で同じものを食べることとし、食事改善を本気で進める覚悟を決めました。

私たちの骨取り魚は多くのプロセスを人が担っています。品質の安定には働くスタッフの定着が必要です。些細なことですが、大事なことだと思い実行しました。

スタッフの方とのコミュニケーションから気づきを得られたのですね。パートナー企業、特に海外企業とのお付き合いの中で意識されているポイントはありますか?

「買うときは安く買え、売る時は値切るな」という世界ですが、説得や交渉ではなく、徹底的な説明と相談、勇気づけを意識しています。オカフーズ、得意先様、ユーザー様、パートナー企業様、そして働いている私たち全員がハッピーで居続けることを本気で目指しているからです。その方針から逸れることなくお付き合いを続けてきました。

一般的には「仕入れ先からは安く買う」ことを求められますが、アプローチとしては説得や交渉ではなく、あくまでも説明と相談を通じて協力・連携していただけるように努めます。これはパートナー企業様、得意先様、ユーザー様など全てのステークホルダーすべてがハッピーで居続けることを本気で目指しているからです。その方針から逸れることなくお付き合いを続けてきました。


今回はここまで。次回はベトナム、日本の商習慣、文化の違いを受け止めながらエンゲージメント形成をしていくまでの取り組みについてより深堀りしていきます!

後編もお楽しみに!

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