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1円で起業した会社がZOZOの研究所に。今、NOT A HOTELのCTOとしてやりたいこと。

※2022年4月14日に配信したnoteの内容を配信します

こんにちは、NOT A HOTELでCTOをしている大久保 貴之(@okbtks)です。最近カジュアル面談をはじめ様々な方とお話しさせていただく機会が増えまして、興味をお持ちいただいた方に向けて自己紹介を行いたいと考えました。そこで突然ではありますが積極的に表には出してこなかった僕自身の経歴について書いてみようと思います。

僕は九州工業大学の博士課程を修了後、博士研究員を経て株式会社カラクルを創業、ZOZOグループへM&A、ZOZOテクノロジーズ執行役員、そしてNOT A HOTELに2021年10月に参画しました。今回のnoteでは書ききれないほど多くの方々に支えられて、これらの貴重な経験をさせていただいています。まずは、すべてのご縁への感謝をお伝えさせてください。

目次

  1. 濱渦にそそのかされて1円で起業
  2. 前澤さんとの出会い
  3. 会社を続けるか、合併するかの葛藤
  4. ZOZOに研究所をつくった話
  5. 濱渦にそそのかされてNOT A HOTEL に入る
  6. NOT A HOTELのCTOとしてやりたいこと

濱渦にそそのかされて1円で起業

もともと情報工学全般への関心が強く、大学では制御工学や脳型の情報処理技術を中心に学んでいました。大学の博士課程を修了後も研究員として過ごし、NOT A HOTEL創業者の濱渦とは知人の紹介でこの頃に出会いました。初対面からわりとうまがあい、彼が宮崎で立ちあげたアラタナという会社の目指す未来の話や、技術的な雑談など、いろいろな話をすることが多くなりました。ケンカもたくさんしました。

いつものように福岡の屋台で飲んでいた2012年のある夜、濱渦に「明日起業しに行きなよ、資本金1円で」と冗談半分で言われたことをきっかけに、その翌日には株式会社カラクルの登記へと動きました。以前から考えていた起業を濱渦から半ば強引に背中を押してもらった形でした。

(1円の起業は、株式分割ができない、登記時の印紙代で債務超過、融資などの面談で最初気まずい、各種申請書などでの資本金記入欄の単位が千円・万円など、厄介なこともいろいろと多くありました。何よりも困ったのは出資を受けることを考えたタイミングでした。1円1株だったので。。。)

カラクルは九州工業大学発のベンチャーとして、機械学習アルゴリズムの研究開発や、情報処理技術全般のコンサル、アプリ・WEBサービスの受託開発などを行いました。自分達で核となるプロダクトをつくり、これまでの研究を実社会に活かしたいというビジョンを持ち、受託開発と自社プロダクト開発の二軸での経営をしていました。

この会社で最初の方につくったのが「microStore.me」という個人の所有物を売買できるiOSアプリでした。このアプリはアラタナとの共同開発で、この繋がりからアパレルに縁がある受託開発が増えていきました。ZOZOグループと出会うことになるのもそのご縁のひとつでした。

前澤さんとの出会い

ZOZOグループにアラタナ、濱渦がジョインすることになり、ZOZOアプリの大規模リニューアルの相談をいただきました。事前にモックを作成して、前澤さんにお見せしたところ「面白いね!来週までにこうやって進めてほしい」と話が進みました。

そこから隔週の頻度で前澤さんのところへアプリの提案や進捗を持参して、アップデートして...... というのを数ヶ月続けて、アプリの核となる部分を形にしていきました。アプリのそもそものコンセプトを固めるところが特に難しく、形になってきたところで「やっぱり全然違ったね」なんてこともたくさんありました。

大変さはありましたが、その度に前澤さんからいただくフィードバックが「正しい」と思えるものでした。「こっちにした方が絶対にユーザーにとってはいい」とか「この方がビジネスとして良い」という話に説得力がありました。

そのような前澤さんの考えに対して、フィードバックに応えるだけではなく「こちらの方がより良いと思います」と+αの提案を持っていくこと、そしてまずは出せるように新しいアイディアが出てくる前にリリースできるものを作っていくことなどへのチャレンジは緊張感がありつつも、とても楽しいものでした。とにかく前澤さんと一緒に仕事をすることが楽しかったですし、もっと一緒に仕事したいという気持ちが強くなっていました。

会社を続けるか、合併するかの葛藤

そのような経緯で何度か一緒に仕事しないかという打診をいただいていたのですが、当初はまだ自社でのプロダクト開発と会社の成長に注力したいという想いが強くありました。

やがて会社が少しずつ成長して、小さなチームながら売り上げも順調に伸ばせるようになりました。そのときも売上の大半が自社サービスではなく受託開発によるものでした。

そして会社が安定してくることで心に余裕が出てきたからこそ、より色々なことを考えられる時間も増え、結果的に葛藤が大きくなってきました。会社は順調に成長していて、財務的にもかなり綺麗で、受託の案件も1つ1つ面白いものではあったのですが、なかなか研究と実社会との距離を縮められないことへの葛藤や、余裕ができてきたからこその成長に対する危機感など。。

これから会社の未来を考えに考えた結果、ZOZOグループにジョインすることを決断しました。理由は1つではなくさまざまなことを考慮した結果ではあるのですが、メンバーにも自分にも良い成長の機会になると考えたことが一番でした。元々は大学が持つ技術や知識を実社会のデータの理解やサービスに活かしたいと思っての起業でした。ZOZOがもつ膨大なファッションのデータに活用して事業に貢献できることは千載一遇のチャンスだとも考えました。

2017年に正式にジョインのお話をいただいて「やらせてください」と即答しました。

ZOZOに研究所をつくった話

ZOZOグループには日々膨大かつ複雑なデータが蓄積されていきます。これらの情報資産をサービスのユーザーや世の中へ新しい価値として還元していく研究所をつくらせてもらうことにしました。「ファッションを科学的に理解する」ことを目指す研究所です。

この研究所では短期的に事業に貢献する研究開発技術の提供と、企業にとって長期的な礎となる基礎研究の二軸で研究と開発を行いました。この両方をバランスを保ちながら研究所を継続させていくことが、事業会社の中にある多くの研究所にとって大切なことだと思います。

長期的な基礎研究であればあるほど「何のためにやるのか」「この会社でやる意味はあるのか」という各所から出る当然の疑問に対して説明を重ね続ける必要があり、また緊急度の高い短期的な技術提供の優先順位が上がりがちになったりもします。研究所の存在意義、何のためにいま何をやっているのか、社内への説明と見える化、そして研究所のメンバーが研究に集中し続けられる環境づくりに注力しました。

濱渦にそそのかされてNOT A HOTEL に入る

2021年夏、ZOZO研究所を含む ZOZO TECHNOLOGIESという組織が成熟し、全社的に次のステージへ進むタイミングでZOZOグループから退職しました。もう一度自分で起業して新しいことを始めることを前提に、何をしようかは辞めてから考えることにしていました。

そのタイミングで2020年春にZOZOグループを退任しNOT A HOTELを創業していた濱渦から誘いを受けました。「住宅にもホテルにもなる、あたらしい暮らしをつくっている」と。僕自身もこれまでファッションに関する仕事を多くしてきていたので、次は「食か住」をやりたいなと漠然と考えていました。とはいえ「住」であるNOT A HOTELに、最初からピンと来ていたわけではありませんでした。

いま表に出ているNOT A HOTELのパース(完成予想図)のような、贅沢な建築物や暮らしに深い興味がある訳でもないなっと。とはいえ、いままでになかったNOT A HOTELという仕組みをつくる過程で起きる課題は、面白そうだなって思ったりもして。

これまで濱渦といろいろなことをやってきて、僕は基本的には彼の誘いを断らないようにしていました。そんな彼が始めたことだから一緒にやりたいという気持ちもありました。

濱渦といろいろと話しながら理解を深めていくうちに、NOT A HOTELの根底に実は自分がやりたかったこととの共通点が見えてきました。NOT A HOTELではホテル・不動産・住宅という「暮らしのDX」を進めています。つまり、人々に暮らしの選択肢を増やし生活をもっと自由で豊かなものにしようという試みです。これは選択肢が増える人に対してだけではなく、その行動によってさらに他の人にも影響を広げていくことになります。

僕自身がこれまでファッションというものに意識して関わってきた理由は、ファッションという言葉は今はまだアパレルのことを指して使われることが多いのですが、究極はその人がどのような価値観で人生を歩むかという「人々の営み」を表す言葉になるのだろうと考えていたからでした。

濱渦と自分が共通で見据えてるところは「人々の暮らしにどのように良い影響を与えるか」というところではないかと考え、NOT A HOTELに参画することを決めました。

NOT A HOTELのCTOとしてやりたいこと

NOT A HOTELは「まだ物件が建っていない状態」「まだソフトウェアができていない状態」にもかかわらず、NOT A HOTELを信頼して、オーナーの方々に購入していただき、株主の方々に投資をしていただいています。

だからこそまずはその方々との約束を技術的な立場から守ることが僕の一番の責務だと考えています。約束を守るというとあまりに当たり前のことかもしれないのですが、まだ形になっていないこのプロダクトを信じてくださっている方がいるからこそ、まずは最初の約束を守ることに注力しています。

またNOT A HOTELの真の価値は、この仕組みが普及していくことでこれまでの「当たり前の暮らし」の外にある「暮らしの自由さ」に気づける人を増やせることだと僕は考えています。

例えば「家はひとつじゃなくてもいい」「地元はひとつじゃなくてもいい」「世界中に帰る家を持つことができる」「旅するように暮らすことができる」「平日と週末や、四季に応じて暮らす場所を変えてもいい」など。

いまNOT A HOTELを購入いただいているのは「新しい暮らしのあり方」に意思を持って自らそれを行動に移す方々だと思います。そのような方々が増えて、日本や世界で自由に暮らす方々が増えたならば、その方々と関わって「こんな暮らしの選択肢があるのか」「こんな考え方や生き方もあるのか」と気づく人もまた増えるのではないかと思います。その「気づきの伝播」を生み出せたならば、NOT A HOTELが目指す「世界をもっと楽しく」に繋がるのだと思います。

ですので、必ずしも全ての人がNOT A HOTELを使うことが正解だとは思っていません。その人に暮らしの気づきが生まれること、ひとつの手段としてNOT A HOTELがフィットする人には是非使ってほしい。そして、多くの方にとっての手段となれるように技術的な立場からNOT A HOTELの未来をつくってくことがCTOとしての僕の役割だと考えています。

いまはまず形にして届けることに集中しつつ、NOT A HOTELの未来を丁寧につくっていければと考えています。

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NOT A HOTELは9月のプロダクトリリースに向けて、エンジニア・PdMを含む様々な職種を積極採用中です!今なら、世にプロダクト出す前の0→1の段階からプロダクト開発に携わっていただけます。業務委託や副業からも可能です。カジュアル面談もやっていますので是非お気軽にお問い合わせください。

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