「サービスデザインを学ぶにあたりオススメの本はありますか?」
そんなお声を面接や面談の場でよくいただきます。
今回は、弊社サービスデザイングループ所属 デジタルコンテンツプロデューサーの岩田エレナさんに、サービスデザインを学ぶためのおすすめ書籍を教えてもらいました。
是非、今後の学びにご活用ください!
※この記事はSERVICE DESIGN BLOG の転載です。
こんにちは、デジタルコンテンツプロデューサーの岩田エレナです。
新しい分野やスキルアップに挑戦するとき、手始めにインターネットでの情報収集は欠かせないですよね。ですが、そこからさらに深く理解していくためには、じっくり時間をかけて本を読むのも大切です。
ニューロマジックのメンバーも、日々サービスデザインやデザインに関する本での勉強は欠かせません。
マインドセットやツールについて説明しているもの、ケーススタディを紹介するものまでサービスデザイン関連の本は様々ですが、そんな中から、この記事ではサービスデザインの理解を深めるのにお勧めの5冊をご紹介します!
1. THIS IS SERVICE DESIGN THINKING.
Basics – Tools – Cases 領域横断的アプローチによるビジネスモデルの設計
サービスデザインの基礎から理解を深めたいと思っている方におすすめの一冊。
2013年発売の本書は、領域横断的なアプローチを紹介しながら、サービスデザインの基本的な考え方を解き明かしています。サービスデザインとは何なのか、そして実践的にどのように活用できるのかを詳細に論じています。
また、プロダクトとサービスの境界がなくなってきていること、サービスデザインが組織内のあらゆる課題に対応する画期的な手法であるということ等にも言及しています。世界で活躍する23人のサービスデザイナーによって書かれたこの本は、5年以上経った今でもサービスデザイナーの間で定番の一冊です。
This is Service Design Thinking - Book Trailer
2. This is Service Design Doing
サービスデザインの実践
This is Service Design Doingは、サービスデザインに興味のある方ならそばに置いておきたい一冊。
日本で今年発売されたばかりのこの本は、実践に焦点を当てたThis is Service Design Thinkingの続編です。More Than Metricsの共同創業者である Marc Stickdorn とJakob Schneider、そしてWorkPlayExperienceの共同創業者であるAdam Lawrence と Markus Hormessの名だたるサービスデザイナー4名によって編著されています。
300人以上のサービスデザイナーの協力のもとで製作された1冊となっており、いくつものサービスデザインツールを多くの写真とともにわかりやすく解説しています。
この本ではサービスデザインのアクティビティを
- リサーチ
- アイディエーション
- プロトタイピング
- 実装
といったプロセス別に紹介しており、サービスデザインの流れを理解し、どんな場面で何を使うべきなのかをわかりやすく解説しています。また、サービスデザインをどのようにして組織に組み込むことができるかについても言及しています。
この本はサービスデザインの分野に足を踏み入れたばかりの人からプロフェッショナルまで、あらゆるレベルの人に役立ちます。
既にサービスデザイナーとして活躍している方には、新しいプロジェクトでどんなツールを活用するべきかの判断材料になりますし、サービスデザインを勉強中という方にも、サービスデザインがどんな風に実践されているのかを学ぶ良いきっかけになります。
理論から実践までカバーするには、この1冊がベストというわけです!
3. バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る
「顧客が欲しがるサービスはどのようにして作られるのか?」という疑問を持っている方にぴったりの1冊。
バリュー・プロポジション・デザインは、ビジネスモデルキャンバスを開発したことで知られる、Strategyzerが提唱したモデルです。Strategyzerは戦略を誰でも簡単に理解して使えるツールにするのに長けており、数多くのツールとベストセラー本を出版しています。
この本では以下の4つに分けてバリュー・プロポジション・デザインを説明しています。
- キャンバス(顧客プロフィールとバリューマップの使い方)
- デザイン(プロトタイプのプロセス)
- テスト
- 進化(イタレーションのプロセス)
こちらからは、英語版の初めの100ページを無料で試し読みすることができますので、気になる方はぜひチェックを。
4. デザイン思考が世界を変える
デザイン界の流れを変えたとも言えるこの1冊。
サービスデザインに特化した本ではありませんが、IDEOのCEOであるTim Brownによるこの本は、デザイン思考を紹介することでビジネスとデザインのそれまでの流れを大きく変えました。
サービスデザインにおけるツールや方法論には、デザイン思考の原則が織り込まれています。サービスデザインの勉強を始めたばかりの人は、まずデザイン思考の考え方を理解するのが効果的かもしれません。
Tim Brownやデザイン思考についてよくご存知でない方は、ぜひTEDトークも併せて参考にしてみてください。
「デザイン思考が世界を変える」はデザイナーによるデザイナーのための本ではなく、組織、プロダクト、サービスのあらゆる段階でデザイン思考を利用することでビジネスや社会に新たな可能性をもたらそうとするクリエイティブ・リーダーのための本です。
(引用: https://www.ideo.com/post/change-by-design)
Tim Brown urges designers to think big
5. Good Service – DX時代における“本当に使いやすい”サービス作りの原則15
本書は、著者Lou Downeが経験した公共セクターにおけるデジタル改革を元に、サービスデザインで留意するべき15の原則をまとめた一冊です。
日本では訳書が出版されたばかりですが、原書は非常に読みやすいと好評を得ています。
Lou Downeは、イギリス政府サービスデザイン部門の立ち上げを行った元ディレクターでもあります。彼女はアポリティカル社による「デジタル政府分野において世界で最も影響力のある100人」の1人にも選出された人物です。筆者の公共セクターでの経験は一見特殊に思えますが、この本は全ての種類のサービスデザイナーとあらゆる種類のプロダクト、サービスに汎用性があります。
良いサービスが共通して持っている原則を15に分けて紹介し、どうすればサービスがこれらを満たすようにできるのかについて述べています。
ただ、この本はツールの使い方を紹介するような、すぐに応用できる実用本というわけではありませんのでご注意を。実践に向けたマインドセットを学ぶのにちょうど良い1冊です。
いかがでしたか?ぜひ気になる本はご覧になってみてくださいね。買ったはいいけどしばらく本棚に眠ったまま…なんていう方は、ぜひこの機会に読み直してみるてはいかがでしょうか。
サービスデザインについてさらに学びたいという方は、こちらに国内外のサービスデザイン関連のイベントをまとめていますので、ぜひご覧ください。