デジタルマーケティングカンパニーであるMOLTSでは現在、クライアントの支援事業だけでなく、新規事業としてBtoBサービスの開発を行っています。その開発を担当するのが、プロデューサー/ディレクターの凪と、デザインディレクターの藤牧です。
1996年からフリーランスとしてWebの仕事をはじめ、その後は株式会社 凪を設立、過去には大手企業の広告案件を担当し多くのアワードを受賞したり、大規模サイトにおいてクリエイティブから一気通貫して開発をリードするなど、Webの界隈であれば知る人ぞ知る存在の凪。
そして同じくFlash全盛期からクリエイターとして活躍し、ノングリッドそしてイメージソースに在籍しながら、個人でもミュージックレーベルのアートディレクションやデザインを手がけるなど、クリエイティブの幅を広げてきた藤牧。
当時からクリエイティブパートナーそして友人関係にあるふたりが、20年の時を経ていま再びタッグを組み、MOLTSの新プロダクトのリリースに向けて動いています。
そこで今回はあらためて2人の出会いから、クリエイティブ業界を駆け抜けてきた2人が見てきた世界、そして現在のプロダクト開発の面白さや難しさについて語ってもらいました。
lash全盛期から20年以上クリエイティブに携わっているふたりが見てきたインターネットの世界
―― おふたりは20年来の仲とのことですが、あらためて出会いのキッカケを教えてください。
凪:当時の僕はまだフリーランスで、マークアップエンジニアとして実装関連の仕事はなんでもやる、といった感じでした。そのときに、藤牧と共通の友人であるアートディレクターの紹介で出会ったのがキッカケだった気がします。
藤牧:僕は当時ノングリッドという会社にいて、デザインの仕事をしていたんですが、4名くらいしかいなかったので、外部のパートナーと一緒に仕事をすることが多くありました。そして、僕がとあるクラブのWebサイトの立ち上げを担当することになったのですが、そこへ遊びに行ったときに凪も遊びに来てて。クラブでの出会いが一番最初でしたね(笑)。
凪:当時はFlash全盛期。ノングリッドはその中でもデザイン力が抜群の会社という印象で、いろいろな案件が集まる会社でした。そしていまみたいにSlackとかもないので、テストアップしたらノングリッドのオフィスに行って藤牧に見てもらって、といった感じで、夜遅くまで一緒に仕事をしてました。
その後、2005年にノングリッドとイメージソースが業務提携をして同じグループとなってからは、僕はイメージソースの若手の方々と仕事をする機会が増えていって、藤牧との同じプロジェクトをやる機会は減っていきました。
藤牧:20年前とかって、デザイナーは絵をつくるだけでなく、アクションスクリプトとかを駆使しながら自分で動かすところまでやるような時代でした。ただ、案件の規模が大きくなるにつれて、ひとりでできる範囲も限られてきますから、いろいろなメンバーを巻き込み、僕はアートディレクター的なポジションで入ることも増えていきました。
写真左:藤牧、写真右:凪
―― Flash全盛期からクリエイティブに携われているおふたりですが、この20年間、Webの世界がいろいろと変化していく中で、おふたりが影響を受けてきたクリエイティブや世間を賑わせていたなと感じるクリエイティブは何かありますか?
藤牧:20年前からバスキュールは話題に上がっていて、デザインだけでなく、どんなクリエイティブでもできるといった強さがあって、影響を受けました。特にグッときたのが、「SPACE BALLOON PROJECT」というGalaxyのプロモーション企画。
地上3万メートルの成層圏にGalaxyのスマホ端末を打ち上げて、事前に募集したツイートをライブ配信するという企画だったんですが、スマホの画面越しに成層圏が見えていて、自分のツイートが宇宙にまで届いたという体験ができるんですよ。その全体のクリエイティブのつくり方やアイデアには当時すごく心を動かされましたね。
凪:1999年のFlash作品「モナリザ」などで知られる中村勇吾さんは、我々の世代が必ず影響を受けたと言っても過言ではない人物。どうやって実装したんだろうみたいなのばかりで、本当に天才だなと。2003年に公開された ecotonoha というWebに投稿したメッセージが最終的に植林され環境貢献できるサイトも衝撃でした。
ここ10年とかの間だと、世界的な広告賞も獲得していたユニクロの「UNIQLOCK」がクリエイティブ界隈だけでなく、世間を賑わせていたプロモーション企画だったのではないでしょうか。
このプロモーションが出てきたあたりから、制作会社では越えられない壁というのを感じるようになってきて、UNIQLOCKを担当したprojectorの田中耕一郎さんなど、広告界隈のクリエイティブディレクターらがデジタルの世界に出てくるようになったのは、多くのWebクリエイターにとっては印象的な出来事だったと思います。
特にすごいなと思ったのが、「時間を問わない」「老若男女を問わない」「言語を問わない」という3つの軸に対して、どれかひとつの要素しかなくても、広告アワードを獲得すれば社会的意義があるすごいことなのに、田中耕一郎さんはUNIQLOCKでこれら3つをすべてを満たして世界的な広告アワードを獲得していることはさすがだなと感じました。
同じことを考える企業が100社いる中、誰もわからない正解を見つけていくことがプロダクト開発の難しさであり、面白さ
―― 凪さんがMOLTSに入社した理由については記事に書かれているのですが、藤牧さんはなぜMOLTSにジョインされたのですか?
藤牧:一緒に仕事をする機会は減っていきましたが、それでも凪とは年に何回かは近況報告をし合っていて、あるとき “話があるんだよね” と。
そして凪から「MOLTSで自社サービス開発をやる予定で、クライアントワークと違って、自分たちでゼロイチをつくり出していくんだ。自分たちの経験を活かしながら、また熱くなれることをやらないか」という誘いをもらったことがキッカケでした。
素直に面白そうだなと思いましたし、そうした新たなチャレンジをしていくべきだという課題感を個人的にも抱えていたので、どんなサービスを開発するのかまったく内容を聞いていませんでしたが、やってみようと。
凪:実は藤牧を誘ったタイミングでは、僕自身MOLTSでどんなことをするのか、どんな自社サービスをやっていくのか、理解していませんでした(笑)。
―― いまおふたりが担当されているMOLTSの新しい自社プロダクトである『GINES』について、簡単に教えてください。
凪:「GINES」は簡単に言うと、自己紹介ツールでなく、受発注を加速させるために特化した名刺サービスです。いまの時代、多くの方々はいろいろなパーソナリティを持っているのにも関わらず、名刺を見たところでその人のパーソナリティはわかりません。しかしGINESを使うことで、その人がどういうビジネスをやってきて、何ができるのかはもちろんのこと、裏側でデータを計測し、いちいち管理しなくても受注と発注をこれまで以上に低コスト、低リソースで行うことができます。
そしていまはプロトタイプを年内にリリースする予定で、それに向けてサービスのコアな部分を開発している状況です。
―― クライアントワークではない、自社のプロダクト開発に携わるからこその難しさは何かありましたか?
凪:クライアントワークであれば、いつまでにこういった成果を上げたいといったゴールがあり、それに対して限られた予算や時間でできることを提案していくわけです。
一方で、自社のプロダクト開発の場合はゴールっぽいものはあれど、同じようなことを考えている企業が同時に世界には100社いるはずですから、そもそもどういったゴールを目指すかから考えていかなければなりません。そのため、GINESに関わるメンバーと日々こうしたい、ああしたいというのを話し合いを行っていますが、難しさに直面するシーンは多々あります。
たとえば、このGINESのプロジェクトオーナーはMOLTS代表の寺倉で、「自分だったらこう使いたい」「こういうのがほしい」といった彼のアイデアから着想を得てスタートしているのですが、GINESを利用するのはクリエイター業界だけでなく、建築業で働いている方とかコンビニの店員とかも対象になるかもしれないわけです。
そうしたときに、どういったUIがベストなのか、どういった表現がいいのかなどを、常に考え続ける必要があり、明確なゴールがあるクライアントワークとは違った難しさを感じています。
藤牧:このGINESのプロジェクトでは、自分の経験やスキルを総動員しているという感覚で、コストバランスをどう考えるか、スケジューリングをどうするかなど、いろいろなことを視野に入れながらやっているので、いままでの経験が活きているなと感じています。
ただ、デザインのアプローチは同じですが、考える視点はクライアントワークとはまったく別。なぜなら、明確なゴールがないので、初期構想はあれど誰も正解を知りませんし、自分で探して決めていかないといけないからです。
また、いまコミュニケーションをとる相手としては寺倉がメインなのですが、クライアントワークの感覚で会話をしていると、プロジェクトが前に進んでいきません。特に寺倉はマーケティングの人間なので、使う言語も僕とは違うため、解像度を高めていけるまでは苦労しました。
―― そうした自社プロダクトの開発を進める面白さについては、いかがですか?
凪:ただのプロダクト開発であれば、どこでもできると思います。しかし、つくったプロダクトをどう市場に広めていくかを戦略的に考える必要があります。
MOLTSの強みは、「デジタルマーケティングを手段として成果にコミットする」ということをやり続けている様々な領域のプロフェッショナルが集まっていること。
そのため、彼らであればGINESをどう広めていくか、GINESが抱える課題に対してどう解決していくかを一緒に考えられる、壁打ちできる相手がいるというのは非常に価値があることですし、このプロジェクトを進めていく面白さでもあると感じています。
藤牧:誰も正解が見えていない中、自分の中で考えて答えを出したつもりでも、まわりのMOLTSメンバーに聞くと、また別の視点がどんどん出てきます。自分でボールを持ちすぎると、アイデアや考えの精度が上がっていかないので、こちらから積極的にみんなからのフィードバックをもらう動きが求められます。
そうした中、MOLTSのメンバーは僕とはまた別の視点を持っているメンバーたちばかりなので、常に発見の連続であるというのがこのプロジェクトの面白さでもありますし、クライアントワークとは違う進め方自体にも面白さを感じています。
クライアントもユーザーもいない。一人ひとりがコンテンツオーナーとしてアイデアを出していく面白いフェーズがいま
―― 現状のGINESの開発体制について教えてください。
凪:いま開発体制としては3名で、そのうちひとりは外部パートナーという状況のため、まだまだ人数は足りておりません。そのため、GINESはいまコアメンバーを募集しています。なお、GINESは僕はテクニカルディレクターとしているものの、新人も僕も関係なく、メンバー全員がコンテンツオーナーとしてアイデアを出していくフェーズ。
そのため、一人ひとりがパフォーマンスを出して、主体性を持って自分ゴト化して動いていく必要があります。感覚的にはゴールがない生き物をみんなで育てているようなものなので、制作会社の受託案件では得られない喜びが得られる環境です。
藤牧:僕自身はずっと支援側の業務ばかりをやってきたので、クリエイターとしてこうした事業立ち上げやマネタイズということに関われるのは、とても面白いフェーズだなと感じています。
特にこれまではターゲットユーザーがこうだから、アウトプットはこうあるべきといったことをクライアントに提案していたわけですが、いまはクライアントはおろか、現時点ではユーザーもいないため、すべて仮説・検証をしながら進めていかなければなりません。
だからこそ、自ら考えてつくり上げていく要素が強く、そういったことが好きな方にとっても非常にワクワクできるフェーズです。
―― 現在コアメンバーを募集中とのことですが、どういった方にジョインしてほしいですか?
凪:「つくるのが好き」ということが大前提としてありつつ、いろいろな視野を持って成長したいという人はマッチすると思いますし、いまは我々自身も楽しみつつ、苦しみつつやっている状況ですから、そうしたことを一緒に経験して成長していきたい方にジョインしてほしいなと思っています。
そしてクライアントワークであればWebサイトつくって何百万円です、といった考え方であるのに対して、いま我々がやっているのは、「より多くの方から、毎月いかにして100円をいただくか」という考え方のため、仕事に対する向き合い方は必然的に変わってきます。
「これをつくってほしい」というものではなく、世の中にまだない価値を提案していったり、不特定多数の方からお金をいただけるだけの価値をつくっていかなければなりません。そうした新たな価値創造に面白さを感じられる方にぜひジョインいただきたいですね。
―― 最後に読者の方へメッセージをお願いします!
凪:僕たちの考えることがすべて正しいわけではないからこそ、新しくジョインいただく方とはGINESがどうあるべきかをディスカッションしていきたいですし、ChatGPT等のジェネレーティブAIをどう使っていくか、得られたマーケティングデータをどう活用するかなども、ジョインする方にぜひ一緒に考えていってほしいと思っています。
そしてGINESによって多くの人が新しい案件獲得に繋げていき、そして評価をもらえてまた新しい案件に繋がっていくといったことが加速できるような社会を実現できれば嬉しいですね。
藤牧:僕自身、こうした事業開発、プロダクト開発はやりたいと思っていたことのため、いまとてもワクワクしていますし、クライアントワークとは違う喜びを感じています。
そして、この歳にして、日々学びや発見の連続。知識や経験をものすごいスピードで積み上げている感覚があって、そうした経験ができるのはMOLTSだからこそだと思っています。そうした環境でチャレンジしたいという方のご応募をぜひお待ちしております。
MOLTS自社プロダクト開発のメンバーを募集中
現在MOLTSで開発している自社プロダクト『GINES』のコアメンバーとなるエンジニアを募集しています。インターネットの歴史に新たな1ページを刻むようなプロダクトを目指して―― この立ち上げフェーズに参画してみませんか?
凪、藤牧とつながりがあって面白そうと思った方は個別にメッセージを、話を聞いてみたい方はこちらよりご連絡ください。
フルスタックエンジニア
業務内容
プロダクト開発と事業推進の両面の開発に対して、フロントエンド、バックエンド、インフラ周りの実装はもちろん、幅広い分野のスペシャリストとしてプロジェクトの拡大や成長を考えたチーム開発を考えています。
そこで、凪や藤牧のような制作会社での経験だけでなく新しくプロダクト開発を挑戦したいと考えている方や、受託会社などでの実装経験を活かしつつ、スキルだけでなく柔軟な発想やアイディア、マネタイズ戦略などを複合的にプロダクトへ落とし込み自身もプロダクトも共に成長していきたい方を求めています。
同時にリードエンジニアやCTOを目指して行きたい向上心や、0から事業立ち上げを経験したいマインドなどをお持ちの方もご応募をお待ちしています。
求めるスキル・経験
・バックエンドまたはフロントエンドエンジニアとしての業務経験が5年以上
・プロダクト及びサービス開発の実績はないが、興味があり挑戦をしたいと考えている
・APIと連係したサイトやアプリの開発経験がある方