※この記事はMOLTSのコーポレートにて、2020年12月10日に投稿した記事の転載となります。(https://moltsinc.co.jp/media/molts-history/8347/)
こんにちは!株式会社LIGのマーケター兼ほぼライターのまこりーぬです。
当連載【(まこりーぬの)MOLTS潜入録 】では、とことん成果で語り合う集団「MOLTS」のみなさんにマーケティング領域で成果を出すための秘訣をお聞きしていきます!
今回はMOLTSのメディアコンサルタント 寺倉そめひこさんに「オウンドメディアの必勝法」をお聞きしました。オウンドメディアをこれから立ち上げようと検討しているみなさま、今あるオウンドメディアの運用にお悩みのみなさま、ぜひご一読ください!
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累計50以上のオウンドメディアを支援していく中で
まこりーぬ:かねてより「そめひこさんはLIGブログの成長やマネタイズを実現させた立役者である」と伺っております。その節は本当にありがとうございます!過去どれくらいの数のオウンドメディアを支援されているのでしょうか?
そめひこ:1つのプロジェクトに携わる期間が平均1〜2年と長いんですが、過去に支援した数は50社ほどでしょうか。今でも平均6〜8つのプロジェクトを担当しています。
基本的な関わり方としては週に2時間お客様と打ち合わせをして、その中でコンサルティングや意思決定、教育研修、事業部連携などをやっています。ミッション達成のためならなんでもやるので、自分でサイトのワイヤーをひいたり、クライアントの事業計画書を作ったりすることもありますよ。
まこりーぬ:オウンドメディア支援といっても記事を納品するだけの会社が多いところ、そめひこさんの守備範囲は本当に広いんですね。
そめひこ:ミッションのためにやるべきことって、一口にオウンドメディアと言ってもすべて違いますし、フェーズによって変わっていくんですよね。例えば、素人が0からオウンドメディアを立ち上げる場合とプロが立ち上げる場合とでは、戦略が大きく変わります。また、最初はやっぱり社員間の認識合わせや運営チームの教育が課題なんですが、成果が出はじめてチームに人が増えると組織マネジメントなど次なる課題が生まれてくる。トラフィックが増えればときにマネタイズの戦略を組むこともありますしね。
まこりーぬ:こう聞くと、なんだかオウンドメディアってもはや事業そのものに見えてきますね。
オウンドメディアの必勝法は…ない!?
まこりーぬ:経験豊富なそめひこさんに、ぜひお聞きしたいことがあります。ずばりオウンドメディアの必勝法を教えてください!
そめひこ:必勝法は、僕が知りたいです(笑)。さまざまなプロジェクトに参加しましたし、多くの経験をしてきたつもりなんですが…
「素人が立ち上げわずか3年で四半期利益1億超」アドバイザーそめひこ氏に聞くMEのオウンドメディア事業の裏側
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それでもオウンドメディアにコレだ!っていう必勝法は見つからないし、やればやるほど奥が深くて、日々勉強でしかないんですよ。事業フェーズ、組織体制、投資予算など1つとして同じものはない。また、成果を最大化するためには中長期的な観点が必要ですが、組織含め環境がどんどん変化してしまう。
僕たちの仕事はオウンドメディアを活用して成果を出すことであり、ただ記事を納品することではないので、関わる領域が本当に幅広いんですよ。だから1つとして同じ勝ち方はない気がしますね(笑)。
まこりーぬ:なるほど…。必勝法を安易に求めてしまったことに対し反省の念が湧いてきました(涙)。
そめひこ:いえいえ(笑)。オウンドメディアって、そもそも成功を定義することもめちゃくちゃ難しいんですよね。最終的には僕は「オウンドメディアがあるから会社が成長している・事業が伸びていると言い続けられること」が成功だと思っていますが、業界業種、ビジネスモデルによって実現させる手段はさまざま。また、一時的な成功ではなく、”成功し続ける”っていうのが本当に難しい。
さらには、成功を定義する前に「この会社にオウンドメディアって本当に必要なんだっけ?」をちゃんと整理してあげないといけません。この観点がないといくら頑張っても成功には近づけない。「オウンドメディアを改善したいんですけど」というご相談に対して、事業課題から深堀していった結果「いっそ閉じた方がいいですよ」と伝えたこともあるぐらいです。
どんどん変わりゆく時代や環境においてどうすれば成功し続けられるのか、頭をフル回転させながらやっている…っていうのが正直なところですね。
まこりーぬ:そめひこさんのお話を聞いていると、オウンドメディアに臨むときの心構えが伝わってきます!
オウンドメディアを失敗させないためのルールは「テクニック論で語るな」
まこりーぬ:必勝法はないとのことでしたが、逆に失敗するオウンドメディアに共通点はありますか?
そめひこ:失敗する共通点はいろいろと挙げられます。まず1つは、先ほどお伝えしたとおりそもそもオウンドメディアが必要かどうかを適切に判断できていないパターン。あとは、オウンドメディアってリード創出もブランディングもお金稼ぎもなんでもできちゃうんですが、なんでもかんでも一気にやろうとするパターンもたいてい失敗します。これができたら次、これができたら次…とフェーズを分けてあげるべきです。コンテンツSEOを主体に考えたオウンドメディアであれば、ときに「1年かけてこの検索キーワードで1位をとりましょう」ぐらい目の前のやるべきことをシンプルにすることもあります。
まこりーぬ:たしかに、なんでもかんでも一気にやろうとするのは相当なエネルギーが必要ですし、ユーザーから見ても何がやりたいメディアかわからなくなってしまいそうですね。
そめひこ:そうなんです。あと最後が一番重要なんですが、ユーザー観点で考えられていないオウンドメディアは失敗しやすいです。もっと言うと、仮に一時的に成功できたとしても、ユーザー観点なしに “成功し続ける” ことは100%無理でしょう。
例えば、あるコンテンツSEOを用いた記事に対して「タイトルの左側に狙っているキーワードを入れるべきですか?」というテクニカルな質問をクライアントからいただいたとします。
このとき僕は「よし、実際の検索結果を見てみましょう。たしかに左にあることが多いですね。これはなぜでしょうか?…ユーザーの視線が左から右に流れるので左にあったほうが目にとまりやすくクリック率が上がるから、という仮説が立ちますね。つまりここから汲み取れるのは、タイトルの左側にキーワードをいれるべき、ではなくて、キーワードがユーザーの目にとまることが大事っていうことですね」…みたいな感じで、ユーザー観点に変換して説明するようにしています。そうしないと「なんでタイトルの左側にキーワードをいれているのに検索順位が上がんないの!」と考え出す日がやってくるわけですよ。
テクニック論で語り始めると「こうやって改善していこう」「こんな新しいアイディアに挑戦してみたらどうか」という発想が生まれず、柔軟に自走する組織が作れません。それは一番の不幸ですよね。だからこそ僕はコンサルティングに入る際に、先ほどの例のような些細なものであってもテクニック論を禁止します。僕もテクニック論を語らないし、みなさんも質問しないでくださいねと。
「これをやれば成果が出る」みたいなテクニックって正直たくさんあるんですが、「なぜ成果につながるのか?」という観点が忘れ去られがちです。同じ運用を2〜3年繰り返せば確実に他に追い抜かれるでしょうね。勝ち続けるためには、コンサル側だけでなく、運用側も含めて自発的に発展し続けるしかないんですよ。
そこに、ユーザーの声を聞く、ユーザーの行動から考える、ということはマストで必要になってきます。
まこりーぬ:成功し続けるための答えはユーザーにしかない、とも言えますね。テクニック論は語られがち、飛びついてしまいがちですが、思考力を奪われないように気をつけなければ、と改めて感じました(涙)。
組織を巻き込みたいなら成果でぶん殴れ
まこりーぬ:オウンドメディアを運営する上でよくあるお悩みの1つに「組織がうまく巻き込めない」が挙げられると思いますが、そめひこさんは外部パートナーの立場から、どうやってお客様の組織を巻き込んでいるのでしょうか?
そめひこ:めちゃくちゃシンプルですよ。成果でぶん殴る。成果を出している人の声ならみんな聞いてくれますし、成果が出ていれば運営チームもノってきますからね。
まこりーぬ:なるほど、超絶シンプルでした。とはいえ、オウンドメディアはすぐには成果が出ないという特性上「全然成果出てないじゃん!」と不満を口にする人も多いのではないでしょうか?
そめひこ:そうですね。ただそれは「どういうプロセスを経て最終的な成果につながるのか」を理解できていない、また仮説が立てられていないケースだと思います。プロセスごとにきちんと指標をおいておけば、最終的な成果に向かって成長していることがわかるはずです。前進していることが実感できれば、ほとんどの人が「あと少し!」とか「徐々にきていますね!」と盛り上がってくれますよ。
重要なのは、論より証拠です。証拠があるなら論から攻める時もありますが、まずは論より証拠。オウンドメディア論を語るんじゃなくて、データを見せて理解してもらう。そうすると、どんどん巻き込めるようになっていきます。
そうこうしているうちに最終的な成果も出はじめて、気づけば半信半疑だった運営チームも、外から見守っていた人も、一緒になってオウンドメディアを楽しみはじめるんですよね。
まこりーぬ:なかにはやる気のない担当者なんかもいるんじゃないかと思うのですが、そういった人も成果によって変わっていくものなんでしょうか?
そめひこ:もちろん絶対に変わらない人もいます。それは理解しておいた方がいいですが、ほとんどの人は変わります。だって周りから評価されて褒められたり、できなかったことができるようになったり、得意な領域が見つかったり、役職が上がったりすればみんなその気になりません?
成果を出す上で最も重要なのは「一生懸命ユーザーに向き合って自走する組織を作っていくこと」なんですよね。みんなのテンションを上げるためなら、仮に成果に直結していなくとも「ここのPVが伸びている!」って一緒に喜んだりするし、たとえプロのクオリティから離れていても「この記事の冒頭文最高ですね。冒頭文の王子様って呼びます」とネタで褒めたりすることもあります。すごく細かい話なんですが、こういうのが大事なんですよ。
最終的な成果につながる指標はもちろん、みんなのテンションが上がるような指標も初期は両方ウォッチして語る。成果が出て評価がついてきたらあとは自走するので、そこまでどうもっていくのかが僕らの最初の課題ですね。
まこりーぬ:めちゃめちゃ細かく働きかけてらっしゃるのですね。他にもクライアントとの接し方で大事にしていることはありますか?
そめひこ:クライアントではなくて仲間だと思っているところですかね。同じプロジェクトにいて同じミッションを掲げている以上はそう常に思っていますし、だからこそ本気でぶつかります。ミッション達成のための約束をクライアントが守れなかった時はブチ切れてプロジェクトを止めたこともありますし、上長の合意をとった上で、全くやる気のないプロジェクトオーナーに実質会社を辞めてもらったこともあります。先方の社長に直談判して担当者の役職を上げてもらうこともありますし、事業部の管理会計の仕組みを変えてもらったこともある。 ミッションを達成するために必要なことはどんどん相談しますし、どんどん行動に移しますね。
まこりーぬ:な、なかなかヘビーなエピソードですね。真剣さが伝わってきます。
そめひこ:オウンドメディアについて語ってもらったらもっとすごい人ってたくさんいると思うし、なるほど…と学ばせてもらうことも非常に多くあります。ただ、成果ベースで殴り合ったら僕のほうが勝つことが多そうだな、とは思っています。それは、ミッションが何かを定義し、そのミッションを達成するために戦略を練り、変わっていく環境や情景を踏まえながら繊細に、その時々で必要なことを実行し続けていくからです。
だからこそ、評価制度や事業開発といったオウンドメディアだけに留まらない支援をするケースが大半にになっていくんですよね。
まこりーぬ:今までのお話を踏まえると大変説得力があります。カッコいいです!!!
それでも、オウンドメディアをやる意味
まこりーぬ:本日のお話を聞いていると「オウンドメディアって、やっぱり大変だな…」という気持ちについなってしまったのですが、そめひこさん、それでもオウンドメディアに取り組む意味はあると思いますか?
そめひこ:これ事業でもなんでもそうだと思うんですが、オウンドメディアって目の前の成果をとことん追求していくと、予想もできなかったすばらしい結果がたくさん生まれるんですよ。
例えば、1人でスタートした事業が気づけば20人のチームに成長していて自分はそのチームのマネージャーになっていたりとか、誰も見向きもされなかった運営チームが数年経つと会社の柱となっていたりとか、世間をにぎわせ一夜にして事業貢献度が急上昇したりとか、株価にも影響するくらいのインパクトを出せたりとか。オウンドメディアの功績が認められて、グループ会社社長や事業部長になった人も僕の周りに結構います。
LIGもそうですよね。LIGブログで情報発信を続けるなかで知名度が上がった。お問い合わせが増えてWeb制作事業が伸びた。LIGブログもとことん収益化させて事業の柱になった。会社としてどんどん投資できるようになり、新しい事業が生まれて、人が増えて、さらにできることが増えていって。
もちろんさまざまな要因はあるでしょうが、LIGブログというオウンドメディアが成果を上げた、その結果LIGはどんどん成長していったわけですよね。そういう「オウンドメディアがあったからこそ、今という結果につながっている」のがおもしろいですよね。
こんな経験がたくさんできたらすごく楽しいし、結果の先には新しい成果が求められるのでできることの幅が広がります。だから僕は今でもオウンドメディアにずっと関わり続けています。
まこりーぬ:そめひこさん、希望あるメッセージをありがとうございました!
さいごに
オウンドメディアに必勝法はない!……とのことでしたが、そめひこさんのお話の中にはオウンドメディアを成功させるための、テクニック論ではないヒントがたくさん散りばめられていました。
私も自社でオウンドメディア運営に関わっていますが、安定して更新を続けているLIGブログであっても、書き手である社員が自走したくなる勘所がそれぞれ異なるためモチベートが難しいなど、課題は絶えません。そめひこさんのおっしゃるとおり「その時々の状況に応じて頭をフル回転させ細やかに対応していくこと」がなにより大切なのだと、改めて感じています。
オウンドメディアって本当に大変だなぁと思いつつ、その一方でさいごにそめひこさんが語ってくださったとおり、オウンドメディアには夢があります。覚悟をもって臨みたいけどプロのアドバイスがほしい…という場合は、ぜひ、そめひこさんに相談してみてはいかがでしょうか?
以上、まこりーぬがお届けしました!