少し遅くなってしまいましたが(笑)今年で第四回となるカンファレンス「FOODIT TOKYO 2018」に参加してきたので、感想&講演メモをレポートします。
FOODITは「外食の未来が生まれる場所を作ろう」という趣旨で始まったカンファレンスです。外食産業ではたらく人を応援したいという想いは共通する部分も多く、非常に多くの刺激と妄想のネタをたくさんいただきました!!
【FOODIT2018】SESSION PROGRAMとスポンサー企業
↓カリキュラムはこんな感じ
↓スポンサーはこんな感じ
私自身はじめての参加でしたが、スポンサー企業は、業界特化型のSaaSや業務特化型のSaaS(SmartHRなど)が多く、生産性向上ツールがますます増えてきている印象でした。一方食べログ・ぐるなび・ホットペッパー・Retty・ヒトサラなどのメディア郡は一切参加していませんでした。
基本的に”新規集客”ではなく、”リピーター”を増やすことで繁盛店を作ろうというメッセージで一貫していたと思います。(一方で、TORETAさんは新たな取り組みとして“超直前予約に特化”したメディアを発表していたのが印象的でした。)
また、「人不足」という課題に対しても、採用というよりは”生産性向上”と”定着”で解決していくことでより業界自体の顧客・従業員に対しての付加価値を見直して行こうという動きが活発になってきているなという印象です。
【感想&講演メモ】
販促や業態開発に力を入れ続けてきた会社が多かった外食産業ですが、「生産性向上」と「顧客体験向上」に本気で投資をし始める企業が増え始める年になるのではいかと強く感じました。背景として「圧倒的な人不足」という喫緊の課題を解決するために生産性向上がマストになってきていることと、とはいえコンビニ脅威論のリアリティが増してきた今、生産性を上げるだけではコンビニの脅威には勝てず人を介在させることによる「顧客体験向上」を追求するという原点に戻ってきているのではないかと感じました。
コンビニ脅威論のリアリティ
講演の中でも懇親会でも、コンビニ脅威論が非常に活発に議論されていました。食ビジネスにおいて、コンビニが外食市場に攻め込んでくることは長らく言われてきましたが、セブンイレブンの100円ビールで外食事業者の脳裏にワーストシナリオが焼き付いたのが大きいのではないかと思います。
他国では様々な先進事例は存在しますが、日本の小売で最も影響力のあるセブンイレブンが動き出したことで、解決策を見出さなければいけないという危機感に業界全体が動き出しているのではないかと。
生産性向上し、マスでのコストリーダーシップを取るだけでは外食産業は生き残れず、その上がった分の生産性で「顧客体験価値」にどうあげるのかを競合環境上マストであり、外食においては人を介在させたサービスを付加価値とし顧客体験を向上させていくことが生き残る道というのは概ね賛成です。
人件費率はここ7−8年で10%高騰
「人不足」「人件費率の高騰」という課題に対して採用一辺倒の組織マネージメントではなく定着や教育への外食企業の取り組みが変わっていきそうな兆しを感じました。人件費高騰はコーポレートブランディング以外なかなか回避するのは難しいかもしれませんが、人の労働を価値に転換できるもののみに集中させて、価格に反映させていく努力が必要になるな〜と。
外食産業の生き残りの鍵は「アート」と「ホスピタリディ」
「テクノロジーの活用の先には、人の職が奪われるのでは?」という声もありますが、この業界においては市場特性上良くも悪くも“人という変数”が存在し続け、それを価値に変えること常にが必要なヒューマンビジネスだと改めて実感しました。
コピペでは実現できない、人が介在する「アート(空間)」と「ホスピタリティ(サービス)」を強みに産業全体の価値を押し上げる必要があるのではないかと。
人不足先進国×サービス業でのイノベーションにチャレンジ
少子高齢化先進国の日本で起きるイノベーションは、今後世界のサービス業で参考になることは間違いなく、我々が「人不足」という課題をどのように解決していくかは、非常に面白いチャレンジになると思います!
また今後、人不足が深刻化する中で、他業界と人の取り合いになっていき、そのような状況で、外食がいかに魅力的な職場かということを伝えていくことも大事になっていくでしょう。
“やりがいがある=価値提供できている”と実感できることだけを人にやってもらう点が、非常に重要であると感じました。
我々も、CSとESの向上が儲かるという仕組みづくりをしていきたいです。
↓人口減少による労働力不足、労働力不足によって叫ばれる生産性向上
以下講演のメモで〜す
1)次世代型外食ビジネスの創造(基調講演)by ロイヤルホールディングス菊地 唯夫社長
「GATHERING TABLE PANTRY」についての説明と、なぜ開店したのか。
また、そこから見えた外食の未来について、ロイヤルホールディングス代表取締役菊池さんとワンダーテーブルの秋元さんの基調講演より。
▼GATHERING TABLE PANTRYの目的
生産性向上と働き方革命に絞った研究開発
▼施策実行背景
飲食店の生産性が低いのは、研究開発が行われていないからと言われている 。
↓
そうではないと感じた。
業態開発は非常に活発に行われてきて、同時に模倣の繰り返しも。
↓
市場や人口が伸びていたため。
しかし、生産性を上げる研究開発が行われてこなかった 。
↓
市場が縮小し始め、今までの延長線上では立ち行かなくなってきた 。
生産性向上と働き方革命に絞った研究開発に着手する必要性を感じた。
▼最も生産性向上のために重要だと感じたポイント
└キャッシュレス
└調理の自動化
▼大切にしたポイント
人数を減らさず生産性を上げる(≒付加価値を上げる)
→実際に時間がかかり、顧客の価値につながっていない部分を削減することが大事
▼結果
↓実際、価値=価格に還元されないかなりの業務が大幅に削減された
▼結論
人が減っていく国(人口減少先進国)である我々は、人がやるべき部分とテクノロジーに任せる部分を分けるべき
└前提、人をなくせばいいものではない 。
└しかし、人がやる部分は「対価=価値」が生じることだけに絞るべき(それによって、しっかりと賃金を払うことができる) 。
└テクノロジーを活用し、生産性を上げるしか方法はない。
2)外食産業の「未来」のための提言 by 堀江貴文さん(ホリエモン)
この20年、デフレの一途をたどってきた外食産業に対して、「“高付加価値”を提供する飲食店以外は生き残りが厳しい」という指摘。
▼薄利多売を辞めよう!
・「薄利多売」は、貧しさから豊かさになるための手段。大量生産・大量消費をする時代ではない今もやってしまっている。
・畜産業では、規格化・大量生産はできない。メガネのフレームを量産すれば高く売れるかもしれないが、十分安くなってる。そういう時代ではない。充分すぎる豊かさで必要なものが揃い、人々の物欲がなくなっている。
・低価格業態は、コンビニに負ける。プライベートブランドvsナショナルブランドと小売が寡占化する未来、プライベートブランドが勝つ。例えば、「カリントウ」のナショナルブランドって?なんとなく食べていて、セブンイレブンでよい。
・この先もセブンイレブンが進化していく。牛丼、ホットスナック関連は驚異。
▼WAGYU MAFIAの事例
・「和牛マフィア」は、高い。中目黒の和牛カツレツが2万円や5万円で売られている。(最低でも1,500円?)
・外国人が購入したものだけ写真撮影&インスタにアップしたら、インバウンド集まってきた。
・牛1頭を2年間世話しても100万円を超えないため、成牛になっても数十万のプラスにもならない。黒毛和牛丼を1,000円で売っても、誰も儲かっていない。(生産者・労働者、どこかに無理が出ていることを認識しなければいけないのでは)
・人々が豊かになってる状況で、売上を見て商売することは現場が疲弊していく。
▼日本酒の事例
・日本酒も安すぎる。1瓶がどう高くても5,000円くらい。 誕生日プレゼントに「何万円の日本酒」というものがない。
・日本酒の高度な生産プロセスを誰も知らないから、高く売れない。
・熟成酒をやってるところが実はいくつかあるので、それを集めてオークションをやろうと思う。それがブランディングになっていくのでは。
▼コミュ力こそ、外食産業の最大の武器
・ライザップの採用基準について。 技術なんてなくても採用し、あとで教える。
・大事なのは、お客様との信頼関係を作れる人。コアコンピタンスは“コミュ力”で、だから結果にコミットできる。毎日メッセンジャーでやりとりしているため、嘘をつけない。
・「この人のために頑張らなきゃ」という人の採用が大事。
次世代の「仕事観」は、飲食店の未来をどう変えるか by TORETA CEO 中村 仁社長、カフェ・カンパニー 楠本 修二郎社長
▼トレンド
・「ここ10年で、外食産業の人件費率が10%上がっている」というファクト。
・一方で、労働人口は、10年で20%ずつ減っている 。
・次世代を担う86-96年世代が少ない(ミレニアル、ゆとり、さとり、乾けない、デジタルネイティブ、9.11、リーマンショック、3.11・・・所属するコミュニティを疑い、学ぶ世代。)。
・かつての食のビジネスは、常連さんや半径500m以内での関係性でコミュニティがなかった。集団に合わせていく必要があった。
・経理〜設計〜製造まで体験できる稀有な産業であることが飲食店の強さ。人のエンゲージメントとしてアップデートが可能。
・2050年が世界人口のピーク(95億人)。食料不足で高齢者ばかりの社会。
・糖尿病と認知症の関係。2040年の世界は認知症ばかりかもしれない。
・日本の飲食店がどういうコミュニティを作っていくか? 食を通した課題先進国としてリーダーシップを取れないだろうか。
2億人の予約データから読む飲食店経営の「明るい未来」by TORETA CEO 中村 仁社長
3つの新機能をリリースする。
①予約管理画面の未来(配席技術)
配席技術の大切さ
・alphagoで使っている技術を活用し、配席の最適化を。
・現場負荷の大幅な低減 。
↓実際に、同じ条件で予約を埋めていったところ驚くべき時間で自動配席が完了した。
②トレタCC(コールセンター)
・最大の特長は、お店に電話がかかっている感覚で対応できる。
・店の状況に合わせて可能。
③オンライン予約
・超直前予約
1.超直前予約(2次会の悩み)
2.ウォークイン
3.当日キャンセル
→人気店になればなるほど、当日キャンセルをあけられない。
→「今から」「超簡単」「確実」
以上です。
こんな人の価値をテクノロジーによって最大化するというミッションに一緒に参加したい方絶賛仲間募集中です!!!