MNTSQは契約に関するプロダクトを開発するリーガルテックベンチャーです。
リーガルにテックと付く以上、弊社のパラリーガル職は法律についての知識だけ持っていればよいわけではなく、機械学習×法律、検索×法律、など、他領域と自分の知識との掛け算の毎日です。
そこで、特に協働する機会の多いエンジニアさんに、パラリーガルの川上がインタビューをしてみました。
検索エンジニアの溝口さん
MNTSQの検索体験向上のキーパーソンです!
溝口さんの検索エンジニアとしてのお仕事についてはこちらをご覧ください。
パラリーガルという存在
川上:インタビューをご快諾いただきありがとうございます!
早速ですが、今までのご経歴から、パラリーガルって全く畑違いの存在だったのではないでしょうか。一緒に働いてみてどうですか?
溝口:まずは驚かされました、みなさん吸収が早くて。
川上:あ、忖度は結構なので本音でどうぞ。
溝口:笑 いや本当に。
みなさん、わからないところはちゃんとわからないと言ってくれて助かります。聞いてもらえれば、技術的なところはちゃんと答えられるので。うちの会社は疑問を発信すれば必ず誰かが拾ってくれる、という文化があるので質疑応答は盛んですよね。おかげで一緒に働きやすいです。
逆にリーガル領域の知見を自分がちゃんと吸収して活かせているかは、私がもっとコミュニケーション取っていかないといけない部分かもしれません。MNTSQというプロダクト内の検索についてユーザーサイドのリアルな視点を持っているのは自分ではなく弁護士やパラリーガルなので。
川上:それはお互いにですよね。現在パラリーガルが検索の品質にコミットできているか、という課題は認識しています。
溝口:そこを測るのは難しいです。検索含むプロダクト開発においては会社としての総合的な判断があり、(専門知識があるからといって)パラリーガルの意見がそのまま反映されるわけではないので。しかしパラリーガルの視点はとても重要なので、意見を発信してもらうことがとにかく大事だと思います。
川上:では、パラリーガルと働いてみて、びっくりしたり、違和感を感じたことはありました?
溝口:この独特な組織の中で、入社してすぐに自分なりの考えを持って、意見を言えているのはすごいと思いますよ。うちの会社って自分は好きだけど結構普通じゃないので。
うちの会社って普通じゃないんですか?
川上:独特/普通じゃないとは、個性の強いIT企業の中でもとりわけ変わっている、ということですか?溝口さんは数社ご経験がおありだと伺っていますが、他社と比べても?
溝口:そうです。特徴の一つとして、この規模でドキュメント文化を徹底しているのは珍しい。
まず大企業は大体が縦割り組織で、隣のラインの領域を侵さない。一方、MNTSQはみんな得意な領域を守備範囲として持ちつつ、他領域にどんどん行動範囲を広げている。
規模が似ている中小企業では仕事が属人化する傾向がある。しかしMNTSQは知見をドキュメント化して全体で共有する仕組みがある。これはなかなかすごいことだと思います。
川上:薄々気づいていましたがやはり稀有な文化なのですね・・そんな弊社のパラリーガル職に求める資質には何があるでしょう?さきほどおっしゃったように、「与えられた仕事を正確にこなせる」よりは「粗削りでもまず発信してコラボレーションを起こしながら改善していける人」でしょうか?
溝口:そうですね。それは社内の誰に聞いてもそうだと答えると思います。
あとは、うちの会社ってインターネットなかんじするじゃないですか。
川上:インターネットなかんじ・・?
溝口:言い回しとか。
川上:あ、わかりました、深夜帯のインターネットですね!
溝口:そうそう。リーガルの人達がそこに引かないで馴染んでるのすごいと思っています。
川上:インターネット文化耐性(注:染まれというのではなく、そっと見守ることができることを指します)はポイントかもしれませんね。slackの雑談チャンネルは本当に色んな話題が飛び交いますよね。最近は職種を超えてモルカーで盛り上がってましたし。たしかにかわいい。
溝口:癒されますね。
話を戻すと、「お互いの領域を学び合う姿勢を持っていること」と「自分の専門領域を発信できること」は適性として大事なのでしょうね。
パラリーガルは進化したい
川上:おっしゃるとおりですね。溝口さんの立場から、パラリーガルにわかっておいてもらえるとうれしいこと、ここに強くなるとこの会社で役に立つよ、などのアドバイスがあればいただけないでしょうか?
溝口:難しいですが・・検索まわりに限らず、「ここ変えてほしい」っていうポイントを、簡単に変えられるとは限らないんです。
川上:あーーーーー(最近の仕事で心当たりがある)わかりますーーーー
溝口:コンポーネント、つまり、MNTSQというプロダクトの仕組みに興味を持って、これはどうやって動いているんだろう、を簡単にでも理解してもらえると話がしやすいと思います。
逆に、我々エンジニアも、非エンジニアに対して、そのあたりをわかりやすくかみ砕いてお伝えする努力をしなくてはいけない。
川上:そうですね、自分がこれからやろうとしていることの裏側の仕組みをざっくりとでも把握して、何が実現可能なのかを知っておく、そのためには思い込みで突っ走らないで質問する、がとても大事だと私も思いました。
溝口:実現可能性の部分がすり合ってないと不幸な事故が起こりがちですからね。
「契約書を検索する」の難しさ/面白さ
川上:話は変わって、溝口さんが検索体験の構築にあたり、「検索対象が(主に)契約書であること」に特別な難しさはありますか?
溝口:難しさは、自分自身に二つの知識がないことです。一つは法律について、もう一つはMNTSQを利用するユーザーが何を意図して使うのかについて。
この二つがわかればもっと自分から機能を提案していけるのですが、まだ足りていないですね。
例えばいわゆるtoCのECサイトなら自分もユーザーになれるので、どういったものを探しているのか比較的理解しやすかったりするものですが、契約データベースだとそういうわけにはいかない。
川上:なるほど、普段使うし身近ですもんね。
溝口:toBの中でも法律は全く知らなかったので、そこのノウハウがほしいですね。難しさと同時に魅力を感じている部分です。
川上:では逆に面白さはありますか?
溝口:面白いところは「日本語」なんですよ。
法務文書って言語の中では論理構造を保とうとかなり頑張っている方で、その構造をどうにか検索に活かせないかと考えています。自然言語処理にだんだん近くなってきますね。「又は」はOR条件、「かつ」はAND条件など、構造化しやすいんです。
川上:確かに、話し言葉だと適当なところ、契約書だと厳密に使い分けられていますしね。
溝口:そう、AND/OR条件の論理式で構造化できそうだなっていう感触があります。実現できるかはまだわかりませんが。
川上:その話めちゃくちゃ面白いです・・!今後進展があればぜひ伺いたいです!
未来のパラリーガルに向けて
川上:最後に、弊社パラリーガル職へのチャレンジを検討されている方に向けてメッセージをお願いします。
溝口:法律的な解釈を機械学習に落とし込んでお客様に提供するといううちの会社の開発サイクルを考えると、厳密な法律の定義を突き詰める、みたいな思考が好きな人だと向いてるかもしれませんね。
川上:確かに!!
溝口:あるいは、法務部門の業務を知っていて、実際のユーザーさんに近い感覚をお持ちの方はきっと活躍できるだろうなと思います。
あとは今の仕事にフラストレーションためてる方ですよね。
川上:フラストレーションといいますと。
溝口:この間知ったのですが、裁判の証拠って全部紙で出さなきゃいけないらしいじゃないですか。それにすごい時間かかるっていう。
ITの技術を使えば5秒で終わるのに。
川上:あーーーそれは裁判事務のデフォルトですね。因みにその紙に甲第●号証、とかスタンプ押していくんですよ。裁判所の方でも今オンライン証拠提出を進めているみたいですが、まだ紙にスタンプ押してる事務所も多いのでは。
溝口:つらいですね・・。
川上:エンジニアさんからするとそうですよね・・。
溝口:やはり法務の世界ってだいぶレガシーな文化が残っている印象があるので、そこを変えたい、良くしたい、という気持ちのある方にはぜひうちの会社に入っていただきたいですね。
川上:そうですね、その意志のある方なら大歓迎ですね!!
インタビュー後記
お話を伺ってみて、エンジニアの立場からもパラリーガルのことをちゃんと見て考えてくださっているんだな、と改めて感じました。
もちろんそれは溝口さん個人が特別人格者であるから、というわけではなく(実際お忙しい中このインタビューのために時間を作ってくださったとても優しい方ですが)、エンジニアとパラリーガルがそれぞれの知見を出しきってコラボレーションすることが弊社のプロダクト開発において最重要使命であり、かつその意識が双方に浸透している、ということの帰結なのだと思います。
AIや機械学習なんて畑違いすぎて飛び込むのをためらう、という方には、法律の知識・経験と法務の世界を良い方向に変えていきたい、という気持ちがあれば大丈夫だと自信を持ってお伝えします。エンジニアさんも質問すれば初歩からちゃんと教えてくれますし、逆にリーガル畑の知見が彼らにとってとても貴重であることはインタビュー内容のとおりです。
この記事を読んで少しでも興味を持ってくださった方、ぜひ、まずはカジュアル面談で気軽にお話ししましょう。