デジタルセラピューティクス事業部でプロダクトデザイナーをしている山岸です。先月正式リリースした周術期ケアアプリ MedBridge(メドブリッジ)のブランディングの取り組みについて紹介します。
デジタルセラピューティクス事業部医学的エビデンスに基づいたソフトウェアによる介入で、疾病の管理のみならず、予防や診断、治療、介入を支援する手法を開発している事業部。参考記事: 活発になり始めたデジタル療法の国内開発
目次
- 周術期ケアアプリ MedBridge とは
- サービス名・ロゴの決定まで
- ブランディング検討と媒体制作
- キービジュアルとキャッチコピー
- 学会出展
- 最後に
周術期ケアアプリ MedBridge とは
あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、周術期とは「手術決定後の外来から手術・術後回復・社会復帰までの一連の期間」を指します。医療技術の進歩による入院日数の短縮に伴い、患者は在宅環境で心身のセルフケアを行うことが重要になっている背景から
- 術前からセルフケアを行い術後に備えて準備をする
- 退院後のより良い生活習慣を身につける
という取り組みをサポートするプロダクトです。まずは心臓血管外科領域を対象にサービス提供していますが、今後対象疾患を拡大していく予定であり、肺がん領域についても開発中です。
サービス名・ロゴの決定まで
入社当時はまだプロジェクト名で呼ばれていましたが、正式なサービス名を決めたいと話が上がったのがその後のブランディングプロジェクトに繋がる第一歩でした。とはいえ私個人としては医療ドメインやプロダクト仕様の理解がまだまだ不足していたため、事業担当からこれまでの背景やサービスに込めた想いを説明してもらい、関係メンバーを巻き込んだブレストを実施しました。
キーワード抽出から作成した様々な案について「医療業界としては少し語感がゆるすぎる印象が...」「英語読みするとネガティブな単語に聞こえる」等の様々な意見を踏まえてブラッシュアップしていきました。最終的には「医療とユーザーである患者との架け橋となりたい」というコンセプトに立ち戻り、医療の「Medical」と、繋がる・伝わる・ハブとなるから想起された「Bridge」を組み合わせた MedBridge に満場一致で決定。
ロゴ作成においては、社内のコミュニケーションデザイナー・劉さん(各種コミュニケーション施策も担当)と協力し、事業部長およびプロダクトオーナーから今後の事業・プロダクト戦略をヒアリングしていきました。劉さんが複数の方向性を提示してくれる中で、笑顔を連想させ「患者が安心して日常に戻る」姿にも繋がるビジュアルに決定しました。
余談ですが、事業部長がロゴコンセプトをとても気に入り、ミーティング時には最終確定前から Zoom 背景にロゴを使っていたのが印象的でした。笑
ブランディング検討と媒体制作
MedBridge 本格展開に向けて事業責任者や営業担当者、さらに外部からクリエイティブエージェンシーの GLIDER さん / PLUS-D さんを交えたチームで医療者向けのブランディングを検討していきました。
MedBridge の目指す世界MedBridge は「治療生活の道標」「治療効率を最大化」「地域医療経済の循環」を実現するために患者・医療者・地域医療の架け橋となります。その結果、多くの患者と家族が「納得して治療に取り組み、安心して治療生活をおくれる世界」を目指します。
医療者(急性期病院)へ向けた提供価値を整理していく中で、GLIDER さんからの提案を踏まえ
- 「医療者の負担軽減」「患者の不安解消」というコアな価値をダイレクトに伝える
- ビジュアルはロゴコンセプトに集約させ今後 MedBridge の認知度を高めていくための土台にする
という方針で本格的な議論が始まりました。
キャッチコピーや各種メッセージ検討では、医療業界あるあるを洗い出し医療者の納得感をいかに作るかという点に加え、法務担当者に薬機法観点でのレビューをもらいながら進めました。ともすれば安全側に倒し補足説明が多くなりがちなところですが、法務担当が分かりやすさと法解釈のバランスをどのように取っていくか一緒に考えてくれたのはとても心強かったです。このようなやり取りを通して、医療者へのメッセージや MedBridge ロゴマークを中心としたビジュアル展開が徐々に形作られていきました。
キービジュアルとキャッチコピー
学会出展
学会では医療機器メーカーや医師の方々から MedBridge の機能や現場の課題について意見をいただくことができ、チームがより具体性を持ってプロダクト戦略の議論を行えるようになってきています。
また、自分たちが作っているものが「カッコいい」と感じられることの情緒的価値を改めて実感できました。ブースや製品ウェブサイトを通して目指すビジョンが少しずつ形になることで MedBridge をより良くしていこうというモチベーションにも繋がっています。
最後に
様々なメンバーが協力して作っている MedBridge ですがまだまだ発展途上です。今後の事業展開に関わる部分もあり一部のみの紹介になりましたが MICIN に興味を持った方はぜひお気軽にお声がけください!