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MAP代表・飯田健太郎が考える、チーム作りとモチベーション

MAP代表・飯田健太郎が考える、チーム作りとモチベーション。

ビジネスチャットの台頭や、予期せぬ在宅勤務――。社内コミュニケーションに劇的な変化が起こっている今、特に若手社員が会社や事業への想いや仕事に対するモチベーションを維持することが難しくなっていると感じます。

モチベーションが維持できないのは本人の責任であり、甘え。会社側がモチベーションコントロールのサポートまでする必要はない、という考えもあるでしょう。しかし経営者や採用担当が「優秀かつ高い意識を持ち、長く勤めてくれる若手社員がなかなか採用できない・・・」と嘆くのもまた、甘え。トップの意識や仕組み作りで、チームのモチベーションは維持できる。私はそう考えています。

MAPは平均年齢29.5歳と若いメンバーが中心の会社です。

今回は私が考える「モチベーションの高いチーム作りのポイント」をお伝えします。

モチベーションが続かない3つの理由

そもそも、モチベーションが維持できない理由は何でしょうか?

仕事への慣れからくるマンネリ感。給与や待遇面など、仕事そのものや会社への不満。飽きっぽさなど本人の資質によるもの。さまざまな要因が考えられます。

一見、細かな要因が多数あるように見えますが、仕事への意欲が減退する要因は、最終的には以下の3つに集約されると考えています。

・仕事や会社に愛着が持てない

・日々の業務に変化がなく、自身の成長が感じられない

・自己評価と他己評価がずれている

いったん失った仕事への情熱を取り戻すのは容易なことではありません。一度落ちた意欲は二度と戻らないと考え、最初からモチベーションを落とさない仕組みを作るべきです。

オーナーシップとメンバーシップのバランス

私がチーム作りにおいて最も重視しているのは「自社の仕事に対する誇りを育む」ことです。愛社精神にもつながる考え方として、常に「オーナーシップ」と「メンバーシップ」のバランスを意識しています。

社歴の浅い若手社員にも「自分が事業を作っている」というオーナーシップを意識してもらうことは大切ですが、リーダーシップの強い人間ばかりのチームがベストではありません。リーダーの意向を汲み取り、サポートできるメンバーもまた重要です。

事業を自分事として捉えるオーナーシップを育てると同時に、会社や事業への帰属意識となるメンバーシップも育む。このバランスこそが、チームの核になると考えています。


社内異動が若手を育てる

MAPが昨年、転職活動者を対象に実施した働き方に関するアンケートによると、80%の若手人材が「社内異動があったほうがいい」と回答しています。

https://map-on.co.jp/3557

異動は事業に対する観点を増やし、視野を広げ、若手が育つ大きなチャンスになります。「この道一筋」のプロフェッショナル人材の存在は頼もしいものですが、スペシャリストばかりになってしまうと、その分属人的になってしまいます。

そういった部分も鑑み、MAPでは「マルチ型」の社員にはドラスティックな異動を、反対に「スペシャリスト型」の社員は極端な配置転換をしないよう心がけています。本人から部署異動希望が出た場合にも、柔軟に対応しています。

配置転換が功を奏し本人も事業も大きく成長するケースがある一方で、失敗もあります。しかし失敗を恐れず、積極的に社内異動を推進するのは「ダメなら戻せばいい」と考えているから。チャレンジングな施策では「撤退ライン」を決め、あらかじめ共有しておくのです。そうすれば、本人の意欲が削がれることもありません。

成長を実感できる機会を作る

自身の成長を実感できずにモチベーションが低下するケースは多々あります。これを阻止するには難易度の高い仕事を任せるだけでなく「成長を実感する仕組み」の構築も必要です。

MAPでは年に2回「グロースミーティング」と名付けた全社総会を開催しています。

https://www.wantedly.com/companies/map/post_articles/196060

半期を振り返り事業とメンバーの成長について、各事業部のマネージャーがプレゼンテーション。終了後には懇親会を設け、普段は接点が少ない他拠点メンバーとの交流を図っています。


多くの企業が実施している「キックオフミーティング」は、事業部長や代表が来期の計画を一方的に発表するため、若手社員がワクワクできる内容にはなりづらいものです。そこで、グロースミーティングでは徹底して「Growth(成長)」にフォーカスし、自身と事業の成長を実感してもらうのです。

発表者である各事業部のマネージャー陣にとっては半期の総決算であり、責任を実感する場に。メンバーにとっては自身の成長を味わい、事業を自分事として捉えられる場。回を重ねて今では社員も開催を心待ちにする大切な社内イベントへと成長しました。

「自己称賛」がモチベーション維持を助ける

どれだけ頑張って結果を出しても、褒められず、評価もされない。自己評価と他己評価がずれたとき、やる気は急降下します。また、スピード感のあるベンチャー企業は、成功のよろこびに浸る間もなく、次のプロジェクトに走り出すことが多いでしょう。

社内に称賛の文化が根付いていると「頑張っても誰からも褒められない」といった不満は解消できます。さらには他者からでなく、自分自身を称賛できるのが理想です。

まだ経験の浅い社員に対し、時には厳しく指導することも必要です。でも、モチベーションを維持するには、叱咤よりも期待と称賛のほうが効果的。褒められて気分を悪くする人はいないので、照れず妬まず、自分も他者もたたえあえる環境作りが必要ではないでしょうか。

称賛文化を醸成するためMAPで実施しているのが「One」というレポートです。これは毎月自分自身の仕事を振り返り、スペシャルワンな仕事を専用のファイルに記載し、社内で共有する取り組み。先輩社員のマインドや、具体的なノウハウが読めることから、新入社員の学びのツールとしても活用されています。

https://www.wantedly.com/companies/map/post_articles/198199

レポート記入のポイントは、自分自身の仕事を称賛すること。「スペシャルな仕事」なんて毎月毎月発生しない、管理部門は書くことがないのでは、と思われるかもしれませんが、人に誇れる仕事が月に一度もないようでは、自己成長などのぞめません。

毎月上司と振り返りの機会を設けている企業は多いですが、上司との面談は若手にとって緊張と苦痛をともなう、つまらないものです。それよりも、個々が自分の仕事を振り返る機会があるほうが、自身の成長を実感できますし、自己称賛のクセづけにもなります。

女性社員を大事にする理由

MAPは半数以上が女性社員であり、多数の女性リーダーが活躍しています。条件面や発言機会、重要ポジションへの登用について男女差はまったくありませんが、すべてを男女平等にすることが正しいとも考えていません。

例えば、体力が必要な業務は男性社員が担当する方が効率的ですし、小さな子供のいる女性社員が産休前と同じ量の業務をこなすのは難しい場合もあります。

子育て世代の社員が職場で肩身の狭い思いをしなければならないような職場は、モチベーション維持の観点でも健全ではありません。結婚、出産などのライフイベントを経ても、男女とも無理なく活躍し続けられる。そんな職場環境は、女性社員だけでなく男性社員にとっても、これからライフイベントを迎える若い社員にとっても、働きやすい職場になると信じています。

モチベーションの高いチームを作る5つのキーワード

最後に、モチベーションの高いチームを作るために私が大事にしているキーワードを5つあげておきます。

・成長と負荷

適度な負荷がないと、人は成長しない。期待という負荷をかけ、現状に甘んじない工夫を。

・ゴールの意識

個々が業務のゴールを常に意識し、有言実行。達成できなくても批判せず、再チャレンジを恐れない文化を形成。

・ディスカッション

チームの方向性がぶれないよう、事業設計フェーズでは密にディスカッション。

・メンバーが主役

経営陣やマネージャー層が中心になるのではなく、メンバーが主役のチーム作りを。

・仕事は誇り

自分の仕事を誇れるメンバーの存在こそが、強いチームを作る。

MAPでは若手のチャレンジを推奨しており、20代のうちに高度な経験を積める環境があります。当然「この経験を別の場所でも活かしてみたい」と離職するメンバーも出てきます。

立派に育った社員の離職――。経営者としてはつらいところですが、20代、30代がもつ向上心は止めるべきではないとも思うのです。

モチベーションを高く維持したまま晴れやかに「卒業」する若手を多く輩出する。それもまた、強いチームの証であると自負しています。

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