Wantedlyストーリー第二弾は共同創業者である日並さんと、「Mantra Engine」の事業責任者である関野さんへのインタビューです。
プロフィール:日並 遼太 最高技術責任者 ※写真 右
東京大学情報理工学系研究科修了。博士(情報理工学)。画像認識の研究に従事。
日本学術振興会特別研究員(DC2)、国立情報学研究所特任研究員等を経て、2020年 Mantra株式会社を設立。
プロフィール:関野 遼平 財務・営業(米国公認会計士)※写真 左
三井住友銀行を経て、Mantra創業1年目に合流した第2号社員。前職では非日系企業の担当部署にて、計数企画や海外の破綻債権売却等の業務に従事。
▼簡単にご経歴を教えてください。
日並:Mantraを立ち上げる前は、大学の博士課程で画像認識の研究をしていました。それで卒業後にそのままMantraを創業した感じです。
ーー就職ではなく、起業という道を選択されたのはなぜでしょう。
日並:もともと卒業後は普通に就職することを考えていました。博士3年の夏ごろに代表の石渡からスタートアップに誘われて、最初はだいぶ迷いました。もともと起業するようなアクティブな人間ではなかったので。
ただプロジェクトを手伝っているうちに面白くなってきて目指す世界にも共感できたので、そこに賭けてみたいと思ったのが起業を選んだ理由ですね。
関野:私は大学卒業後に三井住友銀行に入行しました。3年目から外資系企業を担当する部署へ異動となり、海外のファンドが国内の不動産購入をする際のサポートや、予実管理なども行っていました。海外の大型破綻案件の処理を主導するという経験もしました。
ーー超大手企業からベンチャー企業に転職ということで、迷いはなかったのですか。
関野:Mantraが目指す世界観を実現したいという思いが強かったので、迷いはなかったですね。大きな会社の一部で過ごすよりも、自分が会社を創造する一部となって働くことや、大きな裁量のもと推進できることにも魅力を感じました。
ーーMantraに転職することになったきっかけは何だったのですか。
関野:実は日並と小中学校が同じで、部活も同じだったんですよ。日並は小学生の頃からすごい奴で。そんな秀才ぶりも人には自慢しない人格者で(私には自慢しますけど笑)、そんな彼から創業するんだという話を聞いて、技術に関しては全くの素人な自分ですが、日並がやるなら技術は本物だろう、後はどう届けるかだけだ、と思いました。
起業の話を聞いたのは飲み会で、「今何やってるの?」「マンガの世界展開を進める会社作るんだよ」「詳しく聞かせて!」といった流れから、補助金申請などの細かなことから手伝いを始めることになり、そうしていく内に自然とMantra で働きたいな、と思うようになりました。
また私自身カナダへ留学していた経験があり、当時から海賊版のマンガの問題を認識していました。漠然と何とかしないとな〜と思っていましたが、まさかその解決に取り組むビジネスに出会えるとは当時は思っていませんでした。
日並:小中学校の同級生が一緒に働いているって、改めて驚きだよね。
関野:日並のご家族、最初私がMantra に入るのに反対してたよね!笑
日並:当時はまだ会社もなかったからね(笑)。まあでも結果としてはいい経験ができてるんじゃないかな。
関野:そう思います!
▼現在、お二方は普段どのような仕事をしているのですか。
関野:役割で言いますと、toB向けの事業責任者です。Mantra Engineをどう成長させるかを考えたり、出版社や翻訳会社の海外展開の戦略に関するご相談に乗ったりしています。元々の本職である財務経理系は・・・事業側に集中するためにそろそろ外れたいかも(笑)
日並:自分は最近だと、関野と一緒にMantra Engineの新しい方向性を考えて検証するのがメインの仕事になっていますね。少し前まではエンジニアが自分一人だったので開発だけで精一杯だったんですが、ここ一年で強くて経験のあるエンジニアがどんどん入ってきてくれたことで、開発に割く時間は徐々に減ってきています。
▼「Mantra Engine」について教えてください。
関野:Mantra Engineは一言でいうと、マンガの翻訳を効率化するクラウドサービスです。ブラウザにマンガデータをアップロードするだけで、中で画像認識や機械翻訳が行われて、下訳ができあがります。そのあとMantra Engine上のツールで翻訳とレイアウトを行うのですが、既に下訳が吹き出しの上に乗っている状態からのスタートなので、作業が大きく効率化されます。
またブラウザ上ですべて完結するのでワークフロー全体もシンプルになり、マンガ翻訳のハードルを大きく下げることができます。
ーーお客さんはどういう層を想定しているのですか。
関野:今マンガを翻訳している会社はもちろんですが、これまでマンガを翻訳していなかった出版社も対象としています。
従来はマンガを海外に出すときは、海外の出版社にライセンスをお渡しして翻訳も出版もしてもらうケースが多かったのですが、Mantraは国内で翻訳版を作り海外で販売していこう、という動きを支援できたりしています。
ーー今現在の主力販売先はどちらになりますか。
関野:出版社や配信業社が多いですかね。最近徐々に有名な作品も翻訳されるようになってきて、例えば去年Netflixでアニメ化された「終末のワルキューレ」も実はMantra Engineで翻訳されています。
ーー「Mantra Engine」で今後面白くなりそうなことがあれば教えてください。
関野:今Pixivさんと協業して個人のクリエイターさんにMantra Engineを提供する取り組みを始めています。Mantra Engineを使うことで個人が気軽にマンガを世界に発信できるようになり、海外のファンを創出することにつながるのではと期待しています。
日並:DLsiteの「みんなで翻訳」でもMantra Engineが使われています。こちらはクリエイターのファンに翻訳してもらうというアプローチです。これらの取り組みはMantra Engineでないと実現できないものだったりするので、世界にマンガを届けるための新しい可能性を生み出せているのは嬉しいです。
関野:あとは今、小学館さんと、海外で許可なく翻訳版を作っていたファンを味方にして正規で翻訳するプロジェクトを行っています。
海外では、海外のファンが勝手に翻訳してアップロードしているのですが、自分の好きな作品を周りに知ってもらいたい、とボランティアで翻訳しているケースがほとんどです。こういったファンに対して正規で翻訳しないかと働きかけていくことで、実際に海賊版を減らすことができました。
学生の頃から課題に感じていた海外の海賊版問題に少しでも貢献できたのは嬉しいですし、このような取り組みを広げていくことで海外海賊版の被害を減らしていけると信じています。
▼Mantraの技術的な強みを教えてください。
日並:マンガの翻訳は画像と言語を両方扱う必要があるんですが、Mantraは自然言語処理と画像認識を博士で専攻していた二人で創業したということもあって、そこの技術に関してはどこにも負けない自信があります。 特に機械翻訳に関しては最先端の研究開発を今でも継続して行っています。
関野:文字認識も今は100個吹き出しがあったら94個は完璧に読み取れる精度を持っています。自画自賛になっちゃうかもですが、マンガに限定すればGoogleよりも精度が高く、Mantraの技術力はとても高いと自負しています。
ーー技術者目線での「Mantra Engine」の価値とは
日並:これまで言語の壁で作品を楽しめなかった人たちに作品を届けられるようになっているのが、一番大きな価値かなと思っています。
機械翻訳の技術は進歩し続けているので、長い目で見れば全ての作品が全世界に一瞬で届けられるようになる世界は必ずくると思っています。機械学習ではデータとアルゴリズムが成功の鍵なのですが、Mantra Engineに蓄積されていくデータとMantraの機械翻訳技術とで、その世界の実現に大きく貢献できると考えています。
▼まずはチームの体制を教えてください。
関野:Mantra Engineの方にメインで関わっているメンバーだと、フルタイムで動いているのが僕と日並、それにインターン生や業務委託のエンジニアが5〜6名ほどです。
ーー技術サイドと事業サイドが話す機会はあるのでしょうか。
関野:会えば何かしら話していますね。チームが小さいのもあってエンジニアとビジネス側のメンバーとの距離はかなり近いです。「マンガのテキストをブラウザで検索できたら面白いよね」なんて会話から、実際にプロトタイプを作ってみて、どう検証していくかを出版社さんと話したりすることもあります。
ーーチームで大事にしていることはありますか。
関野:ユーザーの声を聞くことですかね。当社ではエンジニアやインターンも含めてユーザーインタビューに参加しています。
ーーユーザーの意見を大事にする文化はどこから生まれたのでしょうか。
日並:創業前に参加していた東大のアクセラレータプログラムで叩き込まれたのがきっかけかなと思います。実際にユーザーの声を直接聞くことでプラスに働いた経験がとても多く、結果的にみんなに浸透しているのだと思います。
関野:英語しか話せないメンバーもいるのですが、海外のお客様とのインタビューに参加してもらうようにしたら、目に見えて開発のパフォーマンスが上がり、自分からも積極的に提案してくれるようになりました。使う人の顔をイメージして開発するのは大事だと思います。
ーーエンジニアとして働く環境の推しポイントはありますか。
日並:まだ会社の規模が小さいので個人の裁量が大きく、いろんなことを自ら提案してチャレンジできるので、そこは楽しいところかと思います。ユーザーとの距離も近いので、与えられたタスクをこなす感じじゃなくて、ユーザーが喜ぶものを作っている楽しさもあると思います。
あとは社内に信じられないくらい優秀なエンジニアが多いです。自分ももっと頑張んなきゃとプレッシャーも感じますが、エンジニアとしては刺激があり成長できる環境だと思います。
関野:ちなみにMantra Engineチームの公用語は英語にしています。英語しか使えないエンジニアとの情報格差が生まれないように、社内ミーティングやチャットツールでも英語でコミュニケーションをとっています。英語に慣れていないと最初は苦労するかもしれないですが、グローバルを前提としたチームという点に魅力に感じていただけると嬉しいです。
日並:いろんな国の人と話せるのは楽しいよね。日本人だと英語話すのに抵抗がある人が多いと思いますが、社内でのコミュニケーションが主なので意外となんとかなります。今のメンバーもMantraに入ってから英語を使うようになったという人が大半です。
▼Mantra Engineの開発は今どのようなステージですか。
日並:徐々にユーザーも増えてきてシステムの規模も大きくなってきている感じです。これまではどちらかと言うとスピード重視で開発してきたのですが、最近はシステムの安定性や保守性を考えて開発するように心がけています。
その一方で、新しい方向性を検証するために、プロトタイプを最速で作ってユーザーの反応を見るといったことも並行してやっています。
ーー開発でこれまでに一番苦労したことは何でしたか。
日並:昨年に翻訳用のエディタを大きくアップデートをしたんですが、これはかなり苦労しました。実装自体は思った以上にスムーズにいったんですが、リリースしてから速度やバグなどの問題が多発しました。
初期の頃はスピード重視でリリースしても大きな問題が起きたことがなく油断していたのですが、今は本格的に使ってくれてるユーザーがいるので、安定したシステムを届けることが重要だと身にしみました。
関野:便利な機能だからユーザーもきっと喜んでくれるはず!と思ってリリースしたのですが、従来の仕様に慣れていたユーザーへの対応にも苦労しました。
それ以降は、大型アップデートの際は事前にユーザーに告知してテストしてもらうなど、スピード感も大事にしつつ気をつけるようにしています。
ーー今、開発で一番課題に感じていることは何でしょうか。
日並:翻訳エディタ周りの開発ですね。Photoshopのような編集ツールなので、機能が多く複雑になりがちなんですよね。ユーザーの操作パターンも無数にあるので、発見が難しいエッジケースのバグが多いのが課題で、今バグが起きづらいような設計やテストの自動化を進めています。エンジニアとしては面白いところも多いのですが、なかなか難しいなと感じています。
▼どんなバックグラウンドを持つエンジニアに入社していただきたいですか。
日並:今はWebフロントエンドの経験者が社内にいないのが大きな課題なので、フロントエンドの開発経験が豊富な方が来てくれるととても助かります。
それからMantra Engineチームのエンジニアは全体的に若いメンバーで経験値は少ないので、チームをリードしてメンバーの能力を引き上げてくれるようなマネジメント経験があるともっと嬉しいです。
ーーエンジニア以外では欲しい人材はいますか。
日並:エンジニアと同じくらい必要としているのはUI/UXデザイナーです。今は社内にデザイナー専任の人がいないんですよね。Mantra Engineだと今はエンジニアがデザインまでやっているんですが、やっぱり限界があって、プロにお願いしたいなと思うことが度々あります。
特に最近だと、クリエイターやそのファンなど個人のユーザーにも使ってもらうようになったので、直感的に気持ちよく使えるようなUI/UXが今後のMantra Engineの成長には必要だと感じています。
ーーMantraらしい人とはどのような人でしょう。
関野:サービス開発に本気で取り組める人、グローバルな会社を作っていく気概がある人、あとはユーザーの声をきくことを大事にする人ですかね。
日並:新しいことを積極的に学んだりチャレンジするのが好きな人がMantraには多いなと思います。
▼最後に、お二人の好きなマンガを教えてください。
関野:う〜ん、好きな作品はいっぱいありますね。ラブコメも大好きですし。今一番ハマっているマンガでいったら、寿エンパイアですかね。
日並:僕はカイジですね。
関野:何かに賭けるのが好きなんだよね(笑)
一同:本日はありがとうございました!
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