吉本興業で35年!竹中イサオの"泣く子も笑う"処世術-Vol.18 | 株式会社LASSIC
相談:「彼氏に優しさが足りないと言われてしまいました」。お笑いの総本山、吉本興業の元プロデューサー竹中イサオの処世術コラム。 悩みや疑問、提案にボケとツッコミでビシビシ返していきまっせ! 「鳥取発 ITで地方創生」のLASSICが、あなたの「らしくの実現をサポート」します!
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弊社のサイトで人気のコラムシリーズ。Wantedly掲載第一弾!今回のご相談は・・・
確かに「やさしくしてほしい」と言う人が多いというのは分かりますね、ぼくもええ歳やのにイッパイ欲しいです。ただ「やさしさ」の定義が人それぞれなんで、行き違っている時は悩みますよね。
上手く行っている時って「何気なく」交換出来ているものなのに、タイミングによって少し歯車が狂うのでしょうか、本人はいつもと同じ調子で接しているのに、「足りない」と言われたりするんですよね。
ただ、「やさしさ」って「行動」だけでなく、「言葉」でもあるのです。
そこは忘れたらあきません。その「言葉不足」の事を言われたのかも知れませんね。
何なら「言葉」の方が「行動」よりも相手に期待されている「やさしさ」だとも言えます。
「不足」の反対にある言葉ですと、「過剰」「超過」「充足」とかがあるんですが、彼氏はどれぐらいのものを求めているんでしょうかね?
私が考えるなら、「やさしさの不足」って、質問をくれた「あまちゃん」だけに問題があるとは言えませんね。
あくまで受け取る側が「不足」していると言っているだけで、あなたが提供している「やさしさ」の量にはいつもと変わりなく、問題はないのかも知れません。
ただ彼氏が、食事に例えると、大分とお腹が減っているのではないでしょうか?牛丼屋さんに行って、大盛りを注文するように。おかぁさんに「ご飯、おかわり!」と言うように。
彼氏は何か足りないところを埋めてほしいのではないでしょうか?
これは決して男性だけが望むものとは言えず、女性も同様に望むもんであります。
そう、「やさしさ」って、交換できるもんなんですね。
巷に、「私は『やさしさ』で満腹や!もういりません!」なんて人はほとんどいてません。誰もがちょうど足りているか、少し不足気味なものではないでしょうか?
「やさしさ」とは、「人」から「人」に受け渡したり受け取ったりするものですが、計量器もないですし、いつもピッタリの量になるとは限らないのです。
必要なのは経験から来る「さじ加減」というところでしょう。
さてさて、そのさじ加減をうまくしていくためにも、いま一度、「やさしさ」とは何かを確認してみましょう。
「やさしさ」とは、2020年オリンピックのプレゼンに滝川クリステルが放った決め台詞「お・も・て・な・し」の元になるものであります。
「やさしさ」とは、誰の心の中にあるにも関わらず、時々使うのを忘れてしまいます。
「やさしさ」とは、「お金」では手に入らないものです。
時々、「やさしさ」を武器にして、他人に付け入る不届き者もいます。
「やさしさ」には、相手のことを考えて本気で叱ることも含まれます。
その時、たまに理解されずに嫌われることもあります。それでは、誰もが持っている「やさしさ」を探し出す稽古をしてみましょうか。
自分の中には結構「やさしさ」ってあるんです。時々見失ってるだけです。だから普段から探しておく稽古をしておけば誰にでもすぐに使えるはずなんですわ。
私は月に一回、ある矯正施設(刑務所)に行って、受刑者向け満期釈放事前研修を行っています。吉本興業在籍時代から行っているのですが、当初から変わらず、テーマは「コミュニケーション術を身につけよう」です。
その研修で私は、釈放前の心得として「あなたの不安を取り除いてくれるのが『コミュニケーション』です」と題し、
コミュニケーションとは「自分をよく知り、相手の気持ちを理解すること。そして心のキャッチボールをすること」だと話しています。
それに必要なのは実にシンプルで、「やさしさを思い出す」ことだと繰り返し話しています。
そこではまた、「他人の嫌がることをしたり言ってはならない。
それがどんなことかが分からなければ、自分がされたり言われて嫌なことを思い出せばいい」と言っています。
ということは逆に、「自分がやってほしいことや言ってほしい言葉を考えて、それを相手にやってあげる」と言う簡単な論理です。
彼らから「自分がされたり言われたら嫌なこと」を聞き出し、「そういう事をしないこと」を約束してもらい、次に、「自分がやってほしいこと言ってほしい言葉」を考えてもらいます。
そこで、誰もが持つ「やさしさ」に出合えるんです。そうやって「やさしさ」を思い出す稽古をしているのです。
朝の挨拶なら「おはようございます!」と声をかけ合うように、何か手伝ってもらったら「ありがとう!」「どういたしまして!」の言葉を交換するように、ちょっとした声がけはとても重要だと伝えています。
みなさんもちょっとした声がけに対して反応をしてもらえなかったり、対応に愛想がなかったりしたら嫌な気分になるでしょ!
ここですね。「やさしい言葉」をかけることは簡単なことなんですよね。
これが彼氏彼女の関係だったりすると、髪型や服装、身につけている小物なんかを褒めたりすることに似ていますね。
コミュニケーションとは、用件を伝え合うだけのものではないのです。ふと気づいたことを言葉にして投げ合うことも重要なのです。
ただまぁ、刑務所ではこういう褒め合う会話はできませんがね・・。実はこれってお笑い芸人も使う手法なんですね。
演芸場の舞台で自分自身が面白かった経験や記憶、思い出だけを並べてもなかなかお客様は笑わないんですね。
だから大事なのはお客さんの小さな反応にも敏感に反応しながらネタを出し、変えて行くことなんです。
例えば大阪人の県民性のネタをやって受けたら、他地域へ行った時の思い出などを増やしてみます。
するとその地域の人やそこのことを知ってる人には受けるんです。
野球やドラマの話をして反応が薄かったら、そのネタの前知識がないか興味がないということでもあるので、ネタを切り替えていきます。
実はそういった「やさしさ」とも似た、「相手の気持ち」を察することが「お笑いの提供」になるのです。
何となく「やさしさ」がどこにあるか、そしてそれをちょっと探し出せそうになってきませんか?
ぜひそうやって、自分の中の「やさしさ」を探してみてください。
誰にでもありますから。それを他人にも自分にもサラサラってかけてみてください。(そう、「自分」にも「やさしさ」を振りかけることを忘れてはいけませんよ。)
そして、「やさしさが足りない」と言う彼氏には、普段より少し大盛りにふりかけてあげてください。普段より少し多めに言葉をかけてみてください。
それできっと、より笑顔になってくれます。
「やさしさ」は「行動」だけやないよ。
ちょっとした「言葉」にも現れるので、それを忘れないことが肝やで。
一回きりの人生、何ぼ使っても「やさしさ」はなくならへんよ。相手の気持ちになって、交換しあいましょう!
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